光属性が多い世界で光属性になりました

はじめ

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皆んなを魔物から守ります!!

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 翌朝、皆んなで宿屋の美味しいご飯をモリモリ食べて、馬車に乗り出発した。今日の昼過ぎには先輩の領地に着く予定だ。

 狭い馬車の中に六人でギュウギュウに座りながら、領地の詳しい地図で配置などを確認している。

「まず、今厳戒態勢で領地の全ての門を閉じているはずだ。領地を囲う様に塀が立っていて、等間隔で攻撃を撃てる魔道具があるんだけど、それを消費してしまったらもう魔法の攻撃手段がなくなるんだ……騎士と、警備兵もそんなに居ないから籠城するとしてもそんなに持たない……だから、後3日の猶予しか………………」

 先輩は苦々しい顔をして、下を向く。焦りと心配で顔が青くなっている。すると、その顔にそっと両手を添えて上を向かせる。先輩の目がまあるく見開いて、顔が赤くなっていく。

「なっ……ち、近いよアデレイド嬢っ……」

 先輩の抗議をスルーしてアデレイドは喋る。

「先輩!先輩には私達が居ます、だから絶対に大丈夫です。私達で魔物を全滅させましょう!!」

 そう言うと、えへへっと笑顔で両手を離し、何事もなかったように元の席に戻るアデレイド。アーロンは真っ赤になりながら腕で顔を隠し、領地に着くまで自分を落ち着かせるのでいっぱいいっぱいになってしまった………
 
「アデル、距離感気をつけろよ?先輩困ってたじゃねぇーか」

「そ、そうだよ!アデレイド、僕にはあの距離でも大丈夫だけれど、他の人はビックリしてしまうから絶対にやめて欲しい!!」

 マークとアレクシスに注意された。先輩の不安を解いただけなのに、解せぬ…………そして、馬車に揺られ先輩の領地に辿り着いた。

 しかし、そこには三日の猶予などなかった。今にも陥落しそうなボロボロな城壁や、所々に火の手も回っている。更に魔物が塀の上からも押し寄せており何体かは侵入を許している様だった。

「そんな…………こんな事って…………」

 ボーゼンと立ち尽くしてしまった先輩の背中を思いっきり叩く。

 バシーーーーーンッ

「ボーッとしてる暇ないですよ!さぁ、すぐにでも戦って領内の人達を救い出しましょう」

 あまりにもいい笑顔で言われたので、恐怖ですくんだ体が徐々に戻っていく。なんだか、やる気まで出てくるのだから不思議だ。

「うん、そうだね僕達でやっつけるんだ!!」

「はい、その通りです!!さぁ皆んなでやっつけるよーー!!」

「「「「「おおーーーー」」」」」

 アデレイドは光の球で片っ端から魔物の頭を狙って攻撃していく。魔物の脳みそがそこかしこで飛び散り、次々と倒れていく。

「グッ……スタンピードじゃ無いですよね?これ…………なんでこんなに魔物が」

 ディランが空中の魔物を凍らせながら呟く。凍らせた魔物に剣でとどめを刺しながら次々と魔物を倒していく。

「でも、そうじゃ無いとこんな魔物の量、説明がつきませんわ」

 火魔法で魔物を燃やしながらローズが叫ぶ。ローズの火魔法は綺麗だった。火で作られた鳥や蝶、狼等がそれぞれ魔物をやっつけていくのだ。

「だとしたら、これを放置してる国はやべーけどなっと、あぶねぇ、いつもより魔物も強い気がするな」

 魔物をゴーレムと土魔法で倒していくマーク。不敬罪と言われてもおかしく無い発言で危なっかしい………

「マーク、貴様何が言いたい?……確かにこれを放置したのは、、クソッ、魔物が多いな」

 アレクシスは四属性の魔法を器用に使い、魔物を倒していく。周りに騎士団も付いておりアデレイドの次に魔物を多く倒している。腐っても王子、やはり属性が多いと戦いのバリエーションも多く沢山魔物を倒している。アデレイドはその戦いぶりには嫉妬を覚える。自分も他の属性を使えたらもっと上手く使う筈だ、と、

 そして、先輩の土魔法も凄かった。草木を成長させて植物で魔物を倒していた。花は綺麗だが、魔物の穴という穴から花や木が生えているのはちょっと気持ち悪かった

(先輩、顔に似合わずグロイ戦い方なのね……)

 と戦いの最中で少し顔を引き攣らせながら戦っていると、アデレイドのサーチに巨大な魔力が引っかかる。

(この魔力、まさか……魔人?)

 アデレイドは一気に殺気立つ。魔王の事はなんとも思わないが、魔人の事は許したわけでは無い。魔人の元へ行こうとしたその時、魔人が自らこちらにやってきた。そして、アデレイド達を前に叫び始めた。

「人間ども、素直に俺が操ってる魔物で死んだ方が良かったんじゃ無いか?俺たち魔人には敵わないんだからさぁ~、余計な苦痛を味わいたくなかったら今すぐにここで魔物に喰われて死にな!ほらほらぁ~言うこと聞かないって言うんなら、そこのお前から殺してや…………るグハッ」

 ローズを指さして何かしようとしていた魔人に、光のロープを巻きつけた。そのロープをさらにきつく縛り上げる。魔人からは苦しそうに「グッッ」と声にならない声が聞こえて来る。アデレイドは憎しみを込めて光の剣で魔人の頭を跳ね飛ばした。跳ね飛ばした際に血が飛び散りアデレイドを汚していく。

