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1章 1節 仲間と成長の時間 《ディスペア編》
第26話 胸のザワザワ
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ここがどこか分からない真っ白に染まった空間で1人立っていた、
周りを見渡しても白としか言えないような空間。
足を前に出そうとしてもビクともせずまるで地面と足が一体化しているようだった。
「ハイル、私たちの可愛い子」
声と共に首に腕を回され背中に何かが当たる感触と重さを感じる。
「貴方はやればできる子、
直ぐに諦めないで挑戦する事ができる子、
考えて最善の方法を導き出せる賢い子、
その考えを実行出来る勇敢な子、
どんな事も抱え込んでしまうあの人に似て不器用な子。
貴方はまだ歩き出したばかり、
きっと進む道は険しく苦難に満ちているのでしょう、
辛くて、悲しくて逃げ出したくなるような出来事が見に降りかかるかもしれません、
ですがその時周りには助けてくれる大切な人達がいます、
だから進み続けなさい。
今あなたの隣には歩き出すのを待っている子が居る、
その子のためにもそしてお寝坊さんの眠り姫ちゃんのためにも1歩を踏み出しなさい」
背中を押され地面にくっ付いていたのが嘘かのように自然に歩みを前へ前へと進める、
ただひたすら前へ、光の先へ、
光射す輝きのその向こう側へ。
─────────────────────
「…く…起きて」
微睡んだ意識の中誰かの声が聞こえた、
何度ども何度も僕を呼ぶ声。
「ハイル君!!起きてっ!!」
「んっ!?!」
突如頬に走った痛みと共に微睡みの沼に浸かっていた意識が一気に引き上げられる。
目の前ではルナちゃんが泣きそうな顔えをして、
いや涙を流した跡のような物を顔に付け僕の手を握っていた。
「やっと起きたのねっ…良かった…」
「それよりも頬が痛いんだけど、人を起こすのに叩くのはどうかと思うよ?」
「ごめんなさい」
申し訳なさそうにルナちゃんは俯く。
周囲を見渡し状況を確認する、
ルナちゃんを抱き抱えた後、地面に向かって落下したと思うんだけど記憶が曖昧だ、
上を見上げると木と葉の間から赤い月が顔を覗かせていた、
手元を見ると大量の落ち葉が積み重なっていた、
どうやらこれのおかげで多少の衝撃は和らげたようだ、
身体のあちこちがズキズキと動くが多少気になるほどで問題は無さそうだ。
「よいしょっいっっつ!?」
立ち上がろうとするとお腹に激痛が走る。
「まだ動いちゃダメ!」
そう言われ地面に寝かせられる、
恐る恐る腹部を見るといつの間にか見慣れない布が巻かれていた、
布は赤く染っており僕の身体から大量の血が流れているのが分かる。
「手当てしてくれたんだね、有難う」「ペチペチ」
彼女を見ると服が一部分破れている、
おそらくこの巻かれている布だろう。
「……」
彼女は何も答えない。
「ルナちゃんは怪我は大丈夫?」
「ハイルくんが守ってくれたから平気、怪我はしてないと思う」
「無事で良かった」「ペチペチ」
…流石に気になる。
僕は顔面に張り付き怪我がないかどうかを確認するように顔を叩いてくるリュピィを剥がす、
すごくもふもふしてました。
「ピィ?」
「リュピィもありがとう、君が知らせてくれたおかげでルナちゃんを助けれた」
「ピギュッピィ♪」
翼をはためかせながら嬉しさを身体で表現しているだろうリュピィ、
頭の上に乗っているので分からないがおそらくあっているだろう、
ルナちゃんよりはリュピィの方が感情を読みやすい。
「来る時に教官方に伝言を頼んだから、もうすぐ助けが来るはずだよ」
「うん…」
「もうちょっとの辛抱だから」
「うん…」
何を言ってもうんとしか言ってくれないので何を喋っていいか分からなくなる、
何時もなら今日あった訓練内容とかを話すんだけど、こんな状況だからなあ。
僕達の間に沈黙が流れる、何時もならこの沈黙も心地よい物だと感じるけど今は何故か胸がザワザワし、彼女が何を考えているのかを気にしてしまう。
「なんで私を助けたの?」
「なんでって?」
「あの高さから落ちたら奇跡でも起こらなきゃ助からないのは分かる、
今回はたまたま大量の落ち葉の絨毯があったから奇跡が起きて助かったけど、
命を投げ捨ててまで私を助けた理由が分からない「助けたかったから」……っえ?」
「助けたい、そう思ったらルナちゃんを助けるために飛び降りてた、
理由なんてそれだけだよ、
それにルナちゃんも助けてって言ったから」
「え?私そんな事言った?」
「崖から落ちてる時に手を伸ばしながら、タスケテって口動かしてなかった?」
「──いけど、もし私が助けって言わなかったら助けなかった?」
前半は聞き取れなかったが、後半の言葉を聞いて少し考えるが思いには一切の揺らぎはない。
「たとえルナちゃんが何を言っても僕は飛び込んで助けてた、絶対に」
そう宣言する。
もしさよならと言ってても手を取っていた、
彼女が嫌がっても無理やりに、
そしたらまた人の気持ちも考えない強引な欲張りって言われるのかな?
