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第8部:ふたりの鍵
第三章:バイトの日常と、共有される“感覚”
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アンブローズ・ホールディングスの受付カウンターには、いつもの制服姿が並ぶ。
今日のシフトは、美月と真帆、なおと柊。
真帆はすでに業務前のメイクと着替えを終えて、髪をハーフアップにまとめていた。
その指先がテーブルに置かれたマニュアルをトントンと整える音が、妙に心地よく響く。
「柊くん、今日はストッキングのライン、よくできてるね」
「えっ、あ……ありがとうございます……!」
なおがうしろで微笑む。
「昨日、ラインの位置ちょっとずれてたから気にしてたんだよね」
「はい……家で、一回はき直して……」
真帆がなおの目をちらりと見て、わずかに頷いた。
それは“指導の仕方、うまいね”という無言のやりとり。
柊の脚の内側にうっすら浮かぶシルエット。
密着した生地の下、そこに“装備”があることを、皆知っていた。
美月がボールペンを回しながら囁く。
「……なおちゃん、柊くんの鍵、どこに入れてるの?」
「えっ……え、えっと……今日のブラのカップの……」
「ふふ、そこか。私と同じだね」
真帆がすぐ隣でくすっと笑う。
まるで「今日のランジェリー、どこで買った?」くらいのトーンで交わされる“鍵”の会話。
この空間では、そういう会話が、普通だった。
*
休憩時間。
控え室のソファで、柊がひとつ息を吐く。
スカートの奥で、貞操具がしっかりと収まっているのを確認してから、スマホを見た。
なおさん:
今日、動ききれいだったよ。よく我慢できてたね。
…プラグのサイズ、そろそろ替える?
柊の喉がすっと鳴る。
この文字だけで貞操具の下がキュンとする。
(念の為のナプキンを付けておいてよかった)
指が震えながら返信を打つ。
うん。……少し、大きめの、お願いしたいです。
見られている。支配されている。そして、それが快感になっている──
そんな感覚を抱いたまま、柊はそっと足を閉じた。
*
「……今日、あの子たち、可愛かったね」
バイトを終えて帰宅した美月が、ベッドに腰を下ろしながらぽつりと呟く。
シャワーを浴びたあとの濡れ髪が、肩先に貼りついている。
「柊くん、緊張しながらも脚の運びがきれいだった。……あと、なおちゃん。最近、色っぽい」
真帆は部屋の奥から小さな黒いケースを取り出した。
「ふふ。ねぇ……今日は“こっち”の気分、ある?」
ケースの中には、お揃いのランジェリーと──
ディルド、ローター、そして光沢のあるスリムなバイブが、整然と並んでいる。
美月が目を細めた。
「うん。……ある。今日は、いっぱい感じたい」
そう言って、シーツの上に仰向けになる。
真帆がスルリとランジェリーを脱がせながら、いつものように耳元で囁く。
「じゃあ……今日は、こっちを挿れてあげる。いい子にしてね」
バイブの先端を、ほんの少し唾液で濡らす。
ピンクのジェルが微かに光り、ゆっくりと美月の奥に沈んでいく。
「……ん、あっ……」
差し込まれていく感覚に、腰がピクリと跳ねる。
真帆は静かに操作スイッチを握り、1段階目の振動を入れた。
「まだ、始まったばかりだよ。今日は、わたしが全部コントロールするから──」
指先が、クリトリスに貼りついたローターの位置を確認する。
別の手で、ディルドをもう一本手に取り、自分の下着の奥へと差し込む。
「んっ……んん……。お互い、挿れて……一緒だね」
肌と肌が、道具を通して触れ合う。
けれど、そこにあるのは単なるプレイではなかった。
愛おしさ。信頼。
そして、「女の子同士」であることへの深い快感。
「真帆……強くして……わたし、崩れたい……」
「崩れていいよ。でも、そのぶん、あとでちゃんと洗ってね」
バイブのスイッチを2段階目に上げる。
音はほとんど聞こえない。けれど、美月の太ももがわずかに震え出した。
「やっぱり……中で感じるの、好きなんだ」
「うん……だって、あなたがくれたんだもん……これ」
美月の手が、真帆の腰に回る。
お互いのランジェリー越しに、バイブが沈んでいるのを感じる。
「今日は、あなたで埋められてる……だから、安心するの」
ふたりの呼吸が重なる。
機械の振動と、指先の愛撫と、唇のキス。
そして、快感を渡し合う静かな時間。
やがて、美月の瞳がとろりと潤み、
真帆の指が最後に一度、奥をなぞったとき──
「……あ、っ、いく……っ」
波が満ちて、ふたりの身体を優しく包んだ。
その夜、洗いあったバイブを布に包みながら、真帆は言った。
「ねぇ……いつか、なおちゃんにも。こういうの、教えてあげようか?」
