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第37章:朝の光と、寄り添うぬくもり
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まぶたの奥が、じわりと明るくなっていく。
遠くで波の音が微かに聞こえた。
窓から射す朝日が、白いシーツを透かして、ゆらゆらと揺れている。
(……あれ? ここ……)
ぼんやりと目を開けると、すぐ隣に、寝息を立てる桐谷さんの横顔があった。
私の肩に腕をまわしていて、その手が、
まるで壊れものに触れるように、私を抱いている。
ドキリとして、自分の身体をそっと確かめる。
(……下着のまま……)
昨夜、何度も名前を呼ばれて、
ゆっくり優しく触れられて──
そして、ひとつになった。
(夢じゃない……ちゃんと、抱かれたんだ)
唇に触れた指先。
そっとなぞると、その瞬間、隣の瞼が静かに開いた。
「……おはよう。……大丈夫?」
その声に、胸がいっぱいになった。
「うん……ありがとう。優しくしてくれて……」
桐谷は、静かに私の髪を撫でた。
ウィッグじゃない、自分の髪のままなのに、それでも彼の手は丁寧だった。
「ずっと、こうしてたい。……好きだよ。ちゃんと、君のこと」
その一言に、私の胸がきゅうっと締めつけられた。
(……本当に、“私”を見てくれてる)
「私も……好き……」
彼の胸に顔をうずめると、
温かい手が、私の背中を包みこむようにさすってくれる。
しばらくそのまま、何も言わず、ただ抱きしめられていた。
そして、桐谷がぽつりと囁く。
「……ねえ。これからも、こうやって一緒に過ごせたら嬉しい。
君がどんな姿でも、どんなふうでも──ずっと、そばにいたい」
私は小さく頷いた。
(この人と一緒にいることが、こんなに安心するなんて……)
自分の中で、何かが確かに変わってきている。
“男の子”だった私が、
“女性として抱かれること”に心を開いて、
今、こうして──ひとりの人間として、愛されている。
それが、嬉しくて、くすぐったくて、涙が少し滲んだ。
遠くで波の音が微かに聞こえた。
窓から射す朝日が、白いシーツを透かして、ゆらゆらと揺れている。
(……あれ? ここ……)
ぼんやりと目を開けると、すぐ隣に、寝息を立てる桐谷さんの横顔があった。
私の肩に腕をまわしていて、その手が、
まるで壊れものに触れるように、私を抱いている。
ドキリとして、自分の身体をそっと確かめる。
(……下着のまま……)
昨夜、何度も名前を呼ばれて、
ゆっくり優しく触れられて──
そして、ひとつになった。
(夢じゃない……ちゃんと、抱かれたんだ)
唇に触れた指先。
そっとなぞると、その瞬間、隣の瞼が静かに開いた。
「……おはよう。……大丈夫?」
その声に、胸がいっぱいになった。
「うん……ありがとう。優しくしてくれて……」
桐谷は、静かに私の髪を撫でた。
ウィッグじゃない、自分の髪のままなのに、それでも彼の手は丁寧だった。
「ずっと、こうしてたい。……好きだよ。ちゃんと、君のこと」
その一言に、私の胸がきゅうっと締めつけられた。
(……本当に、“私”を見てくれてる)
「私も……好き……」
彼の胸に顔をうずめると、
温かい手が、私の背中を包みこむようにさすってくれる。
しばらくそのまま、何も言わず、ただ抱きしめられていた。
そして、桐谷がぽつりと囁く。
「……ねえ。これからも、こうやって一緒に過ごせたら嬉しい。
君がどんな姿でも、どんなふうでも──ずっと、そばにいたい」
私は小さく頷いた。
(この人と一緒にいることが、こんなに安心するなんて……)
自分の中で、何かが確かに変わってきている。
“男の子”だった私が、
“女性として抱かれること”に心を開いて、
今、こうして──ひとりの人間として、愛されている。
それが、嬉しくて、くすぐったくて、涙が少し滲んだ。
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