僕の恋、兄の愛。４

水曜日ディナー本番。

市井兄と唐所長、再び。②

『ブランド品って格好いいけどお高いね～。』
と言う健介に好きな装飾品の銘柄などない、多分。

こないだ結婚情報誌ゼクシ〇見ながら『ブランドの店の意識高い系空間、怖い～。』と言ってた。

「弟に好みの銘柄ブランドはありませんが、弟の趣味を鑑みると、該当するブランド店はあります。」

「因みに何？」

「“sea angel.snow”と“Œuf de neige”のどちらかですね。」

常々、健介に似合いそうだ、と思っているハイブランドだ。

可愛い健介を引き立たせる、プリンセス系の甘いデザインがメインなのがいい。

アレを身に付ければ、健介はもっと可愛くなるに違いない。と、性具や拘束具も作って販売してないか調べた。

“sea angel.snow”には、“sea angel.black”という大人の玩具分野の商品を扱う姉妹ブランドがあったので現在注文している。

あの可愛いモチーフの玩具で健介の尿道を責めたい。

「ああ。小百合さんが使ってたから知ってるよ。
じゃ、その店ココに呼んじゃおう。
ルームサービスに『急いで連れて来て！』って急かしちゃうね！」

「は？」

「どうしたの？
ホテルのルームサービスは、その為に有るんじゃないか。
しっかり、市井くん。」

「ええ？」

亮太くんの事以外はぽやんとしている唐所長に『しっかり！』と言われるなんて心外だ。

ルームサービスって、出張先のホテルで軽食注文かモーニングコールに使った位だが、ブランド店呼びつけたりもできるもんなんだろうか。
できなくてもするんだろうな・・・この人なら。

まぁ兎も角、帝王ホテルがホテルに入っている各店舗と業務提携していて、突然の貴金属購入希望も提携店舗があるからルームサービスで対応可能・・・と言うことだろう。

え？本気で呼ぶの？

「茶室から頼もうよ。
弟くんにも気付かれない！(多分)
サプライズの準備もできる！(といいね。)
問題ないじゃない。」

ファンタスティック　ジャパン演出の和室だと思ってたが、茶室なのか、ココ。

・・・ドコで茶を点てるんだろう。

にしても・・・唐所長、人の一大事を何楽しそうに・・・。

「呼んじゃうよ？」

「は・・・はい。」

唐所長の笑顔が黒い！

何でだ！？

そうか、亮太くんを待たせてるんだ！

「よろしくお願いします！」

「ね！呼んじゃうね！」

ウキウキの唐所長が茶室にレイアウトされている黒電話の受話器を手に取る。

ソレ飾りじゃなかったのか。
昭和レトロ黒電話が今も普通に通話できるなんて、良くできてるな。

「ルームサービスお願いできる？」

『はい、承ります。
いつもありがとうございます、唐様。
何かご用ですか？』

サービスルームの音声はスピーカーを通す仕様になっているようで、俺にも聞こえる。

「私じゃなくて、市井くんの方に入り用があるんだ。
急だけどプレゼントの手配を頼める？」

『畏まりました、唐様。』

そうだ、健介が待ってるのは俺だ。

俺が傍観しててどうする！

深呼吸して気分を切り替え、唐所長から受話器を受け取った。

「代わりました、市井です。」

『市井様、この度は当ホテル及びルームサービスをご利用頂き、ありがとうございます。
早速ですが、至急プレゼントの手配をご希望、とのことでよろしいでしょうか。』

「はい。お願いします。」

『畏まりました。
プレゼントの商品はお決まりでしょうか？』

「白金属のプレゼントを希望しています。
婚約指輪・結婚指輪の様なペアになってる指輪を。
帝王ホテルが提携してる店舗のブランドの品揃えって、分かりますか？」

通話に集中して、思わず黒電話の台に手を付くと、指に何かが触れた。

何だ？メモ？

『亮太を待たせてるから、帰るね。
後は自分で頑張って。』とそのメモに書いてあった。

・・・アレ？唐所長が居ない？
さっき居たのに、いつの間に。
愛息子的タイムオーバーなんですね。
助かりました、ありがとうございます。

心の中で合掌した。












※そして唐父は、玩具で放置プレイ中の息子を、物理的に可愛がりに帰って行きました。