お姉様に夢中なはずなのにその他の誘惑が多すぎます

那須野 紺

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おねだりは命じるもの?

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美咲さんとの少し変わった交わりは、確かに記憶には残るし刺激にも事欠かないが、どうもお互い消耗するらしいという事がだんだんわかってきた。

…たまにしか拝めないからこそ、美咲さんのあのモードにはありがたみが増すという事もあるかもしれないし、何よりそのような捻りがなくても、私は十分満足している。
いや、満足しているなんて言い方はおこがましい。
そもそも美咲さんに近づく事ができただけでも、夢のような事なのだから。

秘書課での仕事は割と順調に覚えられているけれど、まだ、真帆さんが担当する所の役職者を受け持つ事にはなっていない。
今のうちに、美咲さんを担当する場合の心構えはしっかり作っておきたかった。

そんな、ある金曜日の事。
午後は秘書課員が数多く席を外すという事になり、午後の大半は私と梢さんの二人きりで過ごす事になった。
進藤部長は出張中で、よほどの事がなければ用事を頼まれる事はない。

私はなんとなく、秘書課員の来週のスケジュールチェックをしたり、残りの有給の数を数えてみたりなどして、「時間がある時にやれる事」をこなしていた。

すると梢さんが「冴子ちゃん、ちょっと」と私の席に近づいてくる。
何ですか、と聞き返すより先に手首を掴まれて梢さんはすたすた歩きだした。
私は慌てて椅子から立ち上がり梢さんについて行く。

連行されたのがロッカールームだとわかり、にわかに私は緊張した。
最近ようやく忘れかけていたのに、梢さんと二人きりという事と、その場所が重なると嫌な予感がする。

「どうしたんですか」

引きずられるように歩きながら梢さんに問いかけるが、「話があるの」と一言だけ返されて、いそいそとロッカールームへと歩く梢さん。
…何か、急いでいるようで少し心配になった。

梢さんは私の先に立ってロッカールームの扉を雑に開け、そのまま奥へと突進する。
正に、例の出来事に遭遇した場所--カーテンで仕切られただけの、簡易ベッドが置かれた狭いスペースに、私たちは勢いよく突入する感じになった。
前に立っていたはずの梢さんが、光速のスピードで私の後ろに回り込み、ぴたりとカーテンを閉める。

梢さんからは、切羽詰まったような雰囲気があり、私は一瞬だけ「具合でも悪いのだろうか」などと真面目に考えてしまったが、それは大きな間違いだった。

振り返った梢さんは、若干頬を赤らめて笑顔を見せる。
その表情に私は既視感を覚えた。

「この時を待ってたんだ♪」
「……」

表情をほころばせる梢さんとは対照的に、私の顔はおそらく険しく硬直していたに違いない。

「やっと、冴子ちゃんと二人っきりになれた~」

言うが早いか、梢さんはやんわりと私の身体を押してベッドに座らせる。
そしてそのまま私の両手を握り、横に腰掛けた。

「あの、これは…」
「数えてみてよ?」
「何をですか」
「だから~」

梢さんの、明らかに性的な昂ぶりをたたえた表情に、私ははっとして「数える」の意味を理解する。
そう、梢さんのいわゆるバイオリズム的な「むらむら」タイミングの事を意味しているのではなかろうか。
あの出来事から数えて確かに1サイクル経過したろうかというタイミングではあるが、まさか私が標的にされていたとは。

でもまだ、何をしてくれと言われたわけではないし、勝手に先回りして逃げるのはやりにくい空気だった。
その気になれば握られた両手だって振り払えるけど、私は梢さんを嫌っているわけではないから、とりあえず抵抗しないでおく。

「…わかっちゃったかな」
「なんとなくは」
「うん」

気まずい沈黙が訪れる。ごく短いはずなのに、なんだか息苦しい。

「…冴子ちゃんは最近、誰かとエッチした?」

普段からそういう話をあけすけにしてくるのが梢さんだが、この時の口調にはどことなく恥じらいが感じられて、かえってドキドキしてしまう。

「まあ…人並みには…」

無難な返答のつもりでそう答えたが、梢さんは私の顔を覗き込みながら「あの人と?」と尋ねてきた。
視界いっぱいに、梢さんの整っていながらも人懐こい顔立ちと、綺麗なセミロングの髪が入ってきて、思わず息を飲んだ。

「……」

カマをかけられているような気もするが、どうあれ私の中では「あの人」=「美咲さん」というイメージが繋がってしまい、言葉にせずとも表情だけでバレたかもしれないと落ち込んだ。
せめて、誰とは言及していない点のみに救いを求める思いである。

