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疾風の靴
疾風の靴7
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アリシアはいったいどこへ行ったんだ?ギルド職員の話しによると、街中にも居ないらしいし……。
朝、俺と話した後だよな?居なくなったの??
「ヤマト様。アリシアはヤマト様と、朝に話しをしたのでは?」
「ああ。その後、居なくなった。という事になる。」
「主様。何か心当たりは?」
……心当たり。心当たりと言えば、なぜか怒ったくらいだ。思い出せ……。アリシアは怒ってギルドの奥へ引っ込んだ。その前の会話を思い出せ。
「……街の中にも居ないとなる……と。ダンジョン??」
ララの言葉に俺は思い出した。
そう言えば、モンスターを狩れたら、俺が喜ぶか?という質問への答えで怒ったんだ。もしかして、本当にダンジョンへ行ったのか?
「それは有り得ないと思います。私の知ってる、アリシアなら……それは限り無くゼロに近い。」
ゼロに近い?どういう事だ??
「……イリア。それはどういう事だ??アリシアは、俺との会話の中で、『私がモンスターを狩れたら、嬉しい?』って聞いてきたんだぞ?それなのに、モンスターに近づけないとかあるのか??」
イリアは一つ息を吸って、俺の問いに答える。
「アリシアとエリ、ターニャ、そして私は元クラスメートなのです。元魔動学校生なのですよ。」
え?アリシアが元魔動学校生??
「彼女は将来を嘱望される存在でした。純粋な潜在能力なら、私達より上だったかもしれません。しかし、ある事件で大怪我を負った。そして、それが原因で二度と戦闘の出来ないような身体……いや、心になってしまったのです。」
戦いの出来ない……心?恐怖で……か??
「今の彼女なら……恐らく、大ニワトリともまともに戦えないはず……。そんな、彼女がダンジョンへ赴くは事はありえません。彼女はそんなに愚かではない。」
イリアはそう断言する。
なら、なんでアリシアはあんな事を言ったんだ?自分の事は自分自身が一番分かっているはずなのに……。本当にイリアの言うとおりか?本当にアリシアはダンジョンに行っていないのか??街中を探した方がいいのか??
いや……違う。アリシアは街には居ない。そんな気しかしない……。
それなら、ダンジョンのモンスターより、外のモンスターの方が弱い……もしや、街の外……。いや、それはない。もし、俺が原因ならば食材の事を考えるはず。それなら、ダンジョンしかない。
そうだ。根拠はない。でも、ダンジョンに居る気がする。……直感に従え!
そう思った瞬間。俺の頭に、アリシアの姿が浮かぶ。
ここは?ダンジョン??そう感じた俺は、無意識に走り出していた。疾風の靴も淡い光を放ち、俺の意志に応える。
「ヤ、ヤマト様?!どちらへ!!」
イリアは驚き声を上げる。しかし、その声はもう、既に遠かった。
どこだ?どこのダンジョンだ??頭に浮かぶダンジョンはどこだ??イリアの言うように、大ニワトリを倒せないくらいなら、近くのコーエンの洞窟か?
いや?違う!!まだ俺が行った事の無いダンジョンだ。なぜか分からない。でも、俺の第六感がそう告げる。それに従え。早く!もっと早く!!俺の意志に呼応するように、疾風の靴は唸りを上げた。
ここはどこだ??
すっかり暗くなった外とは別に、洞窟型のダンジョンは魔原石のおかげで明るかった。
今は地下五階層。
モンスターも見たことのないモンスターばかりだけど、今のところ、俺のステータスでも余裕で倒せるくらいだ。
しかし、アリシアはどこだ??戦えないというのに、こんな所まで本当に来るのか?俺の第六感は外れたか?
そんな事を考えていると、微かに人の声が聞こえる。
アリシアか??
俺は全速力で駆け出す。
段々、声は近くなってくる。
「だ、誰か!!助けて!!!」
声がはっきり聞こえる。アリシアだ!!
まだ、無事なようだ!よかった。急がないと!!
