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自分の気持ちに素直に(3)
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5階のフロアに戻りひとまず上司である理玖くんに報告する必要がある。
その後にすぐ横山くんや直井ちゃんに伝えてたくさん褒めてあげたい。
「四ノ宮さんに報告、頼むな」
「なんでニヤニヤしてんのよ」
「いや別に?」
「唯斗こそ、そんなニヤニヤしてなくていいから、華乃子ちゃんに引き継ぎ頼むよ」
どこか楽しそうに笑う唯斗は絶対私と理玖くんのことを面白がっているが、華乃子ちゃんの名前を出すとその笑みは苦笑いに変わった。
まさか仕返しされるとは思わなかったんだろう。
「しっかり伝えてきます」
「うん、よろしくね」
唯斗と分かれた私はそのままの足で理玖くんを探す。
すると理玖くんはすぐ見つかり、ディスカッションスペースにある脚の長い椅子に腰をかけて作業をしていた。
朝は別々の出勤だったため今日初めて見る理玖くんは薄手の紺色のシャツとパンツ姿で、腕まくりした部分から覗く腕の筋が色っぽい。
髪の隙間から見えるピアスが更に色気を倍増させているようで目に毒だ。
ゆっくりと近づくと私の存在に気づいた理玖くんは、誰かに見られたらすぐにバレてしまうんじゃないかと思うほど甘く蕩けるような笑みを浮かべた。
全身から私を好きだと叫んでいるようにも感じる。
「おはようございます。四ノ宮さん」
「おはよう。百瀬さん」
たった一言、挨拶を交わしただけだというのに心臓がバクバクと暴れるのが分かる。
私を見つめる瞳が甘くてその視線を浴びる度に身体がムズムズした。
「会議、お疲れ様。どうだった?」
「大成功です。すごく満足していただいたようで、このまま任せていただきました」
「さすが百瀬さんだね。任せてよかったよ。ありがとね」
「いえ、私は何もしてません。チームメンバーがしっかりクライアントの希望に応えた提案書を作成してくれたからです」
「でもそれを分かりやすくまとめてプレゼンしたのは百瀬さんでしょ?誰が欠けてもきっとこの案件を任せてはもらえなかったはずだよ」
じんわりと心に広がるその言葉が何よりも嬉しい。
自分を評価してもらえることも凄く嬉しいが、チームメンバーを褒めてもらえることが1番の褒め言葉だ。
そういう感情を得られたことが私の成長を感じた。
私を見て目を細めた理玖くんは私に向かって小さく手招きする。
1歩近づき、彼の顔に近づくように屈むと耳元で理玖くんの声が響いた。
少しだけ吐息がかかるその距離に余計に心臓が暴れだし、その音が理玖くんに聞こえてないか不安になる。
「ねぇ陽葵ちゃん。次の休み、時間ある?」
「え⋯うん。特に予定はないけど」
「ならそのまま空けといてほしいな」
甘えるようにも取れるその声は紛れもなく私に向けられているもので、告白された相手からのアプローチにドキドキが止まらなかった。
これは心臓に悪いし、この距離で理玖くんの整った顔立ちを拝むなんて緊張しないわけがない。
「デートしよ」
「で、デート?!」
「そう。俺と一緒に出かけよ」
昔から理玖くんはそうだった。
初めて2人で出かけた日も理玖くんから誘ってくれたのを思い出す。
すごく緊張していたけど理玖くんと出かけたあの日はすごく楽しくて、そして理玖くんは私に告白してくれた。
そんな思い出が鮮明に頭に流れてくる。
「どう?だめ?」
「だめじゃ、ないけど」
「会社では陽葵ちゃんとあんまり話せないし、独り占めできないし、休みの日くらい俺だけの陽葵ちゃんでいてほしいから、その時間を俺にくれない?」
理玖くんの言葉の選び方は昔からずるい。
ハッキリと愛を囁くにも関わらず、決して無理やりじゃなく私に選択権を与えてくる。
明らかに私に好意を向けてくれているのが伝わってきて、恥ずかしいしでも嬉しいという懐かしい感情が私を支配した。
まだ付き合っているわけでもないのにこんな甘すぎるセリフを吐くなんて本当にずるい。
「陽葵ちゃんと2人きりで会いたい」
「⋯⋯っ」
周りに見えないようにテーブルの下で私の指にするりと自分の骨張った長い指を絡めてくる。
その動きは誘うように肌の表面を撫で、指先を伝い恋人繋ぎのように指を絡め取られた。
確信犯とも言えるその動きはいつかの甘い夜を思い出させ、一気に頬に熱が集まり顔が赤くなる。
それに気づいた理玖くんは私の手を自分に引き寄せ耳元で甘く囁いた。
「赤くなってるよ。そんな顔しちゃすぐバレちゃう」
勢いよく身体を離して理玖くんと距離を取る。
言葉も行動もどれを取っても糖分高めで今の私にはなかなか処理しきれない。
面白半分で私にちょっかいをかけてきているのか、理玖くんは終始余裕そうでなんだか悔しくなる。
