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第三章︙聖国、地下帝国編
神様と話し合い
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人は人生の中で一度は失敗する生き物だ。
それはエルフ、獣人、ドワーフは勿論、精霊だって例外ではない。
しかし、この世には取り返しのつかない、許されない失敗があるのだ。
「主……ごめんね?確かに僕が勝手にやっちゃったことだから………だからそろそろ、機嫌を直して?」
「ふんっ」
誰がこんな奴の言うことを聞くか。
クロスは敵に俺の弱みを握らせたんだぞ!!これは切腹を命じられてもおかしくない程の罪……
そもそも、なんで俺の日常記録を細かく記していたのか知りたいが、クロスに聞いても意味のない返事ばかりだった。
「だ、だって主が可愛くて………これはもう、やるしかない!!って思っちゃったんだよね」
ちょっと何を言っているのかよくわからなかった。
まあそれでも、クロスのやったことは許されるべきではない。敵に塩を送るなんて愚行、武田信玄と上杉謙信の時以外あってはならないのだ。
そう。
「つまり………はんけつ、しけーい!!」
「ちょ、フライ返しは地味に痛いからやめて……」
バシンバシンと手に持ったフライ返しを神様に叩きつけながら判決を下すと、クロスは跪いた。
ふんっ……流石のクロスも、俺の怒り具合がわかったのだろう。
しっかり反省してくれればそれで許してやらんでもない……
「主、さすがに死刑はやり過ぎだよ。僕は神聖なる執筆行為をしただけで、判決は主のハグであるべきだ。ていうかそもそも、主以外に死刑に賛成している者はいないけど」
俺は周りを見渡すと、フライ返しを持ったまま、「はんけつにさんせーのもの」と厳粛に意見を求めると、まさかの誰も手をあげなかった。
「まあ、流石に死刑はどう考えてもやり過ぎ」
と、神様が言って。
「こんな豊富な情報材で死刑だなんて勿体ないわ。もっともっと量産してほしいくらいね。そして更に詳しく、ね………フフッ」
と、ちょっと………じゃなくて物凄い程怪しい空気を醸し出しながらセレナーデ様が言って。
「ほら?やっぱり主にハグされる刑が妥当でしょ?」
と、クロスがドヤ顔で言ってくる。
「ぬ、ぬぬ!!きみたち、それでいーのかね!!このままじゃ、へんたいがおっけーになるぞ!!」
この歪んだ価値観を矯正させようと俺は一生懸命演説するも、誰も聞く耳なんて持ってない。
跪いたままのクロスはニヤけてるし、もうヤダこんな場所。さっさと撤退したい。
しょんぼりと肩を落としてうなだれる俺の足に寄り添ってくれるシルが、おれの唯一の味方だ。
「うんうん。やはり、おれのみかたはシル、おまえだけだ。けなげなこいぬ、やっぱせーかくもかあいーな」
ナデナデされながら、クロス達を見下したように見つめるシルの様子をダイキは知る由もない。
「………感傷に浸っているところ悪いんだけど、そろそろ話し合いを再開してもいいかな」
「いいです」
「お願いします時空神様」
「ふんっ、せーぜーおまえのべんめーを、おれはやさしーからきーてやるぞ」
それぞれが多様な返事をし、なぜか少し顔を引き攣らせた神様は深呼吸をして話し始めた。
「先ず、この世界の『大戦』の時代に、ある魔法使いがいたんだよね」
大戦の魔法使い……なんか凄い格好いい。
ニヤリとした俺を無礼にも呆れた顔で見ながら、神様は話を続ける。
「その魔法使いの名はアリエル。天使の生まれ変わりだと錯覚するような魔法を使っていた。まあ実際、大天使の残滓を宿していたわけだけど」
ほうほう。
つまりその大戦で活躍していたアリエルさんとやらは、大天使の力の一部だけ受け継いだ人らしい。
そもそも大天使が何かわからないけど、セレナーデ様曰く、『神の一番近い位置にいる眷属』なんだとか。
「当時アリエルは世界で見ても屈指の魔法実力者だった。それはもう、原初の悪魔に迫るような勢いで実力を伸ばしていっていたよ。でも………資格が無かった」
「む?しかく?」
「そうそう。『六大魔導具』を手にする資格の持ち主ではなかったんだよ。そもそも僕達も干渉して作り上げた魔導具を使いこなす人なんて………そもそもいないんだけど、とにかく、その時アリエルは魔導具を使いこなす事ができなかった」
