上 下
4 / 41
第一章:アラミタマはうらーか男子!?

しおりを挟む
 画面の中のクロアさんは、頭を上げてフレームアウトしていただろう場所からスマホを手繰り寄せて手に取る。少しだけアップで映し出された顔は、冷静に見ると整った綺麗な顔立ちだった。何物にも染まらない、絹糸のような白髪と相まって、神秘的ですらある。
「まずは、頂いた質問の回答から始めよう」
 送られてきた質問らしき文章が、画面に表示された。
「一つ目の質問……初見です!何故メスお兄さんになろうと思ったのですか?理由を、あったらエッチなエピソードを交えて教えて下さい!……うーん」
 見てる奴らも大概おかしいと、和也は自分の事を棚上げして思った。反面、読み上げられた質問については、和也自身も気になった部分でもあった。
 画面の中でクロアさんは、うんうん唸りながら少し考える様子の後、口を開く。
「これは、何と言うか……性交時?プレイの間と言うかだな。そういった時だけは全ての地位や肩書き等を忘れる位に蹂躙され、メスとして扱われたい。で、あるな……きっかけの出来事は、エッチかどうかはさておき、一週間ほど前に無体をはたらかれた事にあるだろう。そこで欲目が出てしまったんだろうな」
 赤い瞳を輝かせて妖しく笑う、クロアさんは語った。
「一週間前……蹂躙されてぇって、あん時の事か!?」
 痛みにも脅しにも屈する事無く、何か得体の知れないものが目覚めてしまった。理由を本人があっさりと、画面越しで語っている。
 和也は自分のしでかした事の愚かさを突きつけられ、独り部屋のベッドで悶絶する。
「二つ目の質問だ……クロアさんこんにちは。乳首が小さいのを気にしているみたいだけど、どうしてですか?小さくて淡い色なのも可愛いと思います」
 ああこれもオレ、言った覚えあるやつ。気にするなんて思わなかった!
 和也自身の責任を問われているような気分になる質問コーナーに、ほんの少しだけ地獄の入り口が見えた……気がした。
 スルリ、と、衣擦れの音。和也は再びスマホの画面に目を向ける。画面の中のクロアさんは着物の合わせを大きくはだけさせ、小さな乳首が見えるよう、惜しげも無く胸元を露出させていた。
「可愛い……は、ありがとう?なのか?すまない、容姿を褒められた事などあまり無かったのだ。乳首は、もう少し大きくてぷっくり膨らんで、摘みやすいぐらいがメスっぽさが出る気がしている。一応、暇な時に色々調べてみているぞ。今日の質問はここまで」
 テロップが変わり、質問の表示されていた場所には
『性感開発チクニー♡勃起してもしなくても1時間続けてみよう』
 の文字。わがまま・横暴・非常識を兼ね備えた和也でも頭が痛くなるテロップ。方向性の違う非常識さは、今までわがままと横暴な振る舞いで自然と遠ざけてきた。故に和也は今、自分の力ではどうにも出来ない他人の非常識に頭を抱える羽目になっていた。
「本日の御題目。性感開発チクニー、勃起してもしなくても一時間続けてみよう。を、リクエストから選んでみた。親切にも、最初はゆっくり優しく、気持ちいい事だけに集中してみて下さい。と、書き添えてあった。ありがとう」
 クロアさんの細い指先が、ツゥ、と自身の白い肌の上を這う。小さな乳首にちょんと触れた。画面には終了までの残り時間をカウントするタイマーが表示された。
 指先で小さな乳首をそっと刺激している様子が淡々と映し出されていく。数分経った頃合いには、白い肌に淡く色付いたその部分が、小さいながらもツンと勃起していた。クロアさんは勃起した自らの乳首を撫で続け、徐々に指先の動きのバリエーションを増やしていく。
 カリッ、カリカリカリカリッ。
「ん……っ、あっ、ああぁ……」
 軽く指先で引っ掻くように乳首を弄っている。控えめだが、確かに感じ入っている声が流れてくる。残り時間は20分程になっていた。
 カリカリカリッ、クニュクニュッ。
「あ……っ♡あああぁ……っ、変な……感じ、してく……っ、あぁっ♡」
 自らの指を使って、ひたすら乳首を弄るオナニーを続けているクロアさん。残り時間が少なくなるにつれ、声色は艶を帯びていき、時折身体をピクピクと震わせるようになっていった。
「んんぅっ♡これ……っ、あっ♡気持ちい……っ♡のか……もっ」
 指先でカリカリと乳首を引っ掻き、時々ぷにゅりと軽く押しつぶす。その刺激を繰り返し、クロアさんの湿った息遣いも乱れていった。
「はふ……っ♡あっ、あああっ♡」
『ジカンダヨー』
 タイマーで仕掛けた合成音が、終了を知らせる。
「はーっ♡はぅん……っ♡今日のリクエスト……終了だ♡最後に下がどうなっているのか、確認してくれ」
 画面越しのクロアさんは姿勢を変え、腰を突き出すようにして、着物の帯と腰紐を解き下半身を露わにした。中心には、甘勃ち状態の男性器があった。
「最後の方、気持ち良くなってきたが……初めてでは絶頂にまで至らないようだ。これからも精進していく故、宜しく頼む。チャンネル登録、リクエスト、質問等もとてもありがたい。コメントは後から楽しく読ませて頂いている。それでは、次回の配信でまた会おう」
 手を振り、半裸のまま無邪気に笑うクロアさん。ポップなフリー素材の音楽と共に画面はフェードアウトし、そこで配信は終わった。

 クソ野朗と呼んでいた顔見知り……と言うか、大家の裏の顔をじっくり見てしまった和也は、残念で足りない頭ながらもいくつか思いついた事があった。
 あれは、完全に楽しんで趣味でやっているのだと。性感開発などを配信する位だ、快楽にはきっと弱い筈だ、と。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:505pt お気に入り:134

美形な兄二人に犯される僕の終わらない夏休み

BL / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:255

冒険旅行でハッピーライフ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:627pt お気に入り:18

悪役令息の義姉となりました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:20,214pt お気に入り:1,325

悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,613pt お気に入り:2,473

寝込みを襲われて、快楽堕ち♡

BL / 連載中 24h.ポイント:1,398pt お気に入り:1,197

気まぐれに愛して、気がつけば恋しくて・2

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:38

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:177pt お気に入り:42

剛田くんは太いのがお好き

BL / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:12

処理中です...