アリシアはダンジョンの隅に追いやられ、無数のモンスターに囲まれていた。
「アリシア!!」
「ヤ、ヤマト君?!」
俺は麗月を抜き、一気に薙ぎ払う。
モンスターの肉片があちらこちらに飛散する。
本当に俺の手に負える、弱いモンスターで良かった。数は多いけれど、これなら、なんとか……。
俺は一心不乱にモンスターの群れを斬り崩した。
ハアハアハア……。
何分戦っただろう?ようやく、最後の一体を仕留めた。
俺達の周りには無数の魔石とドロップアイテムが散らばっていた。
「ありがとう!ヤマト君!!」
アリシアは俺の胸に飛び込んでくる。
しかし、疾風の靴を使ったとはいえ、全速力で戦った足腰は悲鳴を上げ、受け止める事は出来ず、その場に倒れ込んでしまった。
あたたた。
ん?一瞬、唇に何か触れた気がしたが、気のせいか……。
倒れる衝撃で閉じた目を開ける。
そこには、顔を赤くしたアリシアの顔が近くにあった。そして、アリシアはバッ!と音を立てるように俺から跳び引き、俯いて言った。
「……ごめんね。ヤマト君。」
どうやら、自分のしたことが分かっているらしい。
「どうして、ダンジョンなんかに潜ろうとした?イリアからお前の事は聞いたぞ??恐怖でモンスターと戦えないんだろ?」
「……でも。ここまで何とか来れたし……。」
「でももヘチマもあるか?」
「ヘチマ?」
変な所に突っ込んできやがる。
「あー!ヘチマは今はどうでもいい!!何でこんな無茶をした!?下手したら死んでいたんだぞ!!」
俺の剣幕にアリシアはシュンとする。
「……ごめんなさい。でも……ヤマト君の役にもっと立ちたくて……イリア達はお店の仕事だけじゃなくて、ダンジョンでモンスターを狩る事も出来て……。それに、何時もイリア、イリア、イリアって……私だって嫉妬くらいするの!ヤマト君が私の事なんて何とも思ってないのは私にだって分かってる!!でも……でも!でも!!!」
アリシアは涙を流しながら、そう叫んだ。
そうだったのか……。まさか、イリアに嫉妬してるなんて思わなかった。って?あれ??と言う事は……アリシアは俺の事……?
「……私だって、怖かったんだよ?でも、ずっとこのままじゃいられない。私も一歩くらいは前に進まないといけない。って思ったら体が勝手に……ほら!!私も狩り出来るようになったんだよ!!見て!ファーラビットの肉!!きっと、ヤマト君が次に美味しいって言うと思ってたお肉なんだ!!」
涙顔のまま、アリシアはバッグの中から嬉しそうに、何ともピンク色が鮮やかな肉の塊を取り出した。その手は傷まみれで……よく見れば、腕や脚も痣だらけ……。周りにはモフモフのモンスターが転がっている。このモフモフを倒す為にもの凄く頑張ったのだろう。食材にするには特別な狩り方をしないといけない。これだけのモフモフを食材として狩るのはかなり気を使っただろう。頑張った事がよく分かった。
「アリシアが怪我をしたら、元も子もないだろ?!下手したら、死ぬんだ!!分かってるのか!!!」
それでも、再び俺は大声を出して同じ事を注意した。アリシアを怒られずにはいられなかった。本当に心配だったんだ。
「……ふぇ。ふぇ~~~ん。ボ、ボク……。ごめんなさい!!」
アリシアは号泣した。どうやら、俺が本気で心配していたのが伝わったのだろう。
それが分かるとこれ以上は怒れなくなってしまった。俺も甘いなぁ~。何時ものお姉さん口調でもなくなったし……。キャラも完全崩壊だよ。まったく……。しかも、私じゃなくて、ボクになってるし……いったいなんなんだよ。
俺は一つ溜め息をついた。
「もう、こんな無茶するんじゃないぞ。……ありがとう。ほら、ポーション。これ飲んで……。散らばってる魔石とドロップアイテムを拾って帰るぞ。……帰ったら……その……ファーラビット?だっけ?その肉も使って一緒に鍋パするぞ。」
俺は立ち上がり、アリシアに手を差し出し、言う。
「……うん!!」
アリシアは俺がもう怒ってないのが分かったのだろう。最初、申し訳なさそうにしたが、俺の手を取って嬉しそうに立ち上がった。
俺達はモフモフの肉を剥ぎ取り、魔石とドロップアイテムを拾い始める。
そして、採集を始めて直ぐに、もう一つの事件が起こり始めた。
朝、俺と話した後だよな?居なくなったの??
