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26遊園地に来て
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それから一週間ほど過ぎた平日。
私とマティアス様がお休みの日だ。
焦げ茶色の帽子を被り、ゆったりとした上着に焦げ茶色のズボンをはいたユリアンは、ゆっくりと回転する観覧車を見つめ、
「うわあ……」
と感嘆の声を漏らした。
観覧車の大きさは、二階建ての建物の倍くらいだろうか。
回転する観覧車には、十二個ほどの半円の鉄でできたかごののようなものがついている。
想像よりも大きい。
ここはフラムテール王国の国境の町。プレリーから国境を越えて馬車で三十分ほど行ったところにある遊園地と呼ばれる施設だ。
観覧車に回転木馬、電気で動く園内を一周してくれる乗り物。それにいくつもの露店がある。それに隣接して大きな商業施設もあり、一日いても飽きないと言われているのだとか。
歩いているだけでおいしそうな匂いがそこかしこから漂ってくる。
平日であるにも関わらず人出は多かった。
プレリーの隣の町であるとはいえ国が違うためか服装も人々の顔立ちも皆少し違って見える。
私の国にはあまりない三階建て以上の建物や、大きな商業施設はとても珍しくて、私もユリアンと同じようにあたりを見回しまくっていた。
「全然プレリーと違うんだね。馬車で三十分なのに」
「まあ……カスカードはほら、田舎だから」
田舎でも生活には困っていないし、こんな大きな商業施設はいらない。人口がそもそも少ないし。
「こういうの機械って言うんだっけ。すごいね、人間て。プレリーにはこんなに立派な機械ないもんね」
「そうだね。それはプレリーの良さでもあると思うけれど」
マティアス様、それは本音ですか。
私はちらりと隣を歩く彼の顔を見る。
その表情から嘘かホントかを見分けることはできなかったけれど……フラムテール王国はカスカード公国に比べたらとても発展している国だ。
こういう機械を取り入れるのにも積極的だし。
「……ずっとプレリーに住めと言われたら、住みますか?」
意地悪かな、と思いつつそう問いかけるとマティアス様は、ははは、と笑った。
「そうだねえ。一度便利さを知ってしまうとそこから離れるのって難しいからねえ」
と曖昧なことを言う。まあ、そうですよね。期間が決まっていてあと半年ほどたてば国に帰るとわかっていれば多少の不便さも妥協もできると思うの。
でもずっとと言われたら、難しいよね。
「こうやってフラムテールの町を歩くのって初めてです」
私が言うと、マティアス様がこちらを向いてにこっと笑った。
「そうだよね。
いつも別荘の中庭で話をするだけで、町になんて出たことなかったね」
その通りだ。
年に一度、マティアス様と顔を合わせていたわけだけれど、場所はフラムテール王家の別荘で、そこから町に行くことは決してなかった。
別荘に行って、マティアス様と話をして、その日のうちに帰国する。
それが常だったため、私はフラムテールに十回以上来ているにも関わらず、別荘以外に行ったことは一度もなかった。
「だから見せたかったんだ」
ぼそりとマティアス様が呟く。
ユリアンにもそれが聞こえたらしく、マティアス様を振り返り言った。
「見せたかったって何を?」
「え? あぁ、俺が育った国を、ふたりに見せたかったってこと」
「あ、そんなこと思ってたんだ。でもマティアスさんが育った町ってここからもっと遠い所なんでしょ?」
「うん。まあそうなんだけれど、この町の近くにはよく来ていたから」
それはそうでしょうね。
こことはまた反対側の町はずれに、王家の別荘があるんだもの。その別荘が私たちが年に一度顔を合わせていた場所だ。
そこはとても静かな場所で……何にもないんだよね。
「そうなんだ、すごいなあ。俺、プレリーから出たことなかったよ。姉ちゃんは?」
「え、私? 私は……カスカード国内は色々行ったことあるけれど……」
「そうなんだ、いいなあ。俺、たぶんずっとプレリーからでない気がする。今日はさ、マティアスさんや姉ちゃんがいるから遠出できたけど俺一人だとちょっと勇気いるかも」
「そうね。まだリーズちゃんを誘えてないんだもんね」
ぼそりと呟くと、ユリアンは顔を真っ赤にして首を横に振った。
「そ、そ、それは、その……いいから姉ちゃん! 早く行こう!」
がしっと私の手を掴んで、ユリアンは足早に歩き始めた。
……私の手を掴むことはできるのに、リーズちゃんに遊びに行こうとは言えないのね。まあ、私は人間だし、ユリアンからは異性として見られてはいないんだろうけれど。
観覧車にも回転木馬にも十人以上が列を作り順番待ちをしていた。
私たちはまず回転木馬に向かった。
回転木馬の馬は白や黒、茶の毛色で、首飾りなどの装飾が派手に描かれている。
