ナース服の中の僕

なな

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第35章:部屋のドアが閉まる音と、心の奥に満ちる熱

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エレベーターの中。
静かな機械音の中で、桐谷の手は、私の指を優しく包んでいた。

ドレスの中の肌が、まだキスの熱を帯びたまま。
唇も頬も、コルセットに包まれた胸の奥までも、甘く疼いている。

部屋の前に着くと、彼がカードキーを翳して、ドアが静かに開いた。
私の手は、そのまま引かれて──何も言えずに、吸い込まれるように中へ。

(あ……私、今……)

高鳴る鼓動。
ヒールのまま床に上がるのをためらうと、
桐谷が気づいて、「大丈夫」と笑って、私の肩に手を添えてくれた。

「先に、靴だけ脱いでいいよ。楽にして」

小さく頷いて、膝を折ってストラップを外す。
ヒールを脱いだ瞬間、足が解放されたのに、身体の奥はまだドレスの中で締めつけられていた。

(コルセット……外すべき? でも、なんだかまだ……)

ふと、背中に手を伸ばそうとしたとき──
後ろからそっと、桐谷が近づいてきた。

「……そのままでも綺麗だけど、きつくない?」

「ちょっと、息浅くなるけど……大丈夫……」

「じゃあ……少しずつ、楽にしていこうか」

そう言って、背中のファスナーに指をかけられる。
その指が、すこし震えているのを感じた。

(私だけじゃない。……桐谷さんも、緊張してる)

ファスナーが下がる音が、部屋に静かに響いた。
コルセットの紐も、ゆっくりほどかれていく。

押し込められていた身体が、すこしずつ、自分の輪郭を取り戻していく。

でも──

「……まだ、ちょっとだけ……このままでもいい?」

私のその言葉に、桐谷は驚いたように目を見つめてきた。

「……うん。もちろん。無理しなくていい。
だけど……今夜は、君の全部を、大事にしたい。ひとつずつ、ね」

そう囁いて、再び唇が重なる。
今度のキスは、さっきよりもゆっくりと、そして深く──

唇をなぞり、舌先が触れ、甘い吐息がこぼれる。

肩を抱かれ、ソファに並んで座る。
彼の手が、ドレスの上から私の身体を包むように撫でた。

愛撫のように優しく、まるで大切な贈り物を扱うみたいに。

私の身体も、心も、女性として扱われている。

(私……こんなに、愛されてる……)

目を閉じると、何度目かのキスが、ゆっくりと深まっていった。
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