ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ

文字の大きさ
43 / 107
第ニ章︙魔法都市編

特訓と再会

しおりを挟む

レオン(レオナルド)SIDE





ダイキの剣の扱いを見た俺達は、ただならぬ衝撃を受けた。
俺は全力でレイクさんに飛び掛かって戦ったし、しっかりと俺の全力が出せたと思う。
しかし、ダイキの番になると、ダイキはレイクさんに顔を近づけてもらって、本人はコソコソ言っているつもりで、普通に周りの人に聞こえている声量で話しはじめた。


「おれ、けんもできるかも、だから……レオンとくらべること、いうのはやめてね」

魔力もあって、弓もできる。さらには剣もできるとなっては、もう俺なんかいらなさそうだな……そう思い少し胸がズキッとしたけど、実際、ダイキが剣を持つと凄まじかった。


これはもう、なんといえばいいのだろう……そう。まるで剣がダイキを振り回している感じだ。


飛び掛かるところでもう顔すれすれに剣が通っているのを見るだけでヒヤヒヤする。
持ち前の体幹のなさと大胆さ。それがとんでもなく悪い方へと働き、いつダイキが持っている剣でダイキ頭がちょん切られるのか……本当に恐ろしい。

お陰で俺には厳しい言葉を投げかけていたレイクさんも、ダイキのあまりに酷い剣捌きに、慰めというか優しい言葉をかけてあげていた。


なにはともあれ、やはり神は二物を与えなかったのだ。世の中平等で何よりだ。




そして、剣中心に強くなりたい俺はレイクさんに、弓を中心にやるダイキはレイシアさんに教わることになった。


「おれ……けんもやりたい。つよいから、けんもできるぞ」

ダイキはそう言っていたけど、周りのみんなから速攻拒否されていた。
いつ命が吹っ飛ぶかもわからない剣の使い方をする子供に、指導するのはほぼ無理だと断言していたレイクさんに俺は戦慄した。
あのS級冒険者にここまで言わせるなんてある意味凄いことだ。



そんなこんなではじまった特訓は、流石はS級冒険者というかなんというか、苛烈を極めた。

とにかく剣を振る。ひたすらに振る。
体を一つの軸とし、剣を己の穂先だと思えるように自由自在に扱えなければならない。そう言ったレイクさんの言う通り我武者羅に剣を握った。


一方ダイキも、ひたすらに矢を放っていくけど……やはりダイキと言うべきか……最初は少し外していたのがすぐにコツを掴んだらしくビュンビュン撃てるようになっていた。
黙っていれば才能ある子どもなのに、性格を知っているだけあって非常に残念な気持ちだ。

そんなダイキでも、やはりまだまだ子供なのでお腹が空くと、すぐに機嫌が悪くなったり注意散漫になるのでしょっちゅう休憩をとっている。

本人ができているので別に休憩はいいと思うけど、俺まで巻き込んで休憩する意味が分からない。


「おこさまは、きゅーけーがだーじなのだ。よく、おぼえておきたまえ」

……そして理由を聞いてみるに、どうやら俺のことを年齢のいっていない子供だと思っているようだ。

(俺……確かハイエルフだって伝えたはずなんだけど……こいつ、なんにも考えてないな)


「……おい。休憩だなんて甘ったれるな。ダンジョンの中でそんな甘えは通用しない。ほら、さっさと立て」

レイクさんもしょっちゅう休憩をとる俺にお冠らしく、特訓を継続すると言ってきた。


「お?……わかった。レオンはまだおこさまだから、おとなのおれが、けんのとっくんするんだぞ」




そう笑顔で言い放ったダイキのお陰で、それからしょっちゅう休憩をとっても全く注意されなくなった。







「もっと速く!!手数で攻めるんだ!!お前の体格で魔物を押し切れるなんてありえない。ましてや殆どの同業者に力で勝つなんて無理だ。だから、相手がやり返せないほどの速さで圧倒してみせろ!」 


剣を振るう。ひたすらに剣を振るった。
強くなっているという実感はあるけど、レイクさんしか相手にしていないため、どれだけ強くなったのか分からない。
ただ一つのことに集中してはいけない。相手、自分、そして周りのこと。それを全て完璧に把握し、どのように剣を振るうのかを瞬時に判断する事が出来て一流の剣士となる。


「そうだ!!隙を逃さず叩き込め!!」


そして特訓が始まってそろそろ1週間が経つけれど、レイクさんは感覚派で教える人だった。
こればかりは自分でどうにか教えを吸収し上達するしかないので、日々必死で頑張っている。


