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第四章︙終焉の再来
共同戦線2
しおりを挟む「は……あ……」
「ん?」
「はああぁぁ!?ず、ずるい!!ずるいぞ!!」
こんなの許されない!!
俺が聖国で日々研鑽しながら、カツアゲしかしてこない嫌な神様に絡まれても必死に我慢して、帰ってきたらお米の為に全てを犠牲にする勢いで正義を貫き通していたというのに…!!
その間レオンは、この美女とキャッキャウフフしながら仲良く過ごしていた、だと?
いやでもレオンの方にもめちゃ強い魔物とか襲来していたし……。
ハッ!!もしかして……
『レオン!!私の大切な人を死なせたりしないわ!!二人でこの試練を乗り切るのよ!!』
『わかったお師匠様!!お師匠様こそ俺の傍を離れないでくださいね!!』
………というある意味ご褒美な戦い、通称愛の戦闘だった可能性が大!!てかそれしかないだろもう!!
なんということだ。俺の中でレオンの好感度がみるみるうちに落下していく。
い、いやいやいや。ここ迄はまだ聡明で賢明で天才的な俺の考察でしかない。一応確認すれば真実かどうか分かる…。
「ちょ、ちょっとききたーいこと、あるんだけど?」
「……なにかしら?」
「えっと、そのぅ……レオンとは、どーいうかんけ?えーっと、だから……どんなかんじで、せしてた?」
俺は最後の希望の綱に縋るように真っ赤に染まった瞳を穴が開くくらい見つめていると、当の本人はあっけらかんとした様子でとんでもない事を言い出した。
「え?レオンとどんな感じで接してたって言われてもねぇ。日々の迷宮鬼畜訓練に加えて、夜は私がレオンの部屋まで飛んで雑談くらいしかしてなかったわよ?それに関係って言ってもねぇ……まあある意味とても縁があるわね」
な、な……!!
こんな事があり得ていいのか!?
なんでもないことのように言っているけれど、愛の鞭迷宮特訓じゃ飽き足らず、夜な夜な部屋で二人きりッ……!!
しかもとても深い仲………ぐぬぬ!!
「ゆるせん、ゆるせんぞ!!こんなのおーぼー!!どくさいじゃないか!!あれだけニコニコしといて、はらのなかは、まっくろくろ!!レオンめぇ、つぎあったら、ただじゃおかないぞ!!」
俺の脳内にある、『次会ったら殴るリスト』に、今迄ダントツ一位の神様の横にレオンの名前を彫り込んでおく。
「精霊王……ちょっとあなたの契約者の情緒がすごいんだけど、アクア達はここにいないのかしら?」
「僕の契約者の感性は人並み外れて優秀で、僕や君みたいな精霊でも推し量ることはできないんだよ。ほら見て、可愛いでしょ?それにアクア達は精霊街で僕の代わりに精霊達を統括してくれてるよ」
「知らぬ間に親馬鹿というかなんというか………本当にあの精霊王かしら?」
横でそんな話をしていた事など知らずに、俺は重罪を犯したにも関わらず、未だに姿を見せない馬鹿エルフに憤慨していると、ギルド長や魔法都市の面々が突然跪きはじめた。
「地下帝国の守護神にご挨拶申し上げます」
ギルド長のいつもじゃありえないほどの丁寧な言葉遣いと姿勢に、流石の美女さん、もといフレイも気まずそうにしていた。
「そんなにかしこまらなくていいわ。そもそも火の精霊の代表であって、この世界の精霊の王はそこの方だから。それに今日は重要な話し合いに来たのよ」
フレイはいつの間にか俺の前まで来て、突然地団駄を踏む俺の脇の下に手を入れて立ち上がった。
「可愛いわね。見れば見るほど。純粋で澄んだ魔力のようでもあり、原点の力でもあるその不思議な力を感じるわ。この子、神からの祝福を得た神子と違って、本当に神の血を引いてそうよね。意識を強く保たないと無意識に惹かれてしまうわ」
ま、でもまだ小さい幼子だし、うちの帝国によくいるガキにならないように教育してあげないとね?