「ま、いいや」

梢さんはそれ以上掘り下げる事はせず、正面に向き直った。

「そう言う梢さんは、どうなんですか」

やけになって聞き返すが、梢さんはとぼけたように「私?」と問い返してくる。

「私は…うーん、どうかなあ」

教えてくれないのか。まったく卑怯だ。
それに梢さんにとって「最近」とはいつまでを指すのかも、何か一般論と異なる気がして怪しい。

「じゃ、最近かどうかは別として、誰としたかは教えてあげる」

いや、いらない、と言いたいのに喉が詰まって声が出ない。
私の脳は聞く事を嫌がっているのに、身体や本能は知りたがっているという事のようで自分に呆れた。

そのうちに記憶の彼方に引っ込んでいたが、あの出来事の中で梢さんが口にしていた言葉が、うっすらと思い出されてくる。

…確か、何人かとかそんな事も言っていなかっただろうか。
それに、梢さんは確実に、見られて興奮するタイプの人だ。
私はどうにかして言葉を発さないと、梢さんの言葉を遮る事はできないと思い、「あの」と言いかけるけれど、梢さんには届かなかった。

「あ、でも…秘書課の人とはほとんどしてるから、むしろしてない人の方が少ないかも」
「っ……」

返す言葉がない。
「ほとんど」って、誰から誰までの事を指しているのだろう。

「あれ?…あ、もしかしたら冴子ちゃんが最後の一人かも」
「はぁ…?」

あの目撃の件はカウントされていないとなると、私以外がみんな、梢さんの身体の恥ずかしい所を見て、更に触ったという事なのだろうか。
卒倒しそうになるが、梢さんは私とは違う倫理観の中にいる人なのだろう。
多分、女の子同士で触り合う分には、貞操観念など必要ないという事か、あるいはそもそも梢さん自身に貞操観念という概念がないかかなり薄いか、という事なのかもしれない。

梢さんの明るい人柄と相まって、そういう、恋愛感情とは切り離された性的な交わりというものも、気軽にできてしまう感じがあるのかもしれない。
梢さんは「重い女」の対極にある。言葉にすると「軽い女」となってしまうけど、彼女は頭も良く秘書としても優秀だから、言ってしまえば尻だけが軽い「いい女」なのだ。

私がただただ困惑して黙っていると、徐に呼びかけられる。

「…冴子ちゃん」
「はい」

反射的に返事をするが、その先を聞くのは怖い。

「せっかく二人っきりだし、私ずっと冴子ちゃんの事いいなって思ってたし、その…少しだけ付き合ってくれない?」

来た、と思うがどう答えたら良いのだろうか。
私の両手を握る梢さんの指先が震えていて、言葉や態度とは違う何かが、梢さんの中に駆け巡っている事に気付いてしまう。
だから余計、その手を振りほどく事ができなかった。

だけど、尋ねればそれは承諾を意味してしまう。
私は迷った。

「見て…くれるだけでもいいから、この前みたいに」

弱弱しくなったその口ぶりに、梢さんの「断られたくない」という強い思いを感じる。
私が何も言えずにいると、梢さんは片手だけを離して私を正面に立たせるように誘導した。
そうしながら、早くも梢さんはベッドに片膝を立てている。

ちらっと見えた梢さんのスカートの中に、あるべきものがなかったので、私は固まってしまった。

私がそこを視認した事に気付いた梢さんは、一瞬だけ私と目を合わせた後少し視線を伏せて言う。

「今日、ずっと…履いてないの」

スカートの中は、ガーターストッキングと、そして何も身に着けていない下半身、そういう恰好を見せられて、私は口の中に生唾が溜まっていくのを抑えられなかった。
飲み下すと絶対にそれが梢さんに気付かれる。でもどうにもならない。

「しゃがんで」

私は何も言葉にできず、ただ梢さんの指示に従って床に膝立ちになる。
両膝をベッドの上に立てた梢さんの股間が目の前に現れて、また私は意識が遠のきそうになった。

社でも人気の、上品なワインカラーの秘書課制服スカートの中に鎮座する、女神の泉。
そこは、まだ影になっていてしっかり確認できないけれど、わずかに濡れているようだった。

