ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ

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第一章︙精霊編

傲慢の悪魔3

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 まずい。

 非常にまずい状況である。
 前方には悪者とその沢山の援軍が、後ろには穴の空いた結界が。
 ……だからあのヘニョッとした壁は信用できなかったんだ!!
 あんな柔らかいのに守れるわけないじゃないか。そもそも作ったやつ誰だよ。今どきそこらの車も落雷には耐えられるぞ!!


「いくら精霊王といえども、この数の精霊達を庇いながらいつまでも戦えるわけないだろう?大人しくその幼子を差し出せば今回は手を引いてやるぞ」

「……は?それは絶対にあり得ないね。それに僕と君とじゃ格が違うんだよ。分からない?そもそも君に勝ち目なんてないんだよ」

 クロスが一瞬真顔になって目を細めると、心底馬鹿にしたような口調で淡々と煽り言葉を言った。
 流石は俺の契約精霊である。煽り性能も高いなんて凄いやつだな。

「……精霊の分際でこの魔族を相手にできるとでも?馬鹿馬鹿しい」

「相手も見極められないようじゃ話にならないだろ。所詮は精霊、俺達の足元にも及ばないからな」

「しかもあの矮小な人間はなんだ。すこしばかり物珍しいからってアスモデウス様に気に入られただけの存在で……」


ヒソヒソと後ろの方で援軍の悪者たちが貶してくる。それに……それに、誰が矮小だと!?
これは流石に看過できんな。

「フフンッ!まけいぬのとーぼえは、みぐるしーぞ!!それにおばあちゃんが、『たくさんのひとでいじめるやつはザコだ』っていってたしな!!」

ププッ、所詮は大人数でしか立ち向かえない雑魚どもが……最強の俺に数で圧倒できると思ったら大間違いだぞ。

「殺れ」

「アイスシールド!!」

一斉に飛んできた魔法を氷の壁を作り防御していくが、アクアといえども沢山の魔法に永遠に耐えられるわけではない。

「ふうー。流石にこのままじゃあ負けそうだから、僕も参戦しようかな?……アクア、防御は全て僕に任せて、アクアは攻めだけに集中してくれる?」

「……分かったわ」

アクアが氷の壁を解いた途端、数え切れないほどの魔法が俺達に向かって降り注いでくる。 


時空結界スローバリア

クロスが魔法陣を展開すると、目前まで迫ってきた魔法攻撃が止まり、段々と消滅していく。

「あれ!!おれもやりたい!!」

魔法陣が刻印してあるバリアのようなもの。そして悪者の魔法とぶつかったときに火花が散る姿はまさに俺が求めていた格好良い魔法だった。

「これ、時空結界の一つで結界に当たると効果が発動するんだ。効果は一時的にその物体の時間経過が極限まで下がること。そうすることによりこの世界の『理』から取り残されて、自然と消滅するっていうやつだけど……主、聞いてる?」

「きょくげん……ことあり……かっこいー!!」

これは是非とも早急に取得すべきである。効果も凄いようだし。……なに言っているのかよく分からなかったけど凄いに違いない。

「まあつまり、雑魚がいくら集ったところで僕の結界は傷一つつかないってことだよ」

さり気なく馬鹿にした口調で煽るクロス。

「ふーん。じゃあ、この攻撃にも耐えられるかな」

悪者の親玉が何重もの魔法陣を出して楽しそうにニタリと笑う。
そしてピカッと魔法陣が光って現れたのは、小さな黒く輝くなにか。

「……ははっ、精霊王も大した事ないね」

それはクロスが作った結界にぶつかると波紋を生み出し、そしてあっさりと突き抜けて俺の方に向かってきた。

「主!!」

「君達の負けだよ。この幼子は私が大切に飼ってあげるから、安心してね」




本来、時空を司る精霊であるクロスは原初の七柱である悪魔の大半を上回る実力と潜在能力を誇る。

しかし、今回アスモデウスが作り出した唯一魔法オリジナルマジックは、本来のバリア対策の魔法であるバリアブレイクを改良し縛りを設けることによって突破することができたのである。
バリアブレイク魔法は、その名の通りバリアを壊す魔法だが、アスモデウスの放った魔法はバリアを壊すものではなかった。
魔力を一点に集中させ威力を極限まで高め、ことの一点に集中しクロスの魔力を中和して突破することができたのである。

