受付バイトは女装が必須?

なな

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第8部:ふたりの鍵

第五章:チェーンの歩幅、ふたりの距離

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控え室の奥。ロッカーの向こうの小さな空間。
柊は静かにスカートをたくし上げて、なおの前に立っていた。

空調の風がふとももに当たって、ほんのりと粟立つ。
それ以上に、胸の内側が熱かった。緊張と、羞恥と、そして……少しの期待。

「柊くん、前にこれ……付けてたの、覚えてる?」

なおが取り出したのは、細い黒革のベルト。
内側に金具がついていて、腿に巻きつける形になっている。

「これ、また試してみようか。……バイトのときだけ、だけどね」

「……はい」

返事は小さかったけれど、柊の脚は自然と少し開いて、装着される準備をしていた。

なおは膝をついて、まず右脚にベルトを巻く。
肌に冷たい革が触れるたび、ぞくりとする感覚が駆け上がる。

「ちょっと締めるよ」

「……っ」

バックルがキュッと締まり、腿の内側が少し食い込む。
貞操具の奥がジュンとする。

次に左脚。
両脚に同じベルトが巻かれたあと、なおは細い銀色のチェーンを取り出した。

「これを、こうやって──」

カチャ。

両方のベルトのリングにチェーンが繋がれ、ほんの20cmほどの幅が制限された。

脚を少し動かすと、チェーンがピンと張り、腿が擦れた。

「……あ……歩きにくい……」

「うん。そうなるように作ってあるから」

なおの声は優しくて、でもどこか楽しそうだった。

「ねえ、柊くん。これがあるとさ、自然と歩幅が小さくなるでしょ? 足を閉じて、内股ぎみに歩くと、すごく女の子らしく見えるんだよ」

「……そんな……わざとじゃないのに、歩きにくくて……」

「それがいいの。身体が勝手に“女の子の動き”になっちゃうって、素敵じゃない?」

なおが、柊のベルトに繋がったチェーンを指先で軽く揺らす。

カチャ、カチャ……小さな金属音がスカートの中で響いて、
柊は思わず太ももを閉じた。

「ねえ、動いてみて?」

おそるおそる一歩を踏み出す。
たった一歩なのに、チェーンがピンと張って、貞操具が奥に押されて擦れた。

「ん……っ……」

「……ちゃんと、感じちゃってるね」

「や、やだ……なんで、こんなので……」

「いいの。感じるのは恥ずかしいことじゃないよ」

なおは微笑みながら、柊のスカートの裾を整えた。

「……でも、ほんとに綺麗。脚、細くて、肌も白くて……すごく、似合ってる」

「……嬉しくないわけ、じゃないけど……」

柊の頬が染まる。
鍵がついたベルト、つながれたチェーン。装備されることの緊張と幸福。

なおが最後に、ベルトの金具に小さな鍵を挿して、くるりと回した。

カチリ。

──これで、もう外せない。

「じゃあ、いってらっしゃい。ちゃんと、ゆっくり歩いてね?」

柊の貞操具の下は鍵をしてもらった直後に”いって”しまい、
ドクドクと溢れるものを仕込んでいたナプキンが確保していた。

「もう、癖になって、外せない」

トイレでナプキンを変えて貞操具を拭いて整え、
あらためて、ほんの少し背筋を伸ばして、
脚を閉じたまま、静かに──でも誇らしく、受付に戻る。

スカートの中で揺れる、秘密の金属音を響かせながら。
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