「もっと…見て」

梢さんが自分でスカートをたくし上げて、太腿と秘部が蛍光灯の明かりに晒される。
見覚えのある、でも、間近で見るのは初めてのものがはっきりと見えて、私の膝は震えた。

秘書課のデスクには今、誰もいない。電話が鳴ったらどうしよう、という考えが頭をよぎり、それでほんの少し冷静さを取り戻したが、だからと言ってここから立ち去る事も、梢さんのリクエストを無視する事も、私にはできなかった。
できないと言うよりも、そうする勇気がない。

梢さんの秘部は、見慣れた美咲さんのものとは勿論違っていて、無意識のうちに違う部分を確かめるように凝視してしまう。
意識を逃がさなければ、脊髄反射でその場所に舌を這わせてしまいそうになるのを自覚して、あまり顔を近づけすぎないように努めた。

「…見える?」

梢さんが、言いながら器用に片手の人差し指と中指を使って、花弁の中心を割り開いて見せる。
表からは見えなかった、潤いに満ちた場所が現れて、そこが光っていた。
その上ご丁寧にきちんと萌芽の先端も、指の間から覗いている。

「……」

声で返答できず、わずかに首だけを動かしてそれを伝える。
梢さんの息が激しくなっていき、私の微細な挙動は目立たなかった。

「冴子ちゃんに見られるの、初めてじゃないのに…なんか、恥ずかしい」

やめて欲しい。
真帆さんと、あんなにこなれた感じで絡んでいる所を見せておいて、今の梢さんは明らかに顔を真っ赤にして、目も細めて羞恥に悶えている。
あの時の、興奮しながらも見られている事を意識していた、経験豊富なイメージとは程遠い。
そんなギャップは反則だ。

「あぁ、冴子ちゃんっ」
「……」

いきなり喋ると変な声が出そうな気がして、視線だけを合わせると、梢さんはこう続けた。

「そういう、真面目な所もすごく可愛いね」

…どういう事なのだろうか。
私の表情から疑問を読み取ったのか、梢さんは途切れ途切れに、喘ぎ声を交えながら話してくれた。

「…みんな、私みたいな子には遠慮なく悪戯してくるのに、冴子ちゃんは言われた事をしっかり守って、勝手な事しないでしょ」

それは私が梢さんの後輩だから、という理由が大きい気もするのだが、だとしても仮に年齢や社歴が自分よりも若い女子を相手にしたとして、やはり私は勝手な悪戯ができるほどの勇気がない方だと思う。
「していいよ」と言われて、キャッキャとはしゃぎながらいやらしい悪戯に興じる事ができないのは、自分がそれだけでは満足できない、欲の深さを持っているという事を知っているからだと思う。

でも、そうして自分の奥深くに隠している強欲な部分を他人から見透かされているような気がしていて、だからこうして誘われてしまったり、それを断る事ができなかったりするのもまた自覚している。

私は目を伏せて、とりあえず「真面目」という評価については否定した。

「そうじゃないです」
「…違うの?」

梢さんは切なそうな顔で私を見下ろしてくる。
二人の間には、梢さんの指と、開かれた秘部があって、そんな物越しに視線を交わす事の異常さに、この時はもう驚かなくなっていた。

…毎日のように美咲さんと身体を重ねているんだから、もうそんなに怯えなくてもいいはずだと、頭では思う。
でも、思考だけでは安心できず、私は自分の本能や欲望の量を正しく認識できている自信がないし、疑っている。

欲望の量が100だとして、99満たされれば1しか残らないのかと言えば、多分そうではない。
例え100満たされたとしても、その次には初期値が150や200に変わってしまう、性的な欲望とはそういう類のものではないかと私は考えていた。
だからこそ、美咲さんとあんなに肌を重ねていながらも、過激な行為に進んでしまったりするのだろう。

梢さんは、それを知っていて私を誘ったのだろうか。
そうであってもなくても、今は私の欲望のあるがままを吐き出していい場面ではない。

「…違うんですけど、でも今はいいです」
「…うん」

わかったような、わからないような様子で梢さんは頷いた。
そんな話をしている間にも、花弁の内側はゆらめくように蠢いて、徐々に光の密度が増していく。
溢れそうなものには思わず吸い付きたくなる、それは多分人間の本能だ。

「冴子ちゃん」

その呼びかけだけで、もっと見て欲しいという意志が伝わってきて、私は改めて梢さんの秘部を凝視した。
梢さんは、あえて指を動かさないように自分を焦らしているようだった。
だから余計に、その場所に起きている変化がはっきりと見える。

