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第3章 この人が欲しい
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恋人でいられる期間は残り二日。唯が処女を失うまでという話だったのだから、旅行の帰りは元の関係に戻っているだろう。
そうなると、千歳と共に夜を過ごすのも後二回となる。
――唯が順調に処女を喪失できれば、の話なのだが。
(でも、旅行までする必要はないのに……)
やることが大袈裟だ。
しかし、ここまでされると直前になって「やっぱり無理」などと言えなくなるだろう。そういう意味では唯の性格をよく知っていると関心できるが、本当にそれだけが理由なのだろうか。
どれほど考えたところで、唯には千歳の心情など予想もできない。だが、悪いようにはしないはずなので、何としてでも知っておかなければならないことでもなかった。
今するべきは、明日の準備だろう。
いくら別荘とはいえ、女性が必要なものを揃えているとは限らない。薬以外は準備しなくてもいいと言っていたが、用意された服や下着がどんなものかは分からなかった。
(……下着は絶対に多めに持って行かないと)
千歳の長時間続く愛撫によって、着ていた下着はいつもぐちゃぐちゃになるので、朝は別の下着に着替えている。一日に二枚も下着を洗う日々。下着だけは毎日手洗いしている唯は、パンツを洗うたびに何とも言えない感情に苛まれていた。
ほどなくして明日の用意は終わり、唯はリビングに入る。
千歳はソファーでのんびりと読書をしていた。彼は用意するものなどないのだろう。
「準備、終わったんですか?」
「千歳さんは何も準備する必要なさそうですね……」
「連絡はしておきましたよ。必要なものは揃えてもらえるので」
「軽井沢の別荘に行って、いつもは何をしているんですか。私、泊まりに必要なものは揃えたんですけど、軽井沢って行ったことがなくて」
「うーん……のんびりしていることが多いですね。仕事が忙しい分、別荘では一日中、本を読んでいることもあるし、絵を描くこともあります。後は時期が良ければ登山か、もしくは周囲を散歩していますよ」
なるほど、これがのんびり。
唯も読書はするが、千歳の読んでいる本と同じレベルのものは読めそうにない。様々な分野の専門書を読んでいるのは、ここ数日で確認していた。勉強というよりは、好奇心を満たすための読書なのだろう。タイトルを見ても会社とは何の関係もなさそうなものが多かった。
「でも、明日は唯がいるので……二人でできることをしたいですね」
まっすぐに見つめてくる視線に、唯はたじろぐ。
「明日は何時に出ますか」
「そうですね……あんまり具体的に何時かは決めてなかったです。お互い起きて、用意ができてからで」
「分かりました」
突発的に決まった旅行のようなものだから、細かい予定を決めることはなかった。唯は秘書として千歳の予定を整理する時は、これでもかと時間を厳しく計算していたから流れに身を任せるような日程は新鮮だった。
「じゃあ、私はこれで……」
「寝ますか?」
「はい。でも、今日はもう一緒に寝なくてもいいですよね」
「そうですか?」
「だってもう……色々と充分じゃないですか」
唯は昨晩のことを思い返す。しかし一日経って冷静になったとしても、千歳とやりたくないなどとは思えなかった。痛みは怖いが、体を触れあわせるだけの夜を一日増やしたところで痛みが和らぐとは思えない。ただ、もう彼とする覚悟はできている。それなら、触れる時間を増やす必要もない。
──というより、自信がなかった。
一日冷静になる時間がなければ、明日、唯は千歳に本気になってしまいそうだった。
養子とはいえ、千歳が御曹司であることに変わりはない。一週間近く、彼との環境の差をこれでもかと知ったのだ。
唯の立ち位置は千歳の隣ではなく、後方。
それが正しい。
千歳は唯をこれ以上ないほど女性扱いしてくれるが、それだけだった。
恋心を抱けば、苦しくてたまらない日々が待っている。
