揚げ物、お好きですか?リメイク版

ツ~

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王名許可証

王名許可証7

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 休憩後。
 丁度良いタイミングで三羽の大ニワトリが現れた。
 「イリア。二羽は俺に任せろ。とにかく一羽に集中してみるんだ!」
 イリアはコクリと頷く。
 俺は駆け出して大ニワトリの首を落とす。もう、大ニワトリに怯む事はなかった。
 速攻で二羽を仕留め、イリアの方へ駆け寄る。何気にステータスというのは恩恵がある。足も前よりかなり早く走れるようになった。大ニワトリが襲って来るなら、とりあえずは斬り捨てる。
 イリアの杖の先に魔法陣が展開され。火の玉が現れる。
 「集中!集中!!あの一羽だけを倒すイメージだ!」
 俺の声にイリアは頷き、大ニワトリを見つめる。
 大きな火の玉の色が、赤から青に変わって小さくなっていく。
 おお!?こんなの初めてだ!!
 完全に青くなった火の玉は、赤い火の玉の時と違って威力が凝縮されたように、とても小さくなり、美しい宝石が燃えているようだった。
 そして……。
 「『ファイヤーボール!!』」
 イリアは魔法を撃った!
 ファイヤーボールが大ニワトリに当たった瞬間。大ニワトリは一瞬の間、青色の炎に身体を包まれ、灰と化した。その後には一つ魔石が落ちていた。
 おお!?
 おおおおっ!?
 やっぱり!この子は出来る子だった~!!
 「やったな!イリア!!」
 俺の満面な笑顔に応えるようにイリアも破顔し抱き付いてきた。
 「はい!やりました!!ヤマト様!!私!初めて魔力を制御できました!!しかも、青いファイヤーボールなんて初めて見ました!!」
 余程、嬉しかったのだろう。俺を抱き締める手には力が入っていた。
 俺に抱き付いた事に気がついたのだろう。イリアは、バッと勢いよく離れ、照れくさい雰囲気が流れる。良かった。ターニャさんが見ていたら俺、殺されてたかもしれない。
 「や、やりましたね。イリアさん。」
 「や、やりまた。ヤマト様。」
 見つめ合う二人。おっ?なんか良い雰囲気になってしまったぞ?そう思った瞬間。ゴボン!と何かが地面から突き出す音がした。
 奴だ!久しぶりに奴が現れた!!魔石のようなくちばしを地面から出して、拾おうとした者を襲う奴。ゴールデン大ニワトリが!!そんな音を出すのか!!
 「イリア。さっきの要領で魔法頼む。」 
 「はい!ヤマト様!!」
 さっきのように、ファイヤーボールは青い宝石のように小さくキラキラと燃えていた。
 「『石ツブテ』」
 俺は石ツブテを唱えて。
 「『必中』」
 必中を毎度のように重ね掛けして、ポイッとゴールデン大ニワトリのくちばし目掛けて、軽く投げた。
 ゴールデン大ニワトリはくちばしに石ツブテが当たった瞬間、地面から飛び出す。
 「イリア!撃て!!」
 その声でイリアは魔法を放つ。ゴールデン大ニワトリも大ニワトリ同様、灰と化した。

