43 / 47
第43章:触れてしまえば(梨乃視点)
しおりを挟む
「ねぇ、それ、後ろのホック……手伝ってもいい?」
黒いレースのランジェリーに、彼がそっと手を伸ばしていた。
細い肩にかかるブラストラップ。ふくらんだ胸元は、私のものよりも小さいけれど、
その奥にある“隠しているもの”ごと、まるごと美しかった。
「……うん。お願い」
背中に回した手は、まだ少し震えていた。
私はゆっくり近づいて、そのホックを外す。
「ふふ、慣れてきたね。女の子の下着、もう自然に身につけてる」
「だ、だって……そうしないと“浮いちゃう”から」
あの言葉が、少し胸に刺さった。
──“浮いちゃう”から、ブラジャーを選んで、
──“異物”に見えないように、ヒールを履いて。
「……私はね、あなたが、そうやって一生懸命“女の子”になろうとしてるの、すごく可愛いって思うよ」
「……り、梨乃さん……」
気がつけば、彼の顔がとても近くて、
小さな吐息と一緒に、目をそらそうとする仕草が、胸に甘く突き刺さる。
「ねぇ……ちょっと、だけ。こっち、来て」
私は自分のベッドに腰かけて、優しく手を引いた。
「……こうして、向かい合って座って。目、閉じて」
「……う、うん……」
そっと閉じられたまつげに、私は軽く唇を重ねた。
あくまで“軽く”──だったはずなのに、次の瞬間には、
柔らかく開かれた唇が、私の下唇を掬うように重なった。
「……梨乃さん……」
「……ごめんね。もう、ちょっとだけ……」
そう言って抱き寄せたとき、彼の身体はびくりと小さく震えた。
ランジェリー越しの肌はあたたかくて、甘くて、
ふたりの胸のあいだで、どちらが女の子かなんて、もう意味のないことのようだった。
「……もし、イヤだったら止めるから」
私が囁くと、彼はかすかに首を振る。
「……いやじゃ、ない……梨乃さんなら、いい……」
その言葉を聞いたとき、私はもう、理性なんて残っていなかった。
優しく押し倒して、髪を梳き、肩紐をそっと落として、
小さな吐息と、初めて触れる柔らかさに、心ごとほどけていく。
黒いレースのランジェリーに、彼がそっと手を伸ばしていた。
細い肩にかかるブラストラップ。ふくらんだ胸元は、私のものよりも小さいけれど、
その奥にある“隠しているもの”ごと、まるごと美しかった。
「……うん。お願い」
背中に回した手は、まだ少し震えていた。
私はゆっくり近づいて、そのホックを外す。
「ふふ、慣れてきたね。女の子の下着、もう自然に身につけてる」
「だ、だって……そうしないと“浮いちゃう”から」
あの言葉が、少し胸に刺さった。
──“浮いちゃう”から、ブラジャーを選んで、
──“異物”に見えないように、ヒールを履いて。
「……私はね、あなたが、そうやって一生懸命“女の子”になろうとしてるの、すごく可愛いって思うよ」
「……り、梨乃さん……」
気がつけば、彼の顔がとても近くて、
小さな吐息と一緒に、目をそらそうとする仕草が、胸に甘く突き刺さる。
「ねぇ……ちょっと、だけ。こっち、来て」
私は自分のベッドに腰かけて、優しく手を引いた。
「……こうして、向かい合って座って。目、閉じて」
「……う、うん……」
そっと閉じられたまつげに、私は軽く唇を重ねた。
あくまで“軽く”──だったはずなのに、次の瞬間には、
柔らかく開かれた唇が、私の下唇を掬うように重なった。
「……梨乃さん……」
「……ごめんね。もう、ちょっとだけ……」
そう言って抱き寄せたとき、彼の身体はびくりと小さく震えた。
ランジェリー越しの肌はあたたかくて、甘くて、
ふたりの胸のあいだで、どちらが女の子かなんて、もう意味のないことのようだった。
「……もし、イヤだったら止めるから」
私が囁くと、彼はかすかに首を振る。
「……いやじゃ、ない……梨乃さんなら、いい……」
その言葉を聞いたとき、私はもう、理性なんて残っていなかった。
優しく押し倒して、髪を梳き、肩紐をそっと落として、
小さな吐息と、初めて触れる柔らかさに、心ごとほどけていく。
0
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる