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短いお散歩
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…場所、どうしよう。
今朝美咲さんには「後で私の目の前で履き替えて欲しい」と言いはしたものの、適切な場所がどこなのか、なかなか考えがまとまらなかった。
そもそも社内でショーツを履き替える行為自体が適切な行動ではない以上、お誂え向きの場所も何も、あるわけがないんだけど。
バラエティショップで勢いこんで購入した時には何とも思わなかったのに、今ロッカーにしまってある、履き替えを待っているであろうビーズショーツに関して改めて考えてみると、だんだん恥ずかしさが募ってきた。
「……」
人には見つかりにくく、かつ窮屈でない場所の方が良いだろうと、この行為の目的に反して少しでも美咲さんがリラックスできるようになんていうずれた事を考えてばかりいる。
「うぅーん」
窮屈でない、という単語から急に連想されたのは、オフィスに並ぶデスクの上で美咲さんが大胆に脚を広げてショーツを履き替える姿だったりして、慌てて頭を振った。
…何故、今になって全然気持ちが振りきれないんだろう。
美咲さんを恋人として思うようになったから?
そんな薄っぺらい気使いなんて、所詮美咲さんには必要ないはずのものなのに。
『WS』アプリを通じて出会った頃の方がよほど、余計な事など考える事なく素直でいられたような気すらしてくる。
「…あ」
考えが煮詰まるあまり、定時を迎えてしまった事に気付かなかった。
なかなか業務が手につかず、急ぎではないもののできれば今日のうちに仕上げておきたい資料が、まだ完成していない。
…どうせ美咲さんも定時上がりしないだろうと思って、場所を考えるのを後回しにしつつパソコン作業の手を動かした。
そうこうしているうちに一人、また一人と秘書課のメンバーは退勤していく。
ほんの15分程度の間に、デスクに残っているのは私だけになってしまった。
…亜里沙さんまで、帰っちゃったのかな。
考えてみれば今日は金曜日、受付の頃もそうだったけど、やはり金曜日は皆引けるのが早い。
誰もいなくなれば仕事がはかどるのかと思いきや、かえってその静けさに焦りを感じてむしろ思考も手元も空回りする。
残業に慣れていないから、こういう状況での集中の仕方が身についていないのだな、と自分で思った。
「失礼します」
背後から聞こえた声にぎくりとする。
振り返らなくてもわかる、美咲さんの声だからだ。
「…なんだ冴子しか居ないじゃないの」
課の入り口辺りから美咲さんに声をかけられる。
私のデスクは入り口に対して背を向ける配置なので、私はぎこちなく振り返りつつ「すみません」と声を出した。
何だか仕事中の自分の背後に美咲さんがいるシチュエーションに違和感を感じてしまって、気ばかり焦る。
「…まだ、終わらないの?」
美咲さんは背を屈めて私の画面を覗き込んで来た。
画面には、袴田部長から頼まれている、開発部向けの簡単なデータをまとめた資料が表示されていた。
一目でその資料の目的も用途も理解したらしい美咲さんは、「何、袴田君ってこういうの部下にやらせないんだ…」などと呟いている。
私が頼まれているのは印刷した際に体裁が良くなるように、レイアウトや余白の調整をするだけの事で、データそのものを触るわけではない。
でもそれを説明するのは何だか袴田部長をフォローしているようで面白くないので、とりあえず私は黙っていた。
「…今日中なの?締切」
画面から視線を私の方に向けて美咲さんが尋ねてくる。
「そういう訳じゃないんですけど、今日のうちにやっておきたくて」
「ふーん」
正直な所、パソコンでの業務のスピードはあまり早い方ではない。
受付の仕事でもあまり使う事はなかったし、事務処理と言ってもさほど込み入った業務はなかった。
要領の良い友紀に比べれば圧倒的に、私のPCスキルは低い。
考え事をしていた上に手が遅いから、こんな事になっちゃったんだなと反省する。
それでも「お願いだから残業前に勝手にタイムカードは切らないで」と真帆さんからも、人事部長になった進藤部長からもきつく言われているし、これはもう仕方ないと思った。
「その、レイアウト調整を…」
黙っているのもやっぱりおかしいかなと思い直して、一応それだけ説明はする。
「うん」
美咲さんはまた画面を見つめつつ、「ちょっといい?」と私が操作しているマウスに手をかけた。
私がぼんやりと見とれている間に、美咲さんはプレゼン用アプリケーションの設定をいじって、レイアウト調整によく使う機能をまとめてメニューに表示させるような変更をかけているようだった。
操作が早いので何をしたのかよく見えなかったけれど、おおよその手順は把握できる。
…美咲さんが自分の上司だったら、こんな感じの事がしょっちゅう起きるのだろうか、などと余計な想像をしてしまう。
それに美咲さんは家に仕事を持ち帰らない人だから、仕事用のデータをパソコンで操作している所を、私は見た事がない。
だからこれはあまりに新鮮な場面であり、私の大好きな、憧れの美咲さんのお仕事姿を間近で拝める幸せを噛み締めずにはいられなかった。
美咲さんの左手は私の椅子の背もたれにかかっていて、そんな至近距離にいながら中腰でマウスを操作しているから、手の動きにつられて胸の辺りとか髪がちょっと揺れたりなんかするのがよく見えるし、何なら蟀谷の辺りに美咲さんの首筋が接近してきて体温まで感じてしまいそう。
鼻から息を吸えば美咲さんの匂いがちょっと嗅ぎ取れるし、美咲さんのお仕事姿はどういう訳だか私のフェティッシュな欲望をものすごく満たしてくれるのだ。
「…ここまで、ね」
「はい」
美咲さんは、ズルしたり代わってもらったりは嫌なんだろうからという配慮を見せつつも、私がやろうとしている作業内容を先に理解して、これから先も含めて同様の業務がはかどるようにしてくれたようだった。
「なんか…すみません」
「謝ってないで、早く終わらせて?」
「はい」
美咲さんは一度私のデスク傍から去り、自販機のコーヒーを買って戻ってきたようだった。
「はい」と私の手の横に一本飲み物を置いて、自分はすぐ隣ではなく一つ空けた席に腰を下ろし、自分の分の飲み物キャップを開いている。
…これも、間近でジロジロ見られたら私の作業がはかどらないだろうという配慮の上での行為なのだろう。
とにかく、早くしろというのが美咲さんからの唯一の指示なので私はお礼も返さず美咲さんの顔も見ず、資料の加工を急いだ。
私の手が止まったその動きだけで、美咲さんは私の作業が一区切りついたのだろうと察して「見てあげようか」と言ってくる。
…下心もありつつ、またパソコンを触る美咲さんの姿を見ておきたいと思って私は「はい」と返事をした。
それからようやく美咲さんが差し入れてくれたコーヒーのキャップを開く。カフェインレスというチョイスが憎い。
美咲さんはまたマウスに手を置いて、1ページずつできた資料を確認していく。
そうしながら改めて「どういうオーダーだった?」と、あくまでも念の為確認するけど程度の調子で尋ねてきた。
「A4横版のカラー、上2つとじで製本した状態で配布予定です」
「うん、ならこれで大丈夫だと思う」
「そうですか、なら良かった」
「そもそもこの程度ならミスしないでしょ?」
もう一度逆順にページを繰りながら美咲さんは言う。
「まあ、指摘された事はないですけど…」
「実は袴田君もこういう資料作りはあんまり得意じゃないのよね」
「…え」
美咲さんは身体を起こして今度は私の隣の空席に座った。
「営業にいた訳だから、作るの自体は苦手とかではないんだろうけど…男の人だなあって感じの、良く言えば潔い、悪く言えば荒い資料って印象かな、企画部ではそういう資料は通用しないからだいぶ指導はしたけど」
「…そうだったんですか」
資料に関して言えば、進藤部長の感じとあまり大差ないように思う。
それは、袴田部長があえて進藤流を踏襲しているのか、違うのかまではわからないけど。
