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真実は胸の中(イリア回想)
真実は胸の中5
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私が完全に言葉を理解した頃には、あのお店へ行ってから、一年以上が経っていた。
このニホンという国はとても大変だ。人は多いし、言葉も大変。ニホン語だけで、ひらがなに、カタカナ、漢字まで……しかも、他国の英語などの文字まで活用している。
まあ、私には必要ないので、ニホン語だけをマスターした。
そして、分かった事……あのお店の名前……あれは漢字で『大和』。読み方を『ヤマト』と言う。そう、あの……ヤマトのお店なのだ。
嬉しかった。
そう。単純に、嬉しかった。それ以外に言葉が浮かばなかった。
嬉しい時、楽しい時、悲しい時、辛い時、どんなに会いたいと願っただろう。どんなに……想いこがれただろう。
でも、それは叶わぬ夢。叶わぬ願い。
会うことは出来ない、許されない。諦めるしかない。そう思っていた。
運命の歯車がどう回っていたのかは分からない。それでも、私達の歯車は噛み合い、また一緒に回り始めた。ヤマトに会う事が出来た。
どんな物を犠牲にしても、どんな物を賭けても、どんなに願っても会えないと思っていた。どんなに、どんなに……。
「はい。おまちどうさまです。エビフライ定食です。」
「……ああ。ありがとう。」
私の思考を遮るように、私の目の前には料理が並ぶ。
私は今日も揚げ物処・大和へやって来ていた。何時ものように変装して。
……そう。現実は、こんなモノだ。
再会出来たからといって、何かが変わった訳ではない。私が必要以上に声を掛ける事は出来ないし、私が幼い頃に出会ったイリアだと、名乗る事も出来ない。まあ、名乗ってもヤマトは分からない、覚えてはいないでしょうが……。
少し卑屈な気持ちになりながら、アツアツのエビフライをタルタルソースに付けて食べる。
ああ……。なんて、幸せな味なのでしょう。嫌な気持ちも、一瞬でどこかへ行ってしまうようだ。
私は夢中になってエビフライを食べた。
そして、その日の夜。
私は何時ものように、女王様の所へ報告に向かった。少し世間話をした後に本題に入る。
「……はい。今日はエビフライを食べました。何も付けずに食べても美味しいのですが、タルタルソースなる物を付けて食べると、更に美味しさが増すと思われます。ソースも捨てがたいですが、やはり、タルタルソースです。ええ。タルタルソースです。そのままタルタルでも良いのですが、添えてあるレモンを少し搾ってかけるのです。その酸味とタルタルがまた合うのです。ああ……思い出しただけで、よだれが出そうです。」
私のエビフライのイチオシは、タルタルソースだ。もしくは、レモンを搾ってかけた後にタルタルソースだ。
「ほほう。何度聞いても、食欲がわくのぅ~。妾も、おぬしのように変装して、ヤマトの店へ食べに行ってみたいのぅ~。」
二人きりの女王様の寝室。女王様は、私の話を聞きながら、身悶えをする。
そう。女王様は、人間界には行けないのだ。正確には、この世界からは出られない。女王様が居なくなると、この世界は崩壊へと進んで行くらしい。女王様本人が私に直接依頼してきたように、食べたくても、現実問題、食べる事は出来ないのだ。本人が赴く事が出来ないのだ。
「して、ヤマトは息災であったか?変わりはなかったか?」
そして、女王様には、あのお店が、ヤマトのお店だということは伝えてあった。
伝えた当時。覚えていないのか、はたまた、知っていたのか……女王様の反応はわざとらしかった。
「はい。元気で頑張っていました。また少し、ふくよかになった気はしますが。」
「ふぉっふぉっ。男前に磨きがかかっておったのじゃな?」
そう。益々、カッコ良く見えた。
「いいの~ぅ。イリアは、ヤマトに会えて、美味い物まで食べられる。妾も、食べたいの~ぅ。なぁ、イリアよ。どうすれば、妾もトンカツやエビフライを食べられるかのぅ?」
女王様は寂しそうに、羨ましそうに私にたずねる。
解決策は二つある。
一つは、テイクアウトする事だろう。しかし、あのお店は、テイクアウトをおこなっていない。何度かお願いはしたのだが、頑なに断られた。なので、却下。
そして、もう一つは、ヤマト本人にこの世界へやってきて貰って作る事だ。
私が、ヤマトに習ったり、本を購入して作れるようになれば、問題はないのですが……私は料理が、全く出来ない。なのでこれは、論外。
他の者に作らせるというのは……出来ない。なぜなら、この事は、私と女王様だけの秘密なのだ。私が異世界へと足繁く通っている事。ヤマトが一度、この世界へやって来た事がある。という事が他の者に知れたら一大事だからだ。
「やはり、ヤマト本人に、この世界へ再びやって来てもらうしか解決策は見いだせません。」
「う~む。それしかないのか……それしか……。」
女王様はうなだれ、ベッドへ入り、そのままお休みになられた。
そして、次の日の夕刻。
「イリア。イリアよ。業務が終わったら、妾の寝室へ来ておくれ。」
女王様は私に耳打ちする。
何事でしょうか?私を寝室へ呼ぶという事は、二人だけの秘密を話す時。今で言えば、ヤマトの事だろう。
私は業務を早めに切り上げ、女王様の元へと向かった。
「失礼します。女王様。」
私はノックして部屋へ入る。
「おお。今日は早めに終わったのじゃな?今、茶を用意するで、座って待っておるがよい。」
そう言い、女王様はいそいそと、お茶の準備をしてくれる。この世界で、女王様の入れたお茶を頂けるのは、私くらいだろう。それくらい、私と女王様の絆が強いということだ。
「早速、本題に入るがよいか?」
「はい。」
私は、女王様の入れてくれたお茶を飲むのを止めて、女王様に向き合う。
「妾、ヤマトにこの世界へ来て貰おう思うのじゃ。」
え?それって世界法違反では?
