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5章 奈落の底の魔法使い
55.圧倒
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「・・・・・マーブル?」
マダラ模様のライオン。パッと見れば恐ろしい獣としか認識しなかっただろう。
だが、その姿にかすかなマーブルの面影を感じたのだ。
「・・・ちょっとレイは黙っててくれないかな。少し.....邪魔だ」
「んなっ!」
口調は間違いなくマーブルだ。だが、雰囲気が普段を感じさせないほど重々しい。
そんなマーブルが揺らめいた。
まるで蜃気楼のように姿が揺らめき、最初からそこに居なかったかのように忽然と姿を消す。
次に見えたのはハクリが吹っ飛ばされる所だった。突如何かに吹き飛ばされたのだ。殴られたように。
そしてハクリがいた場所にはマーブルがタテガミをなびかせながら立っていた。
さらにその周りに火の槍が複数発生した。火の槍はその炎を揺らめかせるとハクリが吹っ飛んでいった場所に追い打ちをかける。
ドゴォ、と重い音がし、洞窟に振動が走った。
しかし、次に俺が見たのはハクリが何でもないように立つ姿だった。
「軽いのじゃよ。化け猫よ、お主の攻撃には心が篭っておらん。妾に傷さえつけられんよ」
違う。何もかも違いすぎる。
なんなんだこの戦いは。なんなんだマーブルは、ハクリは。
俺が今まで見てきたものはなんだったんだ。
「ジュダルよ....お前の力、少し借りるぞ」
ハクリがそう呟き、その体から膨大な魔力が解き放たれた。
ハクリの周りから大量の火が飛び出し、人魂のように漂う。
「鬼火」
ハクリがそう言った"鬼火"は瞬く間にマーブルを覆うように燃えさかる。
「こんなものっ」
それに反抗してマーブルの元から溢れんばかりの水が湧き出てくる。
洪水のような水はそのまま"鬼火"を打ち消すーーーように見えた。
大量の水が鬼火を鎮火しようとするが、鬼火は実体がないかのようにそれを通過させるだけだ。
「無駄じゃ。鬼火は『霊体』。妾にかかる恨みの分だけ強くなる。お主には無理じゃろうな」
さも強そうに語るが、ようはお前が恨みを買うような人物ってことかよ。
「だけど僕にはこの程度の火なんか....」
「火?何を勘違いしておる。言ったはずじゃ。鬼火は『霊体』だと」
その瞬間、異様なほどの静けさが洞窟を包んだ。
鬼火に囲まれたマーブルの反応が消えた、と言った方がいいだろうか。
ハクリが深く息を吐くと、マーブルに覆い被さっていた鬼火が姿を消す。
そこに残っていたのは白目をむいて横たわるライオンの姿だった。
「なっ、し、死んだ....のか?」
「死んではおらん。奴は精霊。少し退場して貰っただけじゃ」
次はお主がやるか?と目眩がするような殺意を向けられ、俺はその場に立ち尽くす。
わからなかった。マーブルがなぜあんな事をしたのか。俺は一体何をしているのか。何をすればいいのか。
「面倒なことになった。まさか"4柱"が出てくるとはの。......しかしそれを従える子供の"血"はどんな味がするんじゃろうな?」
ハクリは俺をちらりと見るとペロリと舌なめずりをする。
ハクリの八重歯が光り、俺が悪寒を感じた時、誰かに肩を掴まれた。
誰かーーー1瞬で移動してきたハクリだった。
咄嗟に身を翻そうとするが肩を力強く掴まれ、身じろぎすらできない。
ーーーーーー殺られる!?
そう思った時、首にチクリと痛みが走った。
そして急激に血の抜けていく感覚がする。
「え、ちょっ、何やってんだアンタ!?」
さっきまでの殺伐とした雰囲気だったハクリが俺の首元でチューチューしてるのだ。
ほんと、何だこれ。さっきから色々起こりすぎて頭がアルマゲドンなんだけど....。
もう....現実逃避していいか?コレ。
「..........っ!?」
突如俺の首をチューチューしていたハクリがビクリと跳ねる。
ハクリは一気に牙を抜くと俺からすぐさま距離をとった。
驚いてハクリを見ると頬が少し染まり、血を滴らせながら息を荒くしていた。
俺は静かに目をそらす。うん。
「..........お主は一体何者なんじゃ!?」
息を荒くしながらハクリは俺を見つめる。そんな顔で見つめられたら...ねぇ?