「見せればわかるんだろうけどね…私なら、こうは作らない」
「え…」
美咲さんはちらっと時間を確認する。
私は先の話が気になったけど、ここからは課外授業扱いという事になるのだろうと思って先にタイムカードを切った。
「こんなの、細かくやろうと思えばキリがないしそこにばかり時間かけるのは不毛なんだけど…」
「…だから秘書に振ってるって事じゃないんですか」
「まあ、そうだけど…大抵の社内資料程度なら、普通部下にやらせて育成も兼ねて覚えてもらう、でしょ?…秘書に頼むのはやっぱり対役員用とか大がかりなプレゼン用なんかが多くなる、そういう使い分けについては袴田君も理解してるんじゃないかと思うけど」
「どうでしょうか、そんな感じはしないですね」
「…何でもやらせてるの?」
「はい、そうだと思います…進藤部長とあまり変わらないぐらいですから」
美咲さんは肩を落として「ハー」と溜め息を吐いた。
「見栄っ張りなのね、まったく」と愚痴をこぼしている。
「あんだけ野心満点だったくせに自分より古いというだけの部下に頼み事もできないなんて情けない」
「…まあ、そういう事ばかりでもないと思いますが」
気が付くとなぜか私が袴田部長をフォローしているではないか。
非常に不本意だ。
「ところでランチは…どうでした?」
「別に」
今度は氷点下の風が通り過ぎるような温度のない声が返ってくる。
「…やっぱり、あのパンツ履いておけば良かった、それぐらいつまんなかったもの」
「何食べたんですか」
「何だっけ……うなぎだったかな」
以前にも思った事はあるが、これだけ眼中にない感じを全力で出されてしまうと、むしろ袴田部長が気の毒に思えてくる。
「いい物食べたじゃないですか」
私は自分の口に向けてコーヒーのボトルを傾ける。
「なんで袴田君と食べなくちゃいけないのか、って感じしかないわ」
「……」
「そもそもこれまで美味しい食事で釣れるような女しか相手にしてこなかったんじゃないの?…っていうのがね」
…美味しい食事で女性を釣るのはしごく全うで正しいあり方だと思うのだが。
しかし美咲さんが普通じゃないほど高嶺の花というのは本人の思う所と相違ないし、それを美咲さん自身が言葉にしてもちっとも嫌味でないのがまた特別だ。
それにしても辛辣である。
嫌いではないのだろうがそれでこの扱いという事は、嫌いな相手ならどこまで温度は下がるのだろうか。
明日は我が身と思うと、どちらかと言うと袴田部長に感情移入せざるを得ない。
「あ、資料だったよね」
「…どちらでも構いませんが」
「ま、そうね…じゃ私好みの作り方は冴子がちゃんと私の担当になってから、教えてあげる」
にこやかに言われてしまったが、実は私はもう何度も真帆さんにその件を直訴していた。
真帆さんからは「まだ」と言われるばかりで却下され続けているのだ。
その事を、美咲さんには話していない。
話してしまったら、美咲さんが何かしら秘書課に圧力をかけようとするかもしれないと思うからだ。
「…どうしたの、冴子」
「…何も?」
「嘘」
「…だとしたら、この後の事を考えてました」
「……」
美咲さんの顔がほんの少し赤くなる。
私はパソコンを閉じて美咲さんに向き直った。
「ここで、してくれませんか」
「……」
今朝以来ずっと、保留にしてきた話題だ。
資料の事があったのでお互いそこには触れずに来てしまったが、誰もいないこの場所でなら多分できる、と私は思いそう提案する。
私がロッカーからアクセサリーケースを取り出してデスクに戻ると、美咲さんは特に姿勢を変えず隣席の椅子に腰掛けたままの姿でいた。
「こっちです」と美咲さんの手を取り誘導したのは、窓際の壁。
ここの窓は、腰くらいの高さから天井まで、そして幅は2メートルほどのはめ殺しになっている。ここを中心に左右で5つほど、同じように大きな窓が続いているのだ。
窓際へ向かう途中に私はフロアの蛍光灯の数を絞った。さすがに真っ暗にしてしまうと何も見えなくなるので、私のデスク上の蛍光灯のみ数本を残してあとは消灯する。
そうすると、美咲さんの立つ位置まではわずかに光も届くし、ちょうど外の夜景が綺麗に見えるようになった。
背後がガラス窓であるため美咲さんは心もとない様子でそこに立っている。
「…嫌ですか?」
心配になり尋ねてみる。ここがNGなら次の候補は給湯室を考えていた。
環境で言えば更衣室奥の簡易ベッド部屋は好都合ではあるのだけど、どうも過去の因縁もあるので、あまり使う気がしない。
「ううん、そんな事ない」
「じゃあ、良いんですね」
念押しが力強いと思ったのか、美咲さんの表情が揺らぐ。
…でもこれも演出でやっているだけかもしれない。
ショーツを履き替える前提なので、今朝も美咲さんにはガーターストッキングを着けてもらった。
「じゃ、お願いします…なるべくいやらしい感じで」
「何それ」
照れ笑いなのか何なのか、恥ずかしそうに答えつつ美咲さんは手を後ろに組んだ。
私は手近な椅子を引っ張って来て、座ったままで美咲さんの着替えを鑑賞する事にする。
でも、遠くから眺めるのではいずれ物足りなくなるか後悔するような気がしたので、座る位置は美咲さんに手が届くぐらいの近くを陣取った。
「ちょっと、近くない?…これ」
「いざとなればお手伝いしますので」
鼻息荒く言う私に美咲さんはクスクスと笑った。
「じゃ、しっかり見ててね」
挑発するような言いぐさにこちらは期待が高まるような、悔しいような気分になる。
美咲さんは身体ごと横を向いて、ゆっくりと自分の履くタイトスカートの裾に指をかけた。
思わず、私は腰を屈めて目線を低くしてしまう。
今日の美咲さんは、普段よく着ているクリーム色のセットアップ。
インナーは清楚な感じの白いブラウスだった。
…別に他意はないんだろうけど、こういう淡い色合いの服装には、例のショーツにくくりつけられている黒い大玉ビーズはよく映えるだろう。
美咲さんが軽く後ろに腰を突き出すようにして、スカートをたくし上げると中のショーツとガーターベルトが露わになった。
ショーツはブラウスと同じ白、ガーターベルトは黒、この取り合わせも妙にいやらしく思えてしまう。
「…はぁ」
微かに息を吐いている美咲さんの指先は、よく見ると震えていた。
自分で横を向いたから、期せずして視界に窓の外の景色も入ってしまっている事だろう。
更に言うと窓の外が暗いので、光の反射で薄く自分の姿が窓に写っていて、それも見えているかもしれない。
私は、美咲さんが行動する前にわざと「…脱いで」と声をかけた。
美咲さんはこくんと頷いて、ショーツに手をかける。
「見てますよ」
私は、かなり美咲さんの腰の近くに向いていたので美咲さんの顔はあまり見えていない。
美咲さんからも私の姿は全部は見えていないだろう。
だから言葉で状況を伝えたのだ。
ないとは思うけど、わざと「…誰かが来るとも限らないから」と付け加える。
美咲さんは何かに撃たれたように身体をぴくりとさせた。
その拍子にショーツにかけた指が思いのほか勢いよく下がってしまって、一気にお尻の下までショーツが剥がれていく。
「……」
自身の手で太腿の真ん中辺りまでは布をつまんでいたが、手を離すとそれははらりと足首まで落ちていった。
私は椅子から降り、その布を足首から外して回収する。
「じゃ、次はこれですね」
私はそっと手に握っていた替えのショーツを手渡した。
…多分ここはお手伝いが必要であろうと、心の準備をする。
「……ん」
美咲さんはショーツに脚を通してそのまま引き上げる。
完全に股間の部分が食い込む前に、私はそっと動きを制してビーズの位置を調整した。
「そのまま、ゆっくり引き上げてください」
「うん…」
私は、下の毛は全て脱毛処理をしてしまっているが、美咲さんはほんの少しヘアを残した状態で整えている。
短いとは言え毛が巻き込まれたり挟まれたりすればやはり痛くなってしまうから、特にショーツを引き上げる時には慎重に行う必要があった。
「…なんか、凄く真剣にフィッティングしてるみたい」
私があまりにも真剣にビーズの部分を凝視していたので、美咲さんは可笑しくなってしまったようだ。
