【完結】転生した元社畜男子は聖女になって人生逃げ切る事を諦めません!

hazuki.mikado

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オマケ閑話♡ ある日王子様が

1−4

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 お祭りの露店は広場迄続いていて、終点の広場の向こう側に馬車溜まりがあるのでそちらに向かう双子達。

 お付きのメイドと騎士が、すぐ後ろに続いている。


「聖女様、綺麗だったね」

「聖王様もカッコよかったよう!」


 二人で手を繋ぎ、焼き菓子のお土産の袋を手にして、自家用馬車に歩いていく。


「うわあ、何コレ、近づけないわ」


 辻馬車と貴族のお抱え馬車は停める場所が違うのだが、今日ばかりは数が多すぎて一緒くたである。

 皆が丁度帰ろうとする時間のせいか、大賑わい状態のようで人・人・人である。


「うちの馬車どれよ・・・」


 半目になる二人に苦笑いになるメイド達。


「そういうときは、馬車の家紋を探すんですよ」


 護衛騎士が指さす方にフォーンサイト家の家紋であるオリーブの意匠が描かれた黒い馬車が見えたが、かなり距離がありそうだ。


「「遠い~・・・」」


 こんな時でも声の揃う双子達の隣でクスクス笑いが聞こえた。


 ムッとして振り返ると、白い艷やかな素材の開襟シャツに黒いトラウザーズを履いた男性が、口元に手を当てて


「失礼、レディ達。余りにも素直なお二人が微笑ましくて」


 そう言いながら、咳払いをした。


「美しい色の髪飾りですね」

 そう言いながら、ジゼルの頭頂部に飾られていたバレッタを目を細めて見つめた。

 銀色に輝く長い髪はスッキリと後ろに纏めてあり、黒いリボンで緩く括られている。
 笑っていたせいなのか、潤んでいる瞳の色はとろりとした蜂蜜のような透き通る金色をしていて、髪色と同じ銀色の烟るような睫毛で飾られている。

 すっと通った鼻筋に高い鼻梁、その下に続く形のいい薄い唇。

 年の頃は20代前半位、中性的な風貌はまるで王子様のようである。


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