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第8部:ふたりの鍵
第十章:鍵は、どこにある?
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美月の部屋には、鍵が多すぎた。
ベッドサイドの引き出し。
下着用のポーチ。
それから、真帆が“お仕置き”に使う小さな箱の中。
全部が、鍵。
小さな金属の塊に、記憶と感覚が詰まっている。
「ねぇ、どれにする?」
真帆がベッドに腰をかけながら、手のひらに3つの鍵を乗せて見せた。
ひとつは、今日のバイブ用。
ひとつは、美月が着けているチェーン付きショーツの鍵。
もうひとつは──“お互いのコントロール”を交換するための、特別な鍵。
「今日は……この順番がいいかも」
美月は笑いながら、チェーン付きのものを選び、真帆の指にそっと渡す。
「はい、わたしの今日のコントロール、お願いします」
真帆がその鍵を受け取るとき──
ふたりの間に一瞬、張りつめた空気が流れる。
それはまるで、見えない“合意”を交わす儀式。
「……じゃあ、まずは“施錠”からね」
真帆が、美月の腰に巻かれたサイドチェーンを指先で引き寄せ、鍵穴に鍵を差し込む。
カチャリ。
金属の冷たい音が響くと同時に、
美月の腰がわずかに反応する。
脚の付け根に沿ったベルトが締まり、クロッチに装着されたローターが確実に固定される。
「ねえ、真帆……これ、してると、自分の身体がもう私のものじゃないみたいで……」
「だから、いいんでしょ?」
真帆の声が低く響く。
「“預ける”って、そういうこと。どこに、誰に、何を渡すかで、ぜんぶ決まるの」
美月はゆっくりと頷く。
ふたりの間に、静かな支配と信頼の空気が満ちていく。
やがて、真帆がローターのリモコンを持ち、スイッチを入れる。
低音の震えが、クロッチ越しに伝わり──美月の脚がピクリと揺れる。
「……ふっ、く……っ……」
「まだ、1段階。今日は、簡単にはいかせてあげない」
そう囁くと同時に、真帆がもうひとつの鍵を手に取り、自分のショーツのホックに差し込む。
今夜、鍵を持っているのは──ふたりとも、同じ。
けれど、それぞれが**“自分の支配を託す”ために選んだ相手**は、互いだった。
鍵が回る音。
腰が沈む音。
そして、その夜にだけ許される、誰にも見せられない愛情の音。
そのすべてが、静かに、重なっていく。
ベッドサイドの引き出し。
下着用のポーチ。
それから、真帆が“お仕置き”に使う小さな箱の中。
全部が、鍵。
小さな金属の塊に、記憶と感覚が詰まっている。
「ねぇ、どれにする?」
真帆がベッドに腰をかけながら、手のひらに3つの鍵を乗せて見せた。
ひとつは、今日のバイブ用。
ひとつは、美月が着けているチェーン付きショーツの鍵。
もうひとつは──“お互いのコントロール”を交換するための、特別な鍵。
「今日は……この順番がいいかも」
美月は笑いながら、チェーン付きのものを選び、真帆の指にそっと渡す。
「はい、わたしの今日のコントロール、お願いします」
真帆がその鍵を受け取るとき──
ふたりの間に一瞬、張りつめた空気が流れる。
それはまるで、見えない“合意”を交わす儀式。
「……じゃあ、まずは“施錠”からね」
真帆が、美月の腰に巻かれたサイドチェーンを指先で引き寄せ、鍵穴に鍵を差し込む。
カチャリ。
金属の冷たい音が響くと同時に、
美月の腰がわずかに反応する。
脚の付け根に沿ったベルトが締まり、クロッチに装着されたローターが確実に固定される。
「ねえ、真帆……これ、してると、自分の身体がもう私のものじゃないみたいで……」
「だから、いいんでしょ?」
真帆の声が低く響く。
「“預ける”って、そういうこと。どこに、誰に、何を渡すかで、ぜんぶ決まるの」
美月はゆっくりと頷く。
ふたりの間に、静かな支配と信頼の空気が満ちていく。
やがて、真帆がローターのリモコンを持ち、スイッチを入れる。
低音の震えが、クロッチ越しに伝わり──美月の脚がピクリと揺れる。
「……ふっ、く……っ……」
「まだ、1段階。今日は、簡単にはいかせてあげない」
そう囁くと同時に、真帆がもうひとつの鍵を手に取り、自分のショーツのホックに差し込む。
今夜、鍵を持っているのは──ふたりとも、同じ。
けれど、それぞれが**“自分の支配を託す”ために選んだ相手**は、互いだった。
鍵が回る音。
腰が沈む音。
そして、その夜にだけ許される、誰にも見せられない愛情の音。
そのすべてが、静かに、重なっていく。
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