何戦メンバーの日常

朝陽ヨル

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王様ゲーム

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 ペンションの客間には住人プラスいつも見ない仲間の二人までもが集まっていた。仕切っているのはアレッシュで、やる気満々な顔で声を張り上げた。 

「王様ゲームやろうぜ!」
「「………」」 

 一同沈黙。キオン、アルスはキョトンと目を丸くしており、珍しく来てくれたシリスとジョアルは呆れ顔。ローランは兄の突然の思いつきに困り顔をしている。 

「兄貴……何だよそれ」
「お前その年で王さまゲーム知らないのか?」
「知ってるけど、何でそれ……と言うか、本物の王様いるし」 

 チラッと全員がアルスを見た。
 一斉に視線を感じたアルスは慌てた様子。 

「え、あ、俺か!?」
「だって王様やろ?」 

 キオンは面白そうに笑いながらアルスと肩を組んでいる。 

「その王様ゲームとやらは何をするんだ?」
「王子はホント世間知らずだね」 

 後ろで溜め息を吐くジョアル。相変わらずアルスに対して厳しい。 

「王様ゲームっていうのは、王様をランダムに一人決めて何でもいいから命令するゲームのことだよ」
「ほお……」
「何でもエエんやで? ゴーコンやったら一番とニ番がチューするとかな!」
「はあ……実にくだらない」 

 冷たい声で一蹴するのはシリスで、やっぱり相変わらずキオンと仲が悪い。 

「まあそうカッカすんな。たかだかゲームだ。たまにはこういう刺激があってもいいだろ? どうです、アルス様」
「……フム」
「あ、アルス様! アルス様は王様なんですから、それこそ俺達になんだって命令していいんスからね?」
「いや……命令か……あまりそういうのは」
「王様はもっと頭やぁらかーくして考えたらエエよ。命令やのぉて、お願いするって思えばエエって」
「王子はいつも低姿勢だよね」
「うっ……」
「ああっあの、アルス様は優しいので、それがアルス様のイイ所だと俺は思います!!」
「なはは! ローラン必死すぎやろっ」 

 なんだかんだと話してたらいつの間にか話が逸れ始めていく。結局は王様ゲームをやることになったが、ちょっとだけルールを変更している。 

―――――
一、一日王さまとなる。その為、王さまとなった人には敬語で話す
ニ、命令は一つまで。その命令は一日有効となる
三、無理難題な命令はしない。金銭的、生命的な命令等々
――――― 

「……これは陛下へのメリットはあるのでしょうか?」
「「………」」 

 シリスの一言でまたも一同沈黙。 

「……それはアルス様への王という荷の重さを一日でも緩和して差し上げるという気遣いだな」 

 ドヤ顔で明らかに今考えたのだろう。
 けれどアルスは天然な人だ。 

「このゲームにそんな意味があったとは!
感謝するぞ、アレッシュ!」
「ははは……」 

 アルスが納得しているならいいのかなと軽々しく思っていたローラン。王様ゲームが始まって後悔するのはまた別の話。


 END
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