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真実は胸の中(イリア回想)

真実は胸の中6

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 そして、次の日。
 「女王様とイリアお嬢様のおっしゃる事は、よく分かりました。この、アナスティアナ・フォン・ダイクン。ダイクン家の名に恥じぬよう、命に代えましてもお役目を果たしましょう。」
 ターニャだけには、私達の過去の事を話していた。伏せている事も多かったけど……。ターニャの事は昔から信頼しているし、今、行っている事で何か隠し事があると、上手く行かないと思ったからだ。
 「お言葉ですが、女王様、少々、お聞きしたい事があります。」
 「ん?なんじゃ??申してみよ。」
 「はい。それでは……女王様は心臓を入れ替える、蘇生魔法がお使えになれます。それは、人間にも使用可能なのですか?」
 ターニャはとんでもない事を女王様に聞いた。
 「……おぬし、何を考えておる?」
 女王様から、凄い威圧感が……怒っていらっしゃるわ。しかし、ターニャは怯まない。流石、三大貴族と言ったところだろうか?
 「いいえ。ただ、お聞きしたかっただけですわ。獣人やドワーフとは違い、人間とは心臓の構造が違うだけで、それほど、我々エルフとは身体の作りが違わぬ。と聞いていたものですから。ただの興味本位です。」
 女王様は一つため息をついて答えた。
 「……可能か不可能かと言えば、可能な方が確率は高いじゃろうな。しかしじゃ、妾も試した事がないゆえ、どうなるか正確な事は分からぬよ。」
 「そうでございますか。……そうでございますよね。人間がこの世界に迷い込んでくる事自体が珍しい事ですし……失礼な質問、申し訳ありませんでした。」
 ターニャはそう言い、頭を下げた。
 そして、王室を出て、なぜ、ターニャがあのような質問をしたのか気になり、私はターニャにたずねてみた。
 「ねえ。ターニャ。ターニャはなぜ、あんな質問を女王様にしたの?」
 「イリアお嬢様のためです。」
 ターニャは躊躇わず、即答した。
 え?私のため?
 「私のため?どういう事??」
 「メイドが主の願いを叶えようと思うのは当然です。イリアお嬢様はその『ヤマト』という、男の人間に恋しておられますね。昔から……。」
 え?!ど、どうしてバレたの!?
 「はぁ……。どうして、バレたの?というお顔をしておりますが……イリアお嬢様、あなたは仕事以外の事は直ぐに顔にでます。それに、女王様を除いて、一番長く近くでイリアお嬢様を見ていたのは、弓術隊総隊長のエリではなく、わ・た・し!です。それくらいは分かります。」
 そ、そうだったのね。私って、直ぐに顔に出るんだ………。確かに、仕事以外は感情的になってしまったりするけど……。は、恥ずかしい。
 「それで、どうなさいますか?イリアお嬢様??」
 え?どうするとは??
 「……どういう事?」
 「その「ヤマト』という人間の男を、この世界の住人にするか、しないか。ですよ。」
 ええ!?そ、そんな事が?!
 「イリアお嬢様、よく考えて下さいまし。人間と我々エルフの身体の構造で一番違う事は、心臓の構造が違う事。魔素を分解、吸収、出来るか出来ないかの違いが一番大きいと考えられます。それならば、心臓を移植して貰えば、この世界に適用出来るかもしれないという事です。前例はなく、世界法も適用されません。この方法ならば、その人間はこの世界でも受け入れられるでしょう。現に怪我をして迷い込んだ『迷い人』を治療し、記憶を消して元の世界に戻す。という事はよくある事です。もちろん、体が拒絶反応を起こすというリスクはありますが……可能性としては、五分五分と言ったところです。」
 ……か、考えもしなかった。ヤマトの人間の心臓をエルフの心臓と入れ替える。そ、それなら、ヤマトはこの世界でも生きられる可能性がある。
 そして、その蘇生魔法を女王様はお使いになられる。エルフの心臓を他のエルフに移植する蘇生魔法が使えるのだ。確か、数百年に一度しか使えないと聞いた事はあるけど……前に聞いた時は千年以上使っていないとおっしゃっていたはず……。これは……チャンス?
 「どうなさいますか?イリアお嬢様??」
 ターニャの声が、悪魔の囁きに聞こえる。そう、これは禁断の果実だろう。とても甘く……醜い。
 失敗するリスクだってある。いや。五分五分なら、かなりの確率で失敗する。冷静になれ、私。
 ヤマトだって、人間界での生活がある。家族だっている。もしかしたら……いや、もしかしないでも愛する人が居るかもしれないのだ……。
 しかし……。
 「イリアお嬢様。私は、イリアお嬢様に一生ついて行きます。もし、この身が滅んでも、イリアお嬢様のお側に居ます。私は、イリアお嬢様の全てを許します。堕ちていくのも一緒です。どうか、イリアお嬢様の思うままに……。」
 ……ヤマトと一緒に居れるの?そんな事が可能なの??許されるの??
 「……ヤマトと一緒に……??」
 「はい。イリアお嬢様が望むのならば……。」
 ターニャの最後の言葉に、私は禁断の果実に手を伸ばした。
  
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