Level2から始まる召喚魔剣士の異世界成り上がり冒険記

みずうし

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フェーズ1

9.メイド長

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 「今日限りで辞めさせていただきます」

 「・・・・え?」

 目の前のメイド長は自慢のメガネをずらすほど驚いた。目は見開いている。

 「な、何言ってるのユリエちゃん!?」
 「メイドをやめて旅に出たいと思ってます」
 「ええ?急に」

 召喚された時、「勇者」にはなれなかった私を馬鹿にすることなくメイドの道へと誘ってくれたメイド長。異世界の文化になれない私を気遣ってくれたのもメイド長だった。
 彼女には大恩があり、そしてだからこそ彼女には一番に伝えたかった。

 「一緒に行きたいと思う人ができた」と。

 「メイド長にはせっかくお世話になったのに勝手にしてごめんなさい。でも私....」

 頭を下げた私をメイド長は手で制した。
 そして深いため息をつく。

 「はぁ.........何言っているの。あなたが謝ることは何もないじゃない」
 「でも」
 「顔をあげなさい。あなたが頭をさげるのは似合わないわ。それに、あなたがいつかここを出ることは感じていたもの」

 「え・・・?」

 驚いて顔を上げる。するとメイド長は柔らかく微笑んだ。

 「一緒に行きたい人が見つかったのでしょう?最近のあなたはとても輝いて見えた。ここにいてはその輝きがくすんでしまうわ。あなたという人間は輝いてなくてはいけない。
 だからーーーー行きなさい」

 「メイド長.......!」

 この人は本当に最後までーーーー

 「で、その相手は誰なの?」
 「え?」
 「もちろん男性なのでしょう?まさか勇者かしら?いいえ、勇者なんかハヤトが許さないわ。ならばーーーーーまさかあの魔剣士!?」
 「め、メイド長?」
 「私の大事な大事なユリエちゃんが取られるんだからこれぐらいいいでしょう?」

 メイド長は悪戯っぽく笑う。そう言われると何も言えない。

 「どこまでいったの?」
 「なっ!?」

 不意打ちに顔が赤くなるのを感じる。

 「まさか何もしてないの?どっちも消極的ねぇ....」
 「そ、そういう関係じゃありませんから!」
 「あら?あなた訓練室の前を通りかかる度に彼を物欲しそうな顔で見つめているわよ?」
 「え!?」

 確かにゆうまくんの姿は探していたけど。さ、さすがに物欲しそうな顔なんてさすがにーー

 「寝言でも『そんなところ触っちゃダメですっ、ああっ!ゆうまく...』」
 「ストップストップストップストップ!!」
 「あら?」

 絶対私が出て行くこと根に持っているよこの人。

 「・・・さっさと彼の体も心も射止めちゃいなさいよ?どっかの女に引っかかる前に」
 「わ、わかってますよう」

 ニヤニヤと見てくるメイド長。そういえばこの人いい性格していたんだった.....。

 「メイド長も早く殿方を見つけてくださいね」

 このままやられっぱなしじゃあ何か嫌だったので相手のいないメイド長(30)にそう言ってみると

 「ああ?」

 メイド長から元ヤンへと変貌したのでそれ以上はやめておいた。

 「ふふ、まあ、冗談はこの変にしましょうか。大事な話があります」

 急に雰囲気が切り替わった。
 なんだろうか。

 「ーーーーこの国のことです」



 ☆☆☆




 メイド長の部屋を出て出発の手続きを簡単にすませると、私はゆうまくんの部屋へと向かう。
 今日メイドをやめたため、出発するまでゆうまくんの部屋で泊まりだ。

 「..........!」

 そう思うと、何か無性に体が熱くなってくる。だけどあくまで私とゆうまくんの関係はそういうのじゃない。

 「ふぅ.....」

 私は心を落ち着ける。このままじゃ部屋に入るなり襲ってしまいそうだ。
 落ち着け私。

 「あれ?ユリエ何してんの?」

 そんなところへゆうまくんが顔を出した。
 体が猛烈に熱くなり、本能が暴走するーーー前になんとか理性で押しとどめる。

 「いえ、なんでも?」
 「そう。てか服変えたんだ」

 メイドをやめたから当然服は私服。召喚された時に着ていた以来、一度も着ていないきれいな服だ。

 「メイドやめましたから」
 「あ、そっか。服、似合ってるよ」
 「・・・・」

 ああ、嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい!!
 だけどゆうまくんにはこんなことで喜ぶ私なんか見せたくない。

 「ありがとうございます♪ふふ」

 ごまかして笑みを浮かべる。ゆうまくんもそれにつられて笑ってくれた。それを見るだけでもう今日1日は最高の日だ。
 これからこの城を出て、毎日この笑顔を見れるなんてーーー

 あ、そういえば

 「そういえばメイド長から伝言がありました。"王子"にご注意ください、と」
 「王子?・・・・ああ。なるほど」

 ゆうまくんは苦い顔で遠くを見つめる。王子といえばゆうまくんの部屋を行ったり来たりしてる変な人だ。
 ちなみにこの国の王族は全員変な人だけど。

 「それで、ゆうまくんはもう他の人に挨拶したんですか?」

 ああ、早く部屋に入ってゆうまくんの匂いを堪能しながらごろごろしたい。

 「あ、忘れてた。今から行ってくるよ」
 「え?今からですか?」

 それは私に部屋を堪能しろということですね?

 「では行ってらっしゃい」
 「なんか淡白だな。まあいいか。じゃあさっさとやってくる」

 そう言ってゆうまくんは行ってしまった。

 ・・・ではさて。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ユリエ視点でした。
次回から平常運転に戻ります。
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