たぶん荘、きっと荘〜道祖神大家とイチャラブなんてあり得ない!?〜

振悶亭めこ

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第一章:アラミタマはうらーか男子!?

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 西村和也は不貞腐れていた。あの大家は痛みに屈しない。脅しには脅しで返してきた。何よりあの時、目覚めさせてはいけない何かを目覚めさせてしまった、ゾクリとした恐怖さえ感じてしまった。

 アパートの更新、または退去まで残り二十三日。

 入居者の大半を単身者が占める、六畳一間の和室と狭いキッチン、バス、トイレの付いた「たぶん荘」の一室が、今の和也の住まいだ。ボロくて多少のすきま風が入る事と、最近は見かけなくなったがジジイの幽霊が出る事以外は特に問題の無い部屋だった。
「あー、ムカつく。何もかも上手く行かねぇ」
 ベッドで横になりながら、和也はスマホでSNSを開く。裏アカ女子や、ママ活希望女性のアカウントを、日常的に漁っていた。オフパコしたい、あわよくば金も欲しい。その為、和也は何も投稿していないか、投稿していてもどこかの画像を転載しただけの自称裏アカ、主に業者を敵視していた。裏アカ男子やママ活男子については……性交まで持ち込めた成功例を参考にする為に、流れてきた時だけチェックをしていた。
 業者くさいアカウントをいくつか通報した辺りでスマホ画面に表示された、一つの投稿を凝視する。乳首小さいのかな?の一言と共に和服をはだけさせた、白い肌の男性の写真があった。ユーザー名は『アラミタマのクロアさん』自撮りであろう写真には、見覚えがある。
「何考えてやがる!あのクソ野朗!!」
 クロアさんのプロフページには「うらーか男子♡始めたて。分からないことも多い、やらしいメスお兄さんに育ててくれ♡」の文字と、アダルト系配信サイトのURL、欲しいものリストのURLが載せられていた。
 投稿を遡って読んでいく。どの写真も、顔そのものは黒の狐面で隠されていた。とは言え、特徴的な長い白髪を姫カットに整えて、長く伸びたうしろ髪を一つに結いている所や、きめ細かに見える肌、何よりも今日ゴミ捨てに行った時に見かけたものと同じ柄の着物……和也の中で、クロアさんは「たぶん荘」の大家、白亜であると特定された。
 耳の部分が小さい羽根みてぇになってる奴、他に見た事ねぇし。
 和也はクソ野朗と呼んでいた白亜の裏の顔、クロアさんのアカウントにいつの間にか夢中になっていた。

 遡って見た限り、クロアさんは本当に6日程前に始めたばかりの初心者である事、露出しても乳首がチラ見えする程度の思わせぶりな半裸の自撮り写真を一日に一、二枚程投稿している事、動画配信ネタ用にエッチな質問やリクエストを募集している事、三回目の配信がもうすぐ始まる事。などが分かった。
「クソがあああっ!野朗のっ!身体なんかに興味ねぇっつーの!」
 和也は叫ぶ。叫びながらもクロアさんの配信チャンネルを開いていた。
『アラミタマのクロアさんはメスお兄さん修行をする・そのに♡』
 と、可愛らしいフォントで書かれたサムネ、フリー素材のポップな待機BGM。数秒後、画面が切り替わる。モノの少ない和室、座布団に座るクロア。動画配信時は、狐面を付けずに素顔を晒していた。
「皆の者、今夜も宜しく頼む」
 画面の中のクロアさんは、正座をして上品な仕草で深々と頭を下げていた。
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