なんか俺の方をじっと見つめながら話してくるので、取り敢えずシルを目前に掲げて視線を避けると、神様が『……何故』と地味に傷付いた声音でボソリと呟いた。
「………まあ、それで、アリエルは自分に資格がないことに気づいて然るべきところへ返そうとしたのだけれど、大戦真っ只中でそんなことできる状況でもなくて……」
度々話題に上がる『大戦』ってやつは、相当凄かったんだな。
俺も聞く所によると、元の世界の第二次世界大戦のようなものらしい。
「それで済めば良かったんだけど、問題はその後なんだよね。アリエルは後に結婚して子供を授かったんだ。一人っ子の女の子で、偶然なのか、必然なのか………その子はアリエルが持ち得なかった『資格』を有していたんだ」
「おー、そりゃおめでただな」
「おめでとうで済ませられたらよかったんだけどね………問題は、その子が持つ資格の対象となるべき魔導具が……暗黒大陸にあったんだ」
………?暗黒大陸?なんか凄い悪そうな島の名前が出てきたけど、俺は聞いたことがないな。
俺が周りを見渡すと、クロスが耳元で暗黒大陸について教えてくれた。
「暗黒大陸は、大昔に悪魔が乗っ取って最悪の地となった場所だよ。植物は枯れ果て、生き物なんて持ってのほか。悪魔と魔族の本拠地のようなものだ」
「あらら。あくまのねじろ、ヤバいな」
聞くだけで近づいてはならない場所というところは分かるけど、じゃあその場所にある魔導具ってやばくないか?
「アリエルの子は『グロリアス』の真の持ち主だったんだ。しかも魔法神の祝福を受けた子だから、い今までの持ち主とは比べ物にならない程の可能性を秘めていたんだよ」
グロリアスという魔導具は、どうやら禁書と言われており全ての魔法、禁忌の魔法を含めて載っているらしいので、アリエルの子は魔法の神様の祝福受けてるらしいから、そりゃ馬鹿馬鹿しいほどに強くなるのは火を見るより明らかだった。
でも、皮肉なことにどうやらグロリアスは悪魔の根城にあったので、ゲットするのは無理だろう。
そもそも魔導具の適正とかどうやったらわかるんだと思うが、それについてはどうやらきっかけがあれば分かるらしい。
六大魔導具の適正持ちは、他の六大魔導具にも反応が見られることがあるから、アリエルはそれでわかったんだとか。
なんかアリエル家族は色々なことが立て続けに起こっているけど、それが俺にどんな関係があるんだ?
「アリエルは自分の子がグロリアスの資格を持っていることを知ると、すぐさま放浪の旅に出た。『彼』に見つかったら、アリエルといえど瞬殺されてしまうだろう。だからこそ、アリエルは全てを投げ出して『逃亡』を選択した」
………?
彼とは誰のことなのだろうか。
「彼の名はルシエル。元大天使であり、全ての原初の悪魔を従える堕天の化身。当時グロリアスを持っていた彼は、真の持ち主が誕生しそれがアリエルの子だと知ると、全力で殺しにかかった」
…………そういうことか。
つまり、その悪魔のリーダールシエルは、自分の玩具が「実は他の人の物だったんだよね。お前にはもうこれで遊ぶ資格はねーんだよ!!」ってなっちゃっていて。
「だったら本来の持ち主を殺してやればいいだろ!!」と考え全力で殺しに行ったってわけか。
とんでもない思考の持ち主なんだな、ルシエル。
「流石にアリエル達ではルシエルの魔の手から逃れることは不可能。だから、時空神である自分を筆頭に、この世界を管轄する神達はアリエルを早急に保護する方針で、異例にも世界に干渉して助けようとしたんだ」
元々天界の存在である大天使なので、下界で好き勝手やるのは神様達でも許せなかったらしい。
その狙われている対象が神の祝福持ちなら尚のこと許せなかったのだろう。
多数の神の意見も乗じ、異例が許されたんだとか。
「幸い、神の力を使ってアリエルの居場所はすぐに割り出すことができた。見つけた下級神がすぐに保護しようと動き出したけど……」
神様は暗い表情になって言葉を続けた。
「でも、駄目だったんだ。力が及ばなかった。ルシエルがどんなに力をつけていようとも、神には及ばないだろうという傲慢が失敗に繋がった。彼は兄弟を『喰らって』力をつけ、最も貪欲で才能があることを失念していたんだ」
結局、ルシエルに見つかってアリエルの子は亡くなり、また助け出そうとした下級神は自分の身と引き換えにアリエルとアリエルの子に加護を授け亡くなってしまった。
そしてセレナーデ様たちが到着した頃には、下級神の加護により別の世界へ転送されていたこと。
「別世界に転送されたアリエルは、自分の娘を失ってしまい心が壊れそうになった。でも、自分の横に一人の弱った生まれたばかりの赤ちゃんに気づいたんだ。その子は輝く白銀色の目をしていた」
自分、なによりアリエルの子にそっくりな目を見て、アリエルは心を持ち直した。
自分がこの血で汚れた赤ん坊を守らなければならないと思ったのだ。
元々、アリエルの子が妊娠中だという状態ではないが、何故そっくりな赤ん坊がいたのか不思議だが、アリエルはその子が自分の孫だと直感したんだそう。
そもそも当時アリエルは十七歳らしいので、妊娠しているわけがない。
「主。この世界ではその年齢でも結婚して妊娠は十分あり得るよ」
………今、クロスがサラッと爆弾発言を囁いてきおったぞ。
「むむ!!じゃ、もしや、けっこんしてたのか?」
「アリエルの子は結婚していたけど、まあ結婚して一年の新婚夫婦だっと思うよ。お相手は確か『剣聖』だったような」
マジか。
十五歳で結婚はヤバいな。異世界文化、恐るべし。
「話を戻すよ。それからアリエルは子供を育てるために名前を隠し、目を黒色に染めて文化に順応するよう過ごした。それで拾った赤ん坊にも名前をつけた。自分の娘にそっくりな、大きな白銀色に輝く瞳からとって」
神様は大きく深呼吸をして俺を見た。
「赤ん坊の名前は『大きく輝く』から、大輝。星野大輝」
………え?
唖然となる俺とクロスに、神様はニコリと笑って続けた。
「改めまして、おかえりダイキ。そして、この世界へようこそ」
----------------
いつも読んでくださりありがとうございます!
最近新作というか、新作候補が閃いて「うぉー!!」て感じで書いています。
やっぱ書くときって、一番最初が馬鹿楽しいんですよね。なんてったって可能性は無限大。自分もガガーッといけちゃいます。
次回も神様の話の続きになるのでお楽しみに!!
それはエルフ、獣人、ドワーフは勿論、精霊だって例外ではない。
しかし、この世には取り返しのつかない、許されない失敗があるのだ。
「主……ごめんね?確かに僕が勝手にやっちゃったことだから………だからそろそろ、機嫌を直して?」
「ふんっ」
誰がこんな奴の言うことを聞くか。
クロスは敵に俺の弱みを握らせたんだぞ!!これは切腹を命じられてもおかしくない程の罪……
そもそも、なんで俺の日常記録を細かく記していたのか知りたいが、クロスに聞いても意味のない返事ばかりだった。
「だ、だって主が可愛くて………これはもう、やるしかない!!って思っちゃったんだよね」
ちょっと何を言っているのかよくわからなかった。
まあそれでも、クロスのやったことは許されるべきではない。敵に塩を送るなんて愚行、武田信玄と上杉謙信の時以外あってはならないのだ。
そう。
「つまり………はんけつ、しけーい!!」
「ちょ、フライ返しは地味に痛いからやめて……」
バシンバシンと手に持ったフライ返しを神様に叩きつけながら判決を下すと、クロスは跪いた。
ふんっ……流石のクロスも、俺の怒り具合がわかったのだろう。
しっかり反省してくれればそれで許してやらんでもない……
「主、さすがに死刑はやり過ぎだよ。僕は神聖なる執筆行為をしただけで、判決は主のハグであるべきだ。ていうかそもそも、主以外に死刑に賛成している者はいないけど」
俺は周りを見渡すと、フライ返しを持ったまま、「はんけつにさんせーのもの」と厳粛に意見を求めると、まさかの誰も手をあげなかった。
「まあ、流石に死刑はどう考えてもやり過ぎ」
と、神様が言って。
「こんな豊富な情報材で死刑だなんて勿体ないわ。もっともっと量産してほしいくらいね。そして更に詳しく、ね………フフッ」
と、ちょっと………じゃなくて物凄い程怪しい空気を醸し出しながらセレナーデ様が言って。
「ほら?やっぱり主にハグされる刑が妥当でしょ?」
と、クロスがドヤ顔で言ってくる。
「ぬ、ぬぬ!!きみたち、それでいーのかね!!このままじゃ、へんたいがおっけーになるぞ!!」
