妹とそんなに比べるのでしたら、婚約を交代したらどうですか?

慶光

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№6 いきなりの選択

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「レイラ、会いたかったぞ」

「ありがとうございます、ホルムズ様」

「ツインズ伯爵も出迎えご苦労だったな」

「いえ、とんでもございません……ナイトメア侯爵」

「それから……」


 ホルムズはレイラとクワッドの二人と挨拶を交わした後、ローラの方向に視線を向けた。ローラもそれに気付いてたが、お互いに無言の状態が続く。挨拶はしたくない、というローラの感情が出ており、ホルムズも同じ考えなのだろう。


「ホルムズ様……どうして屋敷へいらっしゃったのですか? 本来であれば、私がホルムズ様の屋敷へ向かう手筈だったと思いますが……」

「ああ、それはだな。レイラの手間を省いてやろうと思ったまでだよ」


 ホルムズはローラから視線をレイラに移した。そして、ニヤリと笑い始める。ローラはレイラが身震いをしているのを見逃さなかった。不気味に映っているのかもしれない。


「お気遣いいただいたことは、非常に光栄なのですが……内容が内容だけに、あまり姉の前で話したくはなかったのですが……」

「そうか? 別に構わないと思うがな。私はローラではなく、活発なお前の方が好きなのだ。ローラとは別れて、レイラと婚約をする。ただ、それだけの話だろう?」

「それだけの話……」

 あまりに軽いホルムズの態度に、レイラは何を思うのか……その表情は明らかに変化していた。ローラから見ても、妹の表情の変化は重要だった。彼女の心情が分かるからだ。

 レイラはやはり、ホルムズとの婚約など望んでいない……ローラにはそのように映っていた。


「ナイトメア侯爵……話が見えてこないのですが、要はこの場でレイラとの婚約話をしようと言うのですか?」

「そういうことだ、ツインズ伯爵。わざわざ、やって来たのはレイラの手間を省いてやる為。まあ、これは先ほども言ったが、レイラとしても承諾するだけなのだから、特に問題はあるまい。レイラとの婚約話は、ローラが発信源だからな」

「それは聞いておりますが……」

「だろう? ということでレイラ。お前は私の隣に来るのだ。それが運命というやつだからな」


 自身満々にそう語るホルムズ・ナイトメア侯爵。彼はレイラの返答は既に決まっていると確信している。ホルムズがツインズ伯爵家の屋敷にやって来て10分程度……いきなり、レイラに運命の選択が迫られていた。
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