99%興味【打ち切り】

朝陽ヨル(月嶺)

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二章〈pleasure〉~今日の俺はドキドキ乙女心~

二 拓視点

 好きだ話したい遊びたいは友人の範囲で、キスしたい触りたいは恋人の範囲。それに続けて深く繋がりたいなんて言われれば鈍くても分かるもんだ。
 それって前の続きをシたいとかそういう話だよな……

「大事なこと聞いてもいいかな」
「……なに」
「俺に抱かれるのに抵抗はある?」
「それは……無いとは言い切れない」

 実は男同士のセックスというものを調べてみたことがある。今後あり得ることだろうと思い、ついでに男女のも調べた。未成年ということで制限があって情報収集の成果はイマイチだが、率直な感想で言えば気色悪い。全くの他人の情事の内容なんてどうでもよかった。そもそも男同士の場合は更に情報が少なくて、セックスをする意味もよく分からなかった。男女なら子孫を残すという理由はあるだろうが。

「俺はシたいよ。チョコを抱きたい。チョコと深く繋がりたい」
「ちょちょちょっ落ち着け! そもそも男同士って中に挿れないと駄目なのか!?」
「必ずしもってわけではないかな。女の子の身体とは違うし簡単じゃないと思う」
「だろ? そこまでしなくても……」
「そうかもしれない。でも……」

 目の前で座っていた有馬が立ち上がり、どんどん俺に近づいてくる。ベッドに腰掛けていた俺は触れないように仰け反ったが、有馬が跨ってくるとその体勢でいるのがキツくてベッドに倒れた。有馬が覆い被さって見下ろしてくる。

「恋人である証拠が欲しいのかも」
「はあ? 証拠?」
「既成事実ってあるだろ? そこまですれば、ちゃんと恋人だって言えるかなって」
「お前な……」

 そんなに恋人ってが欲しいのか?

「このっ」
「い゛ッ!!」

 頭を思い切り振って、有馬の額にド突いてやった。勿論、俺も痛い。

「~~~~っ! んあーっ! クソっいってぇ!!」
「そりゃここは痛いよ! たんこぶ出来たらどうするんだい!?」

 額を手で押さえて涙目になりながら、血が上って冴えてきた頭で思ったことをぶちまけることにした。

「うっせぇっ! 何が証拠だ。そんなん無くても恋人ってことに変わりねぇだろが! 身体の関係があることが恋人ってことなのかよ?」
「それは……違う……と思う」
「そうだろ。じゃあ、ここでこの話は終いだ」
「待って。ごめん、言いたかったことがまとまらなくて……そうじゃないんだ。ただ俺は、チョコに恋人であることをもっと意識して欲しくて。意識してくれたらもっといちゃいちゃ出来るかなって思ったんだ」
「意識させるのにヤるとか滅茶苦茶だな……そんなにいちゃいちゃしたいのかよ」
「そりゃそうさ! 俺がどれだけチョコことを好きか、言葉だけじゃなくて体でも伝えたいんだ! 言葉だけじゃ足りない。セックスするのは気持ち良くなるだけじゃなくて、愛情を伝える行為だから」

「愛情を伝える……?」

 その行為は性欲処理ばかりだと思っていたが、そう言われると有馬ならそういう考えをしそうだ。そもそも互いに合意の上での行為なら、本来そういった意義なのかもしれない。

「チョコだって男だし、抱かれるなんてプライドが許さないかもしれないけど……」
「プライドっつか……単純に怖いだろ。出すところに挿れるんだろ? しかもお前のデケーし」
「そ、それはごめん……コレばっかりは俺もどうにか出来そうにない……」

 苦笑してやや困り顔をしている有馬。起き上がるとその顔がアップになる。俺が近づいてやや困り顔から、やや驚いた顔になる。それから少しだけ視線を逸らした。
 コイツ、自分から何かする時は何でもねぇのに、俺から何かするとやたらと照れるんだよな

「逆に聞くけどお前はどうなんだよ」
「どうって?」
「お前が抱かれんの」
「ええっ!? チョコは……俺を抱きたいって思ってるのかい……?」

 信じられない、とでも言いたげな顔だ。しかし極端に言えばそうなる。

「抱きたいって気持ちなのかは分かんねぇ。けどやっぱり男だし、抱かれるより抱く方がいいかも……とか思ったり。……なんだよその顔」

 ぽかーんと魂でも抜けたみたいな呆けた顔で俺を見てくる。

「え……いやさ、今日のチョコは意外なことばかり言うから……夢なのかなって」
「夢なわけあるか。俺だってな、この部屋でお前とのこと思い出しちまうくらいにはお前のこと考えてたりするんだからな」