ならば最初から千歳の提案を断るべきだったのだが、その時は二年近くそばにいたのだから大丈夫だと慢心していたのだ。
恋人扱いされることが、こんなにも心を乱されるとは思わなかった。
(好きになりたくない……)
そう思う時点で、かなり傾いている。けれど唯の現実的な考えと理性によって、その報われない感情をどうにか抑えていた。
(届くかも、なんて思ったらだめだ)
手を伸ばせば届くと勘違いすれば、いつか秘書としてそばにいることもできなくなる。
「唯がそういうのなら……今日は何もせずに寝ましょうか」
(ほら)
唯の提案に、千歳は苦笑するだけで頷いた。残念そうでも何でもない。あっさりと了承する姿に、唯は改めて自身を戒める。
「明日のためにも、今日はたくさん寝てください」
「そうします」
千歳のマンションで過ごすようになってから、部屋を与えられているのにまともにそこで寝ていなかった。
「あ、でも唯」
「何ですか」
思い出したとばかりに千歳は唯に近づく。わざわざそばに寄らなければならないほどの用事があっただろうか。
「おやすみなさい」
音もなく、額に千歳の唇が触れる。
唯が目を見開くと、嬉しそうに破顔した。
「……あ」
こういう人だった。
「わ、私、千歳さんのことを好きになるようなことがあったら、秘書を辞めますから」
驚きすぎて出た声に、唯はすぐに後悔する。こんなのは、ほとんど認めたようなものだ。
「はい」
「はいって……」
あっさりと返されて、唯は泣きそうになった。清々しいほど、引き止めようという態度がない。短い返答は、真実そう思っていることを物語っていた。
「唯?」
千歳の秘書になる人はなかなか続かない。そんな中、唯は秘書として働き続けた。最初は社長を安心させるためだけのお飾りみたいな秘書だったけれど、千歳の働きぶりを近くで見ていたらすこしでも負担を減らしたいと思った。頑張れば頑張るほど認めてもらえて、そんな日々が嬉しくてたまらなかった。
秘書として、必要とされていると思っていた。
けれどそれさえ、自惚れなら。
(ただの人助け……なのかな)
だとしても、必要ないと拒否することはできなかった。
今の唯には千歳が必要だ。
千歳には、唯が必要ではないけれど。
「私、もう寝ますね」
唯は千歳に当たることなどできない。彼が唯にしてくれたことは何もかも善意だ。そこに甘え、数日うんと助けられた。善意の中に、期待する感情が欠片も含まれていなかったからと言って、怒るのはあまりに勝手だろう。
(これで良かったと思わないと)
冷静になれた。雰囲気に呑まれて、千歳に恋愛感情を向けずに済む。だってこれほど、痛い目に遭ったのだ。
(いや、もう手遅れなのかな……)
ほとんど使っていない用意された自室に入るなり、唯の涙腺が緩む。耐えていた感情が勢いよく解けていく。
今まで自身に言い聞かせてきた言葉が幾つも蘇った。
一生届くことのない天上の人。
恋よりも仕事優先の人。
愛よりも責任の人。
気軽に恋愛できるような人ではない。
住む世界が違う。
千歳に対し、仕事と関係のない余計な感情を抱かないからこそ、秘書としていられる。
分かっていたから、唯はずっと避けてきた。彼を好きになってしまうと予感した時、仕事帰りに二人でご飯なんて行けなくて――一般人の男性を好きになろうと必死で探した。
一矢と付き合うようになって、千歳とは会社での付き合いだけになり、ぐらついていた心は穏やかになった。もう大丈夫、そう思えた。好きになりかけていた事実さえ、忘れるくらいに。
なのに、千歳の手を取ってしまった。
まさかこんなに恋人らしく接してくるとは思わなかったのだ。
一人の大切な女性として扱われることも――
心も体も守ってくれるような優しい抱擁も――
愛おしいと言わんばかりの甘い視線も――
いつか本当の恋人に向けられるものなのに。
(期間限定の恋人だけど、千歳さんが私に脈がないことは分かりきっているし……)
望みなんてない。
どんなに体が触れても、分かりやすいくらい千歳が焦ったことはない。
期間限定の恋人だから、千歳のお見合いが中断されることもない。
苦しくてたまらないのに、この関係を止めようとは言えなかった。
