癒やしは囁きと共に

朝陽ヨル(月嶺)

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付き合ってから

謝恩メロディ 四(R18)

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 数十分後にトイレから出ていく。既に仁も部屋に戻っていて、水分補給しながら座椅子に座ってテレビを観ていた。ローランも冷蔵庫から水を取り出して補給する。不自然に風呂を飛び出していってどんな顔をしていいか分からず、気まずそうに隣の座椅子へ座る。

「体調大丈夫?」
「大丈夫スよ」

 照れて出ていったのをからかっているのか、本当にのぼせたと思って心配しているのか分かりづらい。
 夕飯後のいつも家での過ごし方は、ほとんど日本語が理解出来ないローランは動物番組など言葉がわからなくても楽しめるテレビ番組を観て、隣で仁が通訳しながら言葉を学んでいる。しかし今日はそういった番組はやっておらず、テレビを観る気にもなれなかった。そういう時は自室で動画を観たり読書したり個々で夜を過ごすのだが、同じ空間にいて個別に過ごすのはなんとなく気が引ける。というよりも、今は一つのことで頭がいっぱいだった。敷いてある布団へ移動し寝転んで目を閉じる。

 ――仁さんはまだ勃たないままなのかな。あの時は緊張してたからって言ってたけど、俺がたくさんの人と経験してるってことがプレッシャーだったり……でも正確な人数伝えたわけじゃないし……まさか勃起不全? 別にエッチなことするだけが恋人ってわけじゃないけど、やっぱりシたいし……こんなことばっか考えてるってバレたら引かれそう

「ローランくん」
「うわっ!?」

 目を開けたら仁の顔が目の前にあり大きな声を出してしまった。互いに驚いて顔を見合わせている。

「驚かせてごめん。もう寝る? 寝るなら掛け布団掛けないと風邪引いちゃうよ」

 疲労感はあるにはあるが、眠気はまだ無い。寝たくないとすら思っている。
 昔はもっと積極的で、こんなうじうじと考えてばかりではなかった。失恋経験のせいもあるだろうが、臆病になるのは本気の恋だから。しかし慎重になりすぎては何も進展しない。自分らしく恋愛をしようと決めたのだ。

「まだ寝たくない」
「うわわっ?」

 布団の上でローランは仁を押し倒すようにして抱きつき身体に跨がる。暑かったことと慌てていたこともあり、着ている浴衣ははだけて上も下も肌が露出している。

「あの……また触りっこしませんか? 帰国前みたいに」

 ――少しでも触って慣れていったら勃つようになるかもしれないし!

「つ、疲れてないの?」
「疲れてないわけじゃないけど、こんな最高の旅行で宿泊するシチュエーションなんスよ? 夜は盛り上がらないと!」
「てっきり触られるの避けてるのかと思ってたよ」
「それはっ……心の準備がまだで、恥ずかしかったというか……。仁さんだって家じゃ全然そういう素振りなかったのに、さっきはあんな急に触ってきたから驚いて……その……、スゴく、興奮した」
「僕だってそうだよ。一緒にお風呂入ることなんて滅多に無いからちょっと魔が差したのかも。それに……やっぱり裸を見たら帰国前のこと思い出しちゃってね」
「おわっ……んんっ!?」

 仁が身体を起こし、その勢いのまま唇を重ねる。

 ――仁さんこんな強引なキスもするの!?

 唇を強めに押し当てて吸い付いてくる。身体と頭に手が回り固定されていて逃げられない。呼吸の合間に開いた隙間から舌も入ってきて、ぬるりとした感触や吐息の熱さが興奮を助長させる。唾液がクチャピチャと音を立て、糸を引いて唇が離れるとすっかり表情は蕩ける。

「このまま触りっこでいいのかな?」
「はい……、お願い……します」
「じゃあまずは前みたいにしてみようか」

 そう言ってローランのはだけた身頃に手を差し入れながら今度は仁が押し倒す。前回のようなナチュラルな触り方ではなく、焦らすようにソフトなタッチで胸や腰に手を滑らせている。

 ――前よりエッチな触り方になってて背中とかぞくぞくしてくる……!