 久々の大金のゲットとイリアの魔法調整が上手くいき、俺達は上機嫌で家に帰った。
 「イリア。今日は好きな物なんでも作ってやるぞ。何が良い??」
 イリアは迷う事なく即答する。
 「トンカツでお願いします!それもいっぱいお願いします!!」
 俺は、イリアのリクエスト通り、十枚トンカツを揚げてやった。
 まさに、トンカツタワーの出来上がりだ。
 「凄く壮観な眺めですね。」
 流石の俺もトンカツをこんなに並べた事はなかった。確かに壮観だ。
 「よし、二階に持って行って食べるか。」
 「はい!」
 そう、イリアが返事をした時である。
 家のドアがドンドンとノックされた。
 ん?誰だ??こんな時間に?
 「は~い。今開けます。」
 俺がそう言い、ドアを開けるとそこには……。
 「夜分遅くにすまぬな。二人とも元気な様子で安心したぞよ。」
 女王様がお供の人を引き連れて、家にやってきたのである。
 え?!女王様!!
 「じょ、女王様!どのようなご用件で!?」
 イリアも俺と同じようにびっくりして、こちらへ走ってやってくる。
 「ちとな。それにしても、良い香りじゃ?もしや、トンカツではないか?」
 どうやら、女王様は鼻がきくようだ。
 「はい。トンカツでございます。女王様、お召し上がりになりますか?」
 イリアは女王様に言う。
 「よいのか?」
 「はい!」
 「ならば……。」
 女王様は家に入ろうとしたが、ドアが小さくて女王様は入れない。何度やっても、身体の向きを変えても、強引に突破しようとしても入らない。
 「……入れぬ。誰じゃ?このように小さなドアを作ったやつは……?」
 女王様からゴゴゴゴォ!っと音が聞こえてきそうな凄まじいオーラが出る。
 ヤバい!ヤバくね?!これ!?
 こっ!これは魔力か?!魔力の無い俺でも、ヤバい事がビンビン伝わってくる。お供の人達も右往左往する。
 「申し訳ありません。ドアは今度改装しますので。」
 イリアはそう言い、いつの間にかトンカツとご飯を持ってきていた。
 「む。さようか。ならば、ここで頂くとしよう。」
 よ、よかった。イリア、ナイス。お供の方達も安心したように胸をなで下ろす。
 おっと。俺もただ突っ立ているだけではな……。
 俺は慌ててテーブルと椅子を用意する。女王様はドアの外でトンカツをお召し上がりになられた……全部。
 「すまぬ。美味過ぎて全て平らげてしまった。」
 「いいえ。」
 イリアは少し悲しそうにしたが、にこりと微笑んだ。
 「これだけのトンカツの量。何かの祝い事だったのか?」
 「はい。女王様。私、初めて魔力の調整が上手く出来たんです。大ニワトリ一羽だけを狙って倒す事が出来たのです。」
 女王様は細い目を目一杯に見開いて驚いたように言う。
 「なに?それは誠か??」
 「ヤマト様に指導して頂き……。」
 イリアは嬉しそうに微笑む。
 「ヤマト。……おぬし、やるのう。イリアよ。また妾の元へ戻っては来ぬか?」
 イリアは横に首を振ふった。
 「申し訳ありません。」
 「……そうか。そうじゃった。お前がこうなる事を望んだことじゃったな。いや。こうなるように動いたのやも知れんな。謝るのは妾の方じゃ。」
 女王様はイリアを見て、フッと少し笑われた。
 あれ?あの口振りだと、イリアは辞めさせられたのではなくて、自分で王宮魔術師を辞めたのか?それに、どこかイリアの顔が赤いような……。俺がそんな事を考えていると、お供の方が女王様に言う。
 「女王様。そろそろ。」
 「そうか?ならばおいとまする事にしよう。っと、忘れる所じゃった。」
 女王様は右手を横にやる。お供の方がなにやらカードのような物を女王様に渡した。 
 「トンカツの美味さに忘れる所じゃったぞ。ほれ。王名許可証じゃ。」
 女王様はそう言い差し出す。
 お、王名許可証!?
 ええ!?
 「おぬし達が十日以上経っても取りに来ぬゆえ、妾自らが持ってきてやったのじゃ。」
 「えっ?でも……。」
 俺が戸惑っていると、女王様は続けて言う。
 「妾が『ひらけ』と言ったのじゃ。だから、妾の命令じゃろう?王名となれば、妾自ら発行するのが当たり前であろう。受け取るがよい。」
 俺はイリアを見やる。イリアは俺を見て頷く。
 「ありがたく、頂戴いたします。」
 俺は女王様から王名許可証を頂いた。
 やった!コレで店がひらけるぞ!!
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