私だけが心を乱されている気がしてならない。
「理玖くんのせいだからね、赤くなるのは」
「それって俺を意識してくれてるってこと?」
「べ、別にそういうわけじゃ⋯!」
「慌てる陽葵ちゃんも可愛い。次の休み、空けておいてね」
了承したわけじゃないというのにもう理玖くんはその気になっていていつの間にか次の休みにデートをすることになってしまった。
分かりやすくアプローチをされてこんなに心を乱されて、当日の理玖くんはきっともっと甘い。
付き合っていた時から理玖くんは私にすごく甘かったけど、2人きりの時は一段と優しくてとびきり甘いのを私は知っている。
今もきっとこの言葉も視線も私にしか向けないと思うと、それがどこかで嬉しいと思う自分がいた。
ふと唯斗に言われた言葉を思い出す。
別れてすぐとか関係ないと、そう唯斗は言ってくれた。
私自身が自分の気持ちに素直にならず、それを理由に向き合うことを先延ばしにしているだけだ。
私から振ったにも関わらず理玖くんはこんなにもハッキリ気持ちを伝えてくれているのに。
そんな人にいつまでも曖昧にしていたらダメだと思う。
「理玖くん」
「ん?」
理玖くんが私をまだ好きだと言ってくれた時、すごく嬉しかった。
そして今も2人で会おうと言ってくれることだって本当は嬉しい。
そんな自分の気持ちに私はもっと素直になるべきだ。
緊張しながら控えめに自分の気持ちを伝えるために理玖くんの目を真っ直ぐ見つめる。
「デート。楽しみにしてるね」
「え、陽葵ちゃん⋯」
「それでは、報告も終わったので失礼します!」
理玖くんの返事も聞かずに仕事モードに切り替えた私は最後に挨拶をして足早に離れる。
何か言いたげな理玖くんの表情が見えたけど、気付かないふりをして私はその場を離れた。
その後、チームメンバーであるほかの3人と合流し、クライアントとの会議の共有をしっかりと行う。
ここからはプログラマーたちとも協力しつつ内容を濃く、更に詰めていく作業に進んでいく。
「横山くんと直井ちゃんの提案書すごく良かったよ。先方も喜んでくれて2人の提案を使うことになりました!」
「ほんとですか?!すごく嬉しいです」
「やった!やりました陽葵先輩っ!」
素直に自分の気持ちを表現し喜ぶ2人はすごく可愛い。
そんな様子を見ているともっと2人に期待したくなった。
それは唯斗も同じようで2人を見つめて柔らかく微笑んでいる。
仕事に恋に、どちらも中途半端にならないように自分の気持ちに真っ直ぐに向き合おう。
私は密かにそう誓った。
その後にすぐ横山くんや直井ちゃんに伝えてたくさん褒めてあげたい。
「四ノ宮さんに報告、頼むな」
「なんでニヤニヤしてんのよ」
「いや別に?」
「唯斗こそ、そんなニヤニヤしてなくていいから、華乃子ちゃんに引き継ぎ頼むよ」
どこか楽しそうに笑う唯斗は絶対私と理玖くんのことを面白がっているが、華乃子ちゃんの名前を出すとその笑みは苦笑いに変わった。
まさか仕返しされるとは思わなかったんだろう。
「しっかり伝えてきます」
「うん、よろしくね」
唯斗と分かれた私はそのままの足で理玖くんを探す。
すると理玖くんはすぐ見つかり、ディスカッションスペースにある脚の長い椅子に腰をかけて作業をしていた。
朝は別々の出勤だったため今日初めて見る理玖くんは薄手の紺色のシャツとパンツ姿で、腕まくりした部分から覗く腕の筋が色っぽい。
髪の隙間から見えるピアスが更に色気を倍増させているようで目に毒だ。
ゆっくりと近づくと私の存在に気づいた理玖くんは、誰かに見られたらすぐにバレてしまうんじゃないかと思うほど甘く蕩けるような笑みを浮かべた。
全身から私を好きだと叫んでいるようにも感じる。
「おはようございます。四ノ宮さん」
「おはよう。百瀬さん」
たった一言、挨拶を交わしただけだというのに心臓がバクバクと暴れるのが分かる。
私を見つめる瞳が甘くてその視線を浴びる度に身体がムズムズした。
「会議、お疲れ様。どうだった?」
「大成功です。すごく満足していただいたようで、このまま任せていただきました」
「さすが百瀬さんだね。任せてよかったよ。ありがとね」
「いえ、私は何もしてません。チームメンバーがしっかりクライアントの希望に応えた提案書を作成してくれたからです」
「でもそれを分かりやすくまとめてプレゼンしたのは百瀬さんでしょ?誰が欠けてもきっとこの案件を任せてはもらえなかったはずだよ」
じんわりと心に広がるその言葉が何よりも嬉しい。
自分を評価してもらえることも凄く嬉しいが、チームメンバーを褒めてもらえることが1番の褒め言葉だ。
そういう感情を得られたことが私の成長を感じた。
私を見て目を細めた理玖くんは私に向かって小さく手招きする。
1歩近づき、彼の顔に近づくように屈むと耳元で理玖くんの声が響いた。