「まあ、フィッティングと言えばそうなりますね」
美咲さんは深い意味なく言ったんだろうけど、私からしたらこれからやろうとしている事を正に表現していると思えて、先回りして興奮してしまった。
…だって、これからこのパールビーズの位置を、しっかりと美咲さんの秘部に埋めるためのフィッティングを行うのだから。
「ちょっと直しますね」
私は真面目そうな雰囲気を装って、片手で美咲さんのスカートを押さえつつ、もう片方の手ではショーツの周囲に申し訳程度に垂れ下がった薄いベールのような布をかき分け、その奥にあるパールビーズに指をかけた。
まだ、そこまできつく食い込んではいないので玉は容易に動かせる状態である。
「……」
美咲さんは、ショーツを腰まで引き上げた所で静止している。ちょうど腰に両手を当てたような、そんな恰好だった。
私は美咲さんの足元に跪いて股間のビーズを前後に動かし、大粒のビーズが一つ、美咲さんの花弁の間に埋まるようにしつつ、残りの小さな粒はぴったりと並べて花弁の上、隠れた萌芽にくっつくように位置を修正した。
更に後ろ側にも回り込んで、大粒のビーズ一粒はお尻の穴のギリギリ手前、残りの小さな粒はやはりぴったり並べてお尻の穴を隠すように調整する。
「はい、OKです」
「…そう事務的に言われても」
美咲さんはとりあえず、スカートはたくし上げたままで自分の股間を見下ろしたり、振り返ってお尻側も自分の目で確認するような仕草を取る。
「窓に、写ってますよ」
「え…」
美咲さんがはっとして窓の方を見る。
ちょうど、見ようとしていたお尻側の光景が目に入ったようで、口を軽く開いたままの状態で固まってしまった。
「…すっごく、いやらしいですよね」
私は、窓の中の美咲さんに向かってとびきりの笑顔を向ける。
「…うん、これって……ぁ」
身じろぎしただけで、さっき埋めた花弁の中のビーズは摩擦を起こして強制的に美咲さんを刺激するはずだ。
「なんか、これ…っ」
焦ったように美咲さんが実物の私を振り返る。
私はただにこにこしていた。
「気持ちよくなってきましたか?…お姉さま」
「……」
「お散歩、しませんか…少しで構いませんから」
「え…でも」
私は、美咲さんのスカートをゆっくりと元通りに戻してあげた。
こうしてしまえばいつも通りの美咲さんである。何もおかしな所なんてない。
「でも…歩けるかな」
「大丈夫、私が支えますから」
私は立ち上がり美咲さんの手を握った。
美咲さんは身体ごと小刻みに振るえっぱなしで、緊張と不安でいっぱいの様子である。
なだめるように、私は美咲さんの手を両手で挟むようにして包んだ。
「行きましょう」
「…うん」
一歩目はゆっくりと踏み出す。多分この瞬間の刺激が一番強烈に響くはずだ。
「…っん」
美咲さんは我慢しているような顔をして、それでもきちんと歩き出した。
どうやら、ヘアが引っ張られて痛いという事もなさそうで安心する。
「階段は、登れそうですか?」
「うーん…どうかな」
今朝、美咲さんと並んで歩いた時の事を思い出した。
今はその時とは大違いで、私が美咲さんを気使いながら少しずつ歩いている。
美咲さんはいつもよりも歩幅を小さくして、腰が揺れないように注意しつつ歩いているようだった。
少し意地悪したくなり、私は廊下の真ん中で美咲さんの耳に甘く囁く。
「後でそこ…いっぱい弄ってあげますからね」
「……」
美咲さんの目は私を見ているようで見ていない。
と言うよりも、どこを見ているのかが不明である。
眼鏡をかけていなかったら、それがもろにわかってしまって普通じゃない感じが丸わかりだけど、美咲さんの視線は眼鏡のおかげでうまくごまかせている。
「階段は止めて、エレベーターに乗りましょう」
誰もいない廊下からエレベーターホールの方へ曲がり、やはり誰もいないエレベーターに乗る。
「企画部の方は…?」
「…みんな帰ってる」
乗ってから聞いているので、仮に残っていたとしても何の予防もできないが、なんとなく尋ねてみた。
意味がない事は美咲さんだってわかっているだろう。
1階に着く直前に、なんとなく気が向いて美咲さんのスカートの上からスッとお尻を撫でてみると「ひゃっ」というような「きゃ」と言うような、表現し難い小さな悲鳴を上げて、美咲さんは身体をびくつかせた。
「…なんか、可愛い」
「…やだ」
言葉としては抵抗しているが、心から拒否している感じではない。
だがさすがにエントランス近くまでやって来ると、いよいよ建物の外に出る恐怖が美咲さんを襲った。
「外に…出るの?」
「……」
幸い人の気配はなかったが、これ以上美咲さんを追い詰めるのも申し訳ないので、今来た道を引き返して今度は鍵のかかる会議室へと美咲さんを誘導した。
「…はぁ」
窓のない小ぶりの会議室に入った途端、美咲さんは疲れを吐き出すような溜め息を吐く。
「疲れました?」
「…大丈夫」
「じゃ、あそこがどうなってるか見せてもらいますね」
「……」
美咲さんの背中を壁に押し付けて、私はまた美咲さんの足元に跪く。
スカートの裾は美咲さん自身の手で持ち上げたままにしてもらった。
私はその股間にぐっと近づき、目視のみで状況を確かめていく。
「…少し、濡れてきてるかな、でもそんなに酷い事にはなってないですね」
「…あぁ、ちょ……そうやって見られるとダメかも」
「え…」
すると見る見るうちに、花弁に埋めた黒いビーズの向こう側から光るものが溢れだしてきた。
少し濁りと粘りのある、透明な恥蜜。
ちょうど美咲さんの秘穴から、黒真珠が生まれてくるみたいな感じに見えてしまう。
「わ……どんどん出てきてる」
「…だから、見るからだよ…」
「……」
私は言葉を失い、自分の唾を飲み込んだ。
凄い、めちゃくちゃいやらしいビジュアルじゃないの、これ。
しかも粘液で濡れた黒いビーズは、自然にゆるゆると回転を始めているように見えるし。
いや、回転しながら奥へ潜り込んでいるようにも見える。
これは、ショーツがどんどん食い込んでいっているのか、それとも美咲さんの秘部が腫れあがった事で相対的にパールビーズが埋まって見えるのか。
どちらなのかと考えている間にも、美咲さんの身体はガタガタと震えてしまっていて、しかもその振動により黒い粒のみならず萌芽の前に並んだ小粒の白いビーズも、美咲さんへの淫靡な刺激に加担を始めているようだった。
「あ、あ…ぬるぬるしてるの……」
その通りビーズの粒は、私が触れずとも勝手にそのヌルヌルを纏い、容赦なく美咲さんの秘部に回転しながら密着していく。
私はその粒を直接触るのはもう少し後にとっておきたい気がして、ビーズを連ねているゴム紐の端っこをつまんで引っ張った。
並んだ小粒のビーズが、じゃらっと擦れ合いながら美咲さんの股間に食い込んでいく。
「ちょ、ダメっ、あ……」
「すっごい可愛い」
美咲さんの焦りを含んだ小さな喘ぎ声をもっと聞きたくなり、私は立ち上がって美咲さんの頬に顔を寄せた。
「気持ちいい?…美咲」
「ちょっと冴子…そういうのは…」
「ん?」
不意打ちで私はショーツのゴム紐をくいっと引っ張る。
「あっ」という悲鳴と共に美咲さんの膝が崩れそうになった。
その腰を支えながら、私は今度は並んだビーズを手探りでコロコロと転がしながら、じっと美咲さんの表情を覗き込む。
「なんか、ずるいよ…」
「…何がですか」
「…急に名前呼んだりして…っんん…あはぁ…」
事後に気付いた事なのだけれど、事の最中に急に美咲さんを呼び捨てにすると、なぜか美咲さんはやたらと動揺するし、感じてしまうらしい。
その事を知ってからは、私は美咲さんに対する呼び方も言葉遣いも、あえて不統一のままで通している。
ただ、ここぞという時にしか名前を呼び捨てにはしないようにしている。そうする方が呼ばれた時の反動が大きいと思うから。
しかもそれ以外の時には「お姉さま」と呼ぶ習慣なので、基本的に私の方が下手という関係性なのを、いきなり呼び捨てにすると、美咲さんが攻められているような錯覚を起こすようで、急にか弱い感じになるのが可愛くて仕方ない。
そういう訳で思った事はしっかりと、美咲さんに伝える事にした。