と冗談っぽく言われた。
最高で最強、まさに至高の大人である俺は、少しムッとして眉を寄せた。
ガキ……俺から最も遠いところにある言葉をおめおめと口にするとは、いくら冗談でも戴けないな。
「……つよいから、だっこいらない。すこし、こどもあつかいしすぎ。おれ、さいきょーのおとな」
俺は魔法を使ってフレイの腕から飛び降りて、シルを抱いてフンッと地面に胡座で座り込んだ。
「あ、拗ねた」
「フレイ。君のせいで主が拗ね……ご機嫌を損ねちゃったじゃないか。どうにかして挽回しろ」
「そんな無茶な……私の所の帝国って金属しか扱ってないわよ。子供が欲しいものなんてあるわけないでしょ。そんなことより今地下帝国は悲惨な状態でろくに活動できやしないわよ」
俺はその言葉にピタッと動きを止めた。
「きんぞく?てつ?」
「ええ。鋼鉄や白鉄、高級なものならミスリルやアダマンタイトで色々な武器や地下戦車を作っているのよ」
ちょっと待て待て。
つまりこれは………チャンスでは?
実は俺、この世界に来てから案外悩まされていたことがあるのだ。
そう、調理器具のバリエーションが無いということに。
いや、俺ってお祖母ちゃんに色々叩き込まれて、しかも和食を中心に洋食、果ては中華までありとあらゆる食を教えられてきた。
神様からもらった特典の道具数個では、作るのが難しい、また作れないものだってある。
特に蒸し料理は、一回作ってみたけど完成度がイマイチだったし、文明利器を使ってた俺に原始的な方法で作れと言われても土台無理な話だ。
「フレイ!!ちょーりのきぐ、ほし!!つくるなら、おれ、きょーりょくしてやるぞ!!」
俺はぴょんぴょん飛び跳ねながらフレイに向かって協力アピをしていると、途端に顔を輝かせて俺の両手を力強く握った。
「調理器具なんて最高峰のものいくらでも作ってあげるわ。でもその前に、早速で悪いのだけれど少しだけ協力してくれないかしら?」
「きょーりょく?」
「ええ。今地下帝国では悪魔や魔族、魔物の度重なる襲来で疲弊しているのよ。少しずつ追い詰められていて、復興しても壊される日々。今じゃレオンを筆頭に私の子達や冒険者達が食い止めているけれど………このままではいつか崩壊してしまうことは目に見えてるわ」
聞くところによると、どうやらレオンは『聖剣グラディウス』という俺の嵌めているこの指輪と同格の魔導具の持ち主になったらしく、悪魔達と暇なく交戦する日々が続いているらしい。
多分これは顔マーカー糞男による、堕天使ストーカーセンサーに反応して魔導具を奪おうとしていると思うんだけど。流石にクロスやシル、そして魔法都市という数でゴリ押す砲台もない地下帝国では厳しい戦いとなっていると。
今じゃレオンは常在戦場らしくてメキメキと強くなってるとか。同時に常識という一般的価値観が消えてきていると嘆いているらしい。
美女とイチャイチャしてたからバチが当たったに違いない。
「なんかレオン、『感性が段々とダイキみたいになっていく感覚がとてつもなく怖いんだけど、思い返すとあいつのほうが比べ物にならないほど狂ってるからまだ大丈夫だ』て言って安心してたわよ」
………あの馬鹿阿呆エルフめ!!
「フ、フンッ……あのばか、いちどたちばをわからせないと、いけないよーだ。とりあえず、クロスくん」
「はーい。ほら、風の精霊達、僕達に協力してくれる?」
俺は巨大バリアを張ってギルド長とクロス、シル、フレイ、そして俺を丸ごと包んで、風の精霊さん達に合図した。
「せーれーだん、はっしゃー!!」
転移で行くには心許ない場所……またあの女神像事件があったら困るので、今回は脳筋戦法で地下帝国へと向かうことにした。
そう。ご覧の通り、巨大弾丸作戦だ。
「え、なに、ちょ……はぁぁぁ!?」
俺たちを包んだ球体のバリアは、風の精霊によってとてつもない速度で空に飛び出した。
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ハート連打してくれたらうれぴーです(^^)
因みにフレイは大輝のことを不思議な子認定しています。
敵意は抱いていなくて、かといってクロスのような殿堂入り、はたまたアクアたちのような過保護形態までは到達しておりません。
理由はモチロン、大輝が神をも認めさせる至上なるほっぺの持ち主という事実に気づいていない部分が大きいと言えるでしょう。
これからもよろしくお願い致しますm(_ _)m
※あと神様は大輝にカツアゲしてません。
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