Level2から始まる召喚魔剣士の異世界成り上がり冒険記

みずうし

文字の大きさ
15 / 22
フェーズ2

11.ギルド

しおりを挟む


 街は想像以上に雑多で、そして人々の笑い声が溢れていた。石造りの通りには商人達の出店が並び、母娘の家族や冒険者らしき人々が多く行き交っている。
 また、その行き交う人々の人種も様々だ。ポピュラーな人族だけでなく獣人やエルフ、数は少ないが小人なんてものもいる。

 「さて、冒険者ギルドはどこかな」

 城を出て、これからは自給自足の生活だ。手元にあるのは心やさしきメイド長が用意してくれた銅貨5枚。日本円にして約5万円だ。
 一二週間はこれで過ごせる。

 しかし逆に一二週間しか過ごせない。つまりNEEETしてる暇はないのだ。グスン。

 「え、登録料銅貨1枚!?」
 「はい、結構高いですよ?」

 さらに叩きつけられる無情な事実。
 冒険者登録料1万円。うま○棒が1000本買える値段である。
 つまり俺達はあとうま○棒3000本分で生活しなければならないのか。

 うま○棒3000本の明日が待ってるぜ!

 全然おいしくない。

 軽く絶望していると、いつの間にか冒険者ギルドの目の前に来ていた。
 金色に輝く成金みたいな建物だ。どういう手入れをしているのか、傷も汚れも一切見当たらない。

 そして、入り口にはたむろするヤンキー冒険者達。通してくださいなんて言ったら問答無用で殴られそうだ。ただでさえ日本人はフラグ回収率高いのに。

 しかし、いつまでも入り口でうじうじしている訳にもいかない。

 「まあ冒険者ギルドはまたの機会ということでーーーグエッ」
 「逃げるのが早いですよ」

 踵を返したが、襟を掴まれたので首がしまった。

 「もう、男の子なんだからシャキッとしてください!そんなんで私が男の人に絡まれたらどうするんですか?」
 「殺す」
 「そ、そこまで!?」

 と言いつつユリエはちょっとほおを緩ませる。
 まあ冗談はここらにしといて。

 「よいしょっ」

 とドアを開ける。冒険者?言ったら退いてくれました。

 中はやはり酒場風になっていた。大勢の冒険者が酒飲みをし、べろんべろんになっている。さすがは冒険者ギルド。いろんな意味でベテランの巣窟だ。

 俺が入ると入り口付近の冒険者はチラリと一瞥してくる。が、それだけで視線を戻した。思ったより人は他人に興味がないらしい。

 何事もなく受付に入ると、美人さんに出迎えられた。

 ほほう、あっちユリエが天然タイプの可愛いい天使だとすれば、こちらは大人な女神様って感じだろうか。
 やはり異世界は美人が多い。

 あイタッ!なんで足踏むのユリエさん!?

 
 「冒険者登録をしたいんですが....」
 「はい、ではこちらの紙に要項をご記入ください」

 お姉さん超事務的っ!!!流れ作業じゃん!!

 なのは置いといて、勧められたのは名前や種族、職業などを書く欄があるシンプルな紙だ。ご親切に日本語で書かれてあり、日本の市役所をしみじみと思い出させる。

 そんな俺の後ろでユリエは退屈そうにしていた。

 「あれ、ユリエは冒険者登録しないの?」

 まさかお金がないから!?くっ、ユリエにそんな気遣いをさせるなんて!これからそんな思いをさせないように俺が頑張らねばーーー

 「あ、私はもう登録してるんですよー!」

 ・・・はい。俺の決心返してくれ。

 いざ思ったら召喚されてしばらく経つ人が、便利な冒険者ギルドに行ってないはずが無かった。
 だが、ああ、うま○棒1000本分浮いた!ウレシイナー、ハハ。

 紙を適当にサラサラっと書き、受付に渡すと、

 「ではしばらくお待ちください」

 ニッコリして受付の人は紙を奥の方へ持って行ってしまった。
 何かが出来るまで待てという事らしい。
 
 暇なのでギルドの展示を眺める。するとランキングを見つけた。個人ランキングとPTランキング、そしてギルドランキングに分かれている。

 知らないものばかりだ。てかまず異世界語で読めない。これは本格的に文字を読む練習をしなければ....。


 「お待たせしました、こちらが冒険者カードになります」
 「お、早い!」
 「受付は早さが命ですので」


 差し出されたのはシンプルな白色のカード。そこにも名前と職業、それにランクらしきものと何かのパーセンテージしか載っていない。簡素だ。

 「こちら、ランクは冒険者ギルド独自のもの。そしてパーセンテージは依頼成功率を表しております。依頼成功率の低下は評判にも関わってくるので気をつけてくださいね」

 そしてランク表を見せてくれた。




 ランク     昇格条件

 1つ星ワンスター 指定された魔物の討伐成功

 2つ星ツースター 指定された魔物の討伐成功

 3つ星スリースター 指定された魔物の討伐成功

 4つ星フォースター 4つ星迷宮の制覇

 5つ星ファイブスター デッドモンスターの討伐成功

 6つ星シックススター 災害級モンスターの討伐成功

 7つ星セブンスター 

 降格条件:依頼成功率が20%を切った場合1ランク降格。




 「当然ですが、受けられる依頼はランクにあったもののみになります。また、飛び級などは存在しないので一歩ずつランクアップしてくださいね」

 終わり、まる。
 ええ、短すぎないか?

