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第38章:波打ち際の選択、可愛いか、大人か──
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朝食のあと、桐谷さんがふと、微笑みながら言った。
「そろそろ、水着を見に行かない? このリゾート、プライベートビーチもあるからさ」
「う、うん……」
昨日の夜からずっと、自分が“女の子”の姿で過ごしていることに、不思議な感覚が続いていた。
今もワンピースを着て、軽くメイクをしている。
鏡に映る自分は──
“女の子に見える”私だった。
ビーチの近くにあるブティックに入り、ディスプレイの前で立ち止まる。
並ぶのは、鮮やかな水着たち。
パステルカラーのビキニ、シンプルなワンピースタイプ、大胆に開いたデザインのものまで。
「こういうのって……着たこと、ない……」
「うん。でも……君なら、きっと似合う」
そう言って、桐谷さんが手に取ったのは、
柔らかいブルーのワンピースタイプ。胸元は控えめだけど、ウエストのカットが大胆で、腰のラインが綺麗に見えるようになっている。
「これは……大人っぽい……」
「うん。でもこっちのピンクもいいな。フリルがあって、すごく可愛い」
彼が差し出したのは、
淡いピンクに白のリボンがついたビキニ。少女のような愛らしさがある。
「え、えっと……どっちも、ちょっと……恥ずかしい……」
「じゃあ、両方試してみたら? それと──これも、いいな」
彼が手に取った三着目は、黒のビキニに透け感のあるシフォンが重ねられたデザイン。
首元に大きなリボンがあり、まるでドレスのように見える、艶やかで上品なものだった。
「こ、こんなに……」
「選ぶのも楽しみのひとつでしょ。今日はいっぱい君に似合うもの、見つけたいんだ」
ドキドキしながら、試着室へと向かう。
──最初に着たのは、ブルーのワンピース水着。
コルセットを外し、下着を脱ぎ、
そっと肩紐を通して、胸のパッドを整える。
(身体のライン……出てるかな……)
鏡に映った自分は──
あの日のナース服よりも、もっと大胆で、もっと“女の子”だった。
次に、ピンクのビキニ。
胸元のリボンを結び、ショーツを履いてから、そっとお腹を引き締める。
ふわっとしたフリルが、脚の付け根を覆っていて──
まるでどこかのお人形のように見える。
最後に、黒のシフォンビキニ。
レースの透け感と、肩のリボン。
その組み合わせが、自分の身体を“綺麗”に見せてくれている気がした。
(……どれにしよう……全部、着たい)
試着室を出ると、桐谷さんが少し驚いた顔で私を見た。
「……すごく、綺麗だ……全部、似合う。正直、選べないくらい」
「そ、そんな……」
「じゃあ、全部買おう。今日はそのピンクでビーチに行って、明日は黒、明後日は青。ね?」
私は思わず笑ってしまった。明日が帰る日なのに。
“水着を選んでもらって、着て、褒めてもらって──”
そんなことが、自分にも起きるなんて、少し前までは考えられなかった。
だけど今は、
こうしてドキドキしながら、“女の子としての夏”を生きている。
「そろそろ、水着を見に行かない? このリゾート、プライベートビーチもあるからさ」
「う、うん……」
昨日の夜からずっと、自分が“女の子”の姿で過ごしていることに、不思議な感覚が続いていた。
今もワンピースを着て、軽くメイクをしている。
鏡に映る自分は──
“女の子に見える”私だった。
ビーチの近くにあるブティックに入り、ディスプレイの前で立ち止まる。
並ぶのは、鮮やかな水着たち。
パステルカラーのビキニ、シンプルなワンピースタイプ、大胆に開いたデザインのものまで。
「こういうのって……着たこと、ない……」
「うん。でも……君なら、きっと似合う」
そう言って、桐谷さんが手に取ったのは、
柔らかいブルーのワンピースタイプ。胸元は控えめだけど、ウエストのカットが大胆で、腰のラインが綺麗に見えるようになっている。
「これは……大人っぽい……」
「うん。でもこっちのピンクもいいな。フリルがあって、すごく可愛い」
彼が差し出したのは、
淡いピンクに白のリボンがついたビキニ。少女のような愛らしさがある。
「え、えっと……どっちも、ちょっと……恥ずかしい……」
「じゃあ、両方試してみたら? それと──これも、いいな」
彼が手に取った三着目は、黒のビキニに透け感のあるシフォンが重ねられたデザイン。
首元に大きなリボンがあり、まるでドレスのように見える、艶やかで上品なものだった。
「こ、こんなに……」
「選ぶのも楽しみのひとつでしょ。今日はいっぱい君に似合うもの、見つけたいんだ」
ドキドキしながら、試着室へと向かう。
──最初に着たのは、ブルーのワンピース水着。
コルセットを外し、下着を脱ぎ、
そっと肩紐を通して、胸のパッドを整える。
(身体のライン……出てるかな……)
鏡に映った自分は──
あの日のナース服よりも、もっと大胆で、もっと“女の子”だった。
次に、ピンクのビキニ。
胸元のリボンを結び、ショーツを履いてから、そっとお腹を引き締める。
ふわっとしたフリルが、脚の付け根を覆っていて──
まるでどこかのお人形のように見える。
最後に、黒のシフォンビキニ。
レースの透け感と、肩のリボン。
その組み合わせが、自分の身体を“綺麗”に見せてくれている気がした。
(……どれにしよう……全部、着たい)
試着室を出ると、桐谷さんが少し驚いた顔で私を見た。
「……すごく、綺麗だ……全部、似合う。正直、選べないくらい」
「そ、そんな……」
「じゃあ、全部買おう。今日はそのピンクでビーチに行って、明日は黒、明後日は青。ね?」
私は思わず笑ってしまった。明日が帰る日なのに。
“水着を選んでもらって、着て、褒めてもらって──”
そんなことが、自分にも起きるなんて、少し前までは考えられなかった。
だけど今は、
こうしてドキドキしながら、“女の子としての夏”を生きている。
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