ってそんなこと言ってる場合じゃねえ!
「..........何者?さっき名前は言ったはずだが」
俺はなんの動きも見せずただ俺を見つめるハクリを十分に警戒しながらいつでも戦闘体制になれるよう、少しずつ体制を整えていく。
「...お主の血は何かおかしい。何故じゃ?何故『王』の味がする?」
「んなの知らねえよ」
「....偶然か?それにしては濃い。誰かの末裔か...?オイ、お主の先祖は誰じゃ?」
先祖?俺の先祖......って誰だ?
そういえばこの体は俺が手にした時すでに8歳ほどだった。俺の子供時代の体というわけでもない。
と、なればこの体は一体誰のもの....?異世界転移で当時は思いもしなかったが今更になって不自然な点が多すぎる。
なぜ8歳だった?なぜあの草原にいた?なぜ近くにガドがいた?.....なぜ俺の体が勝手に謎の声に操作された?
「・・・わからない」
ありのままを告げるとハクリは興味深そうに頷く。
「わからない....。なるほど、やつの仕業じゃな。と、なれば妾はお主に手出しはせん。警戒を解くがよかろう」
手を顎に当て意味深に頷くハクリはさっきから見せていた凶悪なオーラを解く。
なにがなんだがわからないが、嘘はついていなさそうなので俺は深くため息をついた。
・・・とてつもなく肩が凝った...。
「・・・マーブルはどうしたんだ?」
「マーブル?あぁ。奴のことか。化け猫なら精霊界で慌てて『王』にでも報告しとるじゃろうな。元々アイツはお主の精霊でも無いしの」
「・・・俺の精霊じゃ無い?」
俺は聞き捨てならない言葉に耳を疑う。
「・・・お主はおそらく名を付ける契約をしたのじゃろう?」
俺はこくりと頷く。
「これは余り知られていないことじゃが、名付けは仮の契約にすぎん」
......仮の契約?何を言ってんだ?
「そもそもあの獣の姿が本来の姿。"4柱"が契約精霊になるなどありえないしの」
「4柱?本来の姿?何を言ってんだよ?....お前は何を知ってる?」
その言葉にハクリはドサリと腰を下ろし、俺にも座るよう促した。
「・・・では話そうか。あまり面白い話でもないが....」
そう言いハクリは話し始めた。
マダラ模様のライオン。パッと見れば恐ろしい獣としか認識しなかっただろう。
だが、その姿にかすかなマーブルの面影を感じたのだ。
「・・・ちょっとレイは黙っててくれないかな。少し.....邪魔だ」
「んなっ!」
口調は間違いなくマーブルだ。だが、雰囲気が普段を感じさせないほど重々しい。
そんなマーブルが揺らめいた。
まるで蜃気楼のように姿が揺らめき、最初からそこに居なかったかのように忽然と姿を消す。
次に見えたのはハクリが吹っ飛ばされる所だった。突如何かに吹き飛ばされたのだ。殴られたように。
そしてハクリがいた場所にはマーブルがタテガミをなびかせながら立っていた。
さらにその周りに火の槍が複数発生した。火の槍はその炎を揺らめかせるとハクリが吹っ飛んでいった場所に追い打ちをかける。
ドゴォ、と重い音がし、洞窟に振動が走った。
しかし、次に俺が見たのはハクリが何でもないように立つ姿だった。
「軽いのじゃよ。化け猫よ、お主の攻撃には心が篭っておらん。妾に傷さえつけられんよ」
違う。何もかも違いすぎる。
なんなんだこの戦いは。なんなんだマーブルは、ハクリは。
俺が今まで見てきたものはなんだったんだ。
「ジュダルよ....お前の力、少し借りるぞ」
ハクリがそう呟き、その体から膨大な魔力が解き放たれた。
ハクリの周りから大量の火が飛び出し、人魂のように漂う。
「鬼火」
ハクリがそう言った"鬼火"は瞬く間にマーブルを覆うように燃えさかる。
「こんなものっ」
それに反抗してマーブルの元から溢れんばかりの水が湧き出てくる。
洪水のような水はそのまま"鬼火"を打ち消すーーーように見えた。
大量の水が鬼火を鎮火しようとするが、鬼火は実体がないかのようにそれを通過させるだけだ。
「無駄じゃ。鬼火は『霊体』。妾にかかる恨みの分だけ強くなる。お主には無理じゃろうな」
さも強そうに語るが、ようはお前が恨みを買うような人物ってことかよ。