「それ、違反では?」
「うん。そうじゃ。じゃがな。ヤマトを見た事のある者と言えば、妾、イリア、イリアの両親、この四名だけじゃ。妾達が秘密にしておけば、バレる事はない。それに、この世界へ移住してもらう訳ではないし……そもそも、人間はこの世界では長くは保たぬ。その事は、おぬしも知っておろう?料理をパパッと作って貰って、パパッっと人間界へ帰ってもらう。それで、バッチリではないか?」
確かに、数日ならばヤマトの肉体もこの世界に耐えれるだろう。しかし……。
「しかしです。女王様。もし、ヤマトの料理が美味しすぎて、女王様がまた来て欲しいと思ったらどうなさるのですか?」
そう。リピーターになってしまったらどうするのだろう?毎回、毎回、ヤマトをこの世界へ呼ぶのだろうか?それは、世界法に触れる行為だ。
「そうじゃな。それは、問題じゃな。おぬしのように、記憶まで無くしてしまう程の美味であれば、妾はまた、ヤマトに料理を頼みたくなるじゃろう。しかし、それは世界法に触れるな。二度目は呼べぬじゃろう。さすれば、誰かに覚えてもらうしかないの……出来れば、秘密を厳守出来て、妾達と親交も厚く、料理の出来る者……そうなれば、ターニャ以外には居らぬじゃろう。」
「ならば、明日、ターニャを呼んで一緒に話す事にしますか?」
「うむ。よろしく頼むぞ。」
こうして、この日は終わった。
このニホンという国はとても大変だ。人は多いし、言葉も大変。ニホン語だけで、ひらがなに、カタカナ、漢字まで……しかも、他国の英語などの文字まで活用している。
まあ、私には必要ないので、ニホン語だけをマスターした。
そして、分かった事……あのお店の名前……あれは漢字で『大和』。読み方を『ヤマト』と言う。そう、あの……ヤマトのお店なのだ。
嬉しかった。
そう。単純に、嬉しかった。それ以外に言葉が浮かばなかった。
嬉しい時、楽しい時、悲しい時、辛い時、どんなに会いたいと願っただろう。どんなに……想いこがれただろう。
でも、それは叶わぬ夢。叶わぬ願い。
会うことは出来ない、許されない。諦めるしかない。そう思っていた。
運命の歯車がどう回っていたのかは分からない。それでも、私達の歯車は噛み合い、また一緒に回り始めた。ヤマトに会う事が出来た。
どんな物を犠牲にしても、どんな物を賭けても、どんなに願っても会えないと思っていた。どんなに、どんなに……。
「はい。おまちどうさまです。エビフライ定食です。」
「……ああ。ありがとう。」
私の思考を遮るように、私の目の前には料理が並ぶ。
私は今日も揚げ物処・大和へやって来ていた。何時ものように変装して。
……そう。現実は、こんなモノだ。
再会出来たからといって、何かが変わった訳ではない。私が必要以上に声を掛ける事は出来ないし、私が幼い頃に出会ったイリアだと、名乗る事も出来ない。まあ、名乗ってもヤマトは分からない、覚えてはいないでしょうが……。
少し卑屈な気持ちになりながら、アツアツのエビフライをタルタルソースに付けて食べる。
ああ……。なんて、幸せな味なのでしょう。嫌な気持ちも、一瞬でどこかへ行ってしまうようだ。
私は夢中になってエビフライを食べた。
そして、その日の夜。
私は何時ものように、女王様の所へ報告に向かった。少し世間話をした後に本題に入る。
「……はい。今日はエビフライを食べました。何も付けずに食べても美味しいのですが、タルタルソースなる物を付けて食べると、更に美味しさが増すと思われます。ソースも捨てがたいですが、やはり、タルタルソースです。ええ。タルタルソースです。そのままタルタルでも良いのですが、添えてあるレモンを少し搾ってかけるのです。その酸味とタルタルがまた合うのです。ああ……思い出しただけで、よだれが出そうです。」
私のエビフライのイチオシは、タルタルソースだ。もしくは、レモンを搾ってかけた後にタルタルソースだ。
「ほほう。何度聞いても、食欲がわくのぅ~。妾も、おぬしのように変装して、ヤマトの店へ食べに行ってみたいのぅ~。」
二人きりの女王様の寝室。女王様は、私の話を聞きながら、身悶えをする。
