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転生脇役悪役令嬢の多分(?)恋愛物語〜ソニア編〜
4 モブでも最高の(但し友人の)恋人とイケメンでもお断りの攻略対象
しおりを挟む「あ! スタンさん! お帰りなさいッ!」
突然転移魔法で目の前に現れた恋人を認識した途端、頬を染め破顔するリナ。
「ただいま、リナ。
いい子で待ってたか?」
ゲーム上ではモブでしかなかった筈の冒険者ギルドの元総務主任でソニアの元上司、そして現在S級冒険者に戻ったスタンである。
——出たな! このモブ男め!
顔は平静を装っているが腹の中ではこっそりスタンを罵倒するソニア・・・
ファンは最推しのパートナーを自分の認めた相手にしたがる傾向がある。
ソニアも例外ではないらしく、ヒロインの筈のリーナの恋人が攻略対象でもなんでもない、ただの30過ぎのオジサンなのが気に入らない・・・。
が。
リナ自身がスタンにベタ惚れなのでこればっかりは仕方が無い。
×××
このスタンという男、元々S級の冒険者だけあってかなり上位の魔術師だったのだが、リーナを守るためだけに苦手だった筈の体術や剣技にも最近は目覚めたようでメキメキ腕を上げ、一端のソロ冒険者として最近有名になってきた。
それまでは彼の所属する4人組の冒険者パーティー『暁』は、B級が2人、A級が1人そしてスタンだけがS級という組み合わせで、受注できる依頼が限られてしまい高額なSクラス指定の依頼が熟せなかった。
しかし、一人でも問題なく戦えるようになった彼は最近パーティーでのクエスト依頼を受けるだけでなく単独で高額依頼まで熟し始めた。
どうやらリーナとの結婚資金を貯める為に身体強化までして馬車馬の様に働いているらしいのだが、元々が飄々とした態度の男なのであまり疲れているようには見受けられない・・・ どうやら彼はやれば出来る男だったらしい。
――それまではやる気がなかったのかよ!?
とツッコミを入れたくなるが、やはりかわいい恋人ができると、人生が変わるのだろう―― 恋とは偉大である。
今もリナのすぐ隣の席に座って彼女の手を取り何かを囁いては二人でイチャコラしているのだが、囁かれる相手であるリナがちょっとその辺では見られないような美人なので、
――畜生! このバカップルめッ!
という周りの男共の嫉妬まみれの視線を一身に浴びるが、全く気にならない辺りこの男、中々のツワモノだろう。
恋人の為に努力して自分を鍛え、将来のために奔走するこの一途な男、中々に優良株と言えるんじゃないかなと思ったりもするソニア。
そういやあ友人は前世でも華より実を取る堅実な性格だったな、とふと思い出す。
まぁ彼女が幸せそうで何よりだわと、こっそり微笑みながらコーヒーカップを手に取った。
ただ、バカップルぶりには文句を付けたい所だが・・・。
あんまり言うとイチャコラがエスカレートする事が分かっているので何も言えない。
下手な事を言うと変なトバッチリを受ける恐れもあるので絶対に口にしないでいようと、心に誓いながら彼女は珈琲を一口啜った。
×××
カフェのウェイターからメニューを貰い横目で眺めながら話を聞くスタン。
「またレオナルドの悪い癖か?」
そう言いながら、片手を上げてカフェ・オ・レを注文する。
「あの女好きには辟易するわ。
何とかならないの?」
ブラックコーヒーの入ったカップを片手に、自分が無意識に浮かべる額の縦皺をグイグイ指で伸ばしてしまうソニア。
『暁』のメンバーの一人、A級冒険者はレオナルドである。
リーダーは年長者のスタン。
「うーん、アイツの女好きが実質依頼達成の邪魔になるわけじゃないからなぁ」
そもそも女癖のよろしくない冒険者など掃いて捨てる程に存在している為、レオナルドが特別珍しい訳でもない。
スタンとしては何らかの実害が無ければ注意する責任は無いのだ。
「まぁまぁ。
レオナルドさんも隣国から出奔して自由になったばかりだからハジケちゃってるんじゃないの?」
リーナが未だ笑いながらテーブルの上のチーズケーキをフォークで切り分けながら口に運ぶ。
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