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ミスマッチ
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「ムリムリムリムリ無理っスよ!!」
頭と手を思いきり横に振るローラン。
婦人服を持って歩み寄るキオン。
「ムリやない! 観念しぃ! 隊長命令や!」
「こんな所で権力振りかざさないで下さいっ! パワハラっスよ!?」
キャンキャン喚いている二人の声は部屋中所かペンション内に響き渡っている。
「俺が着たら気持ち悪いっスよ!!」
「大丈夫や。ぜっっったい、オモロ……、似合う!」
「今面白いって言おうとしましたよね!?」
「それは……アレや、ローランの幻聴やって。面白おかしくなればオレらを楽しませられるんやで?」
「俺……そんな自虐ネタしたくありません……」
人を笑わせる為に女装なんかしたくない。せめて笑わせるなら他の方法がいい。
「ほな、着てみぃ!」
「お……、俺よりもキオンさんが着たらいいじゃないスか!」
「んぅ? オレェ?」
キョトンとなるキオン。自分が着るなんて微塵も思ってなかったようだ。持っていた服を自分の体に押し当ててみる。
「に、似合ってますよ……!」
「そかぁ? んぅ……よし! オレも着るからお前も着る! これでええやん!」
「ええええっ!!?」
不公平ではないけれどなんだか納得のいかないローランだった。
「ローラン、ええかぁー?」
「は、はい! 大丈夫っス」
「よっしゃ! せーの!」
二人はカーテンから一斉に出た。勿論二人とも女装して。
「うわ、ローラン……」
「なんスか」
「似合わへん!!」
「だから言ったじゃないスかぁああっ!!」
分かってはいたけれどズバリ本音で言われると微妙に傷つく。
「あ、いや、カワエエな~って言ってくれる物好きも……」
「物好きってなんスか……」
「ん~……こう、太い足がエエなぁとか?」
「そんな限定して……足とかの問題じゃないスよコレ……肩とかパツパツなんスけど……」
がくんと床に手を着いて、それはもう悲しいやら空しいやら。
「あ、オレは? オレはどぉ?」
「……ちょっと勝ち気な女の子って感じっスね」
「おぉ! なんや似合うてるてことやな!」
それは男として喜ぶべきなのだろうか。
「じゃあステップアップせな!」
「え? な、何をする気で……」
「こんな時の為に用意しといたんやで」
こんな時ってどんな時だ。
ローランを椅子に座らせキオンは別室から道具箱を持ってきた。
「じゃーん!」
「これは……!」
化粧品だった。それはもうあらゆる種類の。
「始めるで」
「ちょ、ちょっと待って!」
「問答無用!」
「うわああああキオンさんの鬼畜ーーッ!!」
椅子に縄で縛られたローラン。身動きが取れず逃げることは叶わなかった。
この後ローランはキオンに好き勝手化粧をされる。そして結果報告として他のメンバーにお披露目された。キオンの化粧のセンスが良いはずもなく、キオンとアレッシュには爆笑され、アルスには慰め程度に微笑まれ、シリスとジョアルには可哀想なものを見る目をされる。ローランは思った。
せめてもっと化粧が上手い人だったらこんなに笑われなかったと思う……
END
頭と手を思いきり横に振るローラン。
婦人服を持って歩み寄るキオン。
「ムリやない! 観念しぃ! 隊長命令や!」
「こんな所で権力振りかざさないで下さいっ! パワハラっスよ!?」
キャンキャン喚いている二人の声は部屋中所かペンション内に響き渡っている。
「俺が着たら気持ち悪いっスよ!!」
「大丈夫や。ぜっっったい、オモロ……、似合う!」
「今面白いって言おうとしましたよね!?」
「それは……アレや、ローランの幻聴やって。面白おかしくなればオレらを楽しませられるんやで?」
「俺……そんな自虐ネタしたくありません……」
人を笑わせる為に女装なんかしたくない。せめて笑わせるなら他の方法がいい。
「ほな、着てみぃ!」
「お……、俺よりもキオンさんが着たらいいじゃないスか!」
「んぅ? オレェ?」
キョトンとなるキオン。自分が着るなんて微塵も思ってなかったようだ。持っていた服を自分の体に押し当ててみる。
「に、似合ってますよ……!」
「そかぁ? んぅ……よし! オレも着るからお前も着る! これでええやん!」
「ええええっ!!?」
不公平ではないけれどなんだか納得のいかないローランだった。
「ローラン、ええかぁー?」
「は、はい! 大丈夫っス」
「よっしゃ! せーの!」
二人はカーテンから一斉に出た。勿論二人とも女装して。
「うわ、ローラン……」
「なんスか」
「似合わへん!!」
「だから言ったじゃないスかぁああっ!!」
分かってはいたけれどズバリ本音で言われると微妙に傷つく。
「あ、いや、カワエエな~って言ってくれる物好きも……」
「物好きってなんスか……」
「ん~……こう、太い足がエエなぁとか?」
「そんな限定して……足とかの問題じゃないスよコレ……肩とかパツパツなんスけど……」
がくんと床に手を着いて、それはもう悲しいやら空しいやら。
「あ、オレは? オレはどぉ?」
「……ちょっと勝ち気な女の子って感じっスね」
「おぉ! なんや似合うてるてことやな!」
それは男として喜ぶべきなのだろうか。
「じゃあステップアップせな!」
「え? な、何をする気で……」
「こんな時の為に用意しといたんやで」
こんな時ってどんな時だ。
ローランを椅子に座らせキオンは別室から道具箱を持ってきた。
「じゃーん!」
「これは……!」
化粧品だった。それはもうあらゆる種類の。
「始めるで」
「ちょ、ちょっと待って!」
「問答無用!」
「うわああああキオンさんの鬼畜ーーッ!!」
椅子に縄で縛られたローラン。身動きが取れず逃げることは叶わなかった。
この後ローランはキオンに好き勝手化粧をされる。そして結果報告として他のメンバーにお披露目された。キオンの化粧のセンスが良いはずもなく、キオンとアレッシュには爆笑され、アルスには慰め程度に微笑まれ、シリスとジョアルには可哀想なものを見る目をされる。ローランは思った。
せめてもっと化粧が上手い人だったらこんなに笑われなかったと思う……
END
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