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第3部:フェティシュな装い
第五話:なお、下着を選ぶ ― “見せるため”の私になる夜 ―
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「今日のなおさんは、何を着てきてくれるの?」
その問いに、ほんの少しだけ、指先が震えた。
いつもと違う。
“見られるため”に、選ぶ下着なんて、初めてだった。
都内の路面ランジェリーショップ。
店内には淡いライティングと、レースに包まれたボディトルソー。
なおは一人でそこにいた。
(私は……“彼”に見られるためのランジェリーを選びに来た)
それは、女の子としての自己満足でも、仕事の衣装でもない。
“なお”という性別ではない存在が、誰かに抱かれるための、意志のある選択。
その事実に、肌の奥がじんわりと熱を帯びていた。
「お探しのイメージなど、ございますか?」
スタッフの女性が、そっと声をかけてくる。
一瞬、喉が詰まりそうになる。
でも、なおは小さくうなずいた。
「……すこしだけ、セクシーな、ものを。
黒か、ボルドー系で、レースの……」
「あ、でしたらこちらのセットがとても人気です。
コルセットに合わせられるタイプもございます」
鏡の前でそっと当ててみる。
細やかなチュールレース、透け感のあるシアー素材、
そして胸元をやや強調するカップのライン。
(こんな下着を、私は“見せる”つもりなんだ……)
内腿が震える。
でも、その震えを“嬉しさ”だと知っている自分がいる。
夜、河合の部屋。
なおは、ガウンの下にそのセットを着けていた。
ウエストはコルセットで絞り、イヤリングと香りは先日のまま。
全身が“なお”として調律された姿。
「……ねえ、今日は、私から、見せてもいい?」
河合の目が、わずかに見開かれたあと、優しく細められる。
「もちろん。なおさんが、見せたいって思ってくれたのなら」
なおはゆっくりとボタンを外す。
一つ、また一つ。
視線がスルリと滑っていくたびに、
羞恥心と快感が胸を押し上げていく。
スカートをめくる。
ガーターベルトの先から伸びたストッキングのライン。
ショーツの奥は貞操具が隠れてる。
「……どう、かな。似合ってる、かな」
「……すごく、綺麗だよ。
こんなに“なお”を見せてくれたの、初めてだね」
河合がそっと、指でレースの縁に触れる。
柔らかく、やさしく、でも確かに“女として扱われている”感触。
なおはもう、涙ぐんでいた。
「わたし……見られるの、こんなに幸せなんだって、知らなかった」
「そうだね。“見られる”って、愛されることのひとつだよ」
今夜、なおは
“選んだもの”を身につけ、
“見せること”で肯定された。
“なお”として、愛される準備は、もうとっくにできていた。
その問いに、ほんの少しだけ、指先が震えた。
いつもと違う。
“見られるため”に、選ぶ下着なんて、初めてだった。
都内の路面ランジェリーショップ。
店内には淡いライティングと、レースに包まれたボディトルソー。
なおは一人でそこにいた。
(私は……“彼”に見られるためのランジェリーを選びに来た)
それは、女の子としての自己満足でも、仕事の衣装でもない。
“なお”という性別ではない存在が、誰かに抱かれるための、意志のある選択。
その事実に、肌の奥がじんわりと熱を帯びていた。
「お探しのイメージなど、ございますか?」
スタッフの女性が、そっと声をかけてくる。
一瞬、喉が詰まりそうになる。
でも、なおは小さくうなずいた。
「……すこしだけ、セクシーな、ものを。
黒か、ボルドー系で、レースの……」
「あ、でしたらこちらのセットがとても人気です。
コルセットに合わせられるタイプもございます」
鏡の前でそっと当ててみる。
細やかなチュールレース、透け感のあるシアー素材、
そして胸元をやや強調するカップのライン。
(こんな下着を、私は“見せる”つもりなんだ……)
内腿が震える。
でも、その震えを“嬉しさ”だと知っている自分がいる。
夜、河合の部屋。
なおは、ガウンの下にそのセットを着けていた。
ウエストはコルセットで絞り、イヤリングと香りは先日のまま。
全身が“なお”として調律された姿。
「……ねえ、今日は、私から、見せてもいい?」
河合の目が、わずかに見開かれたあと、優しく細められる。
「もちろん。なおさんが、見せたいって思ってくれたのなら」
なおはゆっくりとボタンを外す。
一つ、また一つ。
視線がスルリと滑っていくたびに、
羞恥心と快感が胸を押し上げていく。
スカートをめくる。
ガーターベルトの先から伸びたストッキングのライン。
ショーツの奥は貞操具が隠れてる。
「……どう、かな。似合ってる、かな」
「……すごく、綺麗だよ。
こんなに“なお”を見せてくれたの、初めてだね」
河合がそっと、指でレースの縁に触れる。
柔らかく、やさしく、でも確かに“女として扱われている”感触。
なおはもう、涙ぐんでいた。
「わたし……見られるの、こんなに幸せなんだって、知らなかった」
「そうだね。“見られる”って、愛されることのひとつだよ」
今夜、なおは
“選んだもの”を身につけ、
“見せること”で肯定された。
“なお”として、愛される準備は、もうとっくにできていた。
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