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転生脇役悪役令嬢の多分(?)恋愛物語〜ソニア編〜
5 定期的なお見合い?
しおりを挟むリナがチーズケーキを実に美味しそうに咀嚼した後で首を傾げ、
「だって彼、小さい頃から結構不自由な生活だったでしょ?」
と続ける。
「あー、なんか高位貴族の三男だったって本人から聞いてるが。
違うのか?」
「「・・・違うわ(よ)?」」
実はレオナルドは隣国王家の国王陛下の御落胤だ。
母親は王妃でも、側妃でもなく、王城に勤めていた高級女官である。
侍女ではなかったので王宮内にいた訳では無いのだが国王がいつの間にやら見初め、自ら王城に出向いて口説き落として恋人にした相手だ。
国政や貴族の政略は全く関係なく、ただただ相手を好きになったという厄介な施政者の恋で産まれたのがレオナルドなのである・・・。
まぁ『真実の愛』と言えば聞こえは良いが、困っちゃったのは周りの人々である。
母親の出自が侯爵家の次女だった為、その侯爵家当主である兄がレオナルドを引き取り自分の三男として育てたというのが実情で、出産と共に亡くなった実の母とその相手である本当の父親が国王というとんでもない真実を知り、悩んだ末に出奔しグレーン王国に渡ってきたという何とも面倒臭い背景を持つ青年なのである。
因みに彼の顔は、父親である隣国の国王にそっくり。
幼少期は髪の色や目の色が母譲りなのでバレなかっただけであり、それなりの年齢になると周りの目を気にして領地の屋敷からほとんど出ることは無く、まるで隠されるように暮らしていたらしい。
そのせいもあり今は自由になってハジケているのだろうとリーナは言うが、ソニアは彼女と違いゲームの設定を覚えている為『隣国の国王』の奔放な性格が彼にも遺伝しているのだと思っている。
実の所は誰も知らないが・・・。
兎に角レオナルドが自分に向けて好意を示してきた所で、他の女性にちょっかいをかけたり頻繁にデートを繰り返すような男である以上ソニアにしてみれば絶対にお断りだ。
いくら極上のイケメンでも『女好き』では、背負った出自の以前の問題だ。
当然だが婿どころか恋人になど願い下げである。
それに比べればフツメン、ちょっとだけイケメン寄りの眼の前のモブのほうが一千万倍マシだろう。
まぁもっとも彼は友人の恋人でしかも自分とは相性が悪いことは一緒に仕事をして来た経験上、火を見るより明らかなのでどっちにせよお断りなのだが――
ソニアは溜息を吐いた。
×××
ウェイターが運んで来たカフェ・オ・レの入ったカップに口を付けながら、
「そういやあ、ソニアはそろそろ見合いがある頃じゃないのか?」
ふと思い付いたような顔のスタンの台詞でぎょっとした顔になるソニア嬢。
「え!?
主任なんでそんな事を知ってるんですか?!」
「いや、時期的にそろそろじゃないかと思ったんだが。
違うのか?
お前の両親は、自分らの出張が終わって半月経つ頃になるとお前に釣書送って来てただろう?」
「・・・お察しの通りですが」
「2週間くらい前に、お前の両親を帝国から護衛して帰って来たからな。
もうそろそろ釣書が届くんだろうなと思っただけだ」
「・・・そうですか」
スタン自身もソニアの両親から見合いの打診をされた事があるが、その時は丁寧に断った経歴の持ち主だ。
そもそも彼はギルドの職員だった上に元上司でもあるので、意外とソニアを含む元部下達の勤務状況や私生活にも意外と詳しかったりする。
「今回も帝国から見合い話を引っ提げて来そうだな」
肩を竦めるスタン。
「え、郁ちゃんのお見合い相手って今回帝国の人なの?」
「ああ今回の仕事先が帝国だったからな。
お前の両親ときたら、行く先々で目ぼしい連中を婿候補としてピックアップしてるのがミエミエだからな。
まあそれだけ一人娘が心配なんだろうなぁ」
ウンウンと一人頷くスタンを見るソニアの目が半目になっているのは間違いでは無い・・・。
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