99%興味【改訂版】

朝陽ヨル

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一章〈eccentric〉~声に出さなきゃ伝わらない事だってある~

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 これってつまり、付き合ったと認めたっつーことに……なる……のか?

 有馬たちは俺そっちのけでケーキを切り分けて食べ始めている。これから先不安だらけで頭痛がしてきて思わず額を押さえた。

「チョコ、ほら、ケーキ食べよう」
「そうだぞ明路~せっかくだし食っとけ食っとけー」
「そんでもっと太れ~幸せ太りしとけ!」

 ゲラゲラ笑っているヤツらに呆れてしまうが、少しだけ恥ずかしさが抜けてきた。
 受け入れられることは、こんなにも安心できるものなのか。
 大勢の人間がいる所に入っていけないのを悟ったのか、有馬がケーキの乗った皿を持ってきてくれる。

「よかったな、チョコ」
「…………まあ」

 いちごの乗ったショートケーキをフォークで横に倒して、一口サイズに切って頬張る。

 ……うん。中々美味いケーキだ

「おっ、これはやっちゃうのか!? 初めての共同作業~」

 何だソレ。ケーキで初めての共同作業ってケーキ入刀とかじゃねえのかよ

「バッカ。ケーキ入刀はさっきやっちまっただろ」
「じゃああれ、食べさせ合うやつ!」
「ゴホッゴホッ!」

 滑らかなクリームにスポンジケーキでむせたわけじゃない。コイツらがおかしなことを言うからだ。

「あーんってやってえ~」
「新婚さんのラブラブ見せつけてーん」

 なんだこのバカ共は……!

「チョコ」
「な、んぐっ!?」

 口にフォークとケーキが突然入ってきて驚く。咄嗟に吐き出すかと思ったが、美味いものと認識したら勝手に口が動いて咀嚼して飲み込んだ。

「ヒューヒュー」
「熱いねお二人さーん!」

 外野がとにかくうるさい。気持ち的にはこのフォークで刺して黙らせたいくらいだ。

「チョコ、俺にもちょうだい」
「やるかバカ」
「えー。でもほら」

 周りからの期待の眼差しを一斉に受ける。目の前には有馬のキラキラした視線が。

 あ゛~~~~ったくよぉ…………鎌倉の時もやっただろうが。アレ、スゲー恥ずかしかったんだぞ……あん時と違って今はがっつり人に見られてるし、見知ったヤツらばっかだし、なんかもう恥さらしまくりで、こうなってんのも全部コイツのせい……

 ザシュッ

 思い切り真上からいちごをフォークで突き刺した。そして有馬の口に思い切り一直線に。

「おらあっ!」
「ゆっく、んごがっ!」
「「委員長!!」」

 ふん、これで満足だろ

 勢いよく口の中にフォークに突き刺したいちごを入れてやった。唇か口の中かどこかしらに口内炎でもなんでも出来ればいい。
 弱点がわかるなんて本当かは知らねぇが、これは予想だにしなかっただろ。あーん、なんてこそばゆいことをしようとも思っていなかった。いちごを口に突っ込んで、左の拳で腹目掛けてパンチを食らわせてやった。

「あ。でもなんか笑ってる」
「さすが藍庭」
「これは愛だな。愛」

 床に倒れつつもいちごをしっかりと咀嚼して、腹を抑えながらも嬉しそうに笑う有馬。
 その姿が見てられなくて、俺は逃げるようにして教室を出ていき、そのまま帰宅したのだった。
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