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本編
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しおりを挟む「アイラ!昨日はどこに泊まっていたんだ!?」
「うるさいわね!私の人生なんだから何しても勝手でしょ!?」
今月で何度目かわからない問答に、彼付きの従者は小さなため息をついた。
仲睦まじい…?とんでもない。
2人の恋は最初こそ燃え上がっていたが、婚約からひと月経つ頃にはとっくに冷え切っていた。
原因はアイラの遊び癖と、フランチェスカの甘やかしに慣れてしまったイシュメルの失態の連続。こうなることは誰しもわかっていた。
そもそもアイラは昔から男癖の悪いことで有名だった上、教養もあるとは言えなかった。
それでも結婚を強行したのはイシュメル本人だ。にも関わらず、イシュメルはまるで被害者のような顔でやれやれと頭を抱える。
「アイラは貴族としての自覚が足りないのではないか?これではいつか子供が出来ても私の子かわからないじゃないか…」
「……そこが好きなのではなかったのですか?フランチェスカ様と違って追いかけ甲斐があると言っていたではないですか」
「そ、それは、フランチェスカは束縛がっ」
「してなかったですよね?いつもイシュメル様の邪魔にならないよう配慮していましたし、最後だって貴方の幸せを思って婚約破棄を了承してくれた上、貴方の立場が悪くないようそのあともフォローしてくれたではないですか」
本当に、なんで女神のようなフランチェスカを捨て、あの阿婆擦れを選んだのか。
(いや、女神にこの馬鹿は勿体無いか)
兎にも角にもこの家の先行きが不安である。
従者が転職を考えていることも知らず、イシュメルはまた妙なことを口走った。
「失って初めて気付いたんだ……私の運命の相手は、本当はフランチェスカだったのではないかと」
「………はぁ?」
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