「ヤマト様。アリシアはヤマト様と、朝に話しをしたのでは?」
「ああ。その後、居なくなった。という事になる。」
「主様。何か心当たりは?」
……心当たり。心当たりと言えば、なぜか怒ったくらいだ。思い出せ……。アリシアは怒ってギルドの奥へ引っ込んだ。その前の会話を思い出せ。
「……街の中にも居ないとなる……と。ダンジョン??」
ララの言葉に俺は思い出した。
そう言えば、モンスターを狩れたら、俺が喜ぶか?という質問への答えで怒ったんだ。もしかして、本当にダンジョンへ行ったのか?
「それは有り得ないと思います。私の知ってる、アリシアなら……それは限り無くゼロに近い。」
ゼロに近い?どういう事だ??
「……イリア。それはどういう事だ??アリシアは、俺との会話の中で、『私がモンスターを狩れたら、嬉しい?』って聞いてきたんだぞ?それなのに、モンスターに近づけないとかあるのか??」
イリアは一つ息を吸って、俺の問いに答える。
「アリシアとエリ、ターニャ、そして私は元クラスメートなのです。元魔動学校生なのですよ。」
え?アリシアが元魔動学校生??
「彼女は将来を嘱望される存在でした。純粋な潜在能力なら、私達より上だったかもしれません。しかし、ある事件で大怪我を負った。そして、それが原因で二度と戦闘の出来ないような身体……いや、心になってしまったのです。」
戦いの出来ない……心?恐怖で……か??
「今の彼女なら……恐らく、大ニワトリともまともに戦えないはず……。そんな、彼女がダンジョンへ赴くは事はありえません。彼女はそんなに愚かではない。」
イリアはそう断言する。
なら、なんでアリシアはあんな事を言ったんだ?自分の事は自分自身が一番分かっているはずなのに……。本当にイリアの言うとおりか?本当にアリシアはダンジョンに行っていないのか??街中を探した方がいいのか??
いや……違う。アリシアは街には居ない。そんな気しかしない……。
それなら、ダンジョンのモンスターより、外のモンスターの方が弱い……もしや、街の外……。いや、それはない。もし、俺が原因ならば食材の事を考えるはず。それなら、ダンジョンしかない。
そうだ。根拠はない。でも、ダンジョンに居る気がする。……直感に従え!
そう思った瞬間。俺の頭に、アリシアの姿が浮かぶ。
ここは?ダンジョン??そう感じた俺は、無意識に走り出していた。疾風の靴も淡い光を放ち、俺の意志に応える。
「ヤ、ヤマト様?!どちらへ!!」
イリアは驚き声を上げる。しかし、その声はもう、既に遠かった。
どこだ?どこのダンジョンだ??頭に浮かぶダンジョンはどこだ??イリアの言うように、大ニワトリを倒せないくらいなら、近くのコーエンの洞窟か?
いや?違う!!まだ俺が行った事の無いダンジョンだ。なぜか分からない。でも、俺の第六感がそう告げる。それに従え。早く!もっと早く!!俺の意志に呼応するように、疾風の靴は唸りを上げた。
ここはどこだ??
すっかり暗くなった外とは別に、洞窟型のダンジョンは魔原石のおかげで明るかった。
今は地下五階層。
モンスターも見たことのないモンスターばかりだけど、今のところ、俺のステータスでも余裕で倒せるくらいだ。
しかし、アリシアはどこだ??戦えないというのに、こんな所まで本当に来るのか?俺の第六感は外れたか?
そんな事を考えていると、微かに人の声が聞こえる。
アリシアか??
俺は全速力で駆け出す。
段々、声は近くなってくる。
「だ、誰か!!助けて!!!」
声がはっきり聞こえる。アリシアだ!!
まだ、無事なようだ!よかった。急がないと!!
