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しおりを挟む騎士団を旅立ち、私は一人で旅を続けていた。道中、私は色々なものを見て、色々な人と出会った。以前の私なら、きっと何も感じなかっただろう。でも、レオナルド様や騎士団の皆さんと過ごした時間のおかげで、私は少しずつ、自分の周りの景色を、そして自分の心を、見つめ直せるようになっていた。
そんな旅の途中、突然、空から一羽の白い鳩が舞い降りてきた。その鳩の足には、小さな巻物が結ばれていた。見ると、それはレオナルド様からの手紙だった。
「クラリス、お元気ですか?私事で恐縮ですが、近々、王都へ戻ることになりました。もしよろしければ、王都で再会できませんか?」
手紙には、そう書かれていた。私は、心が躍るのを感じた。
(レオナルド様に、また会える……!)
私は、迷うことなく王都へ向かうことを決めた。
王都に着くと、私は指定された場所にレオナルド様を訪ねた。彼は、変わらず優しく私を迎え入れてくれた。
「クラリス、会えて嬉しいです。まさか、本当に来てくれるとは思いませんでした」
彼のその言葉に、私は胸が熱くなった。
「レオナルド様も、お変わりありませんね」
私たちが再会を喜び合っていると、レオナルド様は真剣な表情で私に言った。
「クラリス、実は君に、どうしても伝えたいことがある。私と、婚約してくれませんか?」
彼の言葉に、私は驚き、そして、嬉しさで胸がいっぱいになった。
「私でよろしいのですか?」
「もちろん。私は、君のありのままの姿に惹かれたのです」
私は、彼の言葉に、過去の傷が癒えていくのを感じた。私は、今度はレオナルド様が私を肯定してくれたことに、運命的なものを感じた。
「はい……喜んで、お受けします」
私は、涙を流しながら、彼のプロポーズを受け入れた。
それから、私は聖騎士団長の婚約者として、王都で生活を始めた。レオナルド様は、私に新しいドレスをたくさん用意してくれた。
「どれでも、好きなものを選んでください」
そう言って、彼は私をドレスショップに連れて行ってくれた。私は、きらびやかなドレスを前に、戸惑った。
「こんなに豪華なドレス、私には似合わないかもしれません……」
私がそう言うと、彼は優しく笑った。
「大丈夫。クラリスは、どんなドレスも着こなせます。それに、君の美しさは、ドレスが引き立てるものではない。ドレスが、君の美しさに引き立てられるのです」
彼の言葉に、私は勇気をもらい、一着の深紅のドレスを選んだ。そのドレスは、私の地味な容姿を、まるで魔法のように華やかに見せてくれた。
「ほら、言ったでしょう?」
彼は、満足そうに微笑んだ。私は、鏡に映った自分を見て、驚いた。そこにいたのは、以前の地味で冴えない私ではなかった。自信に満ちた、新しい私だった。
そして、レオナルド様と私は、社交界に正式に婚約を発表することになった。私は、再び社交界に足を踏み入れることに、少しの不安と、大きな期待を抱いていた。
社交界の夜会は、以前よりも、ずっと華やかだった。私は、レオナルド様にエスコートされ、会場の中央へと進んでいく。
「ごきげんよう、聖騎士団長様。そして、そちらの方は……」
人々は、レオナルド様と私に注目した。彼らは、私が誰なのか分からずに、首を傾げていた。
「私の婚約者、クラリスです」
レオナルド様が、堂々と私を紹介した。その瞬間、人々のざわめきが起こった。
「まさか……あの、子爵令嬢のクラリス様?」
「信じられない。あの地味な彼女が、こんなにも美しくなって……」
私は、彼らの驚きの声に、少しだけ優越感を感じた。そして、私は、その視線の先に、二つの見慣れた顔を見つけた。
エドガー様と、公爵令嬢セシリア様。
二人は、私を見て、信じられないという表情をしていた。特に、エドガー様の顔は、まるで幽霊でも見たかのように青ざめていた。
「エドガー様……」
私が小さく呟くと、彼は私に駆け寄ってきた。
「クラリス……なのか?本当に、クラリスなのか?」
彼の声は、震えていた。私は、以前の彼のように、冷たく、そして、高慢な態度で言った。
「ええ。お久しぶりです、エドガー様。私のこと、もうお忘れになったかと思いましたわ」
私の言葉に、彼は何も言い返せなかった。
その時、セシリア様が、私を睨みつけるように言った。
「一体、どういうこと?こんな女が、聖騎士団長様の婚約者だなんて、ありえないわ!」
セシリア様の言葉に、レオナルド様は、毅然とした態度で言った。
「公爵令嬢。彼女は、私の大切な婚約者です。彼女を侮辱することは、私を侮辱することになりますよ。おやめください」
レオナルド様の言葉に、セシリア様は言葉を失い、顔を赤くして、その場から立ち去った。
エドガー様は、何も言わずに、ただ私を呆然と見つめていた。私は、彼に優しく微笑みかけて、言った。
「それでは、ごきげんよう、エドガー様」
私は、レオナルド様にエスコートされ、彼の目の前を通り過ぎた。私は、彼の顔に、後悔と絶望の色が浮かんでいるのを見た。
それから、数週間が経った。私は、聖騎士団長の婚約者として、社交界で注目を集めていた。人々は、私を「美しく、気品のある女性」と褒め称えた。
そんな中、私は、一つの噂を耳にした。
エドガー様が、大規模な不正に関わっていたという噂だった。
私は、驚いたが、特に何も思わなかった。彼が、どんなことをしていようと、私には関係のないことだった。
でも、その噂は、あっという間に真実となり、エドガー様の不正が明るみに出た。彼は、国の財産を横領し、多くの人々に裏切り行為を働いていたのだ。
その結果、侯爵家は財産を差し押さえられ、爵位を剥奪された。エドガー様は、社交界から追放され、誰からも見向きもされなくなった。
彼は、何もかもを失ったのだ。
私は、その知らせを聞いても、何も感じなかった。悲しみも、喜びも、何も。
彼は、私を捨てた。そして、華やかな公爵令嬢を選んだ。でも、その結果、彼はすべてを失った。
私が、彼に捨てられたことによって、新しい人生を歩むことができたように、彼もまた、その過ちによって、人生を狂わされたのだ。
私は、レオナルド様との婚約を、心から嬉しく思った。彼は、私を、私のありのままの姿を愛してくれた。
私は、もう、影ではない。私は、レオナルド様という光に照らされ、輝くことができるようになった。
そして、私は、この幸せを、レオナルド様と分かち合いたいと思った。
私は、もう過去を振り返らない。これからの私の人生は、レオナルド様と、そして、私を愛してくれる人たちと共に、歩んでいく。
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