美月は微笑んだまま、頷いた。
「うん。きっと、似合う。あの子も……すごく、いい音、出しそう」
今日のシフトは、美月と真帆、なおと柊。
真帆はすでに業務前のメイクと着替えを終えて、髪をハーフアップにまとめていた。
その指先がテーブルに置かれたマニュアルをトントンと整える音が、妙に心地よく響く。
「柊くん、今日はストッキングのライン、よくできてるね」
「えっ、あ……ありがとうございます……!」
なおがうしろで微笑む。
「昨日、ラインの位置ちょっとずれてたから気にしてたんだよね」
「はい……家で、一回はき直して……」
真帆がなおの目をちらりと見て、わずかに頷いた。
それは“指導の仕方、うまいね”という無言のやりとり。
柊の脚の内側にうっすら浮かぶシルエット。
密着した生地の下、そこに“装備”があることを、皆知っていた。
美月がボールペンを回しながら囁く。
「……なおちゃん、柊くんの鍵、どこに入れてるの?」
「えっ……え、えっと……今日のブラのカップの……」
「ふふ、そこか。私と同じだね」
真帆がすぐ隣でくすっと笑う。
まるで「今日のランジェリー、どこで買った?」くらいのトーンで交わされる“鍵”の会話。
この空間では、そういう会話が、普通だった。
*
休憩時間。
控え室のソファで、柊がひとつ息を吐く。
スカートの奥で、貞操具がしっかりと収まっているのを確認してから、スマホを見た。
なおさん:
今日、動ききれいだったよ。よく我慢できてたね。
…プラグのサイズ、そろそろ替える?
柊の喉がすっと鳴る。
この文字だけで貞操具の下がキュンとする。
(念の為のナプキンを付けておいてよかった)
指が震えながら返信を打つ。
うん。……少し、大きめの、お願いしたいです。
見られている。支配されている。そして、それが快感になっている──
そんな感覚を抱いたまま、柊はそっと足を閉じた。
*
「……今日、あの子たち、可愛かったね」
バイトを終えて帰宅した美月が、ベッドに腰を下ろしながらぽつりと呟く。
シャワーを浴びたあとの濡れ髪が、肩先に貼りついている。
「柊くん、緊張しながらも脚の運びがきれいだった。……あと、なおちゃん。最近、色っぽい」
真帆は部屋の奥から小さな黒いケースを取り出した。
「ふふ。ねぇ……今日は“こっち”の気分、ある?」
ケースの中には、お揃いのランジェリーと──
ディルド、ローター、そして光沢のあるスリムなバイブが、整然と並んでいる。
美月が目を細めた。
「うん。……ある。今日は、いっぱい感じたい」
そう言って、シーツの上に仰向けになる。
真帆がスルリとランジェリーを脱がせながら、いつものように耳元で囁く。
「じゃあ……今日は、こっちを挿れてあげる。いい子にしてね」
バイブの先端を、ほんの少し唾液で濡らす。
ピンクのジェルが微かに光り、ゆっくりと美月の奥に沈んでいく。
「……ん、あっ……」
差し込まれていく感覚に、腰がピクリと跳ねる。
真帆は静かに操作スイッチを握り、1段階目の振動を入れた。
「まだ、始まったばかりだよ。今日は、わたしが全部コントロールするから──」
指先が、クリトリスに貼りついたローターの位置を確認する。
別の手で、ディルドをもう一本手に取り、自分の下着の奥へと差し込む。
「んっ……んん……。お互い、挿れて……一緒だね」
肌と肌が、道具を通して触れ合う。
けれど、そこにあるのは単なるプレイではなかった。
愛おしさ。信頼。
そして、「女の子同士」であることへの深い快感。
「真帆……強くして……わたし、崩れたい……」
「崩れていいよ。でも、そのぶん、あとでちゃんと洗ってね」
バイブのスイッチを2段階目に上げる。
音はほとんど聞こえない。けれど、美月の太ももがわずかに震え出した。
「やっぱり……中で感じるの、好きなんだ」
「うん……だって、あなたがくれたんだもん……これ」
美月の手が、真帆の腰に回る。
お互いのランジェリー越しに、バイブが沈んでいるのを感じる。
「今日は、あなたで埋められてる……だから、安心するの」
ふたりの呼吸が重なる。
機械の振動と、指先の愛撫と、唇のキス。
そして、快感を渡し合う静かな時間。
やがて、美月の瞳がとろりと潤み、
真帆の指が最後に一度、奥をなぞったとき──
「……あ、っ、いく……っ」
波が満ちて、ふたりの身体を優しく包んだ。
その夜、洗いあったバイブを布に包みながら、真帆は言った。
「ねぇ……いつか、なおちゃんにも。こういうの、教えてあげようか?」
美月は微笑んだまま、頷いた。
「うん。きっと、似合う。あの子も……すごく、いい音、出しそう」
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