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第三章:試着室の羞恥
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「佐伯さん、今時間ある? 新作コルセットのフィッティング手伝ってもらえる?」
声をかけてきたのは、商品企画部の市川だった。彼女はこのプロジェクトの中心人物で、女性社員の中でも“容赦ない”と評判の存在だ。
「もちろん、ゆうちゃんが着てくれるって部長から聞いてるから。男性が女性用の下着をどう感じるかってすごく貴重なの。恥ずかしがらなくていいよ?」
にっこりと笑いながらも、目は本気だった。断れる雰囲気ではない。
通されたのは、社内の試着室。小さな空間に姿見と木製のベンチがあり、鏡に映る“自分”の姿がやけに女性的に見える。
「はい、これ。今季の新作。ソフトレースにサテンの切り替え、ウエストは6cmダウンを想定してる。後ろのリボン、私が締めてあげるね」
市川に手渡されたのは、黒に近い深いネイビーのコルセット。レースが透け感を演出し、ウエスト部分だけがキュッと細く見える美しいライン。
優斗は、ブラウスのボタンを外し、朝つけてきたコルセットを外してブラとガーターの上からゆっくりと受け取ったコルセットを巻いた。鏡の中に映るのは、明らかに“下着を身につけた女の身体”。
だが、自分の肌なのだ。
「じゃ、締めていくね。息、軽く吸って……はい、ここから少しずつ……」
市川が背後からリボンを引く。ググッとウエストが締まり、内臓が少し押し上げられるような独特の圧迫感。そして、くびれが形成される。なぜか同時に胸がキュンとする。
「すごい……めちゃくちゃ綺麗に入る。ゆうちゃん、ほんとに女性と変わらない体型だね。ね、鏡見てみて」
その言葉に誘われ、優斗は視線を上げた。
——くびれ、レース、しなやかなヒップライン。まるで雑誌のモデルのような女性の身体。朝、自分で着けた感覚とは全然違う。
だが、そこに意識が集中した瞬間だった。
ガードルで押さえ込んでいる股間に、“反応”が生まれてしまった。
(うそ……なんで、今……!?)
コルセットの締め付け、レースの感触、そして女性として扱われる羞恥。そのすべてが無意識のうちに彼の身体を刺激していた。
優斗は反射的に前かがみになり、スカートの裾を握りしめた。
「ゆうちゃん? 苦しい? あ、ごめん、ちょっと締めすぎたかな?」
市川が心配そうに覗き込む。優斗は必死に笑顔を作った。
「い、いえ……ちょっと、慣れないだけで……」
(ダメだ……こんな状態、気づかれたら……!)
頭の中は真っ白だった。まさか、女装している自分の姿に“自分自身”が興奮するなんて。
だが、それはきっと、身体の反応だけではない。
“女性として扱われる”ことの、どこか甘く、くすぐったい快感。
そして、それを“隠し通す”スリル。
優斗は、ますます自分のなかの「ゆう」という存在が無視できないものになっていることに、気づかされていた。
声をかけてきたのは、商品企画部の市川だった。彼女はこのプロジェクトの中心人物で、女性社員の中でも“容赦ない”と評判の存在だ。
「もちろん、ゆうちゃんが着てくれるって部長から聞いてるから。男性が女性用の下着をどう感じるかってすごく貴重なの。恥ずかしがらなくていいよ?」
にっこりと笑いながらも、目は本気だった。断れる雰囲気ではない。
通されたのは、社内の試着室。小さな空間に姿見と木製のベンチがあり、鏡に映る“自分”の姿がやけに女性的に見える。
「はい、これ。今季の新作。ソフトレースにサテンの切り替え、ウエストは6cmダウンを想定してる。後ろのリボン、私が締めてあげるね」
市川に手渡されたのは、黒に近い深いネイビーのコルセット。レースが透け感を演出し、ウエスト部分だけがキュッと細く見える美しいライン。
優斗は、ブラウスのボタンを外し、朝つけてきたコルセットを外してブラとガーターの上からゆっくりと受け取ったコルセットを巻いた。鏡の中に映るのは、明らかに“下着を身につけた女の身体”。
だが、自分の肌なのだ。
「じゃ、締めていくね。息、軽く吸って……はい、ここから少しずつ……」
市川が背後からリボンを引く。ググッとウエストが締まり、内臓が少し押し上げられるような独特の圧迫感。そして、くびれが形成される。なぜか同時に胸がキュンとする。
「すごい……めちゃくちゃ綺麗に入る。ゆうちゃん、ほんとに女性と変わらない体型だね。ね、鏡見てみて」
その言葉に誘われ、優斗は視線を上げた。
——くびれ、レース、しなやかなヒップライン。まるで雑誌のモデルのような女性の身体。朝、自分で着けた感覚とは全然違う。
だが、そこに意識が集中した瞬間だった。
ガードルで押さえ込んでいる股間に、“反応”が生まれてしまった。
(うそ……なんで、今……!?)
コルセットの締め付け、レースの感触、そして女性として扱われる羞恥。そのすべてが無意識のうちに彼の身体を刺激していた。
優斗は反射的に前かがみになり、スカートの裾を握りしめた。
「ゆうちゃん? 苦しい? あ、ごめん、ちょっと締めすぎたかな?」
市川が心配そうに覗き込む。優斗は必死に笑顔を作った。
「い、いえ……ちょっと、慣れないだけで……」
(ダメだ……こんな状態、気づかれたら……!)
頭の中は真っ白だった。まさか、女装している自分の姿に“自分自身”が興奮するなんて。
だが、それはきっと、身体の反応だけではない。
“女性として扱われる”ことの、どこか甘く、くすぐったい快感。
そして、それを“隠し通す”スリル。
優斗は、ますます自分のなかの「ゆう」という存在が無視できないものになっていることに、気づかされていた。
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