この歪んだ価値観を矯正させようと俺は一生懸命演説するも、誰も聞く耳なんて持ってない。
跪いたままのクロスはニヤけてるし、もうヤダこんな場所。さっさと撤退したい。
しょんぼりと肩を落としてうなだれる俺の足に寄り添ってくれるシルが、おれの唯一の味方だ。
「うんうん。やはり、おれのみかたはシル、おまえだけだ。けなげなこいぬ、やっぱせーかくもかあいーな」
ナデナデされながら、クロス達を見下したように見つめるシルの様子をダイキは知る由もない。
「………感傷に浸っているところ悪いんだけど、そろそろ話し合いを再開してもいいかな」
「いいです」
「お願いします時空神様」
「ふんっ、せーぜーおまえのべんめーを、おれはやさしーからきーてやるぞ」
それぞれが多様な返事をし、なぜか少し顔を引き攣らせた神様は深呼吸をして話し始めた。
「先ず、この世界の『大戦』の時代に、ある魔法使いがいたんだよね」
大戦の魔法使い……なんか凄い格好いい。
ニヤリとした俺を無礼にも呆れた顔で見ながら、神様は話を続ける。
「その魔法使いの名はアリエル。天使の生まれ変わりだと錯覚するような魔法を使っていた。まあ実際、大天使の残滓を宿していたわけだけど」
ほうほう。
つまりその大戦で活躍していたアリエルさんとやらは、大天使の力の一部だけ受け継いだ人らしい。
そもそも大天使が何かわからないけど、セレナーデ様曰く、『神の一番近い位置にいる眷属』なんだとか。
「当時アリエルは世界で見ても屈指の魔法実力者だった。それはもう、原初の悪魔に迫るような勢いで実力を伸ばしていっていたよ。でも………資格が無かった」
「む?しかく?」
「そうそう。『六大魔導具』を手にする資格の持ち主ではなかったんだよ。そもそも僕達も干渉して作り上げた魔導具を使いこなす人なんて………そもそもいないんだけど、とにかく、その時アリエルは魔導具を使いこなす事ができなかった」
なんか俺の方をじっと見つめながら話してくるので、取り敢えずシルを目前に掲げて視線を避けると、神様が『……何故』と地味に傷付いた声音でボソリと呟いた。
「………まあ、それで、アリエルは自分に資格がないことに気づいて然るべきところへ返そうとしたのだけれど、大戦真っ只中でそんなことできる状況でもなくて……」
度々話題に上がる『大戦』ってやつは、相当凄かったんだな。
俺も聞く所によると、元の世界の第二次世界大戦のようなものらしい。
「それで済めば良かったんだけど、問題はその後なんだよね。アリエルは後に結婚して子供を授かったんだ。一人っ子の女の子で、偶然なのか、必然なのか………その子はアリエルが持ち得なかった『資格』を有していたんだ」
「おー、そりゃおめでただな」
「おめでとうで済ませられたらよかったんだけどね………問題は、その子が持つ資格の対象となるべき魔導具が……暗黒大陸にあったんだ」
………?暗黒大陸?なんか凄い悪そうな島の名前が出てきたけど、俺は聞いたことがないな。
俺が周りを見渡すと、クロスが耳元で暗黒大陸について教えてくれた。
「暗黒大陸は、大昔に悪魔が乗っ取って最悪の地となった場所だよ。植物は枯れ果て、生き物なんて持ってのほか。悪魔と魔族の本拠地のようなものだ」
「あらら。あくまのねじろ、ヤバいな」
聞くだけで近づいてはならない場所というところは分かるけど、じゃあその場所にある魔導具ってやばくないか?
「アリエルの子は『グロリアス』の真の持ち主だったんだ。しかも魔法神の祝福を受けた子だから、い今までの持ち主とは比べ物にならない程の可能性を秘めていたんだよ」
グロリアスという魔導具は、どうやら禁書と言われており全ての魔法、禁忌の魔法を含めて載っているらしいので、アリエルの子は魔法の神様の祝福受けてるらしいから、そりゃ馬鹿馬鹿しいほどに強くなるのは火を見るより明らかだった。
でも、皮肉なことにどうやらグロリアスは悪魔の根城にあったので、ゲットするのは無理だろう。
そもそも魔導具の適正とかどうやったらわかるんだと思うが、それについてはどうやらきっかけがあれば分かるらしい。
六大魔導具の適正持ちは、他の六大魔導具にも反応が見られることがあるから、アリエルはそれでわかったんだとか。
なんかアリエル家族は色々なことが立て続けに起こっているけど、それが俺にどんな関係があるんだ?
