【完結】距離を置きましょう? やったー喜んで! 物理的にですけど、良いですよね?

hazuki.mikado

文字の大きさ
13 / 199

13 公爵令嬢と専属侍女



 王子ルートが確定したら、私も悪役令嬢に確定する。


 まぁ、要はプレイヤー側から他のキャラに注目しなくなるから見えなくなるってだけであって、他の人達も普通に生活してる世界だからその辺りの絡みなんかはどうなるのかは未知数ななんだけど。


 ――でもまあ、せっかくのレイモンド様の美形が台無しだわ。
 

「? ねぇ、レイったら何だってそんな顔してるのよ? ヒロインちゃんと王子がくっつくのがそんなに嫌なの?」

「え? 俺? 俺は王子もヒロインもどうでもいいけど?」


 途端にキョトーンとするレイモンドは、王宮図書館で出会って仲良くなったけれど、ゲーム上の彼とは随分性格が違うのはやっぱり転生者だからだと思う。

 自分自身も、どちらかというと前世の性格寄りだ。


 ――ヒロインには興味がなさそう? 良かったわ・・・


 んっ? 今誰か何か言った? 気のせいかな・・・?


「じゃあ、何かマズイことでもあるの? 困った顔してるじゃないの」

「困った顔? してたか? 俺?」


 コクコクと頷くリアーヌ。


「こーんな顔してたわ」


 両手の人差し指で自分の眉を下げて変な顔をして見せる彼女は、この国では屈指の淑女と言われているご令嬢のはずである。


「・・・あー。そりゃあね、王子とかヒロインの事じゃないよ。リアの事で変な顔になったんだよ」

「私?」

「帝国に行ったら、俺と会えなくなる。リアはそれでいいの?」


 あ。眉がまた下がった・・・



×××



 「お嬢様~? どうされましたか? 大好きなケーキですよ~?」


 専属侍女であるマーサが、午後の紅茶と小さなカットケーキの乗ったワゴンをついてリアーヌの部屋にやって来たのだが、どうやらお仕えするお嬢様は上の空である。


 ――さっき着替える時もおかしかったけど・・・?


 登城用のドレスから楽なデイドレスに着替える間もボーッと上の空だったような・・・


「お嬢様?」

「あ? ごめんマーサ。考え事してたのよ」

「体調が良くないとかじゃあなさそうですね」

「あ。うん。まぁそうね。突然不意打ちを喰らった感じよね」

「え。王宮で殿下に言われた例のアレが?」

「え。あ~、うん、いえ。違うわ。アレはご褒美よね。考え事は別の事よ」


 ふーんという顔を一瞬で隠したマーサは、


『何かあったな』


 と思ったが、その事を一切口には出さず紅茶のカップとケーキ皿をティーテーブルに並べ終えた。


「今日の出来事はどうなさいます? ご自分で旦那様に報告なさいますか? 一応私からも報告の書類は提出しておきますが」

「殿下の2年間距離を置きたい、の報告?」

「ですね。今日に限らず毎回お茶会の後は報告書を提出してますけど。今日はまだなんですよね。
 旦那様と奥様が激怒するのが目に見えてますので・・・ まぁ私が怒られる訳じゃないのでそれは良いんですけど。

 今日のは提出タイミング間違えたら旦那様達が王城に騎士達を連れてすっ飛んでいって、王宮に攻め込む気がするんですよねえ~・・・」

「・・・マーサが気が利く侍女で良かったわ。そうね、ちょっと遅め、晩餐の後に話すからその時に一緒に提出してくれる?」


 小首を傾げるリアーヌを目に映しながら


「そうですね。王城の門が閉まってからの方が良いでしょうね。最低でも怒鳴り込めなくなりますから」


 マーサはこっそり溜息をついた。



 ×××



 公爵ご夫妻はお嬢様を王家に嫁がすのは元々嫌だったようで、出来れば今でも婚約は白紙に戻したいと常々思っているらしい。

 お嬢様自身も殿下の事は弟、しかも仲のよくないアレ、みたいに思っているように見受けられる。

 学園に入学後、登城の機会がぐっと減ったお陰で毎日楽しそうだったお嬢様が、殿下の入学後は溜息を吐く回数が増えた気がする・・・糞ガキ・・・ゲフンゲフン・・・

 ただ、王子殿下の周りに公爵家の間諜が密かに配置されたみたいで、何かを探っているように感じていたが、今日の定例のお茶会でお嬢様に向かい『距離を置きたい』などという厚顔不遜な言い分から察するに殿下に想いを寄せるお相手ができたのではないだろうか。

 何様のつもりだあの糞おu・・・コホン・・・再度失礼。


 今日の報告書とお嬢様の報告で旦那様達が絶対に荒れるだろう。


 尤もこの邸の者は止めるような者は皆無なのだけれど。

 それでも此方が揚げ足を取られるような真似は出来る限りしない方が事が穏便に進むはず。

 提出するのを遅らせたのは我ながら名案だった。






 私はお嬢様の部屋から退室し、報告書の見直しをする為に私室に足を向けた。
 


感想 208

あなたにおすすめの小説

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った

冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。 「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。 ※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

襲ってきた王太子と、私を売った婚約者を殴ったら、不敬罪で国外追放されました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。