木馬のほかに屋根のない馬車があり、こちらも翼が描かれ色とりどりに塗られていた。
ユリアンにせがまれ、馬車のほうにふたりで並んで乗ったのはいいものの、見事に目が回ってしまった。
「すごいね! 本当に回ってるよ!」
と、隣に座るユリアンが嬉しそうに辺りを見回しながら言う。
私は必死に目の前にある掴まるための棒を握りしめ、苦笑いを浮かべた。
「そうね。回ってるわね」
と答えるのが精いっぱいだった。
ちなみにマティアス様は回転木馬には乗らなかった。
「俺は遠慮するよ」
と言って笑っていた理由が、今はわかる気がする。
だって、ちょっと回っただけで気持ち悪いんだもの。みなさんきゃーきゃー言っているけれど、私は悲鳴を上げる余裕もなかった。
正直気持ち悪い。
回転木馬が動いていた時間なんてほんの数分位だと思うのだけれど、とても長い時間に思えた。
回転木馬がゆっくりと止まり、係員の合図で皆下りていく中、私は気持ち悪くて動けなかった。
「大丈夫? 姉ちゃん」
ユリアンに支えられながらふらふらと馬車から降り、マティアス様が待つ回転木馬のそばに置いてある長椅子に歩いて行った。
彼は私の様子を見て苦笑し、
「酔った?」
と言った。
「酔うって……なんですか?」
「お酒飲んでないのに酔うの?」
私とユリアンが交互に言うと、マティアス様は首を横に振った。
「違うよ。乗り物に乗って気持ち悪くなることを、『乗り物酔い』って呼ぶんだ。俺は観覧車は大丈夫だけれど回転木馬は苦手だから」
と言い、苦笑する。
「それ、最初に教えてくださればいいのに」
半眼で見つめて呻くように言うと、マティアス様は首を傾け、
「何事も経験しないとわからないじゃない。それに教えたところで一笑に付すでしょ?」
と言った。
確かに。乗り物酔いなんて知らなかったもの。馬車ではこんな風にならないし。汽車には乗ったことないからわからないし。
「それもそうですね。とりあえず気持ち悪いです」
私は言いながら、マティアス様の隣に腰かけた。
「乗り物酔いって初めて聞いた。そう言うのがあるんだねー」
感心したようにユリアンが言う。
「なんかマティアスさんといるといろんな新しいことに触れられて楽しいね!」
満面の笑みを浮かべて言うユリアン。まあ確かに新しいことに触れられるけれど。でも乗り物酔いについては教えてほしかったなあ……
あー、気持ち悪い。
「姉ちゃん、俺、飲み物買ってくるよ! 飲み物飲んだら気分変わるかもだし」
そう言ってユリアンは走りだす。
ひとりで大丈夫かな。という思いがよぎるけれど、そんなことを気にしている余裕はないので、ぼーっとユリアンが走り去るのを見つめた。
私とマティアス様がお休みの日だ。
焦げ茶色の帽子を被り、ゆったりとした上着に焦げ茶色のズボンをはいたユリアンは、ゆっくりと回転する観覧車を見つめ、
「うわあ……」
と感嘆の声を漏らした。
観覧車の大きさは、二階建ての建物の倍くらいだろうか。
回転する観覧車には、十二個ほどの半円の鉄でできたかごののようなものがついている。
想像よりも大きい。
ここはフラムテール王国の国境の町。プレリーから国境を越えて馬車で三十分ほど行ったところにある遊園地と呼ばれる施設だ。
観覧車に回転木馬、電気で動く園内を一周してくれる乗り物。それにいくつもの露店がある。それに隣接して大きな商業施設もあり、一日いても飽きないと言われているのだとか。
歩いているだけでおいしそうな匂いがそこかしこから漂ってくる。
平日であるにも関わらず人出は多かった。
プレリーの隣の町であるとはいえ国が違うためか服装も人々の顔立ちも皆少し違って見える。
私の国にはあまりない三階建て以上の建物や、大きな商業施設はとても珍しくて、私もユリアンと同じようにあたりを見回しまくっていた。
「全然プレリーと違うんだね。馬車で三十分なのに」
「まあ……カスカードはほら、田舎だから」
田舎でも生活には困っていないし、こんな大きな商業施設はいらない。人口がそもそも少ないし。
「こういうの機械って言うんだっけ。すごいね、人間て。プレリーにはこんなに立派な機械ないもんね」
「そうだね。それはプレリーの良さでもあると思うけれど」
マティアス様、それは本音ですか。
私はちらりと隣を歩く彼の顔を見る。
その表情から嘘かホントかを見分けることはできなかったけれど……フラムテール王国はカスカード公国に比べたらとても発展している国だ。
こういう機械を取り入れるのにも積極的だし。
「……ずっとプレリーに住めと言われたら、住みますか?」
意地悪かな、と思いつつそう問いかけるとマティアス様は、ははは、と笑った。
「そうだねえ。一度便利さを知ってしまうとそこから離れるのって難しいからねえ」
と曖昧なことを言う。まあ、そうですよね。期間が決まっていてあと半年ほどたてば国に帰るとわかっていれば多少の不便さも妥協もできると思うの。
でもずっとと言われたら、難しいよね。