 「そんなことよりも!」
 「えっ?」

 ズイッと受付の人が身を乗り出してきた。花の香りがフワッと匂う。

 「もしかして貴方達が噂に聞くセブンズの方ですか!?」
 「・・・はい?」

 なんて言った?セブンイ○ブン?

 「せ、セブンズって?」
 「・・・ああ、別人ですか。ーーーチッ」
 「舌打ち!?」
 「え?何のことでしょう?」

 うふふ、と受付は笑う。だ、騙されないぞ。

 「セブンズって何ですか?」
 「ああ、セブンズとはあるパーティーの名前ですよ。つい最近、そのメンバーがこの街に来ていると聞きまして。みんなそれで探してるんです」
 
 ほらっと彼女が指さした先にはランキングボード。確かにPTランキングの2位に「セブンズ」と書いてあるーーーー気がする.....。
 つまり有名冒険者と言ったところか。


 「彼達の1人はイケメン剣闘士。1人は超美少女魔法使い。そんな2人がこの街にーーーって。あ、でも貴方はイケメンじゃありませんでしたね。疑うほうが酷でした」
 「それを言うほうが酷じゃないっすか?」
 「ふふ、そうですね。ああ、そうだ。これは受付としてなんですが。1つ、注意があります」

 そう言って受付の人は紙を渡してきた。
 そこにはある顔が載っている。

 「さらい屋にご注意ください。もう何人も冒険者が犠牲になっていますので」
 「へー、物騒なんですね」

 攫い屋か。確かにユリエは気をつけないといけないかもな。天使だから。

 「・・・では良い冒険者生活を」

 ニッコリ笑って彼女は送り出してくれた。悪女の匂いがプンプンする人である。
 だが美人なのは間違いないな、うん。

 さて、さっきからユリエの姿が見えないがどこへ行ったかなーーーーーて、なにっ!?


 「ちょいちょい、俺らと行こうぜー!」
 「ほんとほんと、楽しいからサッ!」

 「ちょ、やめてくださいよー」

 
 男2人がユリエをナンパしているっっ!!!
 ふ、ふん!ば、馬鹿な奴らだ!ユリエがあんな奴らに靡くわけが.....。


 「行こうぜ行こうぜ?」
 「もー、やめてくださいってばー」


 ・・・満更でもなさそうだっっっ!!!
 えーえー、そりゃイケメン2人組だけれども。
 で、でも.....。

 そんな時、ユリエと目があった。動けないでいる俺を見てユリエはなぜかムッとしていた。

 「行こうぜ行こうzeーーーー」
 
 「いい加減離してくださいね?」

 「オゲッ」

 満更でも無かったはずのユリエは一瞬で態度を変えると男の腹を肘で打ち、2秒で悶絶させていた。
 
 そんなユリエはぷんぷん頬を膨らませながらやってくる。

 「楽しそう、でしたね?」

 時折とんでくる天使の笑顔が闇堕ちしてる件について。
 なんでこんなに不機嫌なんだ。
 だがユリエも、うん。

 「ユリエ・・・・も?」

 アレが楽しいのかは知らないが。

 「それは~~~~~~っ!」

 一心不乱に俺を見て、何かを言いたそうにして、ユリエは肩を落とした。

 「ま、いいですよ。さ、じゃあ早速依頼を受けてみましょう」
 「うん、そうだな」

 ユリエはすぐに切り替えたらしい。

 さて、いったい依頼にはどんなものがあるんだろう?


しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。 朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。 「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」 「いや、理不尽!」 初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。 「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」 ※※※ 専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり) ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒
ファンタジー
そのコンビニにいた人たち全員が異世界転移された。 異世界転移する前に神に世界を救うために呼んだと言われ特典のようなものを決めるように言われた。 その中の一人であるフリーターの優斗は異世界に行くのは納得しても世界を救う気などなくまったりと過ごすつもりだった。 攻撃、防御、速度、魔法、特殊の五項目に割り振るためのポイントは一億ポイントあったが、特殊に八割割り振り、魔法に二割割り振ったことでチートな箱庭をゲットする。 そのチートな箱庭は優斗が思った通りにできるチートな箱庭だった。 前の世界でやっている番組が見れるテレビが出せたり、両親に電話できるスマホを出せたりなど異世界にいることを嘲笑っているようであった。 そんなチートな箱庭でまったりと過ごしていれば迷い込んでくる女性たちがいた。 偽物の聖女が現れたせいで追放された本物の聖女やら国を乗っ取られて追放されたサキュバスの王女など。 チートな箱庭で作った現代技術たちを前に、女性たちは現代技術にどっぷりとはまっていく。

処理中です...