そう。女王様は、人間界には行けないのだ。正確には、この世界からは出られない。女王様が居なくなると、この世界は崩壊へと進んで行くらしい。女王様本人が私に直接依頼してきたように、食べたくても、現実問題、食べる事は出来ないのだ。本人が赴く事が出来ないのだ。
「して、ヤマトは息災であったか?変わりはなかったか?」
そして、女王様には、あのお店が、ヤマトのお店だということは伝えてあった。
伝えた当時。覚えていないのか、はたまた、知っていたのか……女王様の反応はわざとらしかった。
「はい。元気で頑張っていました。また少し、ふくよかになった気はしますが。」
「ふぉっふぉっ。男前に磨きがかかっておったのじゃな?」
そう。益々、カッコ良く見えた。
「いいの~ぅ。イリアは、ヤマトに会えて、美味い物まで食べられる。妾も、食べたいの~ぅ。なぁ、イリアよ。どうすれば、妾もトンカツやエビフライを食べられるかのぅ?」
女王様は寂しそうに、羨ましそうに私にたずねる。
解決策は二つある。
一つは、テイクアウトする事だろう。しかし、あのお店は、テイクアウトをおこなっていない。何度かお願いはしたのだが、頑なに断られた。なので、却下。
そして、もう一つは、ヤマト本人にこの世界へやってきて貰って作る事だ。
私が、ヤマトに習ったり、本を購入して作れるようになれば、問題はないのですが……私は料理が、全く出来ない。なのでこれは、論外。
他の者に作らせるというのは……出来ない。なぜなら、この事は、私と女王様だけの秘密なのだ。私が異世界へと足繁く通っている事。ヤマトが一度、この世界へやって来た事がある。という事が他の者に知れたら一大事だからだ。
「やはり、ヤマト本人に、この世界へ再びやって来てもらうしか解決策は見いだせません。」
「う~む。それしかないのか……それしか……。」
女王様はうなだれ、ベッドへ入り、そのままお休みになられた。
そして、次の日の夕刻。
「イリア。イリアよ。業務が終わったら、妾の寝室へ来ておくれ。」
女王様は私に耳打ちする。
何事でしょうか?私を寝室へ呼ぶという事は、二人だけの秘密を話す時。今で言えば、ヤマトの事だろう。
私は業務を早めに切り上げ、女王様の元へと向かった。
「失礼します。女王様。」
私はノックして部屋へ入る。
「おお。今日は早めに終わったのじゃな?今、茶を用意するで、座って待っておるがよい。」
そう言い、女王様はいそいそと、お茶の準備をしてくれる。この世界で、女王様の入れたお茶を頂けるのは、私くらいだろう。それくらい、私と女王様の絆が強いということだ。
「早速、本題に入るがよいか?」
「はい。」
私は、女王様の入れてくれたお茶を飲むのを止めて、女王様に向き合う。
「妾、ヤマトにこの世界へ来て貰おう思うのじゃ。」
え?それって世界法違反では?
「それ、違反では?」
「うん。そうじゃ。じゃがな。ヤマトを見た事のある者と言えば、妾、イリア、イリアの両親、この四名だけじゃ。妾達が秘密にしておけば、バレる事はない。それに、この世界へ移住してもらう訳ではないし……そもそも、人間はこの世界では長くは保たぬ。その事は、おぬしも知っておろう?料理をパパッと作って貰って、パパッっと人間界へ帰ってもらう。それで、バッチリではないか?」
確かに、数日ならばヤマトの肉体もこの世界に耐えれるだろう。しかし……。
「しかしです。女王様。もし、ヤマトの料理が美味しすぎて、女王様がまた来て欲しいと思ったらどうなさるのですか?」
そう。リピーターになってしまったらどうするのだろう?毎回、毎回、ヤマトをこの世界へ呼ぶのだろうか?それは、世界法に触れる行為だ。
「そうじゃな。それは、問題じゃな。おぬしのように、記憶まで無くしてしまう程の美味であれば、妾はまた、ヤマトに料理を頼みたくなるじゃろう。しかし、それは世界法に触れるな。二度目は呼べぬじゃろう。さすれば、誰かに覚えてもらうしかないの……出来れば、秘密を厳守出来て、妾達と親交も厚く、料理の出来る者……そうなれば、ターニャ以外には居らぬじゃろう。」
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