壁と私自身の身体の間に美咲さんを挟むように追い詰めて、美咲さんの声色を真似て囁いてみる。
「その声も、ぴくって反応する所も、全部全部可愛い」
「……っやぁ…ん」
美咲さんの妖艶なエッチ声を何度も聞かされているうちに、だんだんとその時の声の出し方について分析できるようになっていた。
…音圧を下げて、掌を温める時のように息を殺す。
それから頭のてっぺんの、ちょうど興奮しきっている所から声を出すようにする。
自然と声が小さくなるような発声だから、相手の耳に思い切り接近して話したくなるのだ。
そういう事を意識して、とにかくたくさんそういう声を、言葉を美咲さんの耳に流し込んだ。
美咲さんほどガラリと変わるわけじゃないけど、それでも雰囲気作りには一役買っているだろう。
「ねえ、これは…?気持ちいい?」
「うん、…もっと、コロコロしてぇ」
「…エッチだね」
「…だって、あ、あやぁ……それっ」
「ふふ」
タイトスカートの裾を掴む美咲さんの手に力が入っていくのがわかる。
まるで、お漏らししそうなのを我慢している女の子みたいだ。
指先で、小さな粒をころころと忙しく転がすと、ビーズを通してはっきりと、美咲さんの萌芽が膨れていくのがわかった。
余った指では黒いビーズをきゅっと奥まで…と言ってもほんの数ミリくらいだけど、中に沈めてぐりぐりと転がしてみる。
大粒ビーズが沈んだ繋がりでゴム紐も更に食い込んで、多分お尻の方も気持ちいいはずだ。
「あ、あ…全部……気持ちいいぃっ」
「それは、良かったわね」
「…うん、あぁ……でも、もっと」
「…もっと?何?言ってみて」
つぶつぶの刺激に震える美咲さんを見ているのも、本当に愛おしいのだけれど。
もう、もどかしくなっているのだろうか。
…でも、どこに何が欲しいのかは、教えてもらわないとわからない。
「指と、お口で、して欲しいっ…あぁん…っ」
何だか知らないけど、美咲さんは攻められると言葉遣いまで若干子供っぽくなる感じがするのだが。
でもそれも、ずるいぐらいにいやらしくてそそるのだ。
「…コロコロの上からがいいの?それとも、直接…?」
「わ、わかんない」
私は、かつて自分がこのショーツを履いた時の事を思い出しながら、美咲さんへの愛撫をどうするか考えた。
結論としては、その時美咲さんが私にしてくれたのと同じようにしよう、と思う。
「じゃあ…指でおまんこ弄ってあげるからね」
「うん、うん、早く」
「それから…クリトリスも舐めてあげるからね」
「うんっ」
涙目になって悦ぶ美咲さんの顔がまぶしい。
私は思わずキスしたくなって、美咲さんの眼鏡をよけるように顔を傾けて唇を重ねた。
「…んっ、ふ…ぅん」
唇と舌の動きはもう、それはそれは心得た大人の美咲さんで、態度とのギャップに頭がぐらっとなりそうだった。
何度も味わっているはずなのに、やっぱりこのツルツルの唇と舌は、いつまでも触れていたくなる。
美咲さんはその舌を器用に動かして、私の唇の裏側や歯の付け根、舌の裏側までくまなく愛撫してくれる。
口淫の為にしぶしぶ顔を離すと、思いのほか私自身の唾液が多く分泌されていたようで、粘った糸が私たちの間に伸びた。
私は宣言通り、美咲さんの足元にしゃがんで黒いビーズの横から秘穴に指を押し込み、それから純白の粒の上から舌先を伸ばして萌芽をぺろぺろと嬲っていった。
「あんっ、中に…入って…気持ちいいっ」
舌に絡む純白のビーズは、途中でうっとうしくなったので大きく横にどかしてしまい、かぶりつくように萌芽を唇で包んで舐めしゃぶった。
指は一本だけを突き立てて機械的に穴へと出し入れを繰り返す。
「あ…っん、あぁ…やぁ…んっ」
美咲さんは途切れがちに喘ぎながら、ぐっと背中を壁に押し付けるように力んでいる。
もう、スカートにはしわが残るだろうなと冷静に思う自分がいたけれど、今更それを言う気にもなれない。
私は、美咲さんをイかせる為の愛撫を開始する。
中のいい所を丁寧に擦りながら、大量にしたたる粘液を舌で拾って伸ばし、たっぷりと萌芽に絡めて柔らかくそこをしゃぶっていく。
…クリトリスは、そのうち甘噛みするために落差をつけて今は緩く包んでいる。それを美咲さんもわかっているはずだ。
「あ、あ…冴子……冴子…っ」
「ん、ふぅ…ん」
私の方は吐息の合間にジュルジュルという水音を立てている。
美咲さんの喘ぎ声は、乾いていると言うか澄んでいると言うか、声以外の何の成分も含んではいない。
その声を強調させたいから、美咲さんをイかせる時には私は極力声を出さない。息遣いの音でさえも、できる限り殺す。
「…ん、あ、あ…だめぇぇっ…イっちゃうっ」
美咲さんの手が私の頭をぐっと股間に引き寄せる。
その勢いで軽く私の歯が美咲さんの萌芽の先端に接触する。
スカートからは手が離れ、私の頭にはそれも被さってきた。
私の方は、秘部に挿入していない方の手はぐっと美咲さんの太腿を掴んでいる。
ガーターベルト脇の素足の太腿だ。
「いくっ…ダメいく…っあぁぁ」
美咲さんの身体が二つに折れるように倒れ込んでくる。
私はギリギリの所で、腕一本でそれを受け止めた。
「はぁ、はぁ」
息も絶え絶えな美咲さんを優しく抱きしめながら、ゆっくりとキスをする。
立っているのは辛いかもしれないが寝そべる場所もなく、美咲さんはずるずると床にお尻をついて膝を抱えるように座り込んだ。
「…は……ぁ」
「だ、大丈夫ですか」
「うん」
美咲さんはすーっと大きく深呼吸をした。
それだけなのに、けっこうシラフに戻ったような顔つきになる。
…なんか、凄いなあ。
なぜか会議室にボックスティッシュが備え付けられていたので、そちらを拝借し美咲さんのこぼした蜜を拭き取った。
そのまま元のショーツも返却して、また履き替えてもらう。
「今度は、いいの?」
「…は、何がですか」
「できるだけいやらしい感じにしなくても」
「…いいですよ、もう帰りましょう」
正直、いつまでもここにこもっていて誰かに声でも聞かれたら困るどころの騒ぎではない。
内心、最後の方は美咲さんがあまりにも大きな声で喘ぐので、気が気ではなかったのだ。
しかしこのモードに入ると美咲さんは幼児退行と言うか、晴香ちゃんとはまた違うタイプだけれど、変にいやらしい事に対して従順と言うか真面目になる所があるから怖い。
今もそうだけど、一旦プレイとして区切りがついているのにまだ継続しようとするあたりが非常に危険だ。
「…立てますか?」
手を差し出して美咲さんを手伝う。
不思議な事に、美咲さんのさっきまでの表情はだいぶ鳴りを潜めていた。
…微妙に、羨ましい。
「あ、荷物残してるから一旦秘書課に戻らないと」
美咲さんを連れ回して負担をかけてしまわないか、ちょっと心配になるけれど、美咲さんは「じゃ一緒に行く、コーヒー残してるし」などと言っているから、多分大丈夫なのだろう。
会議室を出る時はかなり周囲を警戒しつつ、そこから私たちはそそくさと荷物をまとめて帰路に就いた。
…でもやっぱり、このショーツはむやみに履いてうろちょろするのは宜しくない。履いた二人が二人とも、刺激に耐えられなくなってしまったのだから。
今朝美咲さんには「後で私の目の前で履き替えて欲しい」と言いはしたものの、適切な場所がどこなのか、なかなか考えがまとまらなかった。
そもそも社内でショーツを履き替える行為自体が適切な行動ではない以上、お誂え向きの場所も何も、あるわけがないんだけど。
バラエティショップで勢いこんで購入した時には何とも思わなかったのに、今ロッカーにしまってある、履き替えを待っているであろうビーズショーツに関して改めて考えてみると、だんだん恥ずかしさが募ってきた。
「……」
人には見つかりにくく、かつ窮屈でない場所の方が良いだろうと、この行為の目的に反して少しでも美咲さんがリラックスできるようになんていうずれた事を考えてばかりいる。
「うぅーん」
窮屈でない、という単語から急に連想されたのは、オフィスに並ぶデスクの上で美咲さんが大胆に脚を広げてショーツを履き替える姿だったりして、慌てて頭を振った。
…何故、今になって全然気持ちが振りきれないんだろう。
美咲さんを恋人として思うようになったから?
