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第6部:彼女たちの秘密の装い
第3話:わたしが、あなたを締める夜 ― “誰かの手で装備される”という信頼 ―
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「ねえ……次は、私が締めてみてもいい?」
真帆のその言葉に、美月の心臓が跳ねた。
(今までは、着けてもらうばかりだった。
でも……)
「うん、やってみたい。……真帆ちゃんにも」
その夜、真帆の部屋。
窓には遮光カーテン。
照明は柔らかく落とされていて、
レースと革と金具が広げられたベッドの上は、
まるでどこかのサロンのようだった。
美月は、コルセットを手に取った。
黒いサテン地に、深紅の刺繍。
曲線を描くように、ウエストを縛るためだけにある“構造”。
「じゃあ、背中、向けて?」
「うん」
真帆がすっと背を向ける。
ショーツ一枚の肌の上に、
美月はコルセットを巻きつけ、背筋を伸ばした。
紐を引く。
ゆっくり、丁寧に。
「苦しくない?」
「ううん、ちょうどいい」
少しずつ締まっていくライン。
美月はその“変化”を見つめながら、
言葉では言い表せない快感を覚えていた。
(わたしが今、真帆ちゃんの“かたち”をつくってる)
ガーターベルトを脚に通す。
腰の位置を測るように指を滑らせ、
太ももへレースの帯を巻いていく。
「チェーン、今日は使ってみる?」
「うん……あれ、好き。動きにくくなる感じが」
(なおちゃんも、こうやって縛られてたんだよね……
でも今は、わたしたちふたりの間だけで、こうして)
真帆が振り返る。
胸元には、まだ締められていないチョーカー。
「鍵……預けるね?」
「うん、預かる。
でも……あとで返さなくてもいいかも」
鍵をチョーカーに通し、カチリと留めた瞬間、
真帆は微笑んだ。
「これってさ、愛してるって言葉より重たい気がするね」
ふたりでソファに並んで座る。
同じような装備をして、同じような姿勢で、
お互いの太ももに目をやりながら、
どこかくすぐったい静寂が流れた。
「ねえ、美月。……あたし、今日すごく落ち着く」
「わたしも……たぶん、こうして“締める役目”を持ったことで、
少しだけ、なおちゃんへの気持ちも……整理できたかも」
「うん。わかる」
装うことが愛情なら、
“締め合うこと”は信頼の証だった。
誰にも明かせない、
だけど確かに感じられる“関係の深さ”が、
装備の中に閉じ込められていた。
真帆のその言葉に、美月の心臓が跳ねた。
(今までは、着けてもらうばかりだった。
でも……)
「うん、やってみたい。……真帆ちゃんにも」
その夜、真帆の部屋。
窓には遮光カーテン。
照明は柔らかく落とされていて、
レースと革と金具が広げられたベッドの上は、
まるでどこかのサロンのようだった。
美月は、コルセットを手に取った。
黒いサテン地に、深紅の刺繍。
曲線を描くように、ウエストを縛るためだけにある“構造”。
「じゃあ、背中、向けて?」
「うん」
真帆がすっと背を向ける。
ショーツ一枚の肌の上に、
美月はコルセットを巻きつけ、背筋を伸ばした。
紐を引く。
ゆっくり、丁寧に。
「苦しくない?」
「ううん、ちょうどいい」
少しずつ締まっていくライン。
美月はその“変化”を見つめながら、
言葉では言い表せない快感を覚えていた。
(わたしが今、真帆ちゃんの“かたち”をつくってる)
ガーターベルトを脚に通す。
腰の位置を測るように指を滑らせ、
太ももへレースの帯を巻いていく。
「チェーン、今日は使ってみる?」
「うん……あれ、好き。動きにくくなる感じが」
(なおちゃんも、こうやって縛られてたんだよね……
でも今は、わたしたちふたりの間だけで、こうして)
真帆が振り返る。
胸元には、まだ締められていないチョーカー。
「鍵……預けるね?」
「うん、預かる。
でも……あとで返さなくてもいいかも」
鍵をチョーカーに通し、カチリと留めた瞬間、
真帆は微笑んだ。
「これってさ、愛してるって言葉より重たい気がするね」
ふたりでソファに並んで座る。
同じような装備をして、同じような姿勢で、
お互いの太ももに目をやりながら、
どこかくすぐったい静寂が流れた。
「ねえ、美月。……あたし、今日すごく落ち着く」
「わたしも……たぶん、こうして“締める役目”を持ったことで、
少しだけ、なおちゃんへの気持ちも……整理できたかも」
「うん。わかる」
装うことが愛情なら、
“締め合うこと”は信頼の証だった。
誰にも明かせない、
だけど確かに感じられる“関係の深さ”が、
装備の中に閉じ込められていた。
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