 そうだ、興奮したのはコイツとヤッたことを思い出したからじゃない。コイツ自身だ。コイツの気持ち良さそうに感じてる顔が浮かんできて、それで興奮したんだ。

「えっ……と、それって……ええ?」

 分かりやすく動揺しているのが見て取れる。目は泳いでいて、みるみるうちに顔が赤くなり耳まで赤くなっている。
 あ、こういうことか?
 ぐいと有馬のシャツの襟を掴んで引っ張り引き寄せる。俺は有馬に一気に近づき、右の耳朶を甘噛みしてみた。縁をペロリと舐め上げて、ふぅと息を吹きかけた。

「ふっ……ん、……ふぁ」

 耳から離れて有馬の顔を覗いてみる。
 力強く俺のシャツを握り、目を瞑って我慢している顔。中々そそられる表情をしている。
 耳がやたら赤くて、熱くなってて、何となくだけど舐めてみたくなった。きっと有馬もこういう気分になるから俺のをそうするんだろう

「チョコぉっ!」
「おわっ!?」

 急に抱きつかれて再びベッドに倒れ込んだ。今度は有馬も一緒に。くっついている為、有馬の心音が響いてくる。

「スゲー心臓バクバクいってんな」
「そうだよ、俺はもうキャパオーバーだよ……こんなことが起こるなんて明日爆発でもするのかな」
「しねぇよ。何アホなこと言ってんだ」

 抱き着いて身体に擦り寄ってくる。
 正直こんなに触れられると身体がヤバイ。変な声が出そうになるのを必死で我慢しているところだ。

「予定外だよ。こんな嬉しいサプライズになるなんて」
「なんか予定あったのか」
「ああ、うん。ちょっとした物をね」

 有馬は起き上がりベッドから降りて床に置いてあるバッグに向かった。
 そのお蔭で俺はどうしようもない昂りを抑えようと躍起になっている。
 
「これさ」

 ゴソゴソとバッグから取り出した物。それは透明な液体が入ったボトル、ローションだ。

「なんつーもん鞄に入れて来てんだよ!」
「ははは。備えあれば?」
「……憂いなし。いやいやいや、必要な物じゃねぇだろ」
「解すのに必要な物だよ?」
「ちっげぇよ! 学校にだよ!」

 まさかソレを毎日鞄に入れてるわけではないよな。ゼッテー荷物検査に引っ掛かるだろ

「チョコとのいちゃいちゃを果たす為には必要不可欠なラブアイテム、いくら学校でも邪魔はさせない!」
「いや置いてこいよ。せめて休みの日とかにしろよ」
「だってチョコのお家に来るのは放課後だと思っていたし、持ってきていたのは最近だから安心してくれたまえ」
「常備してるのかと思った。まじでビビったわ……」

 ローションのボトルを持ってまた近寄ってくる。ベッドに腰掛けて、嬉しげにキラキラと笑って。

「休日にもお邪魔していいのかい?」
「別に構わねぇけど」
「本当? ふふ、また楽しみが増えちゃったな。でも試すの休日じゃないとダメかい?」
「いつ試すとかそういう話じゃなかったんだけど……つかもう試す前提なのかよ」
「遅かれ早かれシたいと思っていたからね」

 トントン拍子で流されていってるのは分かる。けれど好奇心旺盛な自分が時々怖い。男が男のを挿れるとか絶対無理だろうと思ってるのに、可能であるから試したいと準備をされていれば、好奇心の天秤がヤってもいいかもという方に傾く。
 これは触られる練習の一貫……強い刺激ならそれより弱い刺激はもしかしたら平気になるかも……荒療治……腹を括れ俺……
 未知なことをやろうとする時、緊張して冷や汗をかく。正に今そうで、深呼吸して心臓の鼓動や息を整えようとしている。

「……チョコ」
「っ……」

 うっ。来るのか? するのか?
 ベッドの上で有馬との距離がもう無い。ぴったりと太腿と膝がくっついて、見つめられて、今までに無いくらい緊張してしまっている。

「まずは……俺で試してみる? コレ」
「へっ?」

 ローションのボトルをちらつかせてそんなことを言ってきた。
 そして俺はキョトンと間抜けな声を出して間抜けな顔になっているだろう。気を張って腹を括ったようなつもりでいたが拍子抜けしてしまった。

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