一方ダイキの方は、騒がしく特訓している俺等とは違って、すごく静かに行っていた。
動かない的でほぼ百発百中になったダイキは、次は動く的に当てることにしたようだ。

そして的となったレイシアさんに向かって矢を放っダイキ。腕力もないくせに威力も何故か安定していて狙いも中々良さげだけれど、腐ってもS級冒険者のレイシアさんにはかすりもしなかった。



「ほらほら!!そんな雑魚い攻撃百年経っても当たらないわよ!!しっかり狙いなさい!!」

レイシアさんが鼓舞するように声をかけているけど、まだ精神年齢の低いダイキには逆効果だということに気が付かないのか。
段々と悔しくて愚図りはじめたダイキは、ついに感情が爆発したのか半泣きでプンプン怒り始めた。


「なんだよ!!そんなわるぐちいっちゃダメなのに、おとなのくせにわかんないのかよ!!」


地団駄を踏み怒ったダイキをどうすればいいのか分からないレイシアさんは、途方に暮れた顔をして俺たちに助けを求めてきた。


「……それは、まだレオナルドのようなハイエルフじゃなくて人族の子どもなんだから、そりゃあ手加減しないといけないだろ。お前が悪いな」

身も蓋もない言い方だけど、確かにレイクさんの言う通りなので仕方がない。いくら変人で規格外でおかしいダイキでも、まだちっちゃい子供なのだ。


「………分かったわ。ほ、ほらダイキ。私が悪かったわ。確かに酷いこと言っちゃったかも。本当にごめんね」


精一杯慰めているけど、一度そうなると頑固なダイキは中々へそを曲げたまま許してくれない。


そんなとき、ダイキの目の前に魔力が収束し始めた。


「あなた達下がって!!」


すかさずレイシアさんとレイクさんが俺たちの前に出て警戒するけど、現れたのは精巧な魔法陣だった。

「これは……古代精霊魔法?」


そして空間が歪んで転移陣が生成された。
とてつもなく膨大な魔力量と質。まだ見えないその姿にレイクさん達は最大限に警戒を高めた。




「………主?」

「クロスぅー!!」


現れたのは銀髪の恐ろしほどに顔の整った…精霊だった。
それもひと目見ただけで普通の精霊とは格が違うことが分かる。そう……まるで、神のような超越した存在に近い感じがした。

呆然としている俺たちを尻目に飛び出していくダイキ。
ムギュッとその精霊に抱きつき寂しかったと言っているダイキは、まるで旧知の仲のような間柄を連想させた。



………なんでいつも、こいつにはこんなに驚かされるんだ。


波乱の予感がするのに、俺は初めて感じた胸が高鳴るような、それでいて緊張感をはらんだよく分からない感情に、心の中が暖かくなるような気がした。



----------------

いつも読んでくださりありがとうございます!!

ここで話すことがネタ切れ化してきたので、そろそろ最終手段にいきます。



魔法についてですが、いくつかの段階があります。

詠唱による魔法。
魔法陣による魔法。
無詠唱魔法。


詠唱魔法が一般的です。魔法陣による魔法はクロスやアクアが日常的に使う魔法。
そして無詠唱魔法は、簡単な魔法ならクロスもいける……そんな感じです。


これから沢山出てくるので覚えよう!!

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

転生したらちびっ子になって、空を落ちていた件 〜もふもふたちのお世話はお任せあれ。ついでに悪もやっつけます!〜

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした高橋凛は、お詫びとして理想の世界へ転生することに。しかし気がつけば幼児の姿で、しかも空を落下中だった!? バカ神、あいつまたミスったな!? そう思いながらも、凛はどうすることもできず、空を落ちていく。しかも更なるアクシデントが凛を襲い……。 が、そのアクシデントにより、優しい魔獣に助けられた凛は、少しの間彼の巣で、赤ちゃん魔獣や卵の世話を教わりながら過ごすことに。 やがてその魔獣を通じて侯爵家に迎え入れられると、前世での動物飼育の知識や新たに得た知識、そして凛だけが使える特別な力を活かして、魔獣たちの世話を始めるのだった。 しかし魔獣たちの世話をする中で、時には悪人や悪魔獣と対峙することもあったため、凛は、『魔獣たちは私が守る!!』と決意。入団はできないものの、仮のちびっ子見習い騎士としても頑張り始める。 これは、凛と魔獣たちが織りなす、ほんわかだけど時々ドタバタな、癒しとお世話の物語。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...