僕の恋、兄の愛。2

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side 優介

優介の誤算

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これから数日は健介を少し泳がせようと思っていたら思わぬ展開になった。

仕事が終わり、健介に頼まれた醤油を買って帰る。

健介が、ショックを受けて亮太くんちに居るのは了承済みだ。

可哀想だが少し悩んでもらおう。

夕飯は俺が作るか。

そう思って、タワマンのエントランスに入ると、唐所長が居た。

唐所長は物腰が柔らかく、誠実だが柔軟。
穏やかで優しい人だと、彼を知る人の大半がそう思っているし、実際に側で研究していてもそう感じる。

「お疲れさん。」

「お疲れ様です。」

ニッコリ微笑むこの人が、本当は怖い人だと知っているのは、会社でも俺と上層部の一部くらいか。

弊社が日本屈指の大企業になったのはこの人の影響が大きい。

この人の頭脳も人脈も底が知れない。

「健介くん、今ウチに居るらしいね。」

「健介からメールを貰ってます。ウチの健介がお世話になってます。」

挨拶をして、一緒にエレベーターに向かって歩く。

「そう。」

「あの・・・ウチの弟が何か不手際でも?」

「そうだね。弟くんがウチの亮太と友人として仲が良いのは喜ばしいんだが・・・。」

「だが?」

「友人同士で、性技の実践練習。そうしたら君は弟くんと亮太を許せる?」

健介が亮太くんを友人以上に見ることは無い。

だが友人同士の性技の実践練習は、許せない。

唐所長に付いていきながら拳を握り締める。

エレベーターに乗ると、唐所長は、俺をチラッと見てから自分の居住階を押した。

唐所長の自宅に付いてこい、と言うことか。

俺が逆らえる訳もない。

「面白い事になってるよ。・・・そうだな。弟くんもSEXではアナルに受け入れる側でしょ?ウチの亮太もそうだから間違いは起こらない・・・という訳でも無さそうだよ?絡ませてみるかい?挿入は許さないけど、ソレ以外ならウチはいいよ。」

俺が健介に執着している事も、精神的にも肉体的にも手に入れた事も、健介と恋人になってすぐの頃に、唐所長にはバレている。

と言うか、俺の知らぬ所で健介がバラしていた。

だが、亮太くんが唐所長の性奴隷である事には、最近になって漸く気付いた。

・・・唐所長の亮太くんへの執着が異常だと言うことは薄々分かっては居たが・・・。

「・・・いえ。遠慮します。今からお宅に伺ってもいいですか?」

「いいよ。ついでに夕飯も食べていけばいい。」

「ありがとうございます。ご馳走様です。」

「それと、ウチ、ベッドと椅子と机はソレ専用ちょうきょうようのがあるよ。道具は貸せないけど、興味があるなら部屋は貸してあげるよ。アポ取ってくれたらね。」

「・・・ありがとうございます。検討します。」

穏やかに笑う怖い人は、そう言ってエレベーターを降り、自宅のインターホンを押した。

ガチャリと重厚な玄関ドアが開いて、唐所長と亮太くんの向こうに健介が見える。

「父さんお帰りなさ・・「兄さん!?」市井さん?こんばんは。いらっしゃい。」

ガサリと醤油の入った買い物袋を下げた側の手を健介に向かってあげた。

唐所長がニッコリ微笑む。
ヤバイ、亮太くんにも挨拶しないと。

「こんにちは、亮太くん。
健介がお世話になってます。
健介からここに居るって、仕事中に連絡来てて。
唐所長とエントランスで一緒になったから、俺も来ちゃった。」

言い訳臭いか?と思ったが亮太くんはスルーしてくれた。

そうして俺の計画は、唐親子のアシストでその日の内に適うこととなった。




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