そんな薄っぺらい気使いなんて、所詮美咲さんには必要ないはずのものなのに。
『WS』アプリを通じて出会った頃の方がよほど、余計な事など考える事なく素直でいられたような気すらしてくる。
「…あ」
考えが煮詰まるあまり、定時を迎えてしまった事に気付かなかった。
なかなか業務が手につかず、急ぎではないもののできれば今日のうちに仕上げておきたい資料が、まだ完成していない。
…どうせ美咲さんも定時上がりしないだろうと思って、場所を考えるのを後回しにしつつパソコン作業の手を動かした。
そうこうしているうちに一人、また一人と秘書課のメンバーは退勤していく。
ほんの15分程度の間に、デスクに残っているのは私だけになってしまった。
…亜里沙さんまで、帰っちゃったのかな。
考えてみれば今日は金曜日、受付の頃もそうだったけど、やはり金曜日は皆引けるのが早い。
誰もいなくなれば仕事がはかどるのかと思いきや、かえってその静けさに焦りを感じてむしろ思考も手元も空回りする。
残業に慣れていないから、こういう状況での集中の仕方が身についていないのだな、と自分で思った。
「失礼します」
背後から聞こえた声にぎくりとする。
振り返らなくてもわかる、美咲さんの声だからだ。
「…なんだ冴子しか居ないじゃないの」
課の入り口辺りから美咲さんに声をかけられる。
私のデスクは入り口に対して背を向ける配置なので、私はぎこちなく振り返りつつ「すみません」と声を出した。
何だか仕事中の自分の背後に美咲さんがいるシチュエーションに違和感を感じてしまって、気ばかり焦る。
「…まだ、終わらないの?」
美咲さんは背を屈めて私の画面を覗き込んで来た。
画面には、袴田部長から頼まれている、開発部向けの簡単なデータをまとめた資料が表示されていた。
一目でその資料の目的も用途も理解したらしい美咲さんは、「何、袴田君ってこういうの部下にやらせないんだ…」などと呟いている。
私が頼まれているのは印刷した際に体裁が良くなるように、レイアウトや余白の調整をするだけの事で、データそのものを触るわけではない。
でもそれを説明するのは何だか袴田部長をフォローしているようで面白くないので、とりあえず私は黙っていた。
「…今日中なの?締切」
画面から視線を私の方に向けて美咲さんが尋ねてくる。
「そういう訳じゃないんですけど、今日のうちにやっておきたくて」
「ふーん」
正直な所、パソコンでの業務のスピードはあまり早い方ではない。
受付の仕事でもあまり使う事はなかったし、事務処理と言ってもさほど込み入った業務はなかった。
要領の良い友紀に比べれば圧倒的に、私のPCスキルは低い。
考え事をしていた上に手が遅いから、こんな事になっちゃったんだなと反省する。
それでも「お願いだから残業前に勝手にタイムカードは切らないで」と真帆さんからも、人事部長になった進藤部長からもきつく言われているし、これはもう仕方ないと思った。
「その、レイアウト調整を…」
黙っているのもやっぱりおかしいかなと思い直して、一応それだけ説明はする。
「うん」
美咲さんはまた画面を見つめつつ、「ちょっといい?」と私が操作しているマウスに手をかけた。
私がぼんやりと見とれている間に、美咲さんはプレゼン用アプリケーションの設定をいじって、レイアウト調整によく使う機能をまとめてメニューに表示させるような変更をかけているようだった。
操作が早いので何をしたのかよく見えなかったけれど、おおよその手順は把握できる。
…美咲さんが自分の上司だったら、こんな感じの事がしょっちゅう起きるのだろうか、などと余計な想像をしてしまう。
それに美咲さんは家に仕事を持ち帰らない人だから、仕事用のデータをパソコンで操作している所を、私は見た事がない。
だからこれはあまりに新鮮な場面であり、私の大好きな、憧れの美咲さんのお仕事姿を間近で拝める幸せを噛み締めずにはいられなかった。
美咲さんの左手は私の椅子の背もたれにかかっていて、そんな至近距離にいながら中腰でマウスを操作しているから、手の動きにつられて胸の辺りとか髪がちょっと揺れたりなんかするのがよく見えるし、何なら蟀谷の辺りに美咲さんの首筋が接近してきて体温まで感じてしまいそう。
鼻から息を吸えば美咲さんの匂いがちょっと嗅ぎ取れるし、美咲さんのお仕事姿はどういう訳だか私のフェティッシュな欲望をものすごく満たしてくれるのだ。
「…ここまで、ね」
「はい」
美咲さんは、ズルしたり代わってもらったりは嫌なんだろうからという配慮を見せつつも、私がやろうとしている作業内容を先に理解して、これから先も含めて同様の業務がはかどるようにしてくれたようだった。
「なんか…すみません」
「謝ってないで、早く終わらせて?」
「はい」
美咲さんは一度私のデスク傍から去り、自販機のコーヒーを買って戻ってきたようだった。
「はい」と私の手の横に一本飲み物を置いて、自分はすぐ隣ではなく一つ空けた席に腰を下ろし、自分の分の飲み物キャップを開いている。
…これも、間近でジロジロ見られたら私の作業がはかどらないだろうという配慮の上での行為なのだろう。
とにかく、早くしろというのが美咲さんからの唯一の指示なので私はお礼も返さず美咲さんの顔も見ず、資料の加工を急いだ。
私の手が止まったその動きだけで、美咲さんは私の作業が一区切りついたのだろうと察して「見てあげようか」と言ってくる。
…下心もありつつ、またパソコンを触る美咲さんの姿を見ておきたいと思って私は「はい」と返事をした。
それからようやく美咲さんが差し入れてくれたコーヒーのキャップを開く。カフェインレスというチョイスが憎い。
美咲さんはまたマウスに手を置いて、1ページずつできた資料を確認していく。
そうしながら改めて「どういうオーダーだった?」と、あくまでも念の為確認するけど程度の調子で尋ねてきた。
「A4横版のカラー、上2つとじで製本した状態で配布予定です」
「うん、ならこれで大丈夫だと思う」
「そうですか、なら良かった」
「そもそもこの程度ならミスしないでしょ?」
もう一度逆順にページを繰りながら美咲さんは言う。
「まあ、指摘された事はないですけど…」
「実は袴田君もこういう資料作りはあんまり得意じゃないのよね」
「…え」
美咲さんは身体を起こして今度は私の隣の空席に座った。
「営業にいた訳だから、作るの自体は苦手とかではないんだろうけど…男の人だなあって感じの、良く言えば潔い、悪く言えば荒い資料って印象かな、企画部ではそういう資料は通用しないからだいぶ指導はしたけど」
「…そうだったんですか」
資料に関して言えば、進藤部長の感じとあまり大差ないように思う。
それは、袴田部長があえて進藤流を踏襲しているのか、違うのかまではわからないけど。
「見せればわかるんだろうけどね…私なら、こうは作らない」
「え…」
美咲さんはちらっと時間を確認する。
私は先の話が気になったけど、ここからは課外授業扱いという事になるのだろうと思って先にタイムカードを切った。
「こんなの、細かくやろうと思えばキリがないしそこにばかり時間かけるのは不毛なんだけど…」
「…だから秘書に振ってるって事じゃないんですか」
「まあ、そうだけど…大抵の社内資料程度なら、普通部下にやらせて育成も兼ねて覚えてもらう、でしょ?…秘書に頼むのはやっぱり対役員用とか大がかりなプレゼン用なんかが多くなる、そういう使い分けについては袴田君も理解してるんじゃないかと思うけど」
「どうでしょうか、そんな感じはしないですね」
「…何でもやらせてるの?」
「はい、そうだと思います…進藤部長とあまり変わらないぐらいですから」
美咲さんは肩を落として「ハー」と溜め息を吐いた。