アリシアはダンジョンの隅に追いやられ、無数のモンスターに囲まれていた。
「アリシア!!」
「ヤ、ヤマト君?!」
俺は麗月を抜き、一気に薙ぎ払う。
モンスターの肉片があちらこちらに飛散する。
本当に俺の手に負える、弱いモンスターで良かった。数は多いけれど、これなら、なんとか……。
俺は一心不乱にモンスターの群れを斬り崩した。
ハアハアハア……。
何分戦っただろう?ようやく、最後の一体を仕留めた。
俺達の周りには無数の魔石とドロップアイテムが散らばっていた。
「ありがとう!ヤマト君!!」
アリシアは俺の胸に飛び込んでくる。
しかし、疾風の靴を使ったとはいえ、全速力で戦った足腰は悲鳴を上げ、受け止める事は出来ず、その場に倒れ込んでしまった。
あたたた。
ん?一瞬、唇に何か触れた気がしたが、気のせいか……。
倒れる衝撃で閉じた目を開ける。
そこには、顔を赤くしたアリシアの顔が近くにあった。そして、アリシアはバッ!と音を立てるように俺から跳び引き、俯いて言った。
「……ごめんね。ヤマト君。」
どうやら、自分のしたことが分かっているらしい。
「どうして、ダンジョンなんかに潜ろうとした?イリアからお前の事は聞いたぞ??恐怖でモンスターと戦えないんだろ?」
「……でも。ここまで何とか来れたし……。」
「でももヘチマもあるか?」
「ヘチマ?」
変な所に突っ込んできやがる。
「あー!ヘチマは今はどうでもいい!!何でこんな無茶をした!?下手したら死んでいたんだぞ!!」
俺の剣幕にアリシアはシュンとする。
「……ごめんなさい。でも……ヤマト君の役にもっと立ちたくて……イリア達はお店の仕事だけじゃなくて、ダンジョンでモンスターを狩る事も出来て……。それに、何時もイリア、イリア、イリアって……私だって嫉妬くらいするの!ヤマト君が私の事なんて何とも思ってないのは私にだって分かってる!!でも……でも!でも!!!」
アリシアは涙を流しながら、そう叫んだ。
そうだったのか……。まさか、イリアに嫉妬してるなんて思わなかった。って?あれ??と言う事は……アリシアは俺の事……?
「……私だって、怖かったんだよ?でも、ずっとこのままじゃいられない。私も一歩くらいは前に進まないといけない。って思ったら体が勝手に……ほら!!私も狩り出来るようになったんだよ!!見て!ファーラビットの肉!!きっと、ヤマト君が次に美味しいって言うと思ってたお肉なんだ!!」
涙顔のまま、アリシアはバッグの中から嬉しそうに、何ともピンク色が鮮やかな肉の塊を取り出した。その手は傷まみれで……よく見れば、腕や脚も痣だらけ……。周りにはモフモフのモンスターが転がっている。このモフモフを倒す為にもの凄く頑張ったのだろう。食材にするには特別な狩り方をしないといけない。これだけのモフモフを食材として狩るのはかなり気を使っただろう。頑張った事がよく分かった。
「アリシアが怪我をしたら、元も子もないだろ?!下手したら、死ぬんだ!!分かってるのか!!!」
それでも、再び俺は大声を出して同じ事を注意した。アリシアを怒られずにはいられなかった。本当に心配だったんだ。
「……ふぇ。ふぇ~~~ん。ボ、ボク……。ごめんなさい!!」
アリシアは号泣した。どうやら、俺が本気で心配していたのが伝わったのだろう。
それが分かるとこれ以上は怒れなくなってしまった。俺も甘いなぁ~。何時ものお姉さん口調でもなくなったし……。キャラも完全崩壊だよ。まったく……。しかも、私じゃなくて、ボクになってるし……いったいなんなんだよ。
俺は一つ溜め息をついた。
「もう、こんな無茶するんじゃないぞ。……ありがとう。ほら、ポーション。これ飲んで……。散らばってる魔石とドロップアイテムを拾って帰るぞ。……帰ったら……その……ファーラビット?だっけ?その肉も使って一緒に鍋パするぞ。」
俺は立ち上がり、アリシアに手を差し出し、言う。
「……うん!!」
アリシアは俺がもう怒ってないのが分かったのだろう。最初、申し訳なさそうにしたが、俺の手を取って嬉しそうに立ち上がった。
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