こんなに辛いのに、旅行には行こうとしている。
それはきっと甘くて苦しい思い出になると分かっていても、唯にはもう自分から千歳の手を解くことができないからだ。
そうなると、千歳と共に夜を過ごすのも後二回となる。
――唯が順調に処女を喪失できれば、の話なのだが。
(でも、旅行までする必要はないのに……)
やることが大袈裟だ。
しかし、ここまでされると直前になって「やっぱり無理」などと言えなくなるだろう。そういう意味では唯の性格をよく知っていると関心できるが、本当にそれだけが理由なのだろうか。
どれほど考えたところで、唯には千歳の心情など予想もできない。だが、悪いようにはしないはずなので、何としてでも知っておかなければならないことでもなかった。
今するべきは、明日の準備だろう。
いくら別荘とはいえ、女性が必要なものを揃えているとは限らない。薬以外は準備しなくてもいいと言っていたが、用意された服や下着がどんなものかは分からなかった。
(……下着は絶対に多めに持って行かないと)
千歳の長時間続く愛撫によって、着ていた下着はいつもぐちゃぐちゃになるので、朝は別の下着に着替えている。一日に二枚も下着を洗う日々。下着だけは毎日手洗いしている唯は、パンツを洗うたびに何とも言えない感情に苛まれていた。
ほどなくして明日の用意は終わり、唯はリビングに入る。
千歳はソファーでのんびりと読書をしていた。彼は用意するものなどないのだろう。
「準備、終わったんですか?」
「千歳さんは何も準備する必要なさそうですね……」
「連絡はしておきましたよ。必要なものは揃えてもらえるので」
「軽井沢の別荘に行って、いつもは何をしているんですか。私、泊まりに必要なものは揃えたんですけど、軽井沢って行ったことがなくて」
「うーん……のんびりしていることが多いですね。仕事が忙しい分、別荘では一日中、本を読んでいることもあるし、絵を描くこともあります。後は時期が良ければ登山か、もしくは周囲を散歩していますよ」
なるほど、これがのんびり。
唯も読書はするが、千歳の読んでいる本と同じレベルのものは読めそうにない。様々な分野の専門書を読んでいるのは、ここ数日で確認していた。勉強というよりは、好奇心を満たすための読書なのだろう。タイトルを見ても会社とは何の関係もなさそうなものが多かった。
「でも、明日は唯がいるので……二人でできることをしたいですね」
まっすぐに見つめてくる視線に、唯はたじろぐ。
「明日は何時に出ますか」
「そうですね……あんまり具体的に何時かは決めてなかったです。お互い起きて、用意ができてからで」
「分かりました」
突発的に決まった旅行のようなものだから、細かい予定を決めることはなかった。唯は秘書として千歳の予定を整理する時は、これでもかと時間を厳しく計算していたから流れに身を任せるような日程は新鮮だった。
「じゃあ、私はこれで……」
「寝ますか?」
「はい。でも、今日はもう一緒に寝なくてもいいですよね」
「そうですか?」
「だってもう……色々と充分じゃないですか」
唯は昨晩のことを思い返す。しかし一日経って冷静になったとしても、千歳とやりたくないなどとは思えなかった。痛みは怖いが、体を触れあわせるだけの夜を一日増やしたところで痛みが和らぐとは思えない。ただ、もう彼とする覚悟はできている。それなら、触れる時間を増やす必要もない。
──というより、自信がなかった。
一日冷静になる時間がなければ、明日、唯は千歳に本気になってしまいそうだった。
養子とはいえ、千歳が御曹司であることに変わりはない。一週間近く、彼との環境の差をこれでもかと知ったのだ。
唯の立ち位置は千歳の隣ではなく、後方。
それが正しい。
千歳は唯をこれ以上ないほど女性扱いしてくれるが、それだけだった。
恋心を抱けば、苦しくてたまらない日々が待っている。
ならば最初から千歳の提案を断るべきだったのだが、その時は二年近くそばにいたのだから大丈夫だと慢心していたのだ。
恋人扱いされることが、こんなにも心を乱されるとは思わなかった。
(好きになりたくない……)
そう思う時点で、かなり傾いている。けれど唯の現実的な考えと理性によって、その報われない感情をどうにか抑えていた。
(届くかも、なんて思ったらだめだ)
手を伸ばせば届くと勘違いすれば、いつか秘書としてそばにいることもできなくなる。
「唯がそういうのなら……今日は何もせずに寝ましょうか」
(ほら)
唯の提案に、千歳は苦笑するだけで頷いた。残念そうでも何でもない。あっさりと了承する姿に、唯は改めて自身を戒める。
「明日のためにも、今日はたくさん寝てください」
「そうします」
千歳のマンションで過ごすようになってから、部屋を与えられているのにまともにそこで寝ていなかった。
「あ、でも唯」
「何ですか」
思い出したとばかりに千歳は唯に近づく。わざわざそばに寄らなければならないほどの用事があっただろうか。
「おやすみなさい」
音もなく、額に千歳の唇が触れる。
唯が目を見開くと、嬉しそうに破顔した。
「……あ」
こういう人だった。
「わ、私、千歳さんのことを好きになるようなことがあったら、秘書を辞めますから」
驚きすぎて出た声に、唯はすぐに後悔する。こんなのは、ほとんど認めたようなものだ。
「はい」
「はいって……」
あっさりと返されて、唯は泣きそうになった。清々しいほど、引き止めようという態度がない。短い返答は、真実そう思っていることを物語っていた。
「唯?」
千歳の秘書になる人はなかなか続かない。そんな中、唯は秘書として働き続けた。最初は社長を安心させるためだけのお飾りみたいな秘書だったけれど、千歳の働きぶりを近くで見ていたらすこしでも負担を減らしたいと思った。頑張れば頑張るほど認めてもらえて、そんな日々が嬉しくてたまらなかった。
秘書として、必要とされていると思っていた。
けれどそれさえ、自惚れなら。
(ただの人助け……なのかな)
だとしても、必要ないと拒否することはできなかった。
今の唯には千歳が必要だ。
千歳には、唯が必要ではないけれど。
「私、もう寝ますね」
唯は千歳に当たることなどできない。彼が唯にしてくれたことは何もかも善意だ。そこに甘え、数日うんと助けられた。善意の中に、期待する感情が欠片も含まれていなかったからと言って、怒るのはあまりに勝手だろう。
(これで良かったと思わないと)
冷静になれた。雰囲気に呑まれて、千歳に恋愛感情を向けずに済む。だってこれほど、痛い目に遭ったのだ。
(いや、もう手遅れなのかな……)
ほとんど使っていない用意された自室に入るなり、唯の涙腺が緩む。耐えていた感情が勢いよく解けていく。
今まで自身に言い聞かせてきた言葉が幾つも蘇った。
一生届くことのない天上の人。
恋よりも仕事優先の人。
愛よりも責任の人。
気軽に恋愛できるような人ではない。
住む世界が違う。
千歳に対し、仕事と関係のない余計な感情を抱かないからこそ、秘書としていられる。
分かっていたから、唯はずっと避けてきた。彼を好きになってしまうと予感した時、仕事帰りに二人でご飯なんて行けなくて――一般人の男性を好きになろうと必死で探した。
一矢と付き合うようになって、千歳とは会社での付き合いだけになり、ぐらついていた心は穏やかになった。もう大丈夫、そう思えた。好きになりかけていた事実さえ、忘れるくらいに。
なのに、千歳の手を取ってしまった。
まさかこんなに恋人らしく接してくるとは思わなかったのだ。
一人の大切な女性として扱われることも――
心も体も守ってくれるような優しい抱擁も――
愛おしいと言わんばかりの甘い視線も――
いつか本当の恋人に向けられるものなのに。
(期間限定の恋人だけど、千歳さんが私に脈がないことは分かりきっているし……)
望みなんてない。
どんなに体が触れても、分かりやすいくらい千歳が焦ったことはない。
期間限定の恋人だから、千歳のお見合いが中断されることもない。
苦しくてたまらないのに、この関係を止めようとは言えなかった。
こんなに辛いのに、旅行には行こうとしている。
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