「見栄っ張りなのね、まったく」と愚痴をこぼしている。
「あんだけ野心満点だったくせに自分より古いというだけの部下に頼み事もできないなんて情けない」
「…まあ、そういう事ばかりでもないと思いますが」
気が付くとなぜか私が袴田部長をフォローしているではないか。
非常に不本意だ。
「ところでランチは…どうでした?」
「別に」
今度は氷点下の風が通り過ぎるような温度のない声が返ってくる。
「…やっぱり、あのパンツ履いておけば良かった、それぐらいつまんなかったもの」
「何食べたんですか」
「何だっけ……うなぎだったかな」
以前にも思った事はあるが、これだけ眼中にない感じを全力で出されてしまうと、むしろ袴田部長が気の毒に思えてくる。
「いい物食べたじゃないですか」
私は自分の口に向けてコーヒーのボトルを傾ける。
「なんで袴田君と食べなくちゃいけないのか、って感じしかないわ」
「……」
「そもそもこれまで美味しい食事で釣れるような女しか相手にしてこなかったんじゃないの?…っていうのがね」
…美味しい食事で女性を釣るのはしごく全うで正しいあり方だと思うのだが。
しかし美咲さんが普通じゃないほど高嶺の花というのは本人の思う所と相違ないし、それを美咲さん自身が言葉にしてもちっとも嫌味でないのがまた特別だ。
それにしても辛辣である。
嫌いではないのだろうがそれでこの扱いという事は、嫌いな相手ならどこまで温度は下がるのだろうか。
明日は我が身と思うと、どちらかと言うと袴田部長に感情移入せざるを得ない。
「あ、資料だったよね」
「…どちらでも構いませんが」
「ま、そうね…じゃ私好みの作り方は冴子がちゃんと私の担当になってから、教えてあげる」
にこやかに言われてしまったが、実は私はもう何度も真帆さんにその件を直訴していた。
真帆さんからは「まだ」と言われるばかりで却下され続けているのだ。
その事を、美咲さんには話していない。
話してしまったら、美咲さんが何かしら秘書課に圧力をかけようとするかもしれないと思うからだ。
「…どうしたの、冴子」
「…何も?」
「嘘」
「…だとしたら、この後の事を考えてました」
「……」
美咲さんの顔がほんの少し赤くなる。
私はパソコンを閉じて美咲さんに向き直った。
「ここで、してくれませんか」
「……」
今朝以来ずっと、保留にしてきた話題だ。
資料の事があったのでお互いそこには触れずに来てしまったが、誰もいないこの場所でなら多分できる、と私は思いそう提案する。
私がロッカーからアクセサリーケースを取り出してデスクに戻ると、美咲さんは特に姿勢を変えず隣席の椅子に腰掛けたままの姿でいた。
「こっちです」と美咲さんの手を取り誘導したのは、窓際の壁。
ここの窓は、腰くらいの高さから天井まで、そして幅は2メートルほどのはめ殺しになっている。ここを中心に左右で5つほど、同じように大きな窓が続いているのだ。
窓際へ向かう途中に私はフロアの蛍光灯の数を絞った。さすがに真っ暗にしてしまうと何も見えなくなるので、私のデスク上の蛍光灯のみ数本を残してあとは消灯する。
そうすると、美咲さんの立つ位置まではわずかに光も届くし、ちょうど外の夜景が綺麗に見えるようになった。
背後がガラス窓であるため美咲さんは心もとない様子でそこに立っている。
「…嫌ですか?」
心配になり尋ねてみる。ここがNGなら次の候補は給湯室を考えていた。
環境で言えば更衣室奥の簡易ベッド部屋は好都合ではあるのだけど、どうも過去の因縁もあるので、あまり使う気がしない。
「ううん、そんな事ない」
「じゃあ、良いんですね」
念押しが力強いと思ったのか、美咲さんの表情が揺らぐ。
…でもこれも演出でやっているだけかもしれない。
ショーツを履き替える前提なので、今朝も美咲さんにはガーターストッキングを着けてもらった。
「じゃ、お願いします…なるべくいやらしい感じで」
「何それ」
照れ笑いなのか何なのか、恥ずかしそうに答えつつ美咲さんは手を後ろに組んだ。
私は手近な椅子を引っ張って来て、座ったままで美咲さんの着替えを鑑賞する事にする。
でも、遠くから眺めるのではいずれ物足りなくなるか後悔するような気がしたので、座る位置は美咲さんに手が届くぐらいの近くを陣取った。
「ちょっと、近くない?…これ」
「いざとなればお手伝いしますので」
鼻息荒く言う私に美咲さんはクスクスと笑った。
「じゃ、しっかり見ててね」
挑発するような言いぐさにこちらは期待が高まるような、悔しいような気分になる。
美咲さんは身体ごと横を向いて、ゆっくりと自分の履くタイトスカートの裾に指をかけた。
思わず、私は腰を屈めて目線を低くしてしまう。
今日の美咲さんは、普段よく着ているクリーム色のセットアップ。
インナーは清楚な感じの白いブラウスだった。
…別に他意はないんだろうけど、こういう淡い色合いの服装には、例のショーツにくくりつけられている黒い大玉ビーズはよく映えるだろう。
美咲さんが軽く後ろに腰を突き出すようにして、スカートをたくし上げると中のショーツとガーターベルトが露わになった。
ショーツはブラウスと同じ白、ガーターベルトは黒、この取り合わせも妙にいやらしく思えてしまう。
「…はぁ」
微かに息を吐いている美咲さんの指先は、よく見ると震えていた。
自分で横を向いたから、期せずして視界に窓の外の景色も入ってしまっている事だろう。
更に言うと窓の外が暗いので、光の反射で薄く自分の姿が窓に写っていて、それも見えているかもしれない。
私は、美咲さんが行動する前にわざと「…脱いで」と声をかけた。
美咲さんはこくんと頷いて、ショーツに手をかける。
「見てますよ」
私は、かなり美咲さんの腰の近くに向いていたので美咲さんの顔はあまり見えていない。
美咲さんからも私の姿は全部は見えていないだろう。
だから言葉で状況を伝えたのだ。
ないとは思うけど、わざと「…誰かが来るとも限らないから」と付け加える。
美咲さんは何かに撃たれたように身体をぴくりとさせた。
その拍子にショーツにかけた指が思いのほか勢いよく下がってしまって、一気にお尻の下までショーツが剥がれていく。
「……」
自身の手で太腿の真ん中辺りまでは布をつまんでいたが、手を離すとそれははらりと足首まで落ちていった。
私は椅子から降り、その布を足首から外して回収する。
「じゃ、次はこれですね」
私はそっと手に握っていた替えのショーツを手渡した。
…多分ここはお手伝いが必要であろうと、心の準備をする。
「……ん」
美咲さんはショーツに脚を通してそのまま引き上げる。
完全に股間の部分が食い込む前に、私はそっと動きを制してビーズの位置を調整した。
「そのまま、ゆっくり引き上げてください」
「うん…」
私は、下の毛は全て脱毛処理をしてしまっているが、美咲さんはほんの少しヘアを残した状態で整えている。
短いとは言え毛が巻き込まれたり挟まれたりすればやはり痛くなってしまうから、特にショーツを引き上げる時には慎重に行う必要があった。
「…なんか、凄く真剣にフィッティングしてるみたい」
私があまりにも真剣にビーズの部分を凝視していたので、美咲さんは可笑しくなってしまったようだ。
「まあ、フィッティングと言えばそうなりますね」
美咲さんは深い意味なく言ったんだろうけど、私からしたらこれからやろうとしている事を正に表現していると思えて、先回りして興奮してしまった。
…だって、これからこのパールビーズの位置を、しっかりと美咲さんの秘部に埋めるためのフィッティングを行うのだから。
「ちょっと直しますね」
