Level2から始まる召喚魔剣士の異世界成り上がり冒険記

みずうし

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フェーズ2

15.討伐イベント 前編

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 翌日、冒険者ギルドに行くも金色の髪は発見できなかった。受け付けのお姉さんによると3日の周期ぐらいで来るらしい。
 なら次は明後日か。

 しかし、こうしているとなんだかストーカーみたいだな。
 独りの冒険者の女の子を付け回す2人組。新聞に載ってもおかしくない。

 「そういえばあの子の名前はなんていうんでしょう?」
 「確かに聞きそびれていたな」
 「あ、それなら」

 と受け付けのお姉さんが教えてくれる。この世界にプライバシーなど存在しないのだ。

 「ライラ?」
 「ええ、ライラちゃん。いま16歳で3つ星冒険者の期待の星なんですよ!」
 「へえ、3つ星・・・」

 俺より歳は2つ下。しかしランクは2つ上。なんだか複雑な気分である。

 「あ、十分あなたたちも期待の星ですけどね!」
 
 その親切が痛いぜお姉さん・・・!

 「そ、そうそう!そういえば言いたいことがあったんです!」

 俺の心を察したのか、お姉さんが話題を変えてくる。何やら紙を差し出してきた。まさか二回目のバイトのくだりじゃないだろうな。

 「これこれ、3日後にこの街で冒険者ギルド主催のイベントがあるんです!」
 「へえ、なになに・・・」

 冒険者ギルド主催!討伐イベント!
 森のモンスターを次々に討伐して賞金をゲットせよ!なんと優勝者には白金貨1枚!!

 だってよ。

 「イベントキタァァーーーー!!!!!」
 「落ち着いてゆうまくん!」

 来たぞイベント!しかも賞金白金貨だと!??100万だ100万!ちまちま依頼を受けなくても済むんだ!

 「よっしゃ!参加ーーー」
 「あ、でもこれ私達参加できませんよ?」
 「・・・・え?」

 ユリエに指差された注意事項を見る。

 イベントの参加資格!
 ・2つ星以上の冒険者
 ・PTのみ
 ・楽しめる人!

 「3つ中2つも無理じゃねえか・・・」

 いかにもアレな条件は置いておいて、つまり詰みである。

 「2つ星の条件ならなんとかなるんですけどね~、PTが私とゆうまくんだけだと・・・」
 
 そう、思い出して欲しいがランクアップなら指定モンスターの討伐なので今の俺たちなら大丈夫なのだ。いままで場所が遠くて面倒でやってなかっただけだからな。

 だが、PTとなるとそうはいかない。こんな若手の初心者PTに入ってくれる人などいないのだ。
 PT編成は三人から。あと1人、そこそこ強くてソロプレイヤーで馴染めそうな奴・・・

 「そんなのいるわけーーーーー

  ーーーーあっ」


 いた。1人。そこそこ強そうでソロプレイヤーでなんとか馴染めそうな奴。

 「・・・いたぞ」
 「え?」
 「PTメンバーが!いたぞ!」




 ☆☆☆





 お姉さんに教えてもらった(個人)情報を基に、ある店の前へと到着した。
 「武器屋ドルブック」。犬なのかお金なのか本なのかよくわからない店名である。

 ここに今回のターゲット、奴はいる。

 おっと、ここで第一のミッション「店に入る」が発生!店員さんに目星を付けられないよう如何に空気になるかという高度なミッションがいきなり来たか!

 
 「こんにちはー!」
 「なん、だとっ・・」

 あの超鬼難易度のミッションを軽々クリアしやがった!!さすがユリエ・・・。

 「しゃあああああい!!」

 出迎えたのは図太いオッさん。
 第二のミッション「気まずい店内」発動である。

 「何かお買い求めかい?」
 「はいここの武器がこの街1番と聞きまして♪」
 「ははは!そうかいそうかい!たっぷり見てくんな!愛情込めて打った自慢の武器ばかりだ!」
 「じゃあ遠慮なく♪」

 お、恐るべしコミュニケーション能力!!!
 神か!!??神なのか!!???
 たった一回の短い会話で機嫌を良くし、そして印象まで良くして見せるだと!!??

 「もう、ゆうまくんも早く入って下さい!」

 ジト目で腕をつねられながら入店。
 確かに「自慢」というだけあってどの武器も光り輝いて「俺はここだ!」と誇張しているように見える。

 今回、この武器屋に来たのは二つの理由があった。

 「おい嬢ちゃん!客だぞ!」
 「わかってるわよ!!」

 そら来たぞ。
 お姉さん情報によるとこの店では

 「・・・なっ!」
 「おやー!君は確か!ものすっごい偶然だねー!」
 「そうですねー!」

 金髪ツンデレっ子ライラちゃんが働いている。お姉さんによると2日はここで、1日は冒険者で・・・とお金を貯めているらしい。

 そう、そして俺が思いついた奴とはこの子である。

 「もう関わらないでと・・・・まあ客なら接客してあげなくもなくはないわ」
 「いや、店員だろお前・・・」
 「そうよ!何か悪い!」
 「いや別に?何かオススメの武器とかあるか?」
 「そうね・・・」

 こういう時だけ俺のコミュ能力は発揮される。
 ライラは俺の言葉を聞いてアレコレ触り始めた。

 「どうやらあなたはーーー」
 「クスノキ ユウマですどうも!」
 「・・・ユウマはどうやら剣士みたいね。いま使っているのが木刀ならーーー木刀っ!??
 ゴホンッ、それなら最初は同じ重さのものがいいわね。だんだん重くしていくといいわ。
 結果としてオススメはコレかしら」