「…あぁっ」

堪えられない、というように梢さんが息を大きく吐いて、一瞬膝を閉じかける。
その動きに、私は条件反射で手が動いて、梢さんの脚を元の位置に押さえつけるようにしていた。

「…冴子、ちゃん?」
「ごめんなさい」

驚いている梢さんに一言詫びてみるが、私は自信がなかった。
自分のあるがままの欲望を引っ張り出された時、それでも戻って来られるかどうか。

梢さんはすぐに表情を緩めて「いいんだよ」と言う。
そういうのも、頼むからやめて欲しい。

「いえ、あの…」
「あっ、でも無理にしなくていいからね」
「はい」

こういう察しの良さは、さすがに優秀な秘書だ、と思う。

「でも、したくなったらいつでも触っていいよ」
「……」

したいかしたくないかで言えば、したいに決まっている。
だから煽らないでもらいたいのに。

「あは、可愛い」

梢さんは、秘部に触れていない方の手を伸ばして、私の頬や髪を撫でてきた。
私は思わず首をすくめてしまう。
自分のそんな反応で、もう身体が敏感になり始めているのを知った。

「冴子ちゃん、敏感」
「す、すみません」

私は脱力して、梢さんの脚に乗せていた手を離した。
もう、梢さんの脚は閉じようとしていない。

「…じゃもっとエッチな恰好しちゃおうかな」

楽しそうに梢さんが言うけれど、今以上に卑猥な恰好というのがあるものなのか、私にはわからない。
すると梢さんは制服のブラウスのボタンに手をかけて、外していく。
胸元だけが露出するように、第二ボタンから3つほどを外して、わざと胸をその隙間から覗かせた。

「んー、ブラが邪魔よね」

言いながら梢さんは目くばせしてくる。
自分でできるはずなのに、私にやらせようとしているのだ。

「冴子ちゃん、外して?…それぐらいはいいでしょう?」

ベッドの上で股間を全開に晒しておきながら、そんな事を頼んでくるあたりは独特のセンスだと思うが、私も同じ態勢でいるのはきつくなってきたのもあり、立ち上がって梢さんの背中側のブラウスをスカートから抜いて、ブラジャーのホックを外した。

梢さんは「んっ」と軽く身体を反らせてから、秘部を広げていない方の手でカップを上にずらし、先ほどはだけたブラウスの隙間から生身の胸をこぼすように出した。
そして梢さんは下着の窮屈さから開放され、長い溜め息を漏らす。

「はぁ…っ」

私の視線は、今度は梢さんの胸に固定されてしまう。
こちらも見覚えがあるはずなのに、あの時と違って服の隙間から飛び出しているというだけで、何か別物のように見えてしまって不思議だ。

「冴子ちゃん、おっぱい…揉んで」

柔らかそうな、それでいて張りのある胸を両手で掴んでしまってから、私は気が付いた。
ここまで梢さんはわざと、言葉で指示していなかったのだと。

「やっぱり、真面目」

梢さんはほんの少し笑ったけど、すぐに艶めかしい表情に戻る。
見下ろすと、梢さんの指は開いた秘部の中央に潜り込んで、中を弄っていた。

「だめ…止めないで」

そう言われるまで、自分の手が止まっていた事に気付かなかった。
それぐらい、梢さんの秘部に指が沈んでいる様は、私の意識を独占するほど強烈に魅惑的なものに感じられた。

意識が飛ばされかけた事を打ち消したくて、私はしゃにむに梢さんの胸を揉みしだく。

「あ、あ…ん、すご…」

力を加減するのが面倒だったから、あえて乳首を避けながらやりたいように梢さんの胸を揉みまくる。
少し痛いぐらいに揉まれるのがいいらしく、私が強く胸を掴むと梢さんは声を上げて快感を伝えてきた。

「あ、それ…いい、んんっ」

本音を言えば、梢さんの秘部に興味をそそられているし、もっと見て触りたい。
止められているわけではないが、頼まれもしないのに自分からはそれができなくて、できない苛立ちをわざと胸への愛撫に変換させた。
だからおのずと、それは乱暴なものになっていく。
悪い事に乱暴であればあるほど梢さんが悦ぶから、私はますますむきになった。

けっこうな力で握っているのに、梢さんの胸の先端はどんどん腫れあがっていくばかりである。
…こんなに雑な愛撫なのに、梢さんの身体はそれを悦びとして受け取っているのだ。
今となっては「勝手に悪戯される」のも、わかる気がしてくる。
なぜなら、梢さんはあらゆる愛撫に対して、それを快感へと変える事のできる性的に発達した身体を持っているからだ。