私は真面目そうな雰囲気を装って、片手で美咲さんのスカートを押さえつつ、もう片方の手ではショーツの周囲に申し訳程度に垂れ下がった薄いベールのような布をかき分け、その奥にあるパールビーズに指をかけた。
まだ、そこまできつく食い込んではいないので玉は容易に動かせる状態である。
「……」
美咲さんは、ショーツを腰まで引き上げた所で静止している。ちょうど腰に両手を当てたような、そんな恰好だった。
私は美咲さんの足元に跪いて股間のビーズを前後に動かし、大粒のビーズが一つ、美咲さんの花弁の間に埋まるようにしつつ、残りの小さな粒はぴったりと並べて花弁の上、隠れた萌芽にくっつくように位置を修正した。
更に後ろ側にも回り込んで、大粒のビーズ一粒はお尻の穴のギリギリ手前、残りの小さな粒はやはりぴったり並べてお尻の穴を隠すように調整する。
「はい、OKです」
「…そう事務的に言われても」
美咲さんはとりあえず、スカートはたくし上げたままで自分の股間を見下ろしたり、振り返ってお尻側も自分の目で確認するような仕草を取る。
「窓に、写ってますよ」
「え…」
美咲さんがはっとして窓の方を見る。
ちょうど、見ようとしていたお尻側の光景が目に入ったようで、口を軽く開いたままの状態で固まってしまった。
「…すっごく、いやらしいですよね」
私は、窓の中の美咲さんに向かってとびきりの笑顔を向ける。
「…うん、これって……ぁ」
身じろぎしただけで、さっき埋めた花弁の中のビーズは摩擦を起こして強制的に美咲さんを刺激するはずだ。
「なんか、これ…っ」
焦ったように美咲さんが実物の私を振り返る。
私はただにこにこしていた。
「気持ちよくなってきましたか?…お姉さま」
「……」
「お散歩、しませんか…少しで構いませんから」
「え…でも」
私は、美咲さんのスカートをゆっくりと元通りに戻してあげた。
こうしてしまえばいつも通りの美咲さんである。何もおかしな所なんてない。
「でも…歩けるかな」
「大丈夫、私が支えますから」
私は立ち上がり美咲さんの手を握った。
美咲さんは身体ごと小刻みに振るえっぱなしで、緊張と不安でいっぱいの様子である。
なだめるように、私は美咲さんの手を両手で挟むようにして包んだ。
「行きましょう」
「…うん」
一歩目はゆっくりと踏み出す。多分この瞬間の刺激が一番強烈に響くはずだ。
「…っん」
美咲さんは我慢しているような顔をして、それでもきちんと歩き出した。
どうやら、ヘアが引っ張られて痛いという事もなさそうで安心する。
「階段は、登れそうですか?」
「うーん…どうかな」
今朝、美咲さんと並んで歩いた時の事を思い出した。
今はその時とは大違いで、私が美咲さんを気使いながら少しずつ歩いている。
美咲さんはいつもよりも歩幅を小さくして、腰が揺れないように注意しつつ歩いているようだった。
少し意地悪したくなり、私は廊下の真ん中で美咲さんの耳に甘く囁く。
「後でそこ…いっぱい弄ってあげますからね」
「……」
美咲さんの目は私を見ているようで見ていない。
と言うよりも、どこを見ているのかが不明である。
眼鏡をかけていなかったら、それがもろにわかってしまって普通じゃない感じが丸わかりだけど、美咲さんの視線は眼鏡のおかげでうまくごまかせている。
「階段は止めて、エレベーターに乗りましょう」
誰もいない廊下からエレベーターホールの方へ曲がり、やはり誰もいないエレベーターに乗る。
「企画部の方は…?」
「…みんな帰ってる」
乗ってから聞いているので、仮に残っていたとしても何の予防もできないが、なんとなく尋ねてみた。
意味がない事は美咲さんだってわかっているだろう。
1階に着く直前に、なんとなく気が向いて美咲さんのスカートの上からスッとお尻を撫でてみると「ひゃっ」というような「きゃ」と言うような、表現し難い小さな悲鳴を上げて、美咲さんは身体をびくつかせた。
「…なんか、可愛い」
「…やだ」
言葉としては抵抗しているが、心から拒否している感じではない。
だがさすがにエントランス近くまでやって来ると、いよいよ建物の外に出る恐怖が美咲さんを襲った。
「外に…出るの?」
「……」
幸い人の気配はなかったが、これ以上美咲さんを追い詰めるのも申し訳ないので、今来た道を引き返して今度は鍵のかかる会議室へと美咲さんを誘導した。
「…はぁ」
窓のない小ぶりの会議室に入った途端、美咲さんは疲れを吐き出すような溜め息を吐く。
「疲れました?」
「…大丈夫」
「じゃ、あそこがどうなってるか見せてもらいますね」
「……」
美咲さんの背中を壁に押し付けて、私はまた美咲さんの足元に跪く。
スカートの裾は美咲さん自身の手で持ち上げたままにしてもらった。
私はその股間にぐっと近づき、目視のみで状況を確かめていく。
「…少し、濡れてきてるかな、でもそんなに酷い事にはなってないですね」
「…あぁ、ちょ……そうやって見られるとダメかも」
「え…」
すると見る見るうちに、花弁に埋めた黒いビーズの向こう側から光るものが溢れだしてきた。
少し濁りと粘りのある、透明な恥蜜。
ちょうど美咲さんの秘穴から、黒真珠が生まれてくるみたいな感じに見えてしまう。
「わ……どんどん出てきてる」
「…だから、見るからだよ…」
「……」
私は言葉を失い、自分の唾を飲み込んだ。
凄い、めちゃくちゃいやらしいビジュアルじゃないの、これ。
しかも粘液で濡れた黒いビーズは、自然にゆるゆると回転を始めているように見えるし。
いや、回転しながら奥へ潜り込んでいるようにも見える。
これは、ショーツがどんどん食い込んでいっているのか、それとも美咲さんの秘部が腫れあがった事で相対的にパールビーズが埋まって見えるのか。
どちらなのかと考えている間にも、美咲さんの身体はガタガタと震えてしまっていて、しかもその振動により黒い粒のみならず萌芽の前に並んだ小粒の白いビーズも、美咲さんへの淫靡な刺激に加担を始めているようだった。
「あ、あ…ぬるぬるしてるの……」
その通りビーズの粒は、私が触れずとも勝手にそのヌルヌルを纏い、容赦なく美咲さんの秘部に回転しながら密着していく。
私はその粒を直接触るのはもう少し後にとっておきたい気がして、ビーズを連ねているゴム紐の端っこをつまんで引っ張った。
並んだ小粒のビーズが、じゃらっと擦れ合いながら美咲さんの股間に食い込んでいく。
「ちょ、ダメっ、あ……」
「すっごい可愛い」
美咲さんの焦りを含んだ小さな喘ぎ声をもっと聞きたくなり、私は立ち上がって美咲さんの頬に顔を寄せた。
「気持ちいい?…美咲」
「ちょっと冴子…そういうのは…」
「ん?」
不意打ちで私はショーツのゴム紐をくいっと引っ張る。
「あっ」という悲鳴と共に美咲さんの膝が崩れそうになった。
その腰を支えながら、私は今度は並んだビーズを手探りでコロコロと転がしながら、じっと美咲さんの表情を覗き込む。
「なんか、ずるいよ…」
「…何がですか」
「…急に名前呼んだりして…っんん…あはぁ…」
事後に気付いた事なのだけれど、事の最中に急に美咲さんを呼び捨てにすると、なぜか美咲さんはやたらと動揺するし、感じてしまうらしい。
その事を知ってからは、私は美咲さんに対する呼び方も言葉遣いも、あえて不統一のままで通している。
ただ、ここぞという時にしか名前を呼び捨てにはしないようにしている。そうする方が呼ばれた時の反動が大きいと思うから。
しかもそれ以外の時には「お姉さま」と呼ぶ習慣なので、基本的に私の方が下手という関係性なのを、いきなり呼び捨てにすると、美咲さんが攻められているような錯覚を起こすようで、急にか弱い感じになるのが可愛くて仕方ない。
そういう訳で思った事はしっかりと、美咲さんに伝える事にした。
壁と私自身の身体の間に美咲さんを挟むように追い詰めて、美咲さんの声色を真似て囁いてみる。
