受付バイトは女装が必須?

なな

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第16部:装われたまま、心を重ねて

第二章:ふたりきりの街、ひとりだけの身体

鏡の中の自分を、柊はしばらく見つめていた。

ふんわりとしたくすみベージュのロングウィッグ。
前髪は目の上ぎりぎりで揃え、横顔をやさしく包む。
耳の前には、ゆるやかに流れる髪の束。
それが、完全に“女の子の顔”をつくっていた。

(これが、……いまの“わたし”)

白のタイツ越しにプラグが深く沈む感覚。
佑真に選ばれたコーディネートのまま、外を歩く。

外見は、完璧な女の子。
けれど中身は、誰かに“仕込まれた”身体。

「手、つなごうか」

佑真がごく自然に言った。

「……はい……」

差し出された手を取る。
指が絡んだ瞬間、プラグの奥がピクリと跳ねる。

(この身体、もう……全部、つながってるみたい……)

駅前のショッピング通り。
カフェ、雑貨屋、アパレル、どこにいても自然に見える。

柊は何度も“誰かにバレていないか”という不安と、
“それでも見られたい”という快感のあいだで揺れていた。

(こんなに女の子の格好で、外を歩いてるのに……)

(中には……こんな、仕込みがあって……)

カフェで座った瞬間──
スカートの下、椅子の固さがプラグの角度をわずかに変える。

(ん……っ)

声は出さなかった。
でも、腰の奥が小さく震える。

佑真はなにも言わない。
ただ、テーブル越しに目だけを細めて見つめてくる。

(見られてる……。なにもされてないのに、……感じちゃってるの、バレてる)

そんな気がして、柊の脚はさらに内股になった。

「……歩こうか」

「……はい」

外に出た瞬間、冷たい風が襟元をすり抜け、
チョーカーの金具がかすかに冷たさを返す。

(誰にも気づかれずに、
でも、誰かに“ぜんぶ預けてる身体”で、歩くって──)

(こんなに……気持ちよかったんだ)

それは、支配されている快感でもあり、
“選ばれて連れてこられた”という幸福でもあった。
感想 2

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