少しだけ吐息がかかるその距離に余計に心臓が暴れだし、その音が理玖くんに聞こえてないか不安になる。
「ねぇ陽葵ちゃん。次の休み、時間ある?」
「え⋯うん。特に予定はないけど」
「ならそのまま空けといてほしいな」
甘えるようにも取れるその声は紛れもなく私に向けられているもので、告白された相手からのアプローチにドキドキが止まらなかった。
これは心臓に悪いし、この距離で理玖くんの整った顔立ちを拝むなんて緊張しないわけがない。
「デートしよ」
「で、デート?!」
「そう。俺と一緒に出かけよ」
昔から理玖くんはそうだった。
初めて2人で出かけた日も理玖くんから誘ってくれたのを思い出す。
すごく緊張していたけど理玖くんと出かけたあの日はすごく楽しくて、そして理玖くんは私に告白してくれた。
そんな思い出が鮮明に頭に流れてくる。
「どう?だめ?」
「だめじゃ、ないけど」
「会社では陽葵ちゃんとあんまり話せないし、独り占めできないし、休みの日くらい俺だけの陽葵ちゃんでいてほしいから、その時間を俺にくれない?」
理玖くんの言葉の選び方は昔からずるい。
ハッキリと愛を囁くにも関わらず、決して無理やりじゃなく私に選択権を与えてくる。
明らかに私に好意を向けてくれているのが伝わってきて、恥ずかしいしでも嬉しいという懐かしい感情が私を支配した。
まだ付き合っているわけでもないのにこんな甘すぎるセリフを吐くなんて本当にずるい。
「陽葵ちゃんと2人きりで会いたい」
「⋯⋯っ」
周りに見えないようにテーブルの下で私の指にするりと自分の骨張った長い指を絡めてくる。
その動きは誘うように肌の表面を撫で、指先を伝い恋人繋ぎのように指を絡め取られた。
確信犯とも言えるその動きはいつかの甘い夜を思い出させ、一気に頬に熱が集まり顔が赤くなる。
それに気づいた理玖くんは私の手を自分に引き寄せ耳元で甘く囁いた。
「赤くなってるよ。そんな顔しちゃすぐバレちゃう」
勢いよく身体を離して理玖くんと距離を取る。
言葉も行動もどれを取っても糖分高めで今の私にはなかなか処理しきれない。
面白半分で私にちょっかいをかけてきているのか、理玖くんは終始余裕そうでなんだか悔しくなる。
私だけが心を乱されている気がしてならない。
「理玖くんのせいだからね、赤くなるのは」
「それって俺を意識してくれてるってこと?」
「べ、別にそういうわけじゃ⋯!」
「慌てる陽葵ちゃんも可愛い。次の休み、空けておいてね」
了承したわけじゃないというのにもう理玖くんはその気になっていていつの間にか次の休みにデートをすることになってしまった。
分かりやすくアプローチをされてこんなに心を乱されて、当日の理玖くんはきっともっと甘い。
付き合っていた時から理玖くんは私にすごく甘かったけど、2人きりの時は一段と優しくてとびきり甘いのを私は知っている。
今もきっとこの言葉も視線も私にしか向けないと思うと、それがどこかで嬉しいと思う自分がいた。
ふと唯斗に言われた言葉を思い出す。
別れてすぐとか関係ないと、そう唯斗は言ってくれた。
私自身が自分の気持ちに素直にならず、それを理由に向き合うことを先延ばしにしているだけだ。
私から振ったにも関わらず理玖くんはこんなにもハッキリ気持ちを伝えてくれているのに。
そんな人にいつまでも曖昧にしていたらダメだと思う。
「理玖くん」
「ん?」
理玖くんが私をまだ好きだと言ってくれた時、すごく嬉しかった。
そして今も2人で会おうと言ってくれることだって本当は嬉しい。
そんな自分の気持ちに私はもっと素直になるべきだ。
緊張しながら控えめに自分の気持ちを伝えるために理玖くんの目を真っ直ぐ見つめる。
「デート。楽しみにしてるね」
「え、陽葵ちゃん⋯」
「それでは、報告も終わったので失礼します!」
理玖くんの返事も聞かずに仕事モードに切り替えた私は最後に挨拶をして足早に離れる。
何か言いたげな理玖くんの表情が見えたけど、気付かないふりをして私はその場を離れた。
その後、チームメンバーであるほかの3人と合流し、クライアントとの会議の共有をしっかりと行う。
ここからはプログラマーたちとも協力しつつ内容を濃く、更に詰めていく作業に進んでいく。
「横山くんと直井ちゃんの提案書すごく良かったよ。先方も喜んでくれて2人の提案を使うことになりました!」
「ほんとですか?!すごく嬉しいです」
「やった!やりました陽葵先輩っ!」
素直に自分の気持ちを表現し喜ぶ2人はすごく可愛い。
そんな様子を見ているともっと2人に期待したくなった。
それは唯斗も同じようで2人を見つめて柔らかく微笑んでいる。
仕事に恋に、どちらも中途半端にならないように自分の気持ちに真っ直ぐに向き合おう。
私は密かにそう誓った。
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