「その声も、ぴくって反応する所も、全部全部可愛い」
「……っやぁ…ん」
美咲さんの妖艶なエッチ声を何度も聞かされているうちに、だんだんとその時の声の出し方について分析できるようになっていた。
…音圧を下げて、掌を温める時のように息を殺す。
それから頭のてっぺんの、ちょうど興奮しきっている所から声を出すようにする。
自然と声が小さくなるような発声だから、相手の耳に思い切り接近して話したくなるのだ。
そういう事を意識して、とにかくたくさんそういう声を、言葉を美咲さんの耳に流し込んだ。
美咲さんほどガラリと変わるわけじゃないけど、それでも雰囲気作りには一役買っているだろう。
「ねえ、これは…?気持ちいい?」
「うん、…もっと、コロコロしてぇ」
「…エッチだね」
「…だって、あ、あやぁ……それっ」
「ふふ」
タイトスカートの裾を掴む美咲さんの手に力が入っていくのがわかる。
まるで、お漏らししそうなのを我慢している女の子みたいだ。
指先で、小さな粒をころころと忙しく転がすと、ビーズを通してはっきりと、美咲さんの萌芽が膨れていくのがわかった。
余った指では黒いビーズをきゅっと奥まで…と言ってもほんの数ミリくらいだけど、中に沈めてぐりぐりと転がしてみる。
大粒ビーズが沈んだ繋がりでゴム紐も更に食い込んで、多分お尻の方も気持ちいいはずだ。
「あ、あ…全部……気持ちいいぃっ」
「それは、良かったわね」
「…うん、あぁ……でも、もっと」
「…もっと?何?言ってみて」
つぶつぶの刺激に震える美咲さんを見ているのも、本当に愛おしいのだけれど。
もう、もどかしくなっているのだろうか。
…でも、どこに何が欲しいのかは、教えてもらわないとわからない。
「指と、お口で、して欲しいっ…あぁん…っ」
何だか知らないけど、美咲さんは攻められると言葉遣いまで若干子供っぽくなる感じがするのだが。
でもそれも、ずるいぐらいにいやらしくてそそるのだ。
「…コロコロの上からがいいの?それとも、直接…?」
「わ、わかんない」
私は、かつて自分がこのショーツを履いた時の事を思い出しながら、美咲さんへの愛撫をどうするか考えた。
結論としては、その時美咲さんが私にしてくれたのと同じようにしよう、と思う。
「じゃあ…指でおまんこ弄ってあげるからね」
「うん、うん、早く」
「それから…クリトリスも舐めてあげるからね」
「うんっ」
涙目になって悦ぶ美咲さんの顔がまぶしい。
私は思わずキスしたくなって、美咲さんの眼鏡をよけるように顔を傾けて唇を重ねた。
「…んっ、ふ…ぅん」
唇と舌の動きはもう、それはそれは心得た大人の美咲さんで、態度とのギャップに頭がぐらっとなりそうだった。
何度も味わっているはずなのに、やっぱりこのツルツルの唇と舌は、いつまでも触れていたくなる。
美咲さんはその舌を器用に動かして、私の唇の裏側や歯の付け根、舌の裏側までくまなく愛撫してくれる。
口淫の為にしぶしぶ顔を離すと、思いのほか私自身の唾液が多く分泌されていたようで、粘った糸が私たちの間に伸びた。
私は宣言通り、美咲さんの足元にしゃがんで黒いビーズの横から秘穴に指を押し込み、それから純白の粒の上から舌先を伸ばして萌芽をぺろぺろと嬲っていった。
「あんっ、中に…入って…気持ちいいっ」
舌に絡む純白のビーズは、途中でうっとうしくなったので大きく横にどかしてしまい、かぶりつくように萌芽を唇で包んで舐めしゃぶった。
指は一本だけを突き立てて機械的に穴へと出し入れを繰り返す。
「あ…っん、あぁ…やぁ…んっ」
美咲さんは途切れがちに喘ぎながら、ぐっと背中を壁に押し付けるように力んでいる。
もう、スカートにはしわが残るだろうなと冷静に思う自分がいたけれど、今更それを言う気にもなれない。
私は、美咲さんをイかせる為の愛撫を開始する。
中のいい所を丁寧に擦りながら、大量にしたたる粘液を舌で拾って伸ばし、たっぷりと萌芽に絡めて柔らかくそこをしゃぶっていく。
…クリトリスは、そのうち甘噛みするために落差をつけて今は緩く包んでいる。それを美咲さんもわかっているはずだ。
「あ、あ…冴子……冴子…っ」
「ん、ふぅ…ん」
私の方は吐息の合間にジュルジュルという水音を立てている。
美咲さんの喘ぎ声は、乾いていると言うか澄んでいると言うか、声以外の何の成分も含んではいない。
その声を強調させたいから、美咲さんをイかせる時には私は極力声を出さない。息遣いの音でさえも、できる限り殺す。
「…ん、あ、あ…だめぇぇっ…イっちゃうっ」
美咲さんの手が私の頭をぐっと股間に引き寄せる。
その勢いで軽く私の歯が美咲さんの萌芽の先端に接触する。
スカートからは手が離れ、私の頭にはそれも被さってきた。
私の方は、秘部に挿入していない方の手はぐっと美咲さんの太腿を掴んでいる。
ガーターベルト脇の素足の太腿だ。
「いくっ…ダメいく…っあぁぁ」
美咲さんの身体が二つに折れるように倒れ込んでくる。
私はギリギリの所で、腕一本でそれを受け止めた。
「はぁ、はぁ」
息も絶え絶えな美咲さんを優しく抱きしめながら、ゆっくりとキスをする。
立っているのは辛いかもしれないが寝そべる場所もなく、美咲さんはずるずると床にお尻をついて膝を抱えるように座り込んだ。
「…は……ぁ」
「だ、大丈夫ですか」
「うん」
美咲さんはすーっと大きく深呼吸をした。
それだけなのに、けっこうシラフに戻ったような顔つきになる。
…なんか、凄いなあ。
なぜか会議室にボックスティッシュが備え付けられていたので、そちらを拝借し美咲さんのこぼした蜜を拭き取った。
そのまま元のショーツも返却して、また履き替えてもらう。
「今度は、いいの?」
「…は、何がですか」
「できるだけいやらしい感じにしなくても」
「…いいですよ、もう帰りましょう」
正直、いつまでもここにこもっていて誰かに声でも聞かれたら困るどころの騒ぎではない。
内心、最後の方は美咲さんがあまりにも大きな声で喘ぐので、気が気ではなかったのだ。
しかしこのモードに入ると美咲さんは幼児退行と言うか、晴香ちゃんとはまた違うタイプだけれど、変にいやらしい事に対して従順と言うか真面目になる所があるから怖い。
今もそうだけど、一旦プレイとして区切りがついているのにまだ継続しようとするあたりが非常に危険だ。
「…立てますか?」
手を差し出して美咲さんを手伝う。
不思議な事に、美咲さんのさっきまでの表情はだいぶ鳴りを潜めていた。
…微妙に、羨ましい。
「あ、荷物残してるから一旦秘書課に戻らないと」
美咲さんを連れ回して負担をかけてしまわないか、ちょっと心配になるけれど、美咲さんは「じゃ一緒に行く、コーヒー残してるし」などと言っているから、多分大丈夫なのだろう。
会議室を出る時はかなり周囲を警戒しつつ、そこから私たちはそそくさと荷物をまとめて帰路に就いた。
…でもやっぱり、このショーツはむやみに履いてうろちょろするのは宜しくない。履いた二人が二人とも、刺激に耐えられなくなってしまったのだから。
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主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
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※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
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