たぶん荘、きっと荘〜道祖神大家とイチャラブなんてあり得ない!?〜

振悶亭めこ

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第五章:幼き恋情

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 西村和也は、戸惑っていた。

「所で和也、我は尻が痛い」
 腫れが数日間残りそうな程、鞭で叩いた後だ、痛むだろう。正直、悪かったと思ってる。後悔はしていない。けど……
「あのー、白亜さん?」
「何だ?和也は酒が足りぬのか?我は今、心地よい気分だ」
 今。白亜さんは胡座をかいたオレの膝の上を円座代わりにして、横抱きにされるような状態で座っている。腕をオレの首に回して抱きついて、時々頬擦りをしてくる。
 周囲には、空の酒瓶がいくつも転がっていて、少なくとも四合瓶二本と一升瓶二本が、空になっていた。
 殆ど白亜さんが飲んだ、残骸。この人はザルなのか?と、和也は思ったが、白亜さんはそもそも人間じゃねーや、という部分に帰結した。
「話の続き、出来るか?」
「内容によるが、今ならもれなく色々話せそうだ。お得だな」
 お得感は求めてねえよ。スーパーのセール品じゃあるまいし。
「さっき……泣きながら、嫌わないで、置いてかないでって、白亜さん言ってたのは、何で?」
 オレに抱きついていた、白亜さんの腕の力が弱くなった。そっと、支えるように、オレは白亜の背中に腕を回す。
「……ふう。我の、性質の裏返し?なのかも知れぬ。願われたのなら見守り、導き、背中を見送る。二度と会わぬ者が殆どだ。恐らく、それが寂しいのだと、思い始めてしまったのだろう。何故和也に縋ってしまったのかは、分からぬ」
 白亜さんはオレの肩に軽く擦りついて、首をもたげた。
「ただ……和也に疑われていた事が、その……一番辛くて。年甲斐もなく、みっともなく泣いてしまった……」
 反省会と称して、飲んで話していて出てきた、オレの中の予感が当たればいい。
「辛い時は泣けばいい、年甲斐だのみっともないだの気にしねーでいい……白亜さんはさ、酒飲みてえって理由は?配信やプレイをしてえって理由は、何だ?」
「酒は美味いからたまに飲みたい……配信やプレイは、気持ちよくなりたく、実際気持ちよくなれるから。だな」
「美味いモンや、気持ちいー事、白亜さんは好き?ま、気持ちいー事については、プレイん時は素直に言ってんの、オレは聞いてっけどな。配信見てる奴らも知ってる事だぜ?」
 ハッと顔を上げた白亜さんは、オレの顔をじっと見て、少し恥ずかしそうに口篭っていた。
「ぁ……美味い酒も、気持ちいい事も、好きだ。だが……それに当てはめてしまうと、我は、我は…………」
 うっすらと涙を浮かべ、顔を背けようとする白亜さんの顎を、オレは優しく掴む。
「恥ずかしくて泣きそー?可愛い所あんじゃねーか。続き、言え。言って聞かせろ」
「好き…………和也が、好き」
 少し前に予感した事、当たればいいと和也が望んだ答えは、すぐに出された。

 気付かされてしまった、初めての感情に、甘やかな戸惑いに、白亜は呆然となる。
 人間ごとき、と、我は思っていた。いつの間にか、時間の流れの加速と共に、その考えも塗り替えられていたのか。今ある、和也の腕の温もりが心地よい。何故だか胸は高鳴り、下腹はキュウっと疼き始めていた。
「ありがとう、白亜さん。オレも今日、話してて頭ン中整理出来た。聞いてくれないか」
 コクリと頷いた白亜は、不安からもう一度和也にぎゅっと抱きついた。
「オレも、白亜さんが好き。嫉妬もするし、独占欲も強えーみてーだ」
「和也は、我が……好き?一緒、なのか?」
「知らねー。他人同士じゃん、分かんねー部分がある方がいいんじゃね?不便でも時々新しい部分が見えたりすんの、今は嫌いじゃねーよ」
 和也の手が、白亜の頭をワシャリと撫でた。話し合い、確かめあう事。あの男に言われたという部分は気に食わぬが、本当に必要な事だったと、白亜は思う。和也には、まだまだ告げておらぬ事が、我にはある。新しく出てくる事も、これからあるだろう。
「我は、和也の……静かに耳元で囁く声も、好きである。従ってしまいたくて、疼いてしまう……今ならよく分かる。始めは確かに、誰でも良かったのかも知れぬが……我は、和也に蹂躙され、無力な存在に貶められ、性処理の道具のように扱われたいのだと」

 オレの、一瞬のときめきを返して下さい白亜さん。
「そんなキラキラした目で後半部分を熱弁すんじゃねーよ。今日はもう何もしねえ。明日、酔っ払いの戯言じゃねーって確かめられたらそん時は」
「ふむ。期待しておるぞ、和也」
 反省会と称した宅飲みは、告白大会となり、無事終了した。

 
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