「んっ……」

 恥ずかしさやくすぐったさでもぞもぞと仰け反ったりよじったりしていたが、急に快感が押し寄せて来る。既に立っている乳首を指で転がすと同時に、もう片方は舌で転がされる。乳首が弱いローランはほんの少し触られただけで下は反応し、左右の乳首どちらも舐められたり吸われたりするともうガチガチに固くなる。仁の頭が自身の胸にあり、されている間はただ頭を掴んだり髪を撫でることしか出来なかった。

「んぁっ……んっ、ま、待って……一緒に、触りたいっ……」

 そう訴えると仁は身体の上から身を引くが、ほとんど着ている意味の無い浴衣をかき分けてローランの股関に手を忍ばせた。
 ローランは股関を触られ慌てて起き上がる。

「良かった、固くなってる」
「そりゃあなりますよ」

 照れながらローランも仁の前見頃を捲ってみた。そしてギョッとする。

「あっえっ!? 勃ってる!」
「そんな大きな声出さなくても」

 パッと見で分かる程に下着を押し上げている。夢にまで見た光景に感動すら覚える。珍しいものを見るかのようにまじまじと見て下着越しに触れてみればしっかり固い。

「前は全然だったのに」
「キミの可愛い声を聴いてこうなったんだよ」
「俺で興奮したってことっスよね? ……嬉しい」

 自分のせいでこうなったと言われると恥ずかしいが悪い気はしない。
 下着を脱いで互いの性器を出しくっつけると脈打っていることが分かる。ローランの方はもう先走りが溢れて先端が濡れていた。上下に扱き出すと堪らなく気持ちよくなってくる。

「はぁ……、はぁ……、気持ちいい……」
「うんっ……」
「……っん……ふ……っ」

 ローランが扱いている間は仁がキスに集中する。軽めのキスを何度かしてから段々と濃厚なキスに。唇を食み、舌を絡め合うと唾液が混ざって口内は熱く蕩けていく。キスが盛り上がると手の動きも速まり、全体を緩く扱いていた手は先端を速めに擦っていく。

「ローランくん……っ」
「んぅっんっ、じ、仁さ……っ、出るっ、出ちゃっうっ、んあっあぅっ」

 ローランが扱くのに夢中になって唇を離すと、仁はローランの耳元で名を呼んだ。
 その囁き声が色っぽく耳内を一気に犯され身体が反応し射精した。
 仁はまだ射精には至っていないがびくびくと揺れる。

「は、はぁ、仁さん……触りっこだけじゃ終われない……これ……挿れてほしいっス」
「ローランくんが大丈夫なら」
「ちょっと待っててください……準備するから」

 一度射精すると得もいわれぬ高揚感がある。スッキリとしたハズの前と、ウズウズする後ろ。帰国前からしていた期待が叶うと思うと興奮は抑えられず、射精した性器は衰えず勃起したままだ。荷物を探って持ってきた物はボトルといくつかのコンドーム。ボトルの蓋を開けて中から透明の液体を手に取ると、自ら後孔へ指を挿入した。

「僕がやるよ!?」
「いいっス、今は……もう、早くシたいから。……ああでも、解してる間に萎えちゃったら困るな……」
「ローランくん!?」
「ふ……んっ」

 ローランは仁の股関に顔を寄せてそのまま勃起している性器を口に含んだ。躊躇うことなく奥へ性器を飲み込んで顔ごと上下に動かす。

「っ……待って、……離してっ」

 その言葉に耳を貸すことはなく、離さずに後孔を解すのも速めている。
 そして一分が経過した頃にはローランの口の中で果てたのだった。気持ち良さと申し訳なさで複雑な顔をしている。

「ごめん、我慢出来なくて……ティッシュは……」
「んぅ……いいんスよ……へへ、仁さんのって思ったら愛しい」
「だ、出さないとっ」
「もう飲んじゃいましたけど?」

 それを聞いて仁は驚くしかなかった。それとあまり感じたことのない背徳感。ローランが口を開けて舌を出しながら口内を見せていて、その姿があまりにも淫靡で全身がぞくぞくと粟立つ。
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