「これは、どうですか?」

私は、かすれた声で尋ねながら、前触れもなく梢さんの乳首をつまんで捩じった。

「ひ、あぁ…あぁ、ん…」

身体をよじりながら、悲鳴にも似た細い声で、梢さんは鳴いた。
それはこれまで以上に感じている事の現れだと、私にもわかる。

「梢さん、痛いぐらいのが気持ちいいんですね、本当に…」
「うん…っあ…」

いよいよ下の方から明確に、クチュクチュという水音が聞こえてくる。
こんな愛撫に、秘部を更に溢れさせているなんて。

「噛んであげましょうか」

梢さんの答えは待たない。
そんなの、いいに決まっているからだ。
私は乱暴にブラウスの生地を左右に引っ張って更に梢さんの胸を露出させると、その先端にかぶりついた。

「ひゃぁっ」

多少噛み跡が付いても、文句は言われないだろう。
だから、私は美咲さんには絶対しないような、強めの力で梢さんの乳首を歯で挟んで吸い立てる。

「あ、あ、それっ…」

股間の辺りから響く水音が更に変化し、梢さんの秘部からどっと蜜が溢れているのがわかった。

「…冴子ちゃんったら、そんな事もできちゃんだね…」
「そうですよ」

私は無表情を崩さないようにしながら答える。
内心は、梢さんの彫刻のような完璧な身体に歯を立てられる事に異常な興奮を覚えていたけれど。

そして反対側の乳首にも、ガリッとかぶりつくと、梢さんは「あぁっ」と高い声をあげた。

「わたし…冴子ちゃんに、乳首かじられてるっ…すごい上手…」

これのどこが、と思いながらも私は態度に表す事なく、噛んだ後の乳首を舐め回してしまった。

「う…んっ…あ…」

きつい痛みから突然に柔らかい刺激へと変化したため、梢さんの身体は混乱と快感を同時に受け止めているはずだ。
あえてしつこく舐め回す事はせず、私はぱっと梢さんの胸から顔を離してしまう。
そうして、わざと高い位置から梢さんを見下ろして尋ねた。

「他に言う事があるんじゃないですか」
「……あはぁ…ん…」

案に、おねだりしなさいという事を私は伝えた。
最初は、おねだりされない所為で大事な場所に触れられない事に苛立っていたのに、短い時間で攻守が入れ替わり、おねだりしろと命じている自分に、やはり今はもう驚かない。

「はぁ…はぁ」

梢さんは荒い息をするばかりだったが、これ以上のヒントは与えず私は待った。
言葉はかけなかったが、待っている間に先ほど噛みついた梢さんの乳首を指でこね回す。
私の唾液でぬるついたその場所を、コリコリと嬲りながら、じっと梢さんの顔を見つめて先の言葉を待った。

「ひぁ、言うから…待って」

乳首を抓られた瞬間に、梢さんの身体が更に赤く染まる。
その色もまた、綺麗だなと思った。

「冴子ちゃん」
「はい」

梢さんは、子猫のような顔で私を見上げてくる。
ミルクが欲しい、とでも言いたげに瞳は潤んでいた。
私は乳首をこねるのを止めて言葉を待つ。

「…こっちにも、して…」

私は一度その言葉を無視した。
もっと、いやらしく言い換える事ができるはずだからだ。
その方が、梢さん自身の興奮を高める事にもなる。

「冴子ちゃん」

私は少し首をかしげて梢さんを見下ろす。

「お願い、おまんこも…触って、舐めて、かじって…」
「わかりました」

指示を得て、私は堂々と梢さんの秘部を目前にする位置に陣取る。
先ほどまでの、見ているだけの時よりもだいぶ近い距離に私の顔がある事で、梢さんはそれだけでも興奮しているようだった。

「冴子ちゃんに、こんなに見られてる…凄いよ」

私はさっき梢さんがしていたように、まずは花弁を指先で割り開いて内側をじっくりと観察する。
それだけで、だらだらと透明な、そして極端に匂いの薄い液体が花弁の縁をつたっていった。