「だけど僕にはこの程度の火なんか....」
「火?何を勘違いしておる。言ったはずじゃ。鬼火は『霊体』だと」
その瞬間、異様なほどの静けさが洞窟を包んだ。
鬼火に囲まれたマーブルの反応が消えた、と言った方がいいだろうか。
ハクリが深く息を吐くと、マーブルに覆い被さっていた鬼火が姿を消す。
そこに残っていたのは白目をむいて横たわるライオンの姿だった。
「なっ、し、死んだ....のか?」
「死んではおらん。奴は精霊。少し退場して貰っただけじゃ」
次はお主がやるか?と目眩がするような殺意を向けられ、俺はその場に立ち尽くす。
わからなかった。マーブルがなぜあんな事をしたのか。俺は一体何をしているのか。何をすればいいのか。
「面倒なことになった。まさか"4柱"が出てくるとはの。......しかしそれを従える子供の"血"はどんな味がするんじゃろうな?」
ハクリは俺をちらりと見るとペロリと舌なめずりをする。
ハクリの八重歯が光り、俺が悪寒を感じた時、誰かに肩を掴まれた。
誰かーーー1瞬で移動してきたハクリだった。
咄嗟に身を翻そうとするが肩を力強く掴まれ、身じろぎすらできない。
ーーーーーー殺られる!?
そう思った時、首にチクリと痛みが走った。
そして急激に血の抜けていく感覚がする。
「え、ちょっ、何やってんだアンタ!?」
さっきまでの殺伐とした雰囲気だったハクリが俺の首元でチューチューしてるのだ。
ほんと、何だこれ。さっきから色々起こりすぎて頭がアルマゲドンなんだけど....。
もう....現実逃避していいか?コレ。
「..........っ!?」
突如俺の首をチューチューしていたハクリがビクリと跳ねる。
ハクリは一気に牙を抜くと俺からすぐさま距離をとった。
驚いてハクリを見ると頬が少し染まり、血を滴らせながら息を荒くしていた。
俺は静かに目をそらす。うん。
「..........お主は一体何者なんじゃ!?」
息を荒くしながらハクリは俺を見つめる。そんな顔で見つめられたら...ねぇ?
ってそんなこと言ってる場合じゃねえ!
「..........何者?さっき名前は言ったはずだが」
俺はなんの動きも見せずただ俺を見つめるハクリを十分に警戒しながらいつでも戦闘体制になれるよう、少しずつ体制を整えていく。
「...お主の血は何かおかしい。何故じゃ?何故『王』の味がする?」
「んなの知らねえよ」
「....偶然か?それにしては濃い。誰かの末裔か...?オイ、お主の先祖は誰じゃ?」
先祖?俺の先祖......って誰だ?
そういえばこの体は俺が手にした時すでに8歳ほどだった。俺の子供時代の体というわけでもない。
と、なればこの体は一体誰のもの....?異世界転移で当時は思いもしなかったが今更になって不自然な点が多すぎる。
なぜ8歳だった?なぜあの草原にいた?なぜ近くにガドがいた?.....なぜ俺の体が勝手に謎の声に操作された?
「・・・わからない」
ありのままを告げるとハクリは興味深そうに頷く。
「わからない....。なるほど、やつの仕業じゃな。と、なれば妾はお主に手出しはせん。警戒を解くがよかろう」
手を顎に当て意味深に頷くハクリはさっきから見せていた凶悪なオーラを解く。
なにがなんだがわからないが、嘘はついていなさそうなので俺は深くため息をついた。
・・・とてつもなく肩が凝った...。
「・・・マーブルはどうしたんだ?」
「マーブル?あぁ。奴のことか。化け猫なら精霊界で慌てて『王』にでも報告しとるじゃろうな。元々アイツはお主の精霊でも無いしの」
「・・・俺の精霊じゃ無い?」
俺は聞き捨てならない言葉に耳を疑う。
「・・・お主はおそらく名を付ける契約をしたのじゃろう?」
俺はこくりと頷く。
「これは余り知られていないことじゃが、名付けは仮の契約にすぎん」
......仮の契約?何を言ってんだ?
「そもそもあの獣の姿が本来の姿。"4柱"が契約精霊になるなどありえないしの」
「4柱?本来の姿?何を言ってんだよ?....お前は何を知ってる?」
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