「怖くはなかったの?1つでも違えれば2人とも死んでたんだよ?」
「もちろん怖いよ痛いのも嫌い、でもルナちゃんを失う方がもっと怖い」
「こんな痛い、怖い思いをするくらいなら出会わなければいいと思った?」
何故彼女がそんな質問を僕にしたのか分からなかった。
「そんな事…思うはずがないよ、ルナちゃんと関わったのは僕の意思だ、
確かにきっかけはネーニャさんかもしれないけどあくまでそれはきっかけとなる最初の1回だけ、
後は全部僕の意思だ、
同じ班でも別の班でも僕はルナちゃんと関わってた」
思った事を全て言い切った。
そしてそれを聞いた彼女は
「そう、変な人間さんなのね」
と言った。
その言葉を聞き心臓が飛び跳ね、鼓動が一瞬止まったかのような錯覚に陥いる、
胸のザワザワ、気にしている事が見抜かれた。
周りを見渡しても白としか言えないような空間。
足を前に出そうとしてもビクともせずまるで地面と足が一体化しているようだった。
「ハイル、私たちの可愛い子」
声と共に首に腕を回され背中に何かが当たる感触と重さを感じる。
「貴方はやればできる子、
直ぐに諦めないで挑戦する事ができる子、
考えて最善の方法を導き出せる賢い子、
その考えを実行出来る勇敢な子、
どんな事も抱え込んでしまうあの人に似て不器用な子。
貴方はまだ歩き出したばかり、
きっと進む道は険しく苦難に満ちているのでしょう、
辛くて、悲しくて逃げ出したくなるような出来事が見に降りかかるかもしれません、
ですがその時周りには助けてくれる大切な人達がいます、
だから進み続けなさい。
今あなたの隣には歩き出すのを待っている子が居る、
その子のためにもそしてお寝坊さんの眠り姫ちゃんのためにも1歩を踏み出しなさい」
背中を押され地面にくっ付いていたのが嘘かのように自然に歩みを前へ前へと進める、
ただひたすら前へ、光の先へ、
光射す輝きのその向こう側へ。
─────────────────────
「…く…起きて」
微睡んだ意識の中誰かの声が聞こえた、
何度ども何度も僕を呼ぶ声。
「ハイル君!!起きてっ!!」
「んっ!?!」
突如頬に走った痛みと共に微睡みの沼に浸かっていた意識が一気に引き上げられる。
目の前ではルナちゃんが泣きそうな顔えをして、
いや涙を流した跡のような物を顔に付け僕の手を握っていた。
「やっと起きたのねっ…良かった…」
「それよりも頬が痛いんだけど、人を起こすのに叩くのはどうかと思うよ?」
「ごめんなさい」
申し訳なさそうにルナちゃんは俯く。
周囲を見渡し状況を確認する、
ルナちゃんを抱き抱えた後、地面に向かって落下したと思うんだけど記憶が曖昧だ、
上を見上げると木と葉の間から赤い月が顔を覗かせていた、
手元を見ると大量の落ち葉が積み重なっていた、
どうやらこれのおかげで多少の衝撃は和らげたようだ、
身体のあちこちがズキズキと動くが多少気になるほどで問題は無さそうだ。
「よいしょっいっっつ!?」
立ち上がろうとするとお腹に激痛が走る。
「まだ動いちゃダメ!」
そう言われ地面に寝かせられる、
恐る恐る腹部を見るといつの間にか見慣れない布が巻かれていた、
布は赤く染っており僕の身体から大量の血が流れているのが分かる。
「手当てしてくれたんだね、有難う」「ペチペチ」
