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★番外編01 運命の番 side 千早
運命の番11★ ふたりのイメージイラストあり
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五月の終わりの土曜日。
玄関に入るなり、俺は琳太郎の身体を壁に押し付け唇を重ねた。
本当なら、ここに閉じ込めて毎日抱き潰したいのに、琳太郎がベータだ、という事実は俺の本能を阻む。
だから部屋の中まで我慢できず、玄関で口づけることは多かった。
最初の頃、琳太郎はわずかな抵抗を見せたが、今では自分から俺の首に腕を絡め舌を出してくるようになった。
「ちは……や……」
キスの合間に名前を呼ばれ、俺の気持ちは昂っていく。
今日の琳太郎は、少し様子がおかしいが、今はそれを気にする余裕はなかった。
早く抱きたい。
早く中を味わいたい。
けれど準備が必要だし、琳太郎の様子がおかしい理由、聞きださないと。
「もっと、ほし……」
うっとりとした顔で言われ、俺は琳太郎の股の間に足を入れ、膝で刺激しながら口づけた。
出された舌を絡ませ、開いた唇の隙間から唾液を流せば琳太郎は喉を鳴らしてそれを飲み込んでいく。
琳太郎は自分から積極的に求めることはないが、一度スイッチが入れば淫らに俺を求めだす。
その姿は本当に愛おしい。
けれどさすがにこのまま玄関でヤるわけにもいかず、名残惜しさを感じながら琳太郎から離れた。
琳太郎をリビングのソファーに座らせココアを飲ませる。
琳太郎は苦しげな顔をして俺に尋ねた。
「何でお前、俺の首噛むの?」
あぁ、そうか。琳太郎は、俺が首を噛む理由を誰かに聞かされたのか。
何故も何もないだろうに。
それはアルファに刻まれた本能だ。
たとえおかしくなったとしても、俺はアルファで、番を噛むのは当たり前の行為だ。
「だって、俺にそんなことしたって、番にはなれないのになんでって思って」
そう言って、琳太郎は押し黙る。
ちりちりと肌を焼くような感覚に、顔をしかめた。
琳太郎に何を吹き込んだのか。
考えると怒りを覚える。
「琳太郎」
俺は琳太郎の腕を掴み、その身体を引き寄せた。
そして、その後頭部に手を回し、顔を近づける。
不安げな、苦しげな顔に心が痛む。
琳太郎を不安にさせるやつは気に入らない。
「俺がお前を選んだ。言っただろ? お前は俺の番だ」
「に、偽物だって最初に言ったのはお前だろ? 俺はそもそもベータだし、お前の『運命』にはなれないんだから」
「琳太郎」
「な、なんだよ」
「お前は、俺の『番』だ。そう、俺が決めたんだからな」
「だって、お前が卒業までの期間限定って言ったんだろ? それすぎたら俺は……」
不安な顔が俺の心に穴をあける。
誰が琳太郎を不安にさせている?
誰が琳太郎を傷つける?
――そうさせているのは自分だ。
強引にこんな関係にしたのは俺だし、卒業までと言ったのも俺自身だ。
卒業したら、解放したいと思っていたのは事実だ。
ずっとこんな関係を続けていられないだろうと、そして琳太郎がそれを望むとも思ってはいなかった。
けれど俺は……琳太郎を手離せるだろうか?
俺は琳太郎の名を呼び、不安の顔を見せる彼に口づけた。
「ん……」
口を離しそして、目を見て俺は言った。
「卒業まで、お前は俺の『番』だ。だから首に噛み付くのは当たり前だろう? 何の問題がある」
俺の物だ。
その思いは日々強くなっていく。
――オメガじゃないのに、俺は、琳太郎を手離せなくなっていく。
「だからそれまでお前は俺の『番』だ。それに嘘はない。何の問題があるんだ?」
琳太郎の顔から不安の色は消えない。
むしろ強くなっているように感じる。
誰だ、琳太郎に何か言ったやつがいる?
「お前、何を言われた?」
「……え……」
「お前、誰かに何か言われたんじゃないのか? お前が自分でその傷に気が付くとは思えないし」
その誰かの存在は、俺を苛立たせる。
なぜ俺の邪魔をする?
気に入らない。
たぶん、バイト先のあいつだろう。
なぜあいつは琳太郎に手を出すんだ。
琳太郎は――オメガじゃないのに。
矛盾した想いにまた、俺の胸が痛む。
――オメガじゃない琳太郎を俺はなぜ、番にしようとしている?