 ナイスツッコミを経てライラは一本の剣を差し出してきた。
 装飾がなく、ゴテゴテしていないシンプルな剣。使いやすくていいかもしれない。

 「お、いい!」

 触ってみると軽くて手にフィットし、とても良かった。それに扱いやすい。
 案外ライラは目利きと接客がうまいのかもしれない。

 「これ買うよ、いくら?」
 「白銀貨3枚よ」
 「高っ!!!!!」

 30万!?無理だ。いまの所持金は銅貨4枚ほどしかない。とても買えない。
 
 「当たり前よ。師匠自慢の一品だもの」
 「そりゃ良い武器だよな・・・」

 目利きがいいんだな、と思った俺を殴りたい。

 そんな俺を見て図太いオッさんが豪快に笑った。

 「ガハハ!金がないのか兄ちゃん!いいぞ!持ってけ!」
 「!?師匠!?」
 「ウチのライラがここまで楽しそうに喋る奴なんて初めて見たんだ。良いものを見た。その餞別だ。特別に持ってけ!」

 「お、オッさん・・・・!」

 「あ?オッさん?」

 「ゴホンッ、師匠・・・・!」

 するとオッさんはグッドスマイルで笑った。
 図太いオッさんとか言ってごめんな。めっちゃ良い人だったよ。これからは良いオッさんと呼ぼう。

 「もう、また師匠はすぐそうやって!」
 「ガハハ、情があるから人間ってもんよ!」

 ライラが良いオッさんを怒っている。こうして見るとまるで親子みたいだ。

 そんな父は俺とユリエの身なりを見て

 「でもただとは言ってないぜ?」
 「はい?」

 当たり前だろ?とオッさんはニヤつく。

 「見るところソコソコの冒険者みたいだな。ちょうど良い、一つ頼まれてくれないか?」
 「・・・で、できる範囲なら」

 なんかトンデモない頼みをしてきそうだ。

 「じゃあ頼まれてくれ。

 ウチのライラを、PTに入れてほしいっ!」


 ーーーーー「「「え??」」」




 ☆☆☆




 「ど、どういうことだオッさ・・師匠!」
 「そ、そうよ!なんで私がPTなんかに」

 抗議するライラをオッさんはスッと手で制した。できる男オーラが漂っている。

 「ライラ、オメェはよく頑張った。1年ぐれえの間気難しいオッさんによく付き合ってくれたよ・・・」
 「だ、だったらこれからもーーー」
 「でもなライラ、本当にやりたいことはやれてんのか?」
 「ーーーーッ!」

 ライラの表情を見てオッさんはフッと笑った。

 「オメェのことは俺は娘のように思ってるよ。でもな、その大事な娘が何かを我慢してこの仕事を続けんのはいけねえ。若いもんはやりたいようにやるべきなんだよ。
 オメェが冒険者としてやっていけるのは知ってる。なのにこの店を手伝ってくれたのは俺が気難しくて客がこねえからだろ?」
 「そ、それは・・・」

 「そんなこと心配しなくていい。だからオメェは好きなように生きろ!俺は大丈夫だから。んで時々顔見せにくりゃあ文句は言わねえよ・・・」
 「し、師匠・・・・」

 ライラの眼からツーと涙が零れ落ちる。ライラはそれを拭って、鼻をすすりながら笑った。

 「もう・・・バカじゃないの・・・」
 「だったら最後までバカな師匠の言うこと聞いてくれ、な?」
 「・・・わかった」

 ライラはコクリと頷き、それから俺たちを見た。

 「でもアンタ達と組まないわ!」
 「「えええええええ!!!!!!」」

 ここのここまで引っ張ってきてそれ!?
 俺たちさっきの感動シーンの間、「いつくるいつくる?PTの話いつくる?」と身構えてたんだぜ?

 「な、なんでだ?」
 「だって弱そうだもの」
 「あ!?」

 カッチーン。

 「呪霊! 幽霊、手首を押さえつけろ!」
 「ちょっ、何をーーーきゃ、何これ!?」

 幽霊がライラの手首を押さえつける。

 ・・・なんだか背徳感のある光景だな。

 「ゆうまくん?」
 「あ、ユリエさーーー」

 言うより早くユリエは剣を抜いた。
 手入れの施された滑らかや剣筋が俺の喉を撫でる。

 「・・・呪霊解除」

 最近やっとできるようになった呪霊解除をすると、ユリエも剣を戻した。
 目の前のライラは呆気に取られている。

 「女の子にあんなことしたらダメですからね!」
 「教訓にします・・・」

 さっきから震えが止まらない。どうやら体に恐怖が刻みこまれちゃったようである。

 「な、なによアンタ達!?」
 「どうだ?これでも文句はあるか?」

 フフン、と鼻を鳴らす。でも奥のオッさんに殴ってこられたら5秒で負ける自信はあるぜ。

 「・・・くっ! ふ、ふん!ならあなた達がどうしてもって言うなら一回だけ組んであげてもいいわよ!」
 「ライラ!オメェそんなんだからずっとPT組めねえんだろ!」
 「うぐっ・・よ・・よろしくお願いします・・・」

 あ、あのツンデレが頭を下げた!?

 「あ、ああ・・」
 「なっ、何驚いてんのよ殴るわよ!」
 「イタッ、もう殴ってんじゃん!」
 「うっさい!」
 「やったー!女の子仲間が1人増えました!」

 前途多難だが、これでPTは三人!
 100万イベントに参加できる!そして気になってたライラも解決!
 まさに一石二鳥だ!



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