彼女を見ると服が一部分破れている、
おそらくこの巻かれている布だろう。
「……」
彼女は何も答えない。
「ルナちゃんは怪我は大丈夫?」
「ハイルくんが守ってくれたから平気、怪我はしてないと思う」
「無事で良かった」「ペチペチ」
…流石に気になる。
僕は顔面に張り付き怪我がないかどうかを確認するように顔を叩いてくるリュピィを剥がす、
すごくもふもふしてました。
「ピィ?」
「リュピィもありがとう、君が知らせてくれたおかげでルナちゃんを助けれた」
「ピギュッピィ♪」
翼をはためかせながら嬉しさを身体で表現しているだろうリュピィ、
頭の上に乗っているので分からないがおそらくあっているだろう、
ルナちゃんよりはリュピィの方が感情を読みやすい。
「来る時に教官方に伝言を頼んだから、もうすぐ助けが来るはずだよ」
「うん…」
「もうちょっとの辛抱だから」
「うん…」
何を言ってもうんとしか言ってくれないので何を喋っていいか分からなくなる、
何時もなら今日あった訓練内容とかを話すんだけど、こんな状況だからなあ。
僕達の間に沈黙が流れる、何時もならこの沈黙も心地よい物だと感じるけど今は何故か胸がザワザワし、彼女が何を考えているのかを気にしてしまう。
「なんで私を助けたの?」
「なんでって?」
「あの高さから落ちたら奇跡でも起こらなきゃ助からないのは分かる、
今回はたまたま大量の落ち葉の絨毯があったから奇跡が起きて助かったけど、
命を投げ捨ててまで私を助けた理由が分からない「助けたかったから」……っえ?」
「助けたい、そう思ったらルナちゃんを助けるために飛び降りてた、
理由なんてそれだけだよ、
それにルナちゃんも助けてって言ったから」
「え?私そんな事言った?」
「崖から落ちてる時に手を伸ばしながら、タスケテって口動かしてなかった?」
「──いけど、もし私が助けって言わなかったら助けなかった?」
前半は聞き取れなかったが、後半の言葉を聞いて少し考えるが思いには一切の揺らぎはない。
「たとえルナちゃんが何を言っても僕は飛び込んで助けてた、絶対に」
そう宣言する。
もしさよならと言ってても手を取っていた、
彼女が嫌がっても無理やりに、
そしたらまた人の気持ちも考えない強引な欲張りって言われるのかな?
「怖くはなかったの?1つでも違えれば2人とも死んでたんだよ?」
「もちろん怖いよ痛いのも嫌い、でもルナちゃんを失う方がもっと怖い」
「こんな痛い、怖い思いをするくらいなら出会わなければいいと思った?」
何故彼女がそんな質問を僕にしたのか分からなかった。
「そんな事…思うはずがないよ、ルナちゃんと関わったのは僕の意思だ、
確かにきっかけはネーニャさんかもしれないけどあくまでそれはきっかけとなる最初の1回だけ、
後は全部僕の意思だ、
同じ班でも別の班でも僕はルナちゃんと関わってた」
思った事を全て言い切った。
そしてそれを聞いた彼女は
「そう、変な人間さんなのね」
と言った。
その言葉を聞き心臓が飛び跳ね、鼓動が一瞬止まったかのような錯覚に陥いる、
胸のザワザワ、気にしている事が見抜かれた。
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