82 / 201
真実は胸の中(イリア回想)
真実は胸の中6
しおりを挟む
そして、次の日。
「女王様とイリアお嬢様のおっしゃる事は、よく分かりました。この、アナスティアナ・フォン・ダイクン。ダイクン家の名に恥じぬよう、命に代えましてもお役目を果たしましょう。」
ターニャだけには、私達の過去の事を話していた。伏せている事も多かったけど……。ターニャの事は昔から信頼しているし、今、行っている事で何か隠し事があると、上手く行かないと思ったからだ。
「お言葉ですが、女王様、少々、お聞きしたい事があります。」
「ん?なんじゃ??申してみよ。」
「はい。それでは……女王様は心臓を入れ替える、蘇生魔法がお使えになれます。それは、人間にも使用可能なのですか?」
ターニャはとんでもない事を女王様に聞いた。
「……おぬし、何を考えておる?」
女王様から、凄い威圧感が……怒っていらっしゃるわ。しかし、ターニャは怯まない。流石、三大貴族と言ったところだろうか?
「いいえ。ただ、お聞きしたかっただけですわ。獣人やドワーフとは違い、人間とは心臓の構造が違うだけで、それほど、我々エルフとは身体の作りが違わぬ。と聞いていたものですから。ただの興味本位です。」
女王様は一つため息をついて答えた。
「……可能か不可能かと言えば、可能な方が確率は高いじゃろうな。しかしじゃ、妾も試した事がないゆえ、どうなるか正確な事は分からぬよ。」
「そうでございますか。……そうでございますよね。人間がこの世界に迷い込んでくる事自体が珍しい事ですし……失礼な質問、申し訳ありませんでした。」
ターニャはそう言い、頭を下げた。
そして、王室を出て、なぜ、ターニャがあのような質問をしたのか気になり、私はターニャにたずねてみた。
「ねえ。ターニャ。ターニャはなぜ、あんな質問を女王様にしたの?」
「イリアお嬢様のためです。」
ターニャは躊躇わず、即答した。
え?私のため?
「私のため?どういう事??」
「メイドが主の願いを叶えようと思うのは当然です。イリアお嬢様はその『ヤマト』という、男の人間に恋しておられますね。昔から……。」
え?!ど、どうしてバレたの!?
「はぁ……。どうして、バレたの?というお顔をしておりますが……イリアお嬢様、あなたは仕事以外の事は直ぐに顔にでます。それに、女王様を除いて、一番長く近くでイリアお嬢様を見ていたのは、弓術隊総隊長のエリではなく、わ・た・し!です。それくらいは分かります。」
そ、そうだったのね。私って、直ぐに顔に出るんだ………。確かに、仕事以外は感情的になってしまったりするけど……。は、恥ずかしい。
「それで、どうなさいますか?イリアお嬢様??」
え?どうするとは??
「……どういう事?」
「その「ヤマト』という人間の男を、この世界の住人にするか、しないか。ですよ。」
ええ!?そ、そんな事が?!
「イリアお嬢様、よく考えて下さいまし。人間と我々エルフの身体の構造で一番違う事は、心臓の構造が違う事。魔素を分解、吸収、出来るか出来ないかの違いが一番大きいと考えられます。それならば、心臓を移植して貰えば、この世界に適用出来るかもしれないという事です。前例はなく、世界法も適用されません。この方法ならば、その人間はこの世界でも受け入れられるでしょう。現に怪我をして迷い込んだ『迷い人』を治療し、記憶を消して元の世界に戻す。という事はよくある事です。もちろん、体が拒絶反応を起こすというリスクはありますが……可能性としては、五分五分と言ったところです。」
……か、考えもしなかった。ヤマトの人間の心臓をエルフの心臓と入れ替える。そ、それなら、ヤマトはこの世界でも生きられる可能性がある。
そして、その蘇生魔法を女王様はお使いになられる。エルフの心臓を他のエルフに移植する蘇生魔法が使えるのだ。確か、数百年に一度しか使えないと聞いた事はあるけど……前に聞いた時は千年以上使っていないとおっしゃっていたはず……。これは……チャンス?
「どうなさいますか?イリアお嬢様??」
ターニャの声が、悪魔の囁きに聞こえる。そう、これは禁断の果実だろう。とても甘く……醜い。
失敗するリスクだってある。いや。五分五分なら、かなりの確率で失敗する。冷静になれ、私。
ヤマトだって、人間界での生活がある。家族だっている。もしかしたら……いや、もしかしないでも愛する人が居るかもしれないのだ……。
しかし……。
「イリアお嬢様。私は、イリアお嬢様に一生ついて行きます。もし、この身が滅んでも、イリアお嬢様のお側に居ます。私は、イリアお嬢様の全てを許します。堕ちていくのも一緒です。どうか、イリアお嬢様の思うままに……。」
……ヤマトと一緒に居れるの?そんな事が可能なの??許されるの??