たった一撃入ったところで防がれたら意味がない。なにより本来の何倍もの魔力が必要なためコスパも悪いこの方法は本来ならば悪手と言わざる得ないだろう。
しかし、『原初の悪魔が威力を極限まで高めて放った魔法』を止められるのはほぼ不可能。
ましてや不意打ちで撃たれた場合にもなるとクロスでも対応することは出来なかった。
そして魔法を食らった大輝の命はアスモデウスの手の平の上。流石の精霊王といえどもむやみに手出しできなくなるだろう。

原初の悪魔の中で最も魔法に長けた悪魔だからこそできた戦法に見事引っかかったクロスを見て、アスモデウスは己の勝利を確信した。



ペシッ



「…………え?」

「これ、よわっちいこーげきだぞ。あんなにかっこいーのに、こんなにザコだなんてかあいそーだな」


しかし、いくら原初の悪魔の渾身の攻撃といえどもダイキの足元にも及ばなかった。
そもそもダイキの存在が周りに認知されたのは、名付けを行ったからである。
ならば何故、

勿論とある神の影響も大きいが、潜在能力だけでいえばダイキを下回るクロスでさえ魔力威圧の影響が馬鹿にならないのだ。
ダイキが魔力を相手に感知されないようにできた主な理由は、ひとえに祖母の教えが大きい。
ダイキが生まれてすぐに力の大きさを知った彼女が、ダイキが小さい頃のうちから護身術と称して魔力威圧の制限をかけていたのである。
それによりダイキは無意識的に魔力を感知されなくなり、そして表にも出ることがなくなっていったのである。

本来魔法は魔力で出来ている。つまり、ダイキが敵と認識したあらゆる魔法は攻撃が届くと同時にかき消されてしまうのだった。


「今、ダイキ様に魔法を……?」
「可愛いダイキ様になんてことを……」
「万が一倒れたらどうしてくれるんだ。これはさすがに許せない」
「それにダイキ様を守ってあげれば好感度も上がる筈だぞ」

なんか後ろから怖い気配がする……。

「私達も精霊なんだから、魔族の魔法くらいお手の物よ!」
「よくもダイキ様に……!!」
「ダイキ様を傷つける魔族を倒せー!!」


「え…?ちょ、やめっ」

俺の後ろから一気に放たれた魔法の数々に、突然のことに対応できない魔族たちはモロに食らってしまった。
いや、あんな弱っちい攻撃であんなに怒るなんて、精霊さんってば優しいんだなー。


「い、一回撤退するぞ!!持ち直して今度こそ……!」

「おい。誰が逃げていいなんて言ったんだよ」

「あ…!クロウ!おまえどこいってたん……だ?」

後ろの影から現れたクロウに俺はビックリして喜んだのもつかの間、なんか影からさらに人がでてきた。


「何この状況。なんで魔族がこんなにいるのよ……あ、あなたが大輝くん?この世界ではその名前が珍しいし、私と同じ異世界から来たのかなって思ったけどやっぱりね。私は柚木麗奈。しがない聖女よ。宜しくね」


黒髪で茶色がかった黒目の彼女は俺に手を差し出した。




----------------

いつも見てくださりありがとうございます!!

朝から暑いこの頃、午後になると扇風機が温風機になって意味をなさなくなってきていますが、皆様はどうでしょうか?
「私はエアコンだから関係ない!」は一番心にくるのでやめていただけると幸いです。

来月のファンタジー大賞に応募しようと考えているのですが、おそらく文字数の関係で毎日更新になると思いますので楽しみにしてくださると幸いです。

これからもよろしくお願いしますm(_ _)m

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