そんな疑問、今更抱いて何になる。
俺は、琳太郎を選んだんだ。
その事実を捻じ曲げるつもりは、もはやない。
「何を吹き込まれたのか知らないが、俺がお前を選んだんだ。それをお前は疑うのか?」
「ちは……」
震える琳太郎の唇をなぞり、俺は彼に告げる。
わからないなら、わからせればいい。
開発された琳太郎の身体は、もう俺なしではいられないだろうから。
「わからせてやるよ、琳太郎。俺がどれだけお前の事を想っているのか」
今日は土曜日だ。
だから朝まで抱いても、問題はないだろう。
身体に、心に俺を刻み付けて、余計なことなど考えられなくしてやればいいんだから。
ーーーーーーーーー
※電子版表紙絵より
イラスト BEEBAR
玄関に入るなり、俺は琳太郎の身体を壁に押し付け唇を重ねた。
本当なら、ここに閉じ込めて毎日抱き潰したいのに、琳太郎がベータだ、という事実は俺の本能を阻む。
だから部屋の中まで我慢できず、玄関で口づけることは多かった。
最初の頃、琳太郎はわずかな抵抗を見せたが、今では自分から俺の首に腕を絡め舌を出してくるようになった。
「ちは……や……」
キスの合間に名前を呼ばれ、俺の気持ちは昂っていく。
今日の琳太郎は、少し様子がおかしいが、今はそれを気にする余裕はなかった。
早く抱きたい。
早く中を味わいたい。
けれど準備が必要だし、琳太郎の様子がおかしい理由、聞きださないと。
「もっと、ほし……」
うっとりとした顔で言われ、俺は琳太郎の股の間に足を入れ、膝で刺激しながら口づけた。
出された舌を絡ませ、開いた唇の隙間から唾液を流せば琳太郎は喉を鳴らしてそれを飲み込んでいく。
琳太郎は自分から積極的に求めることはないが、一度スイッチが入れば淫らに俺を求めだす。
その姿は本当に愛おしい。
けれどさすがにこのまま玄関でヤるわけにもいかず、名残惜しさを感じながら琳太郎から離れた。
琳太郎をリビングのソファーに座らせココアを飲ませる。
琳太郎は苦しげな顔をして俺に尋ねた。
「何でお前、俺の首噛むの?」
あぁ、そうか。琳太郎は、俺が首を噛む理由を誰かに聞かされたのか。
何故も何もないだろうに。
それはアルファに刻まれた本能だ。
たとえおかしくなったとしても、俺はアルファで、番を噛むのは当たり前の行為だ。
「だって、俺にそんなことしたって、番にはなれないのになんでって思って」
そう言って、琳太郎は押し黙る。
ちりちりと肌を焼くような感覚に、顔をしかめた。
琳太郎に何を吹き込んだのか。
考えると怒りを覚える。
「琳太郎」
俺は琳太郎の腕を掴み、その身体を引き寄せた。
そして、その後頭部に手を回し、顔を近づける。
不安げな、苦しげな顔に心が痛む。
琳太郎を不安にさせるやつは気に入らない。
「俺がお前を選んだ。言っただろ? お前は俺の番だ」
「に、偽物だって最初に言ったのはお前だろ? 俺はそもそもベータだし、お前の『運命』にはなれないんだから」
「琳太郎」
「な、なんだよ」
「お前は、俺の『番』だ。そう、俺が決めたんだからな」
「だって、お前が卒業までの期間限定って言ったんだろ? それすぎたら俺は……」
不安な顔が俺の心に穴をあける。
誰が琳太郎を不安にさせている?
誰が琳太郎を傷つける?
――そうさせているのは自分だ。
強引にこんな関係にしたのは俺だし、卒業までと言ったのも俺自身だ。
卒業したら、解放したいと思っていたのは事実だ。
ずっとこんな関係を続けていられないだろうと、そして琳太郎がそれを望むとも思ってはいなかった。
けれど俺は……琳太郎を手離せるだろうか?
俺は琳太郎の名を呼び、不安の顔を見せる彼に口づけた。
「ん……」
口を離しそして、目を見て俺は言った。
「卒業まで、お前は俺の『番』だ。だから首に噛み付くのは当たり前だろう? 何の問題がある」
俺の物だ。
その思いは日々強くなっていく。
――オメガじゃないのに、俺は、琳太郎を手離せなくなっていく。
「だからそれまでお前は俺の『番』だ。それに嘘はない。何の問題があるんだ?」
琳太郎の顔から不安の色は消えない。
むしろ強くなっているように感じる。
誰だ、琳太郎に何か言ったやつがいる?
「お前、何を言われた?」
「……え……」
「お前、誰かに何か言われたんじゃないのか? お前が自分でその傷に気が付くとは思えないし」
その誰かの存在は、俺を苛立たせる。
なぜ俺の邪魔をする?
気に入らない。
たぶん、バイト先のあいつだろう。
なぜあいつは琳太郎に手を出すんだ。
琳太郎は――オメガじゃないのに。
矛盾した想いにまた、俺の胸が痛む。
――オメガじゃない琳太郎を俺はなぜ、番にしようとしている?
そんな疑問、今更抱いて何になる。
俺は、琳太郎を選んだんだ。
その事実を捻じ曲げるつもりは、もはやない。
「何を吹き込まれたのか知らないが、俺がお前を選んだんだ。それをお前は疑うのか?」
「ちは……」
震える琳太郎の唇をなぞり、俺は彼に告げる。
わからないなら、わからせればいい。
開発された琳太郎の身体は、もう俺なしではいられないだろうから。
「わからせてやるよ、琳太郎。俺がどれだけお前の事を想っているのか」
今日は土曜日だ。
だから朝まで抱いても、問題はないだろう。
身体に、心に俺を刻み付けて、余計なことなど考えられなくしてやればいいんだから。
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※電子版表紙絵より
イラスト BEEBAR
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