「……ヤマトと一緒に……??」
「はい。イリアお嬢様が望むのならば……。」
ターニャの最後の言葉に、私は禁断の果実に手を伸ばした。
「女王様とイリアお嬢様のおっしゃる事は、よく分かりました。この、アナスティアナ・フォン・ダイクン。ダイクン家の名に恥じぬよう、命に代えましてもお役目を果たしましょう。」
ターニャだけには、私達の過去の事を話していた。伏せている事も多かったけど……。ターニャの事は昔から信頼しているし、今、行っている事で何か隠し事があると、上手く行かないと思ったからだ。
「お言葉ですが、女王様、少々、お聞きしたい事があります。」
「ん?なんじゃ??申してみよ。」
「はい。それでは……女王様は心臓を入れ替える、蘇生魔法がお使えになれます。それは、人間にも使用可能なのですか?」
ターニャはとんでもない事を女王様に聞いた。
「……おぬし、何を考えておる?」
女王様から、凄い威圧感が……怒っていらっしゃるわ。しかし、ターニャは怯まない。流石、三大貴族と言ったところだろうか?
「いいえ。ただ、お聞きしたかっただけですわ。獣人やドワーフとは違い、人間とは心臓の構造が違うだけで、それほど、我々エルフとは身体の作りが違わぬ。と聞いていたものですから。ただの興味本位です。」
女王様は一つため息をついて答えた。
「……可能か不可能かと言えば、可能な方が確率は高いじゃろうな。しかしじゃ、妾も試した事がないゆえ、どうなるか正確な事は分からぬよ。」
「そうでございますか。……そうでございますよね。人間がこの世界に迷い込んでくる事自体が珍しい事ですし……失礼な質問、申し訳ありませんでした。」
ターニャはそう言い、頭を下げた。
そして、王室を出て、なぜ、ターニャがあのような質問をしたのか気になり、私はターニャにたずねてみた。
「ねえ。ターニャ。ターニャはなぜ、あんな質問を女王様にしたの?」
「イリアお嬢様のためです。」
ターニャは躊躇わず、即答した。
え?私のため?
「私のため?どういう事??」
「メイドが主の願いを叶えようと思うのは当然です。イリアお嬢様はその『ヤマト』という、男の人間に恋しておられますね。昔から……。」
え?!ど、どうしてバレたの!?
「はぁ……。どうして、バレたの?というお顔をしておりますが……イリアお嬢様、あなたは仕事以外の事は直ぐに顔にでます。それに、女王様を除いて、一番長く近くでイリアお嬢様を見ていたのは、弓術隊総隊長のエリではなく、わ・た・し!です。それくらいは分かります。」
そ、そうだったのね。私って、直ぐに顔に出るんだ………。確かに、仕事以外は感情的になってしまったりするけど……。は、恥ずかしい。
「それで、どうなさいますか?イリアお嬢様??」
え?どうするとは??
「……どういう事?」
「その「ヤマト』という人間の男を、この世界の住人にするか、しないか。ですよ。」
ええ!?そ、そんな事が?!
「イリアお嬢様、よく考えて下さいまし。人間と我々エルフの身体の構造で一番違う事は、心臓の構造が違う事。魔素を分解、吸収、出来るか出来ないかの違いが一番大きいと考えられます。それならば、心臓を移植して貰えば、この世界に適用出来るかもしれないという事です。前例はなく、世界法も適用されません。この方法ならば、その人間はこの世界でも受け入れられるでしょう。現に怪我をして迷い込んだ『迷い人』を治療し、記憶を消して元の世界に戻す。という事はよくある事です。もちろん、体が拒絶反応を起こすというリスクはありますが……可能性としては、五分五分と言ったところです。」
……か、考えもしなかった。ヤマトの人間の心臓をエルフの心臓と入れ替える。そ、それなら、ヤマトはこの世界でも生きられる可能性がある。
そして、その蘇生魔法を女王様はお使いになられる。エルフの心臓を他のエルフに移植する蘇生魔法が使えるのだ。確か、数百年に一度しか使えないと聞いた事はあるけど……前に聞いた時は千年以上使っていないとおっしゃっていたはず……。これは……チャンス?
「どうなさいますか?イリアお嬢様??」
ターニャの声が、悪魔の囁きに聞こえる。そう、これは禁断の果実だろう。とても甘く……醜い。
失敗するリスクだってある。いや。五分五分なら、かなりの確率で失敗する。冷静になれ、私。
ヤマトだって、人間界での生活がある。家族だっている。もしかしたら……いや、もしかしないでも愛する人が居るかもしれないのだ……。
しかし……。
「イリアお嬢様。私は、イリアお嬢様に一生ついて行きます。もし、この身が滅んでも、イリアお嬢様のお側に居ます。私は、イリアお嬢様の全てを許します。堕ちていくのも一緒です。どうか、イリアお嬢様の思うままに……。」
……ヤマトと一緒に居れるの?そんな事が可能なの??許されるの??
「……ヤマトと一緒に……??」
「はい。イリアお嬢様が望むのならば……。」
ターニャの最後の言葉に、私は禁断の果実に手を伸ばした。
0
あなたにおすすめの小説
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる