【R18】逆上がりの夏の空

藤原紫音

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第4話「絵里衣に女子寮に連れ込まれて、性的いたずらをされること」

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 六年生から一年生までの生徒で集団になって下校する。みんなランドセルを背負う。他の小学校では、五年生になれば好きなカバンを使えるのだけど、この学校はランドセルが必須になっている。

 昨日まで露杏奈たちの通学班で通っていたのに、今日は蒼汰や野田亮二と同じ班で帰る。銀縁眼鏡をかけた賢い野田亮二が、ぼくの自宅までの通学路は、梅里街道に迂回する露杏奈たちの班より、亮二たちの班の方が短いと気づいて、班の変更を先生に提案した。論理的で完璧で、忖度そんたくのない優等生のやることだ。なるほど、ぼくは野田亮二のこういうところが好きになれなかったんだ。悪いやつではないんだけど、完璧な善意で人を平然と傷つけるところがある。

 ぼくは集団下校の列の一番うしろで、六年生が一番前、真ん中あたりに亮二と蒼汰がいる。十字路を曲がってお寺の近くで亮二が帰宅し、細い路地に入って図書館の近くで蒼汰がみんなにバイバーイと元気よく手をふる。この班のルートでは、大杉タウンの裏側を経由してからぼくの自宅前を通るのだけど、すごく遠回りだ。

「ぼく、こっから近いんで」

 ぼくの前を歩く六年生に声をかけて、ぼくは列を離れる。中学校の脇を通るのが近道だ。細い路地を小走りで進む。複雑な五差路ごさろに出て、自宅マンションまであと五十メートルのところ。
 不意に、ぼくは中学校の制服を着た女の子二人に腕を掴まれる。

「乃蒼くん、藤原乃蒼くんでしょ?」
「やばい、可愛い!」
「いま帰りなの? ねえ、これから暇?」

 知らない子。榛東しんとう文化女子中学校の制服を着ていて、髪を二つ結びにした綺麗な子と、ショートボブの可愛い子。ふたりともぼくより背が高くて、腕を掴む力も強い。女の子の甘い匂いを撒き散らして、ぼくを拉致して離さない。
 記憶がぱっと蘇る。そうだ、かつてぼくが純朴な小学生だったとき、おなじように近道したら、この二人に腕を掴まれた。そのときはびっくりして、恐ろしくて、この腕を無理矢理振り払って逃げ出して、それっきりだった。

「えっと……どなたですか?」
「あたし、櫛田唯のお友達で、絵里衣えりいって言うの。この子は玲蘭れいら」と二つ結びの子が言う。
「唯ちゃんの友達?」
「そう、乃蒼くんのこと聞いて、アタシたち、色々お話ししたいことがあるんだ。ね、忙しくなかったら、ちょっと寄っていかない? 家近いの?」
「うん、すぐそこのマンション」
「めっちゃ近いじゃん。ね、お菓子とかあるよ、ちょっとだけだから、おいでよ」とショートボブの子が、背後の建物を指差す。

 高いフェンスに鉄条網が引かれたこの謎の建物は、榛東文化女子中の女子寮だ。朝早い時間に、この女子寮から制服の女の子たちが近くの中学校へ通う姿をみたことがある。

 * * *

 二人は強引にぼくを引っ張って、女子寮の鉄の門をくぐらせる。玲蘭がエントランスに消える。絵里衣がぼくの手首を掴んで、建物の裏に回る。寮生以外は勝手に入ってはいけないはずだ。ぼくが入寮していた大政高校の男子寮も、寮生以外を連れ込むには申請がいる。

「あの……ぼく、やっぱり」

 雑草が生えた裏口の前で、絵里衣が人差し指を唇につけて、静かにしてね、と囁く。とても悪いことをしている気がして、ひどく焦る。カチャリと裏口の鍵が開いて、玲蘭が顔を覗かせる。

「今、誰もいないよ」

 ぼくは絵里衣に引っ張られて女子寮に入る。靴を脱がされる。
 脱いだ靴を持って、階段を駆け登って、廊下を小走り。大政高校男子寮と全然違う、女の子の匂いが充満する。突き当りのドアを開いて、玲蘭と絵里衣に連れ込まれる。

 そこは二人部屋で、正面に大きな窓があって、机が二つ並び、左右の壁際にベッドが置かれて、クローゼットの脇に姿見があって、ランドセルを背負ったぼくの姿が映る。壁に替えの制服や着替えがかけられ、ベッドにはチェックのシーツ、机に山羊のぬいぐるみが置かれて、むせ返るような女子の芳香ほうこうが立ち込める。妹の亜香里の部屋は、こんなに可愛くない。

「ね、こっち座って」

 ランドセルを下ろす。絵里衣がぼくをベッドに座らせる。エアコンをつける。亜香里はじぶんのベッドにぼくが腰掛けることをとても嫌がるのに。
 絵里衣と玲蘭がぼくを左右から挟む。くすくす笑いながら、二人がぼくの太腿に手をのせる。

「乃蒼くんって、つきあってる子とかいるの?」
 絵里衣が訊く。
「いないです」
「好きな子は?」と玲蘭。
 露杏奈のことを思い浮かべるけれど、あんなに綺麗な子はきっと男子ならみんな好き。
「……とくに、いないです」
「いま、間があった」
「なんかハーフの天使みたいな子いるでしょ、ロアナちゃんだっけ? あの子は?」と絵里衣。
「露杏奈ちゃんは、席が隣で……」
「えーっ、隣なの? あんな可愛い子が隣だったら落ち着かないんじゃない?」

 そう言って、絵里衣がぼくの股間を撫でる。ハーフパンツの上からおちんちんを触る。ぼくは腰を引くけど、絵里衣は手を離さない。布越しに柔らかくマッサージされる。ぼくは顔がみるみる熱くなる。ひどく緊張して、膝が震える。玲蘭がベッドにのぼって、ぼくの背中を抱く。

「いま五年生だよね?」と玲蘭が訊く。
「そうです」
「セックスってわかる?」
「……一応」
「セックスって何?」
「えっと、男の人と、女の人が、愛し合って……その、合体すること」
「どこが合体するの?」
「おちんちんが……おまんこに……、あっ……んっ」

 背中を抱いた玲蘭が、シャツの上からぼくの乳首を爪弾く。チクリとした思いがけない刺激に、めちゃくちゃエロい声が出る。

「ウフフ、びんかーん」と玲蘭が耳元で囁く。

 ふたりともぼくを小学五年生とおもっているけれど、中身は高校一年生だ。だけど、男子校に通っていたぼくは童貞だし、ここまで女の子に密着されたことも、股間を撫でられたこともない。未知の羞恥と緊張と焦燥と不安と期待がもつれて、ベッドの上で座ったまま動けない。
 女の子に取り囲まれるのは初めてではないけれど、こういう状況でぼくはいつも畏れて逃げた。底しれぬ甘い魔力を、それは決して溺れてはいけないものだと、誰に教わったわけでもなく、本能が忌避するのだから仕方がない。

「乃蒼くんって、エロいこと興味なさそうなのに、ちゃんと知ってるね」と玲蘭が感心する。
「もう五年生なので……」
「そうだよね、もう子供じゃないもんね。だから、ほら、こんなにガチガチ。みて玲蘭、さわってみて、すごいよ」
 絵里衣がハーフパンツの布をおちんちんに巻き付ける。その上から玲蘭が指先を絡める。
「あははっ、すっごい、おっきい」
「ね、おっきいよね」
「顔可愛いのにね」
「乃蒼くん、暑い?」
「うん、少し」

 絵里衣がぼくのこめかみに流れる汗を指先で拭う。ヘッドボードの上のリモコンを取って、エアコンの温度を下げる。涼しい風が流れる。

「暑いなら脱ごっか」
「えっ、やだ……」

 絵里衣がぼくのハーフパンツのホックを外す。ジッパーを下ろす。部屋の外の廊下を誰かが歩く足音が聞こえる。犬の鳴き声と、バイクが走り去るおと。壁にかかったシャツと巻きスカートがエアコンの風に揺れる。玲蘭がぼくを羽交い締めにして、絵里衣がハーフパンツを下着のパンツごと足首まで下ろす。勃起したおちんちんが反り返る。

「やっば、長ーい」と絵里衣が驚いた声をあげる。
「大人サイズじゃん、乃蒼くん逞しいね」と玲蘭。
「やめてください……」

 ぼくは蚊の鳴くような声で抗議する。恥ずかしくてたまらないのに、玲蘭がぼくを羽交い締めにする力はとても強くて抗えない。
 絵里衣がベッドから降りて、ぼくの下着とハーフパンツを靴下ごと脱がす。両脚の間に座り込んで、勃起したおちんちんを握って、つるりと舐める。上目遣いでぼくをみる。先っぽを咥えて、ぬちゅるるるっと飲み込んでしまう。

「やっ、いやっ、あーっ、んむ……んーっ」
 玲蘭がぼくの口を手で押さえる。
「しーっ、静かに。壁薄いんだから」
「んふ……んーっ、んっ……」

 絵里衣がぼくのおちんちんを喉の奥まで飲み込んで、ちゅっこ、ちゅっこ、じゅっぽ、じゅっぽ、と行儀の悪い音を立てて頭を上下させ、二つ結びの長い髪がぼくのお腹を撫でる。太腿を両腋でおさえつけて、ぼくを動けなくする。
 玲蘭がぼくに横を向かせて、肩越しにキスをする。つるつるしたお菓子の匂いがする唇が、ぼくを求めてぬるぬるとうごめく。玲蘭の指先が、薄いTシャツの上から乳首をくすぐる。
 二人がぼくをおさえつける力はとても強くて怖くて、全身に力が入るのだけど、唇とおちんちんをにゅるにゅると愛撫されて、身体が溶けるような快感に鳥肌が立つ。玲蘭の耳とショートボブの髪の向こうに、入り口のドアにかかったカレンダーが二〇一三年の六月になっているのをみつける。確かにぼくは五年前にタイムリープした。だけど、女の子にフェラチオされた記憶なんて無い。

「じゅるっ、んはぁ、はぁ、はぇ……乃蒼くん、おっきくて、硬い……」
「絵里衣、あたしも舐める」

 玲蘭が力を緩めた瞬間、ぼくは立ち上がって逃れようとする。二人に両腕を捕まれ、ベッドに引き倒される。声を出そうとするぼくの口を玲蘭が押さえる。

「静かにしてって言ってるでしょ」

 二人はぼくのシャツを脱がして、脱がしたシャツで両腕を縛る。更に充電ケーブルでベッドのヘッドボードの穴に結びつける。怖くて、恥ずかしくて、抵抗できない。声も出せない。
 ぼくは全裸で、結ばれた両腕を掲げたまま仰向けで動けず、両脇に絵里衣と玲蘭が寄り添う。ぼくの胸につーっと舌を滑らせる。乳首を舌先でくすぐり、ぬるぬると舐め回す。吸いつく。舌先で抉る。きもちよくて、おもわず胸を張る。はじめての快感に身をよじる。反り返ったおちんちんを、玲蘭がちゅるりと躊躇ためらいなく飲み込む。こんどは絵里衣がぼくとキスをする。

 二〇一八年から二〇一三年に時間が戻ったことをきちんと飲み込めていないまま、記憶にまったくない年上の女の子二人に拉致されて、性的ないたずらをされている。唯の友達と言っていたけれど、それ以外にこの二人のことはなにもわからない。
 ぼくは中身は十五歳だけれど、女の子に免疫のない男子校の童貞だ。男だけの空間で三年も過ごすと、女子と触れ合うことが怖くなる。女の子はテレビやタブレットごしにみるもので、触れ合うものとは考えられなくなっていた。
 にゅるにゅると柔らかく全身を愛撫されているのに、からだじゅうの緊張が解けない。三年かけてガチガチに固められた理性が筋肉を硬直させて必死で抗うのに、いちばん敏感な部分をにゅるにゅると溶かされて腰が抜けそう。

「ねえ、玲蘭、エッチしちゃう?」と絵里衣がフェラチオする玲蘭に言う。
「んむ、しちゃう? 結構おっきいよ」
「オイルあるし、ちょっとだけ挿れてみようよ、無理だったらやめとこ」

 二人はくすくす笑いあう。身体を起こして、ショーツを脱ぐ。制服のスカートも脱ぐ。ブラウスのボタンを外しながら、絵里衣がぼくの股間を跨ぐ。玲蘭がぼくの頭を跨ぐ。絵里衣が小さなボトルから透明のオイルをおちんちんに垂らす。くちゃくちゃと塗りたくる。そのマッサージがきもちよくて、ガチガチに勃起してしまう。
 絵里衣がつるつるの股間を反り返ったおちんちんに押し付ける。身体を前後に波打たせ、割れ目で挟んでちゅるちゅるマッサージする。絵里衣と玲蘭がキャミも白いスポーツブラも脱いで、ベッドの上に脱ぎ散らかす。ベッドが軋る。窓の外で、小鳥のさえずる声が響く。

 ぼくの目の前で、玲蘭の無毛の割れ目を絵里衣が拡げて、指を二本挿れる。ちゅるちゅる出し挿れする。絵里衣と玲蘭がキスをする濡れた音と、甘い声がきこえる。

 壁の時計が玲蘭のお尻でみえない。そろそろ妹も帰宅しているころだ。ぼくが入院した日の前の晩に、何かが原因で喧嘩をしたんだ。仲直りしなきゃいけない。

「あの……ぼく、今日、用事が……」
「乃蒼くん、きもちいい?」と絵里衣。
「はい、あっ……きもちいいですけど」
「もっと、よくしてあげる」

 甘く囁いて、絵里衣がおちんちんを摘んで、自分の割れ目におしつける。
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