「こうやってフラムテールの町を歩くのって初めてです」
私が言うと、マティアス様がこちらを向いてにこっと笑った。
「そうだよね。
いつも別荘の中庭で話をするだけで、町になんて出たことなかったね」
その通りだ。
年に一度、マティアス様と顔を合わせていたわけだけれど、場所はフラムテール王家の別荘で、そこから町に行くことは決してなかった。
別荘に行って、マティアス様と話をして、その日のうちに帰国する。
それが常だったため、私はフラムテールに十回以上来ているにも関わらず、別荘以外に行ったことは一度もなかった。
「だから見せたかったんだ」
ぼそりとマティアス様が呟く。
ユリアンにもそれが聞こえたらしく、マティアス様を振り返り言った。
「見せたかったって何を?」
「え? あぁ、俺が育った国を、ふたりに見せたかったってこと」
「あ、そんなこと思ってたんだ。でもマティアスさんが育った町ってここからもっと遠い所なんでしょ?」
「うん。まあそうなんだけれど、この町の近くにはよく来ていたから」
それはそうでしょうね。
こことはまた反対側の町はずれに、王家の別荘があるんだもの。その別荘が私たちが年に一度顔を合わせていた場所だ。
そこはとても静かな場所で……何にもないんだよね。
「そうなんだ、すごいなあ。俺、プレリーから出たことなかったよ。姉ちゃんは?」
「え、私? 私は……カスカード国内は色々行ったことあるけれど……」
「そうなんだ、いいなあ。俺、たぶんずっとプレリーからでない気がする。今日はさ、マティアスさんや姉ちゃんがいるから遠出できたけど俺一人だとちょっと勇気いるかも」
「そうね。まだリーズちゃんを誘えてないんだもんね」
ぼそりと呟くと、ユリアンは顔を真っ赤にして首を横に振った。
「そ、そ、それは、その……いいから姉ちゃん! 早く行こう!」
がしっと私の手を掴んで、ユリアンは足早に歩き始めた。
……私の手を掴むことはできるのに、リーズちゃんに遊びに行こうとは言えないのね。まあ、私は人間だし、ユリアンからは異性として見られてはいないんだろうけれど。
観覧車にも回転木馬にも十人以上が列を作り順番待ちをしていた。
私たちはまず回転木馬に向かった。
回転木馬の馬は白や黒、茶の毛色で、首飾りなどの装飾が派手に描かれている。
木馬のほかに屋根のない馬車があり、こちらも翼が描かれ色とりどりに塗られていた。
ユリアンにせがまれ、馬車のほうにふたりで並んで乗ったのはいいものの、見事に目が回ってしまった。
「すごいね! 本当に回ってるよ!」
と、隣に座るユリアンが嬉しそうに辺りを見回しながら言う。
私は必死に目の前にある掴まるための棒を握りしめ、苦笑いを浮かべた。
「そうね。回ってるわね」
と答えるのが精いっぱいだった。
ちなみにマティアス様は回転木馬には乗らなかった。
「俺は遠慮するよ」
と言って笑っていた理由が、今はわかる気がする。
だって、ちょっと回っただけで気持ち悪いんだもの。みなさんきゃーきゃー言っているけれど、私は悲鳴を上げる余裕もなかった。
正直気持ち悪い。
回転木馬が動いていた時間なんてほんの数分位だと思うのだけれど、とても長い時間に思えた。
回転木馬がゆっくりと止まり、係員の合図で皆下りていく中、私は気持ち悪くて動けなかった。
「大丈夫? 姉ちゃん」
ユリアンに支えられながらふらふらと馬車から降り、マティアス様が待つ回転木馬のそばに置いてある長椅子に歩いて行った。
彼は私の様子を見て苦笑し、
「酔った?」
と言った。
「酔うって……なんですか?」
「お酒飲んでないのに酔うの?」
私とユリアンが交互に言うと、マティアス様は首を横に振った。
「違うよ。乗り物に乗って気持ち悪くなることを、『乗り物酔い』って呼ぶんだ。俺は観覧車は大丈夫だけれど回転木馬は苦手だから」
と言い、苦笑する。
「それ、最初に教えてくださればいいのに」
半眼で見つめて呻くように言うと、マティアス様は首を傾け、
「何事も経験しないとわからないじゃない。それに教えたところで一笑に付すでしょ?」
と言った。
確かに。乗り物酔いなんて知らなかったもの。馬車ではこんな風にならないし。汽車には乗ったことないからわからないし。
「それもそうですね。とりあえず気持ち悪いです」
私は言いながら、マティアス様の隣に腰かけた。
「乗り物酔いって初めて聞いた。そう言うのがあるんだねー」
感心したようにユリアンが言う。
「なんかマティアスさんといるといろんな新しいことに触れられて楽しいね!」
満面の笑みを浮かべて言うユリアン。まあ確かに新しいことに触れられるけれど。でも乗り物酔いについては教えてほしかったなあ……
あー、気持ち悪い。
「姉ちゃん、俺、飲み物買ってくるよ! 飲み物飲んだら気分変わるかもだし」
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