…そうだった。
梢さんの蜜は、蜜と言うより清水のようなのだ。
どんな味がするのか、急速に好奇心をそそられる。

その欲望を開放し、私は開いた花弁の中心、蜜穴に舌を差し込みながら花弁全体を口に含んだ。

「あぁっ」と梢さんの声だけが高く響いている。

…予想通り、それは水のように味も極端に薄かった。
これなら、それこそいくらでも飲めてしまいそうだ。

花弁にキスをするように、私はチュッチュッと音を立てて花弁を食みながらも、舌は完全に抜けない位置で穴の中を前後に動かす。

「あぁん…あぁ…気持ちいい…っ」

一瞬大きな声で喘いでしまってから、梢さんは今ここがどういう場所なのかを思い出したように、無理やり声を殺そうとする。
それに呼応して私はわざと、うるさくすすり音を立てて梢さんの秘部をめちゃくちゃに舐め回した。

そうすると、梢さんは声を大きくするのを許されたような気がするのか、こらえていたはずの声がまた大きくなっていく。

「あんっ、あ…凄い…いい…っんふぅ」

梢さんの身体はぴくぴくと痙攣しながらも、肝心な場所は緩んで私を受け入れようとしていく。

「あ、あはぁ…冴子ちゃんっ、上手いんだね…」

梢さんの感じる場所を特定できたわけではないが、そう褒められて悪い気はしない。

だが、ここは職場だし、梢さんに強引に誘われて始めた事でもあり、あまり長引くような事にはしたくなかった。
とにかく一度達してもらえれば納得するのではないかと考え、私は口を動かして、蜜穴に沈めていた舌を萌芽の方へともっていく。
そして、唇と舌で萌芽を転がしながら、穴の方には激しく指を突っ込んだ。

「あぁ、んっ…」

梢さんの片足が蹴り出され、危うく私の腕に当たりそうになった。
それを咎めるように、私は空いた方の手で力強く梢さんの脚を押さえつける。
そのまま、萌芽と内壁を同時に攻めていくと、梢さんの内腿がぴくぴくと痙攣するのがよく伝わってきた。

「あぁっ……あ…あん…」

梢さんはもう、会話しようとはせずにただ喘ぎながらこの行為に没頭している。
そんな風だからいいように弄られるのだろう、と思いながら、だからこそ私のこの行為からも罪悪感が消されていくのだと感じ、梢さんの言葉のみの申告を信じて甘えている自分が忌まわしく思えた。

ずるいかもしれないが、私は行為を早く終わらせるために、できる限りの技術を駆使して梢さんの最も感じる場所を突き止め、そこをピンポイントで刺激していく。
これまでの行為から、萌芽にもきつめの刺激が欲しいだろうと考え、そこを強めに吸っては離しというのを繰り返した。

「あん、だめ、もう…いっちゃうよぉ…」

内壁をぐりぐりと押し込むように擦り続けながら、何度目かの、萌芽の吸引をした時に、梢さんはいきなり果てた。
その瞬間、指を差し込んでいた場所からどばっと液体が溢れてきて、どういうわけだかそこより上にあるはずの私の口元にまで、それが流れ込んでくる。

「……っ」

強制的にその液体を飲み下しながら、やっぱりこの時も梢さんのこぼす液体には匂いも味もほとんどないのだな、と思った。
こんな体質なら、ベッドを汚してもさほど罪悪感を抱く事もないかもしれない。

「はぁ、はぁ…」

梢さんの息が整う間に、私は急激に冷静さを取り戻した。
…自分の欲望を丸出しにはしなかったまでも、ひとしきり梢さんに愛撫と奉仕をしてしまっていた。
罪悪感とまではいかないが、結局引っ張り出された事には変わりない。

「あ、あのね…冴子ちゃん」

立ち上がった私を見上げて、梢さんは乱れた衣服を直そうともせずに何かを訴えかけてくる。

「…?」

私は梢さんの隣に腰掛けて、次の言葉を待った。

「あのね、途中で言おうと思ってたのに、タイミング逃しちゃった」

梢さんは制服のポケットから、事務作業用の指サックを取り出す。
指を完全に覆うタイプではなく、指先の腹側に、細かい突起が付いているタイプのものだ。指で直に紙をめくるよりも、これを使うと滑りにくくなり枚数の多い書類をめくったりホチキス止めする時に役立つ。

ありふれた事務用品だが、梢さんはエッチな事にこれを使おうとしていたらしい。

「これ…つけて触って欲しいって言うの忘れちゃった」

梢さんは、えへへと笑って見せる。
もしかすると、日常的にこれを使って自分で、あるいは誰かに身体を触らせているのだろうか。
私は、これを使うとどう気持ちいいのかには言及しない事にしておく。

それなのに、梢さんは「じゃ、次にする時にね」と付け加えてきた。

「…」

私は頭を抱えたくなった。
次があるなどとはできれば考えずにいたかったのに。
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