 「「「アデル…………」」」
   「アデレイド…………」
   「アデレイド嬢………」

 皆、それぞれアデレイドの名前を呼んだ……

 アデレイドはゴミを見るような目で魔人の亡骸を見ていた。いつもとは違う一面を見てしまい全員が息を呑む、そんな中ローズが言葉を続けた。

 「アデル……無理しないで……お願い……」

 その言葉を受けてアデレイドは我にかえる。血まみれの自分を見返してやってしまった……と思った。なぜこの場所を襲ったかなど聞かなかった事を悔やんだ、しかし、ローズ達は精神的な意味でアデレイドの心配をしていたのだが、恐らくそれは伝わらなかった、、

 そして、魔人が倒れた後操られていた魔物達は統率を失い混乱し、魔物同士での争いが始まってしまう。戦場は混乱して暴れ回る魔物達の討伐に切り替わる。アデレイド達は魔物を討伐する事に全力を注ぐ。

 先ほどとは違い、魔物の中でも比較的弱い魔物は逃げていった為、数がだいぶ減り、領地からの攻撃も助けとなり思ったよりも早くに魔物を退治することができた。

「はぁ、はぁ、やっと魔物をやっつけたね…みんなありがとう!!」

  汗を拭いながら先輩が笑顔で皆んなに話しかける。皆んなは服も顔もドロドロで疲れ切っていたが、スタンピード並の魔物を退治した高揚感で目がギラギラしていた。

「先輩!とりあえず中の人達が無事か見に行きませんか?」

  先輩は、ハッとし「そうだね」と急いで領地の門へ走り出す。アデレイド達も先輩に続いて走り出す。

  先輩に続いて門を走り抜ける。門も門の中も所々襲撃の跡があって痛々しい。そのまま走りながら辿り着いたのは豪華な屋敷だった。しかし、魔物の余波で窓や屋根が一部壊されている。そんな屋敷の中から眼鏡をかけた一人の老人が走ってこちらに向かって来る。

「坊ちゃま!!あぁ……私達わたくしたちを助けに来てくださったんですね。ありがとうございます。坊ちゃまのおかげで無事になんとか持ち堪えられました!あぁ、こんなに逞しくなって!!じぃは感動しておりますぞ!!」

 涙を流しながら先輩の前で饒舌に語る老人。執事か何かかな?と思っていると、こちらに向き直り話し始める。

わたくしとした事が、大変失礼致しました。皆様お初にお目にかかります。わたくしこの家の執事をしておりますビスコッティと申します。皆様も私共の領地を救いに来てくださったんでしょうか、誠にありがとうございます。今我が家の当主は街の安全を確認しに見回りに行ってますので、戻って来るまでの間、どうか、お召し物など替えをご用意致しますのでどうか中でお寛ぎください」

 一人一人丁寧にもてなされる。しかし、途中王子がいる事に気がついた執事は部屋を特別用意すると提案したが、アデレイドと離れるのが嫌だった為皆んなと同じ部屋で待機する事になった。

 先輩の父親は夕食になっても帰ってこなかった。それだけ街が大変なのだと思い知った。もう少し早く着いていればなどと思った所で間に合わなかったものはしょうがない。

 翌朝、朝食の時には先輩の父親、領主様が待っていた。

「息子から詳しい事情は聞きました。力を貸してくれて本当にありがとうございました。皆さんの力がなかったら今頃この土地は無くなっていたでしょう。被害が思ったよりも少なく済んだのも皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。今は襲われた直後でたいしたおもてなしもできませんが、我が家でゆっくりしていってください」

 先輩に似てとても優しそうな雰囲気のお父様だった。

「所で、魔人が出たと聞きました…………その話は本当なのですか?」

 アーロン先輩のお父様が真っ直ぐにアデレイド達を見つめる。張り詰めた空気がその場を支配する。

「はい、魔人が魔物を操っていたと魔人自ら話していました」

 その後、はぁ……と悩ましい溜め息が聞こえ、暫くの沈黙の後、

「教えてくれてありがとう。上に報告をあげたいから後でもう少しその時の状況を教えてくれますか?」

 先輩のお父様の声はとても優しく、とっても良いお声だった。その声にアデレイドは顔を赤くして素直に頷いた。(アデレイドは可愛い子供以外にもイケボにも弱かった)

 そして、数日先輩の家で聞き取りや、のんびりと疲れを癒した後、帰る事になった。先輩の家から帰る馬車ではローズと王子に挟まれとても気まずい帰り道になった。二人の仲を取り持ちたいのに王子がアデレイドの話しかほぼ聞いていないのだ……その度にローズの悲しい顔を見てしまい王子にブチ切れ(不敬にならない程度に)無視し、を繰り返して家に着く頃には心は疲弊しきっていた。

「なんなの!!あのバカ王子!!最悪!最悪!最悪!ローズの気持ち考えろーーー!」

 枕をタコ殴りにしてアデレイドはボフッっと布団に倒れ込んだ。

「お嬢様、大声は夜はやめましょうね?可愛い声ですけどはしたないですよ!布団掛けますからこの可愛い足を退けてください」

 ニーアが優しく布団をかけてくれる。拗ねた瞳でニーアを見つめると

「そ、そんな可愛い顔で見つめてもダメですからね、もう!!グッかわいい……私のお嬢様がかわいい……」

 そんなやり取りをして、日常の癒しを摂取したアデレイドは眠りについた。

 その後王宮に呼び出しをくらう事になるとは、この時夢にも思っていなかったのである。
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