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第16章:はじめての私を選ぶ日
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「……デート、行くの?」
夕方のカフェ。カップの中で氷がかすかに鳴る。
悠真は、両手でストローを握りしめながらうなずいた。
「うん……誘われたの。断る理由もないし、ちょっとだけ、嬉しかった」
「そっか」
梨乃は、頬杖をついてふんわり笑った。
「じゃあ、ちゃんと“女の子”で行こっか。制服とかじゃなくて、本気でかわいくして。悠真が選んだ“私服の女の子”」
「……でも、僕……そこまでちゃんとした女の子になれてないっていうか、まだ……」
「ううん。だからこそ、一緒に探そう。服も、ウィッグも、コルセットも。下着だって、大事だよ」
「……!」
梨乃の言葉は、からかいでも慰めでもなく、どこまでもまっすぐだった。
その週末。ふたりは都心のショップ街を歩いていた。
女性用のランジェリー店、ウィッグ専門店、ミニスカートが並ぶブティック。悠真は最初こそ縮こまっていたが、梨乃の自然な振る舞いに背中を押され、次第に選ぶ目が真剣になっていった。
「こっちの方がストラップ細いけど、胸元きれいに見えるよ」
「ウィッグはこのボブ、すっごく似合う。小顔だからサイドふんわりでも大丈夫」
「……このコルセット、苦しい?」
「ううん。むしろ……気持ちが締まるっていうか……すごく“女の子”って感じがする」
個室のフィッティングルームで、ひとつずつ試着していく。
鏡の中で変わっていく自分に、最初は目を逸らしそうになった。でも。
(かわいくなってる……)
キャミソールからのぞく繊細なレース。少しだけ整ったウエストライン。肌の色に合った柔らかなランジェリー。
そして、梨乃が最後に言った。
「スカート、これにしよ。ミニの方が、悠真の脚きれいに見える。似合うと思う」
少し照れながらもうなずいた。
家に帰ってからは、ミニスカートに合わせるための脚のケアに取りかかった。
お風呂でゆっくり剃毛し、スクラブでなめらかに整え、保湿クリームを塗り込む。
(こんなに、自分の脚をちゃんと見たの……初めてかも)
鏡の前でそっと撫でる。スベスベになった膝と太もも。そこに、細身のガーターがふわりと乗る。
(……女の子みたいじゃなくて、女の子だ)
自分の意思で選んだ服、自分の手で整えた姿。
悠真は、次第に「デートのため」だけじゃない感情に気づき始めていた。
夕方のカフェ。カップの中で氷がかすかに鳴る。
悠真は、両手でストローを握りしめながらうなずいた。
「うん……誘われたの。断る理由もないし、ちょっとだけ、嬉しかった」
「そっか」
梨乃は、頬杖をついてふんわり笑った。
「じゃあ、ちゃんと“女の子”で行こっか。制服とかじゃなくて、本気でかわいくして。悠真が選んだ“私服の女の子”」
「……でも、僕……そこまでちゃんとした女の子になれてないっていうか、まだ……」
「ううん。だからこそ、一緒に探そう。服も、ウィッグも、コルセットも。下着だって、大事だよ」
「……!」
梨乃の言葉は、からかいでも慰めでもなく、どこまでもまっすぐだった。
その週末。ふたりは都心のショップ街を歩いていた。
女性用のランジェリー店、ウィッグ専門店、ミニスカートが並ぶブティック。悠真は最初こそ縮こまっていたが、梨乃の自然な振る舞いに背中を押され、次第に選ぶ目が真剣になっていった。
「こっちの方がストラップ細いけど、胸元きれいに見えるよ」
「ウィッグはこのボブ、すっごく似合う。小顔だからサイドふんわりでも大丈夫」
「……このコルセット、苦しい?」
「ううん。むしろ……気持ちが締まるっていうか……すごく“女の子”って感じがする」
個室のフィッティングルームで、ひとつずつ試着していく。
鏡の中で変わっていく自分に、最初は目を逸らしそうになった。でも。
(かわいくなってる……)
キャミソールからのぞく繊細なレース。少しだけ整ったウエストライン。肌の色に合った柔らかなランジェリー。
そして、梨乃が最後に言った。
「スカート、これにしよ。ミニの方が、悠真の脚きれいに見える。似合うと思う」
少し照れながらもうなずいた。
家に帰ってからは、ミニスカートに合わせるための脚のケアに取りかかった。
お風呂でゆっくり剃毛し、スクラブでなめらかに整え、保湿クリームを塗り込む。
(こんなに、自分の脚をちゃんと見たの……初めてかも)
鏡の前でそっと撫でる。スベスベになった膝と太もも。そこに、細身のガーターがふわりと乗る。
(……女の子みたいじゃなくて、女の子だ)
自分の意思で選んだ服、自分の手で整えた姿。
悠真は、次第に「デートのため」だけじゃない感情に気づき始めていた。
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