「アリエルは自分の子がグロリアスの資格を持っていることを知ると、すぐさま放浪の旅に出た。『彼』に見つかったら、アリエルといえど瞬殺されてしまうだろう。だからこそ、アリエルは全てを投げ出して『逃亡』を選択した」
………?
彼とは誰のことなのだろうか。
「彼の名はルシエル。元大天使であり、全ての原初の悪魔を従える堕天の化身。当時グロリアスを持っていた彼は、真の持ち主が誕生しそれがアリエルの子だと知ると、全力で殺しにかかった」
…………そういうことか。
つまり、その悪魔のリーダールシエルは、自分の玩具が「実は他の人の物だったんだよね。お前にはもうこれで遊ぶ資格はねーんだよ!!」ってなっちゃっていて。
「だったら本来の持ち主を殺してやればいいだろ!!」と考え全力で殺しに行ったってわけか。
とんでもない思考の持ち主なんだな、ルシエル。
「流石にアリエル達ではルシエルの魔の手から逃れることは不可能。だから、時空神である自分を筆頭に、この世界を管轄する神達はアリエルを早急に保護する方針で、異例にも世界に干渉して助けようとしたんだ」
元々天界の存在である大天使なので、下界で好き勝手やるのは神様達でも許せなかったらしい。
その狙われている対象が神の祝福持ちなら尚のこと許せなかったのだろう。
多数の神の意見も乗じ、異例が許されたんだとか。
「幸い、神の力を使ってアリエルの居場所はすぐに割り出すことができた。見つけた下級神がすぐに保護しようと動き出したけど……」
神様は暗い表情になって言葉を続けた。
「でも、駄目だったんだ。力が及ばなかった。ルシエルがどんなに力をつけていようとも、神には及ばないだろうという傲慢が失敗に繋がった。彼は兄弟を『喰らって』力をつけ、最も貪欲で才能があることを失念していたんだ」
結局、ルシエルに見つかってアリエルの子は亡くなり、また助け出そうとした下級神は自分の身と引き換えにアリエルとアリエルの子に加護を授け亡くなってしまった。
そしてセレナーデ様たちが到着した頃には、下級神の加護により別の世界へ転送されていたこと。
「別世界に転送されたアリエルは、自分の娘を失ってしまい心が壊れそうになった。でも、自分の横に一人の弱った生まれたばかりの赤ちゃんに気づいたんだ。その子は輝く白銀色の目をしていた」
自分、なによりアリエルの子にそっくりな目を見て、アリエルは心を持ち直した。
自分がこの血で汚れた赤ん坊を守らなければならないと思ったのだ。
元々、アリエルの子が妊娠中だという状態ではないが、何故そっくりな赤ん坊がいたのか不思議だが、アリエルはその子が自分の孫だと直感したんだそう。
そもそも当時アリエルは十七歳らしいので、妊娠しているわけがない。
「主。この世界ではその年齢でも結婚して妊娠は十分あり得るよ」
………今、クロスがサラッと爆弾発言を囁いてきおったぞ。
「むむ!!じゃ、もしや、けっこんしてたのか?」
「アリエルの子は結婚していたけど、まあ結婚して一年の新婚夫婦だっと思うよ。お相手は確か『剣聖』だったような」
マジか。
十五歳で結婚はヤバいな。異世界文化、恐るべし。
「話を戻すよ。それからアリエルは子供を育てるために名前を隠し、目を黒色に染めて文化に順応するよう過ごした。それで拾った赤ん坊にも名前をつけた。自分の娘にそっくりな、大きな白銀色に輝く瞳からとって」
神様は大きく深呼吸をして俺を見た。
「赤ん坊の名前は『大きく輝く』から、大輝。星野大輝」
………え?
唖然となる俺とクロスに、神様はニコリと笑って続けた。
「改めまして、おかえりダイキ。そして、この世界へようこそ」
----------------
いつも読んでくださりありがとうございます!
最近新作というか、新作候補が閃いて「うぉー!!」て感じで書いています。
やっぱ書くときって、一番最初が馬鹿楽しいんですよね。なんてったって可能性は無限大。自分もガガーッといけちゃいます。
